何もない町に煌々と差す月明かりによって出来る窓枠の影が、そんなはずもないのに少しだけ檻に見えた。
「どこにも行けないよ」と、「逃げられないよ」と自分自身に言われているような気がした。
どこにも行けず、誰とも話せず、眠ることもままならない。まるで世界にひとりぼっちだった。
夜は檻のない牢屋。
そう思った数え切れない夜と孤独達といつかの僕。
たまらず家を飛び出したことも何度もあった。
いつも行く神社の猫は最終的にひどく懐いた。
臆病な道を選んで人を傷つけた夜もあった。
カッターナイフじゃ戦えなかった。
盗めるバイクもなかった。
そんな時だって、手元にはなくたって、いつでも音楽がそばにいてくれたな、とふと思う。
誰よりも早く帰る学校の帰り道、
楽しそうに笑う同級生を横目に歩く渡り廊下、
初めての彼女にフラれた夜のしじま、
電車から見える景色とそれに溶けるメロディ。
その全てのどこかに、メロディが鳴っていた、そんな気がする。
こんな夜にも起きている人がいるのかい?
この夜のどこかに今、そんな気持ちでいる誰かがもしいるのだとしたら、僕はそんな檻に流れるメロディになりたい。
そして僕は、そんなあの頃の僕と同じあなたと、ライブハウスで会いたい。
何度だって立ち上がって、僕らはなんとか今日まで来たよ。
鍵なんていらない、ぶち壊して入るだけ。
改めて、明日からツアーが本格的にスタート、全国各地の皆さん何卒よろしくお願いいたします。
はぁー、みんなどんな顔してんだろーな。