仕事も終わり、帰りながらふと思う。
今までに嬉しい事とかあったっけ…?

ため息が混ざっていつもより濃くなった煙草の揺らめきを身体に纏わりつかせながら、忘却の彼方へ旅をさせた記憶を、時間が経つと消えてしまうその煙の様に眺めてみる。

楽しくしているであろうその時でも、ずっと隣で見ていた自分が居る事に気付き、プレゼントの包装紙を剥いでいくように思っていたはずなのに、確かに「そこ」には自分が居なかった事に気づかされた。

無邪気が故に、真夏にアイスクリームを放置して無くなってしまった焦燥感みたいなものが込み上げ、記憶というものの曖昧さに子面憎ささえ覚えてしまう。

無かったって思った自分の答えを、
消えて無くなった煙と重ねて。