各所で話題になっていながら、何となく慌しくて目を通していなかったエントリーを読んだ。


http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070317/p1


 前向きに、未来を考え、何かを作り上げる有意義で建設的な人生を送る、もしくは送るときっと楽しいに違いないと考える人たちにとって、梅田氏の一連のエントリーは励みになるだろうし、心に響くものだろうと思う。びっくりするほど性善説である。梅田氏の強い持ち味のひとつだなと。


 その下に続く、賛同コメントや同感エントリーの列が羊の群れのように続く。まことに結構なことである。決して「それはどこのサンマーク出版ですか」とか「船井幸雄もそう言ってました」とか言ってはならない。どちらかというとネガティブな反応を引き出しがちな日本のネット社会に健全な警鐘を鳴らしたものだと理解するほうが正しいし、そう受け止めたときいろんな思いが去来するわけである。


 個人的に気になったのは「『ある対象の悪いところを探す能力』を持った人が、日本社会では幅を利かせすぎている」とされる点だ。日本社会の悪いところを探し出した梅田氏の形容矛盾が感じ取れるが、それ以上に欧米社会も負けず劣らずろくでもない状況になってるんじゃないの、と思えるあたりかしら。自己評価が低いのはいけないことだ、というのは分からないでもないけれど、己を殺しプロに徹する性格の人もいるので、一般化するのは大変困難な部類の内容だなあと。


 直感を頼りつつも直感を信じない私としては、あまりきちんと検証せずに直感で動いて失敗してしまったとき、なぜ失敗に至ったかを検証できない手法は採るべきではない、という点で、優れた直感と妥当な計画性とでバランスを取って決断するべきだと考えている。つーか、組織で部下に仕事を任せてヘマされて「何でだよ」と質してみたら「直感です」と応えられたら凹む。根拠ぐらいあって欲しい。


 きちんと意味のある褒め方をするのであれば、恐らく何の問題もないのである。問題は、取り立てて成果も実績もない個人個々が無駄に自己評価が高く、個々の自己評価を傷つけないためにお互い胴上げしあう形で褒めあったり、本来の評価が低いこれから上がっていくべき人が馴れ合うようにベタベタ群れる傾向があって、それはダルいだろうという件は、頭に入れておくべきだ。


 それと、一番強烈に感じたことは、梅田氏は数十日数ヶ月眠れないほど緊張したり、このぐらいならと人を信用してみて悲しくなるほど裏切られるといったような経験や、逆にこの程度の話ならこのぐらいの価値しかを生むだろうからこの程度手をつけておくかというような間合いを決めたり、今回はここまで上手くいったけど次上手くいく保証などないから深入りせずに表向きだけの付き合いにしておこうかというような「機微」とか「侘び寂び」のようなものを微塵も出さない天然なのかしたたかさなのか判りかねる司祭の説教ぶりである。


 最大の裏切りってのは、何かやろうとして、それが間違ってて、誰もそれを指摘してくれずに、適当な付き合いのなかで褒められて、その気になって、やってみたらうまくいかなくて、あとになってそばにいた奴らが潮を引くように周辺からいなくなって、孤独な失敗に終わることなんじゃないかと。粗探しではなく、悪かったらその場で指摘しておくのもひとつの仁義だろうと思うわけで。


 そうは言っても、若い人を前にして「本当に大事なことは絶対に口に出すな」とか「相手の顔色を見て褒めとけなしを使い分けろ」とか説教する黒い梅田氏は考えられないので、きっと梅田氏はそのときそう感じたことをそのとおり書き綴っているから、多くの人たちに賛同されているのだろうと思う。


 私は「すべてはバランスであって、状況に応じて、ポジティブもネガティブも使い分けることができて初めて対人スキルなのだ」と考えている。