時々、青信号で右左見てきちんと横断歩道を渡っていても、
透明な車にぶっ飛ばされるという想像をしてしまう。
それでぶるっと怖くなって、渡りきるんだけど。

普段の仕事や生活の中で降りかかるヤーな出来事も
たぶんこの事故のようなもので、
たとえ外観がはっきり見える普通の車であったとしても、
タイヤやエンジンは早く人を運ぶ為にあり、
頑丈な素材で出来たボディは中の人を守る為にあって、
本来、歩く人を突き飛ばす為に設計されたものではない。

つまり、そこにこれっぽちの悪意はなくとも
それが誰かに怪我を負わせてしまうことがあるんだなぁ。
困ったことに全てのケースにおいて漫画みたく
わかりやすい角の生えた大魔王がいるなんてことは稀の稀で、
ただ衝撃を残し去って行ったという事実だけがそこに鎮座する。
透明な車だったらなおさらだ。

そんな場合は何も考えず、ただ生きていたことに感謝して、
じっと怪我が治るのを待つのが賢明だ。
また走れるようにまでなったら今度は、
図書館の資料で前が見えない女の子と廊下の角でゴッツンコして、
「眼鏡、眼鏡…」と探す彼女の素顔はとびっきりの美少女という、
いまの流行りと逆行するような、名付けて"逆メガネ女子"との
嬉しい事故があるかもしれない(ない)。

そして逆の立場になった時は、
ふわふわ羽毛で出来た車に乗っていたらいいなぁと
とうとう寒くなってきた朝、
布団から出られずにぼーっと考えていた。