愛犬・ぽん太、通称ぽんちゃん、柴犬0歳7か月。とは言え、犬は1歳までに成犬になるので、この時期の成長は目覚ましい。毎朝起きると「あれ、大きくなった?」と感じるほどで、実際に大きくなっているのだから驚きだ。

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それは身体の成長の話であるが、心の方も、何も教えなくても、言葉でなくじっと周りを観察して、ぐんぐん成長していく。

一般的に「仔犬=甘えん坊」というイメージがあるが、実際は、我が家に来たばかりの生後2か月~半年くらいのその時期には、甘えてはくれない。僕や妻を他者として認識しているため、「何かいじわるされないか?」と常に緊張状態にあり、寝ていても近づいたらすぐ起きて、一定の距離を保つように離れる。また、「どこまで許されるのか?」とことあるごとに吠えたり噛みついたりと、我々を常に疑いの目でうかがっていた。

一番イメージと違ったのは、頭を撫でられるのが嫌いなこと。あのちんまい頭を見るとついつい手を伸ばしてしまうものだが、すると「ウ”~!」とうなり声を上げながら、乳歯でその手に噛みつこうとする。犬について書かれている本に「警戒心を解くために、まず手を匂わせてから」や、「攻撃ではないサインのため、頭上からではなく下から回り込むように手を伸ばす」など試すものの、僕の手はいつも傷だらけだった。

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それが変わってきたのは、ちょうど生後半年くらい経った頃。日中、家の中を歩くと、ちょっかいをかけることなく、とことこと後ろをついてきたり、夜も、これまで一定の距離を取っていたはずが、ケージではなく、僕のベッドのすぐ近くで自然と眠るようになり、こちらが動いても、ビクッ!と伺うことはなくなった。

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そして一番大きな違いは、ある日突然、頭を撫でさせてくれたことだ。これには驚いた。あんなに嫌がっていて、「こういう性格なのかな」ともう諦めていたのに、今では彼の方から耳を倒し、おでこを差し出してくるほど。半年を過ぎ、我々との生活にも慣れ、「あ、この人たちはイジワルしない人だ」と、ようやく不信感が信頼へと変わったのだろう。「あぁ、これこれ。これが夢にまで見た愛犬との甘い生活だよ~」と目尻が下がるのも束の間、困ったことに気づく。食事を取らなくなったのだ。

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と言っても、絶食するわけではなく、正確には"食事を用意しても、3時間くらいかけてダラダラと食べる"というもの。「あちらを立てればこちらが立たず」とはよく言ったもので、これも信頼が起因するものだからだ。というのも、以前は不信感から「食べ物を横取りされる」や「ここで食べなければいつもらえるかわからない」と、食事を出すと、飲み込むようにガツガツと平らげていたのが、「またいつでもくれる」と安心し、すぐに食べなくなるのだ。

それの何が困るかというと、子供と母親のように「食器洗い済ませたいから」という理由ではなく、散歩に行く時間が不規則になるからだ。身体は大きくなったといえ、やはり機能はまだ子供なので、食事と運動は、一定の間隔を空けないと、消化不良により体調不良を起こす。それなのに散歩は決まった時間に行きたがる。そして決まった時間の直前までダラダラと食べている。

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この経験を通し、一見ポジティブとネガティブなイメージのある"信頼感"と"甘え"は、コインの裏表のように、同時に起こりやすいものだということがわかった。甘えてほしかったのは、こちらが思う都合の良い部分だけだったことを反省した。そして自分もまた、生活において、また仕事において、信頼した人たちに対し心当たりがあったのだ。これは痛いところをつかれた。このまま自分では気付けぬ甘えを加速させては、ぽん太も体調不良に、僕も周りに人がいなくなってしまうだろう。それは困る。よって、彼のけじめあるしつけを見直すとともに、僕もまた自制しなくてはならないと誓った。今回の記事の文章がこれまでの"ですます調"から一転し、固いイメージに感じられたのは、そのような理由"だ"。

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