高校の先輩で、事あるごとにあっちこっちに旅行して旨いもん食って、を年中繰り返す人がいる。
彼はこの際「逃げる!」という言葉を使う。
ずっと、はぁ、ええ御身分でんなぁ、としかめっ面して見ていたが、最近彼の気持ちが解ってきた。

働いていたら、いや働かずとも、同じ場所にいること自体が苦痛になるのだ。

僕はこれを「東京病」と呼んでいたのだが、いやこれは東京に限らないのかも知れない。
歳を取り、特に自由業的な、ルーティンな作業ではない仕事をしていると、脳味噌がすぐオーバーヒートしてしまい、危険なのだ。

最近それが身体のあちこちに悪影響を与えて、鍼にまで通うようになってしまったが、一番いいのは場所・環境を変えること。
これに尽きるのだ。
場所が変わらないと頭がシャットダウンされない。まさに気分転換が必要なのだ。

時間もお金も余裕はないのだが、なんとかしたい。
本当に働けなくなっている。

若い頃はみんなアニメで「人間」を描こう、と躍起になっていた。
どうすれば人間っぽく見えるのか?
どうすれば自分の絵に生命や感情が宿るのか?

『ハルヒ』辺りがそのピークだったと思う。
もうその頃には、言わなくてもみんな率先して思いの丈を原画用紙にぶつけていた。

みんなどこへやってしまったのだろう?あの時の気持ち。
なんかメンヘラキチガイばかり描くようになっちまった。
そんなもの描いて芸術家ぶってるのは、実に陳腐だ。みっともない。
もうこれ以上観る気にもなれない。


『WUG』ではどうしても作画に反映できなくて歯痒い思いをして、『薄暮』でリターンマッチというか、もう一度チャレンジしている。
何も人間の複雑さを描く必要はない。笑ったり泣いたり、キュンとしたり、誰もが味わう感覚を、絵に起こせばいいのだ。

でも今のアニメーターは、なかなかそういう絵が描けない。
感じることができてないのだろう。

「テクニックじゃないんだ、感情なんだ!まず感じてよ!あなたが嬉しかったり悲しかったりしなきゃ、何も出てこないんだよ!」
口酸っぱくそう言うのだが、みんな手癖でこなすことに慣れきってしまって、なかなか直らない。
困ったもんだ・・・。


『薄暮』では原点回帰、そういうところを丁寧にやりたい。
同時にパターンでしか描けなくなったアニメーターを、なんとか鍛えあげたい。

僕が提唱している「アイドル6年説」が(身内でも)変なように伝わっているようで、「山本さんはアイドルは6年で終わるって言ってたじゃない!」とか言われるのだが、そんなことは言ってない。

そこは誤解ないようお願いしたい。

みんな、適当なこと言わないように!


で、思い出したのが、5年で解散し、6年に「1年足らなかった」ピンク・レディー。
既にこのブログでも触れているのだが、調べてみるとなんと彼女達はその後、5回も再結成している。
なんかもう再結成にも飽きたらしく、どうやら今も稼働状態になっているらしい。

やっぱり不本意な解散に追いやられたので、完全燃焼し切れなかったのだろう。
僕はそういう在り方、なくはないと思う。


何が言いたいかって?まぁ、そういう選択肢もあるよね、ってこと。

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