豚が料理されたのは国策だとか、豚に比べれば似たような他の大手が罰金で済んでるのはおかしいとかいう議論がいっぱいあるらしく、にわかに今日取材が一杯来たので、ちょっとだけ触れておくよ。ここに書いているのは私の個人的な見解であって、組織的な誰かとか何かを代表して何とかって話じゃ当然ないのだ。


 結論を言えば、他にも豚のような犯罪は大量にあるけど、全部を摘発・検挙して数珠繋ぎに投獄なんて真似は事実上不可能だし、摘発のためのコストと社会的リスクは下のように最適部分でクロスする必要がある以上、どこをどう摘発するかは捜査当局の恣意的な選別の結果にならざるを得ない、ってことなんだよね。


 そういう意味では、法務省や警察庁に限らず、麻取だって公安だって告発や摘発の対象は選ぶという点で、すべて国策ということになる。例えば、横に豚とミキティとダーク欽ちゃんが並んでてどういう順番で誰を摘発して誰を摘発しないか、というのは、材料がどれだけ集まっているかに加えて、引っ張った後、公判を維持できるんだろうか、とか、株価やら政権やら他への影響は、と考えて、まあこのあたりにしておこうか、という綱引きの結果、お前らやっちまえということでゴーになるんだということぐらいは分かっていると思う。


Buta080725


 豚の場合は、豚だから逮捕、というだけでなく、豚だから有罪、しかも執行猶予もつかねえ、という決着になったのは、みんな意外だったと思うんだよね。そもそも論で言うなら、あれは本当に有罪に持ち込めるんだろうか、と周辺もそわそわするぐらい微妙な感じだったと思うんだが、蓋を開けてみると満額回答だったというのは驚きだ。判決文にもいろいろ書いてあったけど、まあそういうことなんだろうと思う。舞い上がって、社会に対する挑戦をしちゃったので、馬鹿であるがゆえに執行猶予がつかず、という。


 もちろん結果論であって、進行途上からすれば微妙な話ではあったけれども、豚側が法廷で「何も知らされていなかった」無能経営者主張を繰り返し、馬鹿でーすというのをやったのは、最終的には逆効果もいいところだったのかもしれない。こんな馬鹿に世間は踊らされたのかよおい、ちょっと符ハネしておくか、といった心境なのかも知れぬ。知らんが。


 個人的には、オウム真理教を裁いたのと同じ理屈だろうと思う。人も死んでないし、テロのような犯罪組織では当然ないけれども、煽動を行い社会の秩序を乱す思想犯に対する裁判と見るほうが、単純な粉飾決算による証券詐欺と考えるより合理的なんじゃないかなあ。


 そういう意味では、拝金主義そのものはともかく、豚が金があれば何でも買える的な言動を独特なキャラクターで吹聴した風潮そのものに歯止めをどうかけるのか、国として、みたいなところはあったであろうし、悪く言えば目立ったから摘発だし、政治に手をかけようとしたから危険視されたというのはまあ分からんでもない。


 そのうえで、豚よりもはるかに悪質だし、被害額も大きい某大手証券のアレとか、某銀行のナニとかはなぜ摘発されないのかという話になるだろうが、これには二つ解があって、第一に、当時ブイブイ言わせてたこいつらはもうとっくに社会的に死んだことになっているし、第二に、わざわざ告発して起訴して法廷転がして判決待つよりも、押し入って黙らせて土下座させて二度と逆らわないようにさせたほうが安く上がるというのはある。ましてや、上記グラフがクロスしているところにあるようなボーダーラインの連中は、見逃されているのではなくて選別された結果、それほど害がないとして後回しにされているに過ぎない場合のほうが圧倒的に多かろう。だって本当に有罪になるかどうかは、外部からは誰にも分からないんだもの。


 摘発できる数なんて限りはあるのだから、面倒くさくて悪い奴から順番に摘発していったのではコストがかかりすぎるというのは、考えのうちにあるんじゃないだろうか。もちろん摘発の難易度というか、尻尾の出ている出てないという要素も圧倒的に大きいとは思うけど。


 某銀行と某証券と豚、誰か一人を逮捕しろという話になったら、みんな豚を逮捕するんだよ。残りはマズいことやったと悟って、どうにか逃れようと高い銭使ってヤメ検雇ったりリスクコンサルタントを通じて回避しようとする、その時点でもうそいつらはまともでないのだから、まともな商売人は近づかない。それ以上、悪いことをしようと思ったら、本当にその方面に逝くしかない。動きは止まる。そういう機微を知らずに最後まで突っ張った奴は逮捕されるということなんだろうなあ。それが裁判になって、有罪になるかどうかは知らん。でも一度パクられた奴がうろうろしている企業やファンドとまともに付き合う大手企業はないだろうし、それもひとつの制裁ではないだろうか。


 まあ、どうでもいいんだけどね。