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さる12/12(月)に行われた大阪・心斎橋スタンダードブックストアでのイラストノート No.40~特集"中村佑介の無限"発売記念トークショー』、満員御礼で無事終了しました。まずは平日の夜にも関わらず、お越し下さった皆さま、そしてイラストノート編集部、並びにスタンダードブックストアをはじめとした関係者の皆さま、ほんとうにありがとうございました。予約開始後すぐに、チケットは売り切れてしまったため、来れなかった方もたくさんいらっしゃったのではないかと思います。ですので、今回のブログ記事では、イベントの空気が少しでも伝わるようなレポートを心掛けます。

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イラストノート No.40』表紙

まず会場でお迎えしたのはアジカンに関する原画の山。そう、トークショーの対談相手であるASIAN KUNG-FU GENERATIONのVo/Guitar、後藤正文氏にちなんで、この日のために家の中からかき集めてきました。これまでの原画展示では一部でしたので、ここまで一堂に会したのは初めての事でした。

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実は大きすぎて3枚に分けて描かれた『マジックディスク』や、

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2004年版と、つい先日リリースされた2016年版の2枚のソルファをはじめ、全シングル、アルバムの原画を所狭しと展示しました。それでもスペースの都合上、歌詞カードやコンピレーション盤、DVDなどのアートワークは置けなかったので、それはまたまとめて別の機会に。

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ちなみに撮影自由でしたので、それぞれの大きな画像は、検索をかけたら、どなたかが撮影した写真が引っかかると思います。

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そしてはじまったトークショー。第一部では僕とライターの重藤貴志さんの2人で、イラストノート今号の内容をざと紹介させて頂きました。主には「画集『Blue』から『NOW』を経て、次にどこへ向かうのか?」を軸にした、イラストの描き方、考え方についてのお話。と描くと、難しそうな気がしますが、実際は、重藤さんの徹底した下調べに基づいた司会により、とても風通し良く聴けるパートとなりました。

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さて、実は重藤さんと、この写真も撮って下さった今倉裕博さんは徳島在住。つまり今回のイラストノート40号は、東京(編集)、大阪(取材対象-僕)、徳島(取材)と3県にまたがった遠距離で作られていたのでした。そして早々に30分が過ぎ、いよいよ第2部のスタート。ここでゴッチの登場です。

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彼の着席早々に、恒例のドラム・潔くんの、デビュー前のアー写のヤバい眼つきをイジッたら・・・

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ゴッチから「喋りの技術だけじゃなく、潔の目にズームアップする速度も上がったね!」とお褒めの言葉を頂きました。

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というのも、CDジャケットを通して14年も付き合いがあり、プライベートではちょくちょく会っているものの、こうして皆さんの前で2人揃ってお話しするのは、2011年が最後に実に5年ぶりなんですね。その間にも、僕はソロ(講演会)で腕を磨いていたので、そりゃズームアップも早くなるでしょう(笑)

ま、そんな冗談はさて置いて、ここからは本番。これまでのジャケットを順番に観ながら、当時の互いの表現と、その奥にあった状況を回想してゆきます。ファンの皆様はどの時期から、アジカンの音楽を聴き始めましたか?

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あらためて集めてみると、よくぞこれだけ描きました・・・というか、よくこれだけ同じイラストレーターに描き続けさせてくれたものだなと、アジカンの"ヘン"さにようやく気付きます。というのも、世界中どこを探しても、同じイラストレーターを使い続ける音楽家はいません。そんな前例のないことを、後藤さんをはじめとしたメンバーも、レコード会社も、不思議に思っていなかったのだから(僕だけが思っていた)、その一本気なところこそ、彼らの鳴らす音楽の安心感にもすでに、現れているのだと納得します。

そして、彼らは東京、僕は大阪、こちらも遠距離での制作なのにも関わらず、いつも音源が届くごとに、示し合わせたかのような価値観の同期があることに驚いてきました。それはこれまでも、いろいろな媒体でお話ししてきましたが、特に同年にリリースされたとは思えない、『ワールド ワールド ワールド』から『サーフ ブンガク カマクラ』への、繊細さを極めた内向きの表現から、ラフでエネルギッシュな外向きの表現への変容、先日リリースされた新『ソルファ』での、リメイクに対する考えや表現方法、CDという音楽メディアの捉え方など、驚くほどのタイミングがリンクしているというお話。

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そもそも、イラストというのは自己表現ではなく、中身の音楽や小説を、別の形(1枚のビジュアル)に置き変える翻訳家イタコのような仕事なので、例えばアジカンのを描いている時はメンバー4人に、さだまさしさんの場合は、さださんに頭の操縦席に座ってもらい、右手を動かします。もちろん空想の中で、の話ですが(笑)

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さだまさし『御乱心』&『天晴』/CDジャケット

そのイラストという仕事や考え方については、コチラ↓のインタビューをお読みください。

【中村佑介インタビュー】アジカン新アルバム『ソルファ』ジャケットの難しさ
http://spice.eplus.jp/articles/92620

だから、それは何もテレパシーやスピリチュアルや偶然のような非科学的なものではなく、乗り移った方の癖や人間性が、僕の身体に染み込み、バイオリズムが同期し、時には先回りするという訳ですね。ふと「食べたいんじゃないかな?」と思いプリンを買って家に帰ったら、母親が「ちょうどそれ食べたかったのよ!」と返す如く。ただこうもプリンもヨーグルトもシュークリームも一致してくると、「仕事」や「作品」を超えた、もともと魂のつながっている双子なのではないかと、可笑しくなります。年齢もフォルムも違いますが(笑)

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イラストノート No.40対談コーナーより

また、後藤さんは、ミュージシャンとしてだけではなく、毎回アルバムを作るごとに『これで最後だから』と言ってくる、業界でいうところの"ヤメヤメ詐欺"師としても有名ですが、それくらい4人で続けることのたいへんさと面白さを語ってくれました。そりゃ20年といえば、小学1年生が中高大を卒業し、社会人4年目くらいになる長い時間。例えばその間、友達も移り変わるように、そんなにもずっと同じメンバーでいることなんて、本来は不自然なんですよね。むしろ友達というより、夫婦に近い。4人夫婦。だからこれは実は音楽は関係なく、それ以前のことなのかもしれません。

ですが、関係性が重たくなればなるほど、さっと手を放し逃げることもできますが、それは振り回し続ければそのまま強い遠心力となり、より遠くまで飛ぶハンマー投げの如く、競技場を超え、海の向こうまで飛んでいきます。日本語バンドのはずの彼らの海外での認知度や、そんな成熟した関係性を迎え、あらためて演奏された新しい『ソルファ』を聞いても、それは明らかでしょう。

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ソルファ』(2004年版)と『ソルファ』(2016年版)/初回盤CDジャケット

そこを考えると、僕は夫や妻というより、理解ある愛人といったポジションに思えて仕方ないので、若干複雑にもなりつつも、一言で表すとするなら、「とても幸せ」、そんな14年間をお話ししたトークイベントとなったこと、ここにご報告しておきます。

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最後に、あらためて登壇してくれたゴッチ、ほんとうにどうもありがとう。我々は乙女ではないけど、歩みはまだまだ長く続きそうだね↓。 

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劇場アニメ 夜は短し歩けよ乙女』 2017.4.7公開

監督:湯浅政明 原作:森見登美彦 声優:星野源 脚本:上田誠
キャラクター原案:中村佑介 主題歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION