月別アーカイブ / 2010年02月



そして2月はじめのサイン会・トークショーは富山。
行きの電車が京都から増してゆく雪でどんどん遅刻してしまい、
着いた頃にはもう深夜1時を回っていて、
煙草の煙なのか、吐く息なのかもわからないけど、
それももうどうでもいいやってくらい寒くってスネそうになっていたら、
向こうから大雪なのにミニスカートの女の子が歩いてきて、
そのコントラストがすごくかわいらしかったので、
気を取り直して、いざホテルまで向かいました。

あくる朝、照り返す陽の光で全貌を露わにした一面の雪景色を目の前に、
今回の旅のお供である季刊エス編集部のさなぴょんは顔が真っ赤にして、
「熱い!熱い!」と体調を崩してしまったようで、
「私日本海側、ダメなんですよねぇ!」とのこと。
やよいちゃんは"行き"が駄目で、さなぴょんは"日本海側"が駄目で、
ここまで来たら、季刊エス編集部、次は何が駄目なメンバーが来るのか楽しみだね!
僕のこと駄目にだけはならな…ん?
バラバラに見える彼女たちの行動に共通するのは
僕と沼田さんが一緒にいること。まさかねぇ…沼ちゃ~ん!!
一方、その沼田さんは寒さで唇が真っ青なのに大はしゃぎ。
「アハハハハハ!雪大好き!!」と言って
悪魔とも天使とも取れない目の輝きを見る隙も与えず、
カメラを構える僕に雪を丸めて投げてきました。

が、すぐに裏返しになった自然の猛威に屈し、引きずる旅用カートは
みるみるうちに雪の中へと沈んで行きました。「雪嫌い…」という言葉とともに。

移ろいやすいという比喩の"女心と秋の空"という言葉がありますが、
"沼田心と冬の富山"といったところでしょうかな。

そして今回のトークショー・サイン会の会場である
紀伊國屋書店富山店に移動。
そこでなんと、誕生日に沼田さんから頂いた
『吉行淳之介エッセイコレクション2巻~男と女(ちくま文庫)』、
他の1~4巻までが全国どこの本屋さんを見ても在庫がなかったのだけれど、
全て見つけて購入しました。やった。
そしてさなぴょんは熱が39度あるにも関わらず、
前回のやよいちゃんに刺激を受けたのか、
トークや構成がすごく上手になっていてビックリ。
紀伊国屋書店の皆さま、富山の皆さま、どうもありがとうございました。

その後無事熱も下がり、福井に移動します。
近くの県なのに富山よりずっと関西っぽく感じるのは、
大学時代のクラスメイトで漫画家の石黒正数くんの故郷だからだろうか。
駅に着いたさなぴょんが「何ですか?コレ」と
不思議そうなに指差した先にあったのは"白いポスト"と書かれた箱。
白いポストと言えば、駅や街角に設置してある
青少年に悪影響な本や雑誌、新聞などが目に着かないようにと捨てるポスト。
しかしポストということは誰かに届くと言うことで、
手を突っ込んでも届かなかった子供時代の僕は
おそらくエロの神さまというのがいて、白い自転車に乗った郵便屋さんが
全国から集めたあんな本やこんな本を届けるのかと思い、
神さまといたくお友達になりたかった次第です。
沼田さんから頂いたその吉行淳之介のエッセイ集に
「良い行いをして悪い結果が出た浦島太郎の話はひどすぎる。
おそらくきらびやかな竜宮城というのはキャバクラのような場所の暗喩で、
調子に乗って乱痴気騒ぎをしすぎて、勢力を吸いつくされた結果、
白髪になったと思うと、全ての合点がいく。」というような話がありましたが、
そのように全国から集まる大量のエロ本を読みすぎて、
だから神さまというのは白髪のイメージなのか…と
当時の僕も変に納得し、ふむふむと頷きながらそのポストを後にしたものです。

だから普段下ネタを言わないさなぴょんも
元気になって冗談で言ってるのかと思って、
「何言ってんだよーエロ本を入れる箱じゃないかー」と言うと、
「またまた冗談をー!」と沼田さんまでもが驚き顔。
話を聞いてみると2人の出身の関東にはあまり見かけないもののようで、
僕が福井に感じていた関西の香りはどうやらそこからもしていたようですね。
「へー、あぁそれなら…」と白いポストに本を入れようとするさなぴょん。



コ、コラー!!それは違う!それだけは違う!!
さなぴょん、こんなことならもう一回熱出して下さい…
寸前で白いポストから無事救出された白いBlueを持って、紀伊國屋書店福井店へ移動。
トークショーの会場は半屋外のピロティのような場所で、
これまた福井に実家がある、京都講演会も開催してくれたYOU-1くんも来てくれて、
寒いけど終始温かな雰囲気でサイン会まで無事終了しました。
福井の皆さま、ありがとうございましたー




しかし冗談でなく、Blueの画集で全国をピンクにと思っていたけど、
浦島太郎やエロの神さまのように、見た人の頭髪を片っ端からこの雪の白さに染める、
それくらいの絵をいつか描きたいものである。と誓った富山・福井の旅でした。
さなぴょんの取った行動はそのエールか。


ユリイカ2月臨時増刊号"イロヅク乙女ノユートピア"、
好評なようで何よりです。僕も今後のイラストレーター人生において
どう考えてもマイナスにしかならような本当のことしか言ってませんので、
どうにか皆さんに楽しんでトントンにしてもらわないと困るってもんですヨ!

さて、引き続きサイン会ツアーは続いております。
先月末は福島県に行って参りました。
まずは東京の飛鳥新社に寄って、グッズを用意します。
そう、書店でのトークショー・サイン会にて販売されているミラーには、
なななんと全てサインが入っているのですが、
サインだけではなく、袋詰めからバーコードシール張りまで、
なななななんと僕がやっているのです。
はい、確かに飛鳥新社は決して大企業と言う訳ではありませんし、
グッズ製作もはじめてということは差し引いても、
アットホームにも程がある!(訳・こき使うにも程がある!)
まぁ、というのは冗談で、サイン会があるのは休日なので、
その前日の夜は大体会社に誰もいないからなんですね。
沼田さんは勿論手伝ってくれて、ミラーを開けたり段ボールに詰める係なのですが、
効率よくしようと思っているのか退屈なのか(おそらく後者)、
両手で同時にふたつのミラーを開ける技を編み出したり、
「"あたり"付けましょうよ」と言って、その中の1枚に
自分のサインを紛れさせようとしたりと楽しくやってます。
だからミラーに指紋が付いていたり、髪の毛が入っていたりしても、
煙草吸いながらなので弱冠不良っぽいですが、
決して不良品ではありませんので、返品しないでくださいね。
あ、"中村佑介"でなく"沼田洋介"が出てきた人は、
ハズレなので、飛鳥新社に着払いで返品して下さいね!

そんな少し遊びながらだったので、車で福島に出発するのが
24時を回ってしまいました。
そしてカーナビに行き先を入れてその画面を見てからと言うもの、
それから車内では沼田さんの悪ふざけはなくなり口数が少なくなりました。
はて、なぜでしょう。「ワルフザケハヤメテクダサイ」とでも言われたのでしょうかねぇ。
そんなまさか。

そんな頭の良いワルフザケハヤメテクダサイナビのおかげで、
予定より1時間も早く着いた僕らは次の日に備え、福島のホテルでぐっすり眠りました。

次の日、今回司会をしてくれる季刊エス編集部の第4の刺客・やよいちゃんと合流。
実は彼女、ここ福島が故郷でご両親も見に来るようで、いざ故郷に錦を飾れるか。
そして打ち合わせも済ませ、無事トークショーは終了。
いやぁ、彼女ははじめてだったので若干不安もありましたが、
何のことはない、蓋を開けてみればこれまでで一番内容の濃いトークショーになりました。
それもそのはず、彼女も絵を描いていて、↑の鏡を含めた
今回のグッズのデザインも手掛けてくれました。
(今度は袋詰めとバーコードシール貼りも手掛けてね!!)
だから少し専門的な話になったかもしれませんが、
これからの行き先でやよいちゃんに当たった人は、
どうか楽しみにしててくださいね。

サイン会もひと段落し、「しかしなぜ行きは一緒に車で来なかったのか?」と聞くと、
「わたし、車酔いするんです。でも帰りは一緒に帰らせて頂きます。
昔から"行き"だけ駄目なんです。」とのこと。
行きだけ駄目なんですなんて粋な事言ってくれるじゃない!
…ハァハァ、取り乱しました。しかし気を使わなくっても大丈夫ですよ。
これ実際言ったその時もやよいちゃんどころか、
いつもどんな冗談にでも死んだ目で愛想笑いしてくれる沼田さんも
誰よりも気を使う書店員さんも、誰ひとりとして笑っていませんでしたから。
まぁここまで来ると自己満足、後は自分との闘い、
つまり男の浪漫チックな世界ですが、まだ旅の先は長いので、
僕もそろそろワルフザケハヤメテクダサイナビを活用しないといけませんかね。


(後編に続く)

東京では初、吉祥寺パルコにて行われた展覧会、無事終了しました。
ご来場下さった皆さま、パルコスタッフの皆さま、本当にどうもありがとうございました。
誕生日のメッセージもどうもありがとうございます。
お礼とここまでの日記はまた改めて書くとして、
今日は告知がふたつほどあります。

まずは今夜午前3:00~3:45、NHK BS2でトップランナーの再放送があります。
ちょっと遅い時間ですが、見逃した方や録画していなかった方は是非。

そして、2月1日(月)、僕のことを丸々1冊分特集してもらった
ユリイカという雑誌が発売されました。
画集『Blue』は、"出来るだけ文字を使わずイラストのみで構成した本"
というこだわりを持って作りましたが、今も続けている全国サイン会ツアーで、
「もっと文字も読みたかった」という意見も数多くあったので、
それなら文字とBlue以前以後の作品で綴った"もう1冊のBlue"を出そう、
と思い、青土社と飛鳥新社の協力のもと、今回の本が出来あがりました。

子供のころから今までを振り返る、2万字を超えるロングインタビューや、
今も第一線で活躍される大先輩のイラストレーターの方々との対談、
ジャケットを担当させてもらっているASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル
後藤正文さんや、ずっとお付き合いさせて頂いている、
大阪堀江のART HOUSEオーナー吉竹さんによるエッセイ。
また、僕がキャラクターデザインを担当している
今年4月からはじまるアニメ『四畳半神話体系』の湯浅政明監督のインタビューや、
素晴らしい方々による様々な論考と年表。
さらにはアイデアスケッチやラフスケッチ、未発表の作品、
Blue以後の作品なども、名久井直子さんの素晴らしいデザインのもと、
カラーページで余すところなく掲載しております。

そんな別の角度から見た『Blue』ということなので、
表紙は新たに描き下ろした画集の正面バージョン。
Blueのカバーにいる彼女はカバーを外すといなくなってしまっておりますが、
その間に一体何が起こったのかは、この絵と内容を読めば、
スッキリするような1冊になりましたので、ぜひともご覧ください。


ユリイカ 2010年2月臨時増刊号
総特集★中村佑介 イロヅク乙女ノユートピア

青土社/定価1,300 円(本体1,238 円)/ISBN978-4-7917-0205-3

【ロングインタビュー】"いつだって絵を描いていた"
幼年期の探求から青年期の自立へ、そして未だ見ぬ世界へ/中村佑介[聞き手=天野昌直]

【対談】
時代の空気をそっと捉える イラストレーターという職業/中村佑介×宇野亜喜良
その曲線にときめけ!世代を超えてつながる絵・マンガ・音楽/中村佑介×山本直樹
好きなものを写し取るために僕らが大学で学んだこと、学ばなかったこと/中村佑介×村田蓮爾

【図版構成】"中村佑介ができるまで"
アーリーワークス、習作時代、ラフスケッチなどから現在までを一挙公開!

【インタビュー】"イラストとアニメの繊細で大胆な弁証法"
TVアニメ『四畳半神話大系』の挑戦/湯浅政明[聞き手=編集部]

【エッセイ】~運命の出会い~
・欠くことの出来ない存在/後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
・ひとつの出会いからたくさんの出会いへ/吉竹千恵美(ART HOUSEオーナー)

【論考】
~アートの力を養分として~
・異次元への窓、連想の糸 中村佑介の絵画とアジアン・カンフー・ジェネレーション/松井みどり
・Mind of flatness/暮沢剛巳
~京阪神アンダーグラウンドの奥行き~
・中村佑介の少女たち/樋口ヒロユキ
・中村佑介さんの、懐かしい明日。/千野帽子
~僕らが夢を見る理由~
・イラストレーション・イルミネーション・イリュージョン/海猫沢めろん
・中村さんの描く「かわいい女の子」のゆくえ 誰でもなさから、色香へ/飯田一史
・中村佑介と広告表現/蔓葉信博
・恋をするとき、人は横顔を見る。/有村悠
~イラストと時代の擦過~
・ポエジー離散(ディアスポラ)時代の導体(コンダクター)/水無田気流
・pixivから見る「中村佑介」の位置 日本・現代・イラストレーション/伊藤剛

【資料】中村佑介の軌跡
犬は吠えるがキャラバンは進む/さやわか


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