月別アーカイブ / 2020年06月

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超えて往(ゆ)け

頂点を極めれば眺望が変わる

天に手を伸ばし

地に足を付け

人に心を委ね

実直に積み上げた至誠は

不二の価値を宿し

やがて人類の大志となる



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強烈な修練を積み重ねることができる人には、ある特徴がある。

「これは私のお役目なのです」

「私がいただいたこの力は、私だけのものではないので」

「できるできないではなく、この使命を全うするのみ」

強い意思だけではこうは言えない。
意思の後ろに何かあるのだ。


おそらくそれは自分だけのものではない、

「誰かの存在」

があるからこそ耐えられる。



例えば、ある外国人力士の物語。


遠く離れた日本へ相撲を取りにいくことが決まった。

少年の体は他の人に比べて小さく、
決して恵まれた体型ではない。


それでも長男として、
家の家計を助けるため、出発する事になる。


母はしかし、長男が出ていくというのに、
いつも通り家の仕事を淡々とこなし、
息子に対し、いつもと変わらない態度でいる。


いよいよ別れの朝、母は言う。


「さあ行っておいで。お前の強さを見せておいで。
お前のすごいところは、絶対に諦めないところだ。
どんなに大きな相手でも静かに闘志を燃やし、
必ず倒す。だからいいかい。
苦しくても泣いたらだめだよ。お前は強くなる。
強くなってから帰っておいで。」


息子は涙をこらえてうなずく。



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駅に見送る家族、息子は荷物を持ってホームから汽車に乗り込む。

父も弟妹たちも、涙を見せすすり泣いている。


母だけが笑っている。


「お母さん。僕は、強くなって帰ってきます。約束です。」


そんな思いで母を見る。


母は、


「そう。その心。それを忘れるんじゃないよ。」


と笑顔で返す。



発車のベルが鳴り響き、動き出す。



名残惜しそうに手を振っている父。
笑顔の母は、ゆっくりと頷いている。
弟は兄を追いかけ走り出す。
それを見て妹もつんのめりながら走る。

レールが左に曲がり
駅の建物で皆が見えなくなるかならないか、のその一瞬。

母が動いた。それまで固くなって動かず、
笑顔だけを見せていた母が顔を歪ませた。

耐えきることができなかった。


顔をくしゃくしゃにして父の肩に顔を埋めたのだ。

口がへの字に曲がり、まゆが下がり、
目からは大粒の涙がこぼれ落ち、
大きな声で息子の名前を何度も叫んだ。
それを隠すために父の肩へ顔を押し付けたその姿。


息子の目に焼き付いた。


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「お母さん!!お母さん!!僕は必ず強くなって帰るから!泣かないで。泣かないで。」


震える少年の肩には、そこで初めて何かが宿ることになる。


母の言葉を胸に抱き、母の崩れた泣き顔を思い出し、
どんなに辛くとも母の笑顔を再び見るまでは、

絶対に諦めない。

強くなって郷里に帰る。負けるもんか。


涙をこらえ、眉を上げ、真一文字の唇を噛み締め、
両手に力を入れ、自分の腿を打ち付け、
心の痛みよりも強い痛みを自ら起こし、
その場を凌ぐ。

母の言葉をなんども繰り返し思い出し、
自分の魂にまで落とし込む。



やがて心が強くなる。



心が強くなると、稽古の集中力も上がり、
体づくりのメニューもストイックにできるようになり、

何より諦めることがなくなる。

技の精度も上がり、先輩力士に立ち向かう場数が増え、
経験値も上がり、周りからもその相撲への情熱が認められ、
自分も強さを意識し、ますます強靭な身体を整えていく。

そしていつか、弟子を育てることができるほどの人格者となっていく。



最後は母との約束が果たされ、
郷里の誉となる。


頂点を極める人は、

人の心に寄り添うことができる共感力。

人の心を許すことのできる包容力。

人の心を燃えさせることのできる指導力。

人の心を動かすことのできる統率力。

これらの力を満遍なく持ち、
適宜、臨機応変自由に発揮できる。


大切な人の思いを受け取り、
それを力に変えて自らを律して動くことができるから強くなれる。

上わついた心をはねのけ、地に足をつけた平静な生活と、
やり切るまでは満足せず、精進を続けることで得られる結果は
誰も見たことのない景色を眺めることができる。


誰の為にここを耐え抜くか。

誰のおかげでここに居られるか。

誰を喜ばせたいか。

誰と一緒に笑い合いたいか。


その答えを探し、気高い心で実践でき得れば、

まだ見ぬ頂へと自らをいざなえる。



作品詳細


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※陶墨画の紹介と詩の解説

ここでご紹介する「陶墨画」は、西元祐貴の墨絵の世界観と
陶芸をコラボレーションさせた西元のオリジナルアートです。 
全ての作品には、世界観を表した詩が付属します。
作品と詩を、一点ずつ解説付きでご紹介しております。
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鸞鳥の背に乗り

目指す天道を往け

快適を捨て

潤沢を屠り

渇きの極地へ向かえ

水を欲せば出てくる場所に居続けては

水のありがたみも生まれず

人の援けがある場所に居続けては

人への感謝も薄れゆく

孤独にならずんば

見えぬものがある

刻下(こっか)旅立ちを奉祝す




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鳳凰が老いると鸞鳥になるという。


鳳凰は、世の中の矛盾を問い、正義を喜び、

燦めくようなその姿で人々を畏怖させ、

吉兆を呼び、凶兆を退ける。



鸞鳥となれば、若き日々の血潮のたぎりも収まり、

心は大海の波のごとくゆったりとうねり、

動かぬ身体ゆえに精神は研ぎ澄まされ観察眼鋭く、

人の礼、義、信、仁を動力に変えて飛ぶ。



礼とは、

人への尊敬。


敬って畏まることで、相手の心は開き、
自分だけでは知り得ない叡智を授かる。



義とは、

裏切らぬ心。


嘘をつかず、決めた忠誠は覆さない。
そして必ず、相手から受けた恩は返す。



信とは、

謙虚に傾聴する姿勢。


人の言うことに共感し、落とし込み、実践する。
経験したことは、真実となり一生の宝となる。
謙虚に、素直に動いたからこそ得られる。



仁とは、

人々への愛情。


相手の成功を我が事のように喜び、
相手の成長を心から讃え誉め、
相手の苦難には我が身を粉にして援け、
相手の病苦にはあらゆる手段で根治を目指す。
人を救うことで、我が身も救われていく。




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乱れた世に現れたる鸞鳥の背上に乗り、
急がず、慌てず、一歩一歩着実に進む時。



長旅の準備を万全に、


自らをいたわりながら、


人を愛しながら、
 

死に行く覚悟を抱きながら、


孤独の闇を感じながら、


面倒なことも嫌なことも受け入れながら翔び、


世の中の痛みを呑み込み、


弱者への差別を憎み、


痩せ細った羽を広げ、人々の近くまで降り立ち、


人の目の中に瑞光を授け、疫病を雲散させる。



今こそ、

天道に届くほどの祈りを捧げよう。

やがてそれは反射し、増幅し、地球全体に放射される。


世界をつなぐ空と海の流れが、

それを隅々まで行き渡らせるだろう。


作品詳細


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※陶墨画の紹介と詩の解説

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陶芸をコラボレーションさせた西元のオリジナルアートです。 
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『瀑布龍形(ばくふりゅうぎょう)』


古(いにしへ)から変わることなく流れ出る

飛泉(ひせん)より落下する

雫の勢いに圧(お)され

龍形が出(い)でたる様(さま)に人は

畏怖し歓喜し共感す

止めどなく流るゝ水の流れは

人々の生活を助け

森を潤し 数多の生物たちを歓ばせ

やがてまた循環し戻っていく

その粋な地球の賜物を

惜しみなく受け取り

穢すことなく使い

違う形で惜しみなく還すこと

それが我々の宿命なり




<解説>-------------------------------
宿命とは、生まれる前から決まっている人間として必ずやり遂げなくてはならないもの。

であるとするならば、生かされているこの環境に対し、

自分なりに何かできることを考え、

それに伴って動き、

すぐに結果を出すだけでなく、

永続的に続けられるものを探し出し、

やり続けることで遂げられるものかもしれない。


人はそれぞれ、得手不得手がある。

できないことを無理にしようと思わなくていい。


生きている中で、何かしらの出会いがある。

その出会いが、人を成長させてくれる。


小川の水のように、少しずつ経験値を手渡してくれる相手もあれば、

まるで大きな滝のように、一気にドバドバー!と手渡してくれる強者もある。

どちらも、量は同じだ。


自分の許容量以上のものは貰えないし、そもそも入ってこない。


成長すれば、入っていくようにはなるが、今の段階では入る分だけ。

それでも、その経験値はかけがえがないものになる。


▼LIVE配信ダイジェスト


<ライブペイント配信をご視聴いただいた皆様へ>
         陶墨画ギャラリー館長 鈴木幸一

今回の挑戦は、生ライブ配信だった。

陶墨画ギャラリーでのライブペイントを
Youtube生配信する。

我々にとっては、挑戦だった。
西元祐貴のライブペイントをたくさんの方に見ていただき、
コロナ騒動で疲れた心を癒して差し上げたい。


という一心で企画し、練り上げ、準備し、敢行した。


もちろん、終わってみての反省点も多々ある。


しかし、絵を描く西元本人の熱い気持ちと、
スタッフたちの熱い思いが融合し、一つの映像ができたことには間違いがない。

見所は二つある。


生配信でしか伝えられない緊張感。

西元がこの絵に込めた熱気。


この二つを感じていただければこんなに嬉しいことはない。


裏側で身を粉にして働き、動いてくれた若き獅子たちと、
それを支えた会社の仲間たちの心遣いと、

それに心底感謝しながら、
その気持ちに応えようと全力を出し切った西元祐貴の姿を

その目に焼き付けていただきたく思う。

そして、ここに紹介させていただくことをお許しいただきたい。

このブログを読んでくださっている皆様には感謝しかない。

この場を借りて、お礼申し上げます。



西元祐貴の人となり、絵の躍動感、その絵の中にある力強いメッセージ。
 
それらを愛してくださって、皆様に心からお礼を申し上げます。
 
ありがとうございます。
 
今回のコロナで、失った機会や出会いなど、取り戻すことのできない時間が流れ、一同、苦しみ抜きました。
 
今後、活動するための知恵を絞りながら、これをバネにして関係者全員で初心を忘れず、表現し続けて参る覚悟でおります。
 
皆様の応援が、私たちの励みになります。何卒、西元祐貴に引き続きご注目ください。
そして、彼の成長を一緒に楽しんで、一緒に育んでいきましょう。
 
よろしくお願い申し上げます。

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