前述したように、自分のイラストとは縁遠いと思っていた「笑い」という要素で、もうひとつ道しるべとなった作品は謎解きはディナーのあとでです。

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『謎解きはディナーのあとで』単行本表紙

特に1巻の表紙では下にいる風祭警部の立振る舞いや表情など、このコメディ要素のある、キャラクター、また文章を通して、東川篤哉さんからは"肩の力を抜く"ということを学ばせて頂きました。

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『謎解きはディナーのあとで 3』挿絵より

それまでは"肩の力を抜く"イコール"不真面目"だと思い込み、仕事ではやってはいけないことだと思っていました。ですが、『謎解きはディナーのあとで』の毒舌やズッコケ要素は、いたってエンタテインメント性に富んでおり、ストーリーにおいても、なくてはならない要素となっているのが、ベストセラーとなった1つの要因に思います。ギャグ漫画家がほんとうに不真面目では勤まらないように。ですので、この「謎解き~」、並びに東川さんのおかげで、その後2010年頃からは、他のイラスト作品においても"真面目に楽しむ"ということが、絵の中でも出来るようになってきたのです。1冊目の画集Blueと2冊目のNOWはそこが最も大きな違いだと思います。
 
さて、今回ご紹介するコラボも、それが実った1作となりました。何重の意味でも。

こち亀

この度、ことこちら葛飾区亀有公園前派出所とコラボレーションさせて頂きました。佐久間さんに続き、あの"こち亀"とコラボできるなんて、過去の僕に言っても「またまた~笑」と信じないことでしょう。

これは9/17に刊行されるVS.こち亀という書籍の扉絵で、「おそ松さん」、「魔術師オーフェン」、「チア男子」、「ガールズ&パンツァー」、「ハルチカ」、そして「謎解きはディナーのあとで」とのコラボ小説6編が収録されています。

VS.こち亀特集ページ|http://j-books.shueisha.co.jp/pickup/vs_kochikame/

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そう、はじめにお見せした絵でもおわかり頂けるように、『こち亀』とのコラボであると同時に、『謎解き』の続編でもあるのですね。その名も「謎解きは葛飾区亀有公園の前で」(笑)。だから扉絵も徹底的にパロディにしました。

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パロディになっているだけでなく、もちろん今作の内容も存分に加味しているのですが、この絵を描いていて気付いたのが、「こち亀」の特に主役3名は、ほぼ色のみでキャラクター付けされていること。例えばドラゴンボールの孫悟空や、ドラえもんのスネ夫などと比べると、これらのキャラクターのシルエットにはほぼ特徴がなく、みんな普通のおじさん、おねえさん、おにいさんなんですよね。だから線画を描いている時は、何度描き直しても、「あんまり似てないかもしれない。大丈夫かなぁ…」と不安でしたが、服を青く塗ったら両さん、黄色なら中川、ピンクならきちんと麗子になった時に「スゲー。。。」とため息を漏らしました。

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『謎解きは葛飾区亀有公園の前で』|扉絵の下書き(左)と線画(右)

キャラクターとしては色で目立たせ、実際はどこにでもいそうなシルエット、だからこそ誰もが感情移入できて、「両津勘吉」ではなく「両"さん"」と親しみを持って、長年愛され続けているのだと実感しました。

内容に関しても、「一言でいえばこち亀ってどんな作品?」と聞かれても、「ギャグ漫画」「楽しい作品」などとジャンルは答えられても、あまりに長い歴史と、ギャグもあれば泣ける人情ものもあり、文科系もあれば体育会系もあり、新しさもあれば懐かしさもあるなど、広すぎるレパートリーに具体的な解答を出来る方はおそらくあまりいないのではないかと思われます。

そんな懐の広い作品だからこそ、今回は扉絵2点と挿絵3点で大いに遊ばせて頂いた次第です。

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『謎解きは葛飾区亀有公園の前で』|挿絵「両津巡査長と風祭警部」

もちろん執筆されたのは、東川篤哉さんご自身なので、最後に出た3巻から数えると、4年ぶりの新作ということになります。相変わらず、わかりやすく、楽しく、それでいて驚くような仕掛けが今回も施されていますので、こち亀ファンの方も、謎解きファンの方も、他コラボ5作のファンの方も、読書の秋のお供として、9/17に書店でお会いできれば幸いです。(9/5発売の週刊少年ジャンプで試し読みも掲載
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以上、20周年佐久間一行さんと、40周年秋本治先生という大きな大きな懐の上で、僕の絵が笑いに触れあうことができたというお話でした。ほんとうにありがとうございます。そしてあらためておめでとうございます。