月別アーカイブ / 2008年12月

ダムが崩れるように堂島孝平さんに今まで気になっていた
音楽のこと、あなたのことをひとしきりお聴きし、
お礼に「堤さやかちゃんのオーロラプロジェクトの廃盤DVDは、
たまにヤフオクで安い」という情報をお渡しした後、会場に戻る。

何度かこのブログでも紹介しているシンガーソングライターの徳永憲さんは、
大勢の人や賑やかなパーティが苦手らしく、会場の隅から隅へとサササっと逃げ回って
存在感を消している姿が逆に目立ってしまっていたので、捕まえる。

徳永さんの98年に発売したデビューアルバムの最後の曲は
『わんわん吠えている』というサディスティックな目線の犬の歌だったので、
柴犬を描いて、その噴出しの中に何かを描いてもらうことにした。

10歳の犬はワンワン吠えずに歌うようです。
横ではそんな様子をミエットワンの橋本さんが描いてくれました。

ほんとだ。絵筆は役に立った。

そしてイベントも終り、同じ日に東京でライブをしていたSoda fountains一行と合流。
よくバラエティ番組で大食いをしている有名なステーキ屋さんで食事して、
車に乗せてもらい大阪へ向います。
マネージャーの青ちゃんはアダルトビデオが嫌いだそうで、
そうなると僕の引き出しにはもう何も入っていないので、寝ることにしました。
途中ぼんやり目を開けると、ギターの小泉くんが僕の肩で寝ていたので、
どうしてよいのかわからずにいたところ、浜名湖インターに到着。
少し雪が積もっていて、青ちゃんはもの凄い形相で一番に足跡をつけていました。

色々なものが結びついて、突然クリアになった窓ガラス。
大阪に向う途中の日の出は、家に着いて見たライムライトの最後の30分より、
どんな憧れや空想より、もっともっと美しかったです。

みんなどうもありがとう。良いお年を。

そして無事東京に着く。
目的地は目黒なので、降りたのは品川だけど、
空気の匂いがもう違う関東のあの感じだ、
そうだそうだこんな感じだった。

また目黒駅まで電車に乗って、会場のクラスカまでは歩いて到着。
今回僕はイラストレーターとしてライブペインティング係として呼ばれたんだけど、
以前の名古屋講演会の際にお世話になった
abcdefgレコードの女番長ことミエットワン橋本さんがピンチということで、
急遽、ラジオと弾き語りを一緒にすることになっていたので、
ライブペイントの打ち合わせを済ました後、
ドタバタと設営している会場の隅で、ウクレレとピアニカで3曲練習する。
大好きだったAV女優の愛里ひなちゃんがモチーフになった
「おしりのふとん」という大事な曲をやっている時、橋本さんが「自信ない…」と呟いたので、
僕もずっと憧れだった堂島孝平さんや徳永憲さんやカジヒデキさんの前で、
堂々と歌える自信なんてないよ、と言おうとしたところ、
「いやぁ、お尻は自信がないなぁ…」だって。そっちか。
「大丈夫、おしり全然大きいよ」と慰めようと思ったが、
女性にとって何がいいお尻かなんてわからず、失礼にあたるかもしれないし、
まぁ今回のイベントの趣旨とは関係ないところなので、無言でそのまま練習を続けた。

そんなことをしているうちに、開場の時間になる。
たくさんの人が集まって、とても楽しい空気の中、DJやライブが進行して行く。
寝不足で頭痛がひどかったので、静岡から来てくれた友達にバファリンをもらう。
薬の際の飲み物がなかったので、水をもらおうとドリンクコーナーに行くと、
「500円です」と言われたので、勿体無く思い「じゃあオレンジジュースで」と言う。
飲んで2秒で治ったので、いつものセデスから久々のバファリン攻撃が良かったのか、
オレンジとの組み合わせが良かったのか、いや単純に気分の問題だったのだろう。
ラジオと弾き語りの本番を迎え、ひとつ前の日記に書いた出来事を話し、
橋本さんのピアニカやコーラスやパーカッションで衣替えした
「雨にぬれても」「おしりのふとん」「絵筆は役に立たず」を歌って無事終了。

舞台を降りた足でそのまま今度はライブペインティングに移る。
いつもは家で計画を立ててこつこつチマチマと描いているので、
こんなことをするのははじめてだったけど、
他のお三方、お客さん、出演アーティストの皆さんも参加し、
とても大きな渦のようなものがすくすくと空に枝を伸ばすさまは、
まんまその時の開場の空気をすくい上げたようなもので、
絵でもまだまだ色んなことが出来そうなこと、教えてもらった。

一段楽したので楽屋へ戻ると、ちょうど堂島孝平さんと二人きりになった。
挨拶以降何も話せずドキドキしていると、ネクタイを直しながら堂島さんが口を開いた。
「中村さん、AV好きらしいですね?」
愛は、いや愛里ひなちゃんは世界を救う。

(つづく)

身支度しながらチャップリンの『ライムライト』を見ていると、
残り30分のいいところで時間が来たので東京に出発することにした。
今日は目黒はクラスカで、インディレコード会社合同の忘年会パーティがあるのだ。
新大阪に着く。やはり年末だからか新幹線は混んでいて、
3人掛の真ん中しか空いておらず、時間もないし、寝るのでいいかと眠っていると、
リクライニングシートが突然倒れた。
窓際の人はレバーが両脇にあるので間違えたのだろう。
戻してもう一度眠ろうとすると、また倒れた。
全く、と起きて見てみると、おじさんは『男性器大図鑑』なる本を読んでいる。
『女性器大図鑑』みたいな医学書があるのはどこかで知っていたが、
それの男版があるとは、という問題でなく、その、つまり、「見ろ」ってことなのか。
このまま眠ると「OK」というサインになってしまいそうで、起きていることにした。
すると次は、極道の世界の日常を切り取った写真集を開き出す。
「拒否するならこうだぞ」ということなのだろうか。
こういう時に限って『100人のおしり写真集』を持ち合わせておらず、
サイン返し出来ない僕は何と馬鹿だと思うも、
しばらくするとまた『男性器~』に落ち着いたので、ひとまずホッとする。
だが、どちらの本にも鉄砲が載っているので、一応目は放せない。

一方、名古屋から乗ってきた左側のお兄さんはレターセットを取り出し、
黙々と、時折思い出すようにニヤニヤと上を向いて考えながら手紙を書いている。
何を書いているのだろうと気になって目の端を落としてみる。
先ほど名古屋ではじめて逢っただろう女性に向けて、
早速、想い出と感謝の気持ちを丁寧な言葉で綴っている。
余程楽しかったのだろう、6枚目に突入しても、まだ終わりそうにない勢いだ。
電車が揺れるたびにチェッと消しゴムを取り出し不機嫌になるが、
それ以外はとても幸せそうだ。いや待てよ、その部分は右のおじさんも共通している。
そうまるでこの新幹線のように、純情も欲情も行き着く先など一緒だし、
と考えないと、真ん中の僕の気持ちの行き場がなくなってしまうので、許して欲しい。
「車内に不審物を~」と言うアナウンスに手を上げなかっただけ、褒めて欲しいくらいだ。
"しかし意味をどう言っても中身は変わらない バラはどこまでいってもバラだ"
そんな『ライムライト』の台詞を思い出す。
まだ静岡か。今回の旅は長くなりそうだ。

(つづく)

小学館きららで連載中の『さんぽ文庫』のイラストと、
デザイン誌『MdN』2月号からはじまるエッセイの第2回を提出し、
昨日はこの度休刊することになったエルマガジンに贈る絵を描きました。

エルマガジンといえば、童貞だった多感な高校から大学くらいの時期、
マニアックな映画やインディーズの音楽情報が載っていて…いや違う、カットカット。
コラ!テープ止めて!!もう一度。テイク2!
エルマガジンといえば、女の子に引っ張りダコの高校から大学くらいの時期、
オススメのデートスポットやラブホテルの情報がたくさん載っていて(これでよし)、
インターネットもなく地方出身の僕は随分とお世話になったものです。
はじめて誌面に載せてもらったのは、イラストレーターのインタビューや展覧会情報ではなく、
97年の夏、当時僕は"ALPHABET(アルファベット)"と名乗って、
一人で音楽活動をしていて、バナナホールではじめてライブをすることになった時、
チケット販売のページにごく小さく載っていて、それでも大きく喜んだ。
それくらいの僕にとっては大事な大事な想いや敬意を詰め込むつもりで、
ペンや絵の具やクレパスやスクリーン・トーンを夜に走らせた。
描く際に色々と調べると、何とエルマガジン様は1977年生まれの31歳。
あれ?僕は早生まれなのでまだ30歳だけど、同いじゃーん!!
ということで、おい!エルマガ(いきなり呼び捨て)!!
メジャーデビュー&ビッグヒットの時のインタビューの仕事がまだ残っているので、
必ず帰って来いよ。僕も待ってる、大阪で。

↑や色々なアーティストの今回エルマガの為に描いた原画、
そして読んで付箋を貼れる全バックナンバーなどなど、
1月18日(日)まで心斎橋digmeout ART&DINERにて展示しているので、
年末やお正月、お食事がてらに是非。

『Lmagazine展』
2008年12月25日(木)~2009年1月18日(日)
digmeout ART&DINER
営業時間:11:00~翌3:00(金&土曜は24時間営業、日曜&12/31は~翌5:00、1/2~4は~23:30) 1/1休
入場料金:無料(イベントは有料)
〒542-0086
大阪府大阪市中央区西心斎橋2丁目9-32 アローホテル B1
TEL:06-6213-1007
[作品展示]ユリコフカワヒロ/SEIGOFUKUDA/堀口貴/makomo/つき山いくよ/田口美早紀/寺田マユミ/寺田めぐみ/滝町昌寛/中村佑介/西祐佳里/大谷リュウジ/田岡和也

そして今日はクラスカのイベント。絵を描き、喋り、うたを歌います。
カジヒデキと堂島孝平に会える!東京の来てくれる皆さんお楽しみに。

待ち合わせより30分早く着いたので駅前のそば屋に入った。
クリスマスだというのに風邪をひいて何処にも行けない彼女を驚かせてやろうと、
プレゼントを持って最寄の駅までやってきた僕は、
興味もなく設置されたテレビを眺めながら親子丼を食べていた。
するとどこからかパチンパチンと爪を切っているような音がするので店の奥を見てみると、
大学生くらいの男がカバンの中から紙袋をたくさん取り出しホッチキスで留めている。
おそらく小さな弟や妹へのプレゼントだろう。
まだ紙袋に入れていない子供用のハンカチや
色鉛筆やレターセットをとても優しい顔で眺めている。
「天ざると、あと…日本酒ってありますか?」
随分と気前のいい注文をするんだなぁと思った。
大学に通いながらバイトをし、はじめて出た給料で買ったプレゼント。
みかん箱を勉強机に兄を待つ兄弟たち。
「ただいま。ほーら今年はサンタさんがトナカイを連れてやってきたぞー」
「ほんとだ、兄ちゃん鼻赤~い!」
「わー、ポケモンの鉛筆だ!あれ、DSは?」
「DSはまた来年、兄ちゃんがサンタさんに頼んどいてやる。」
「…ぼくいらない。それならお母さんが帰ってくるように頼んどいてよ。
「母さんはもう…母さんは…」
「兄ちゃん、…泣いてるの?」
そんな想像をしていたら"親子丼"という言葉が何だか意味深なものに感じてしまい、
全部食べられなかったが、時間も来たので、
彼女へあげるショルダーバッグをコートの腹に隠し、勘定を済ませ店を後にした。
クリスマスだから赤にした。


いつもより早く帰路に着いたので駅前のそば屋に入った。
そう、今日はクリスマスなので、バイトをしている画材屋の店長が早く帰らせてくれたのだ。
「これ持ってけ!」と赤や緑の包装紙やリボンまでくれた。
大学にバイトに忙しく、妹たちへのプレゼントは気の利いた包装紙にも包んでいなかったので、
今日だけ特別に注文した高めの天ざると日本酒を待つ間、
プレゼントを包みなおすことにした。
ふと店内を見渡すと、男が一人目の前にあるどんぶりに箸もつけず、
ひたすら複雑な表情で見つめている。と思いきや、突然ニヤニヤと笑い出し、
横にある紙袋から真新しい赤いショルダーバッグを取り出した。
それを何とコートに隠し、颯爽と店を出てゆく。
あれは何だったんだ。私は考えた。
ひとりぼっちのクリスマス、せめて自分へのプレゼントにと買った赤いバッグ、
空しくなったのか、包装紙を捨てたんだろう。
恥かしくなったのか、腹に隠したんだろう。
可愛そうに。もう会うことはないだろうが、
せめて今日くらい彼にいいことがありますように。


一体何なんだろう。彼からメールで呼び出されて私は駅前に立っていた。
風邪をひいているので仕方なくつけている大きなマスクが可愛くないけど、
突然の事だったので化粧もしていないから丁度いい。
数分後に手ぶらの彼がやぁとやってきて「目をつむって」と言ってきた。
キスでもされるのかと(マスク越しに)恐る恐る目を閉じたが、
次に目を開けた瞬間、真新しいバッグが私の肩からかかっていた。
しかも色は好きな赤。以前ふと言ったことを憶えてくれていたのがとても嬉しい。
それにしてもこんな大きなものを、彼は一体どこに隠していたのだろう。
手品でも使ったとしか考えられない。
仕事があるらしく5分程話してホームまで見送り、家に帰ると、
いつもより早く兄が帰ってきていた。少し酔っ払っているようで上機嫌に
「おかえり、何処行ってたんだ?お前にもプレゼントがあるんだよ。」
と言ってハンカチをくれた。ピンク色で少し子供っぽい柄だったけど、
兄からすれば私はいつまでも子供のままの妹なので、これでいいのだ。
だから彼がいることなんて言えるはずもなく、このカバンをどう説明しようと戸惑う私に、
「あれ、そのカバン…」「え、何!?」「…いや、どこかで見たような。まぁいいか」
助かった。今度、隠す方法を教えてもらおう。


男はいつもそんなもの。
みんなしあわせ。
メリークリスマした。

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