月別アーカイブ / 2006年06月

仕事の関係で『読書』という不慣れなことをするもんだから、
ここ2、3日の間、関西地方の雨が止まない。
昼間の太陽は窓を閉めきっても硝子を貫通して手招きするので、
浮気な僕にはちょうどいいのかもしれない。

BGMはクラシック。
これまた聞き慣れた、聴き慣れない音楽。
これもその仕事の関係で要は歴史的にも有名で、
ある偉大な音楽家MのCDジャケットイラストを描くことに。

ジャンルがどうであれ、作品というのは手紙だと思う。
本人が意識的であっても無意識的であっても、
それは誰かに向けて宛てた紛れもないメッセージ。
その誰かだって、ある人かもしれないし、
まだ見ぬ人かもれないような曖昧なものだけど、
届かない限り書き続ける手紙。

Mの手紙は届いたんだろうか。
そんなことを考えながら耳を傾ける音楽に、
雨の音がそっと寄り添う。
哀しいようでいてとても優しいその関係は、
もはやどちらがBGMなのか良くわからないけど、
こんな雨の日は悪くないと出掛ける主人公の僕だ。


そこでポストに手紙が届く。

昨日は新世界ココルームにて行われた
お友達の草壁さんムヤニーオーナー
ぶっちょん、ぶたお会長が出演した
イベント「ギリ喜利」に行ってきました。
今や関西サブカル界の最重要人物・山田ジャックさん、
永里敦さん、カネミノブさんといったフリーの芸人さんたち、
そして恋愛研究会や赤犬、海抜5000mといった
ミュージシャンまでもが一同に会し、
仕込みなしのぶっつけ本番で大喜利をするというイベント。

前代未聞の豪華面子に会場も超満員。
そして見たこともない程の緊張感の中、
トーナメントは徐々に加熱し、2時間半の大激戦の末、
永里敦さんが優勝。
関西サブカル界の底力を感じました。

帰りはUSEN田中さんとブタオさん、草壁さんと
フェスティバルゲートの前のラーメン屋で会食。
それにしてもそこの餃子、
食べたことないくらい不味かったんだけど、
何かの間違いだと思うので、また行こうと思った。
そのように、人間関係における愛着なんかも、
そんな理不尽で不確かなものだけど、
共通するのは可愛さなんだね。きっと。

そんなことを考えながら動物園前の坂道を自転車で帰る途中、
飼い主を探す不安げな表情ひとつなく、
当たり前の顔をして歩く黒い野良犬とすれ違い、
「きみはえらいね」と思った。
彼は何処に行ったのかな。


草壁さん、ムヤニーオーナー、ぶっちょん、ぶたお会長、
立派でした。おつかれさま。



小沢健二「ある光」って、
「或る光」じゃなくって「在る光」よね、きっと。
少なくとも僕にとってはそうで、
ずっと頭から離れないことがあってそれは、
霧に包まれた向こう側には本当に何もないんだろうかって。
それがずっと解らずに、自分の尻尾を追いかける犬のように
同じところをグルグルと周ってるような気さえするけど、
適当に頷いたり、忘れた振りをすることすら出来ない。

宇宙や深海に行ったことのある人は少ないけど、
TVや写真で見たからという理由だけでそれを信じること。
例えばね、そういうようなことが出来ない部分があるん。

仕事や夢のことに関して言えば、
大学の卒業間近、進路を決める時、
僕は卒業後フリーのイラストレーターになりたいと希望を出した。
「いきなりは無理なので一度、会社に入るべき」
「東京に出なければいけない」
「ポートフォリオを作って、持ち込みしなければいけない」
先生や周りの人はみな口を揃えてそう言ったけど、
「無理」とか「べき」とか言う言葉は、
どうしても信じることが出来なかったので、
全てやらずになることを決めた。

ただ、凄く寂しかったのを良く憶えてる。
同調してくれる友人たちも、
理解はするものの共感して一緒に行動する者はおらず、
いつの間にか一人になってしまった。
周りに人は居るのに一人なんよね。
みんな「がんばって」と笑顔で手を振るだけで、
横で一緒に歩いてはくれなかった。

「みんなそんなもんだよ」
「ほんとにそうかな?」

歩いた先にはボチボチと仲間が見つかった。
小説を書いてる人、音楽を作ってる人、
ラジオを作ってる人、お笑いをやってる人。
ホラ、やっぱり誰か居たじゃん。
何かあったじゃん。
それでもまだまだ歩いたら森があって、
深い緑を抜けると霧が晴れて、
それ自体ぶっ壊してくれるような
誰かが待つ事を僕はまだ信じては少し小走りになる。


慰めてしまわずに。
これは僕が僕に言っている。

人間関係にとって一番大切なのは性格じゃなく、
距離感なんじゃないだろうかと最近良く思う。

例えば僕の友達をグルっと見回してみると、
色々とバラエティに富んだ性格の人たちで、
「自分に合う人って一体どんな人だろう?」
と考えても一向に答えが出ないのは、
人間は多面的な心を持っているからだけど、
共通点がひとつだけあって、それは「内向的」と言うこと。

先日mixi内で、周ってきたバトンを親友の小川くんに廻した所、
僕の印象の欄に以下のような解答が書いてあった。

●第一印象→初めて話掛けたらモロにシカトされ、コイツとは多分二度と話すまいと思った。
●三年経過→PS全盛期の最中、メガドライブを現役でプレイしている等、「自分」というものをしっかり持っていると思った(メガドラが良いかどうかは別として)。

まず同じ事を思っていたことにびっくりしたんだけど、
この3年をかけてジワジワと詰め寄っていく感じ。
つまり事の始めはこの「距離感の詰め方」こそが
キーポイントなんじゃないかとね。
一番最初に接触して、凄く面白いんだけど疲れる人は、
大体、自然と離れて行く。
言い換えればエネルギーの放出量なのかもしれない。
そしてその後は「距離感の取り方」が
その関係を長続きさせるんだと思う。


毎日こんな絶対的ルールばかり考えている臆病な僕だけど、
同じくらい臆病な君とならきっと上手くいくさ。
まるでここに居るみんなみたいにね。
だって君は何だか"ちょうどいい"。

夏はまず手始めに僕の髪を切った。

いつも行っている美容院は家から歩いて1分なのに、
それだけで汗をかくような真昼間、
待合席に腰を下ろしあめちゃん食べて少し待つ。
いつものひとは忙しそうだったので、
いつもと違う男性がハサミを持つことに。

これはインタビュアーに対しても思っていたことだけど、
今まで色んな人に髪を切ってもらってわかった事は、
やはり女性は優しく、男性は攻撃的と言うこと。
接し方や性格の話ではなくエネルギーの話で、
女性の場合、その人の希望:美容師の希望が、
多くても7:3なのに対し、
男性は少なくとも半々くらいで攻めてくる。

つまり「イメチェンしてみませんか?」と言われたんね。

僕はここ10年くらい同じ髪型で変えるのも面倒臭いので、
いつもなら断るところなんだけど、
その人があまりに優しい顔で笑って、
「実は、今度結婚するんですよ」って言ったので、
信じることにしてみた。
ただいきなり変わるのは抵抗があるので、
長いスパンで最終的にグラデーションを描いて変わる方向で、
今回は少しだけ。ね。

どうやら僕の一人自己啓発セミナーも
成功の方向へ向かっているようだ。

人はいきなりは変わらないし、他人のテコでも動かない。
もし変わったように見えたなら、月島さんの言葉を借りると、
「1日で変わった人は1日で戻る」。
なので僕は技術的なことで求められた時以外は、
人にアドバイスなんてしない。
だっていつも人生や性格の事でアドバイスされて思うのは、
「おせっかいな奴だなぁ」だけだもん。
どんなにグウタラに見えても、駄目な奴に見えても、
みんなそれぞれその時を精一杯生きていると思うんね。
それなのに言ってくる奴は、
自分のコンプレックスの裏側をぶつけているか、
逆説的に「自分は出来ている」ということを証明して、
ちょっぴり悦に入りたいだけだ。

ただ10年前の僕が今の僕を見たら羨ましく思うだろう。
いや、不思議な顔をするんだろうな。
いやいや、イラストレーターになれることは
予想の範囲内だったので「あぁ、そう」って言うだろう。
自分の問題だしね。

メンバーを信用して一緒に音楽が出来ている。
メンバーを信用して一緒にラジオが出来ている。
月島さんを信用して一緒に作品を作れている。
つまり、僕のこころの部屋に誰かを招き入れ、
ものを交換出来ること。
そこで思うのは、長い時間と人のこと。
川の底で丸くなる石のようなもの。
それはそれは優しい摩擦だ。


だから昨日と今日で何も変わっちゃいない。
ただ軽くなった僕の髪を見て、
目深に被った帽子の下で君が笑っただけさ。
その瞬間、街中に夏が充満しただけさ。

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