この記事の内容は、エンタメ性に欠けるので
知りたくない/見たくないって人は見ないで欲しい。
ただ、個人的には興行における、とても大事な話だと思っている。
アーティストの多くは、こういうことは口にしないだろう。
なぜなら、この問題に直面する機会が多いのは裏方のスタッフであって、
表の連中の多く(すべてではない)が知る由のない部分でもあるからだ。
ただ自分は、インディーズ活動を長年貫いてきた者として、
何度も同じ思いを経験したことがあり、
その中でも特に今回は、自分が全てのデータを目にすることになったが為に
強く思ったことだからこそ、あえて記そうと思う。
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== 以下、本文 ==
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昨日、Twitterでもいろいろ書いたのだけど、
いくつも投稿するのもアレなんで、ブログにまとめて書いてしまおうと思います。
一応、昨日のことをザックリとまとめると
・横浜/大阪公演の入金〆切りが明日(ようは今日)
・なのに当選者の着金率が非常に悪い
・特に横浜は悪く、61%しか入金されていない(ザックリ言えば10人に4人は入金していない)
・予約がバーストしているので、重複申し込みをしたい心理が働くのはわかる
・だが、それによって落選者が出ているのも事実である
・かつ、公演に対する事前のプランニングに大幅な悪影響を及ぼす
・入金システムを変更するのは、今回のプランにおける費用対効果的にできない
・人力で(特に今回は自力で)すべての顧客データを入力しているので、こういう結果は非常に悲しい
という話をした。
例えば、それに対して
「じゃあ適正キャパでやれよ」
という意見が出るのもわからなくもないのだが、
適正キャパって何なんだろうか、と俺は思う。
例えば、Waiveで言えばどこなの?
今回の申し込み数から想定して、東京なら国際フォーラムとか両国国技館とか?
そんなバンドじゃなかったと記憶しているんだが、知らん間にそうなってたんならスマン。
ただ、もしその辺りの規模の会場を押さえて、入金率が悪かったら、それこそ俺ら借金まみれやねんけど(笑)
少なくとも、大きく規模のズレた会場を選定したつもりはなかったんだけどな?。
実際、もう1規模大きい会場を狙ってはいたんだけど、
このご時世、自分たちの使いたい会場を押さえるのって本当に難しいことなので、これが最善の選択だったと、今でも俺は思っている。
これに関しては難しいラインなので、善悪を問う気はないのだけど、一応ね。
さて、前置きというか何というかが長くなってしまったけれど、
面倒な話はせず直球で書いていく。
本日、横浜/大阪の2公演における先行受付の入金を〆切った。
最終的な着金率は以下のとおり。
▼9月17日・横浜ベイホール......73.3%
▼10月1日・大阪AKASO......80.4%
これを見て、皆さんがどう思うのかはわからないが、
実際のところ、大阪は悪くない数字である。
(俺の当初の予想も80%?85%だった)
それでも、仮に1000人の当選だとしたら200人が入金していないことになるわけだ。
あえて金で説明するなら、『200人×6500円=130万円』である。
130万円分、予算に変更が生じるってのは大きい。
一応話しておくと、4月3日のEXシアターの一次先行の着金率は、77.4%だった。
3公演ともに言えることだけど、一次先行にすべてのチケットを出すことは無いので、
この用意分を全て売ったところで一般発売にはチケットは用意されるし、
場合によっては二次先行なども行われるわけだけれど、
仮に1500キャパの会場で、一次先行に1000枚を用意し77.4%の着金だった場合、
残り500枚で完売だったはずの公演が、726枚残っていることになってしまう。
わかりやすく言えば『3分の2捌けていたはずの状況が、約半分になってしまった』ということだ。
こう言えば、運営側のプランが変わってくるのも何となく想像つくのでは?
また、さらにわかりやすく言うなら、上記の236枚×6500円は約153万円になる。
その入金がしっかりあれば、会場レンタル料をそこから払ってしまうことができる場合も少なくない数字なので、
逆に言えば入金がなかったことによって、売上から同額前後の会場費を先行して運営が負担することになる。
公演を行う上で、先行負担していくものが多々ある以上(たとえば、衣装を買うとかそういうのもそう)、
先行販売における着金率は、運営やアーティストの「その公演におけるイメージの実現度」に大きく影響するし、
場合によっては人生を左右してしまう可能性もあると言って過言ではない。
こうやって金の話とかをすると夢がないとか、守銭奴だみたいなことを言われたりもするが、
夢をタダで作れると思わないでほしい。
勿論、金で夢を作ってるワケじゃないよ?
アーティストが夢のある空間やら何やらを作っているのは紛れも無い事実だけれど、
俺も含めて皆が人間なので、生きていかなきゃ何も創り出せない。
そして、それはアーティストを支えるスタッフ全員にも当然のように言えることなので、
その1人1人の最大のポテンシャルを引き出していくことや、
上記と同じことを言うが「イメージの実現度」を上げていくには、やはりその人たちの時間と協力を買うことが必須だ。
ちょっと違った角度から見ると、
今回の公演でいう「6500円」という金額は皆に平等なものだ。
(明日から一般発売されるEXの2階は7000円です。よろしく(笑))
この「1枚・6500円」に対しても、できるだけ平等なエンタメが降り注いでほしいと願っている。
もちろん、これは本当に難しいことなのはわかっているが。
でも、その各6500円に対し、できる限りでの最高のパフォーマンスを
ステージ上だけでない至るところに提供するには、
本来の「着金率100%」を求めるべきだと俺は思う。
勿論その場合、一部は利益として融けてしまうのだけど(笑)
でも、それだって本当はすごく大事なことだと思うんだよね。
(※ここ追記しておくか......。上記にあるとおり、最初から80?85%目論みでプロジェクトは組んでいる。
だからこそ100%になれば「一部は利益になる」と書いているわけだが、
今回の問題点として濃いのは「予約数としては完売している」/「落選者もいる」ことによるものなので、
試算段階で100%じゃないと回らないという話をしているわけではない。ここの誤解が多い印象を受けたので、3/5の13時に追記)
何が言いたいかというと、
入金者は入金していない無責任な人(やむなき理由ができた人は仕方ないけど)にムカついていいと思うし、
重複当選して、一部の入金しかしていない人は、
『自分が参加する公演における我々の最高のパフォーマンスを、自ら邪魔している可能性』を自覚してほしい。
世の中における、ほとんどの『落選』が生じるショーにおいて、
「観たい!」と思ってくれる気持ちは、アーティストにとっても喜ばしいことだし、
何にも代え難い愛しい感情の1つだと思っているけれど、
我々の思う「1人でも多くの人に観て欲しい」「観たい人全員に本当は観てほしい」と思う気持ちだって
?偽りのない感情であることを理解していただきたい。
売り切れまで「あと1枚」みたいな公演を常にできれば最高なんだろうけれど、
ライブってのは日時場所を先に決めないとダメな以上、
そんなのって奇跡の確率でしか起き得ないからさ。
俺が今回、あまりにも内側の部分に、いつも以上に関わり過ぎているせいで
こんな赤裸々な話をすることになってしまって、
果たして言っていいことなのか、コレ!? と、ここまで書いておきながらも思うけれど(笑)
でも、自分のためだけじゃなく、すべての興行の為に理解して欲しい。
また善徳がワガママなことを言っている、と思う人もいるかもだが、
発信者側として、こういうワガママぐらい言わせてもらいたい。
「エンタメなら綺麗事だけ言ってろ」ってのは、あまり理解できないからね、俺は。
ショーを作るのはアーティストと、その周りの人間だけど、
観る側が無責任だと成り立たない。
楽しむ姿勢が、そのエンタメの最後のピースになり得るし、
アーティストにとってのエネルギーの礎がソコになると、俺は思う。