告知が遅れて恐縮ではありますが、ええ、ポジショントークですとも。

新聞のネット進出が苦戦続きなのはなぜか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091222/202408/

 とてもインタビュー記事とは思えない長編になっているのが困惑のネタですが、それ以上に、日経自体が随分でかい投資をして自力でデジタルシフトしようとしており、また、各社さん赤字なのに頑張って資金を捻出して、いろんな投資を繰り広げようとしておられます。まことに嘆かわしいことです。本業に集中しろ。そんなもんに多額の銭を投じるのならもう少しグループ企業の再編や自社のレガシーコストの削減にキャッシュフロー使えよ、といういろんな会社の現場の声を代弁するような内容になっております。
 本文で指摘してなくてそれなりに重要なことは二つ残ってて、アメリカで新聞広告盛り返しができた新聞社とそうでない新聞社が出始めていて理由もはっきりしていること、もうひとつがウェブでの情報は「業界向け」と「消費者向け」、「通常のライティングで許されるサイト」と「短文コミュニケーションと発作的なニュースのサイト」の2軸できてきたよね、ということ。

 いわゆる「フリー」戦略は、スモールオフィスから発進して一人から数人まず喰えれば均衡、大きくなっても百億円程度の規模で止める成長戦略のところに合理的なドクトリンで、新聞社のように千人二千人喰わせる会社では自ずから作戦の根本が変わってくるのが問題です。「フリー」戦略に先駆けて産経新聞が突撃していってその後のことはどうなったかとか、いわゆる規模と収益性のパラメータによってドクトリンは違うし、例えばITメディアとかCNETとか見て「これがウェブ時代」とか言ってるのは「残念」な人の本を読んで感動しているレベルの話だろうと思います。

 具体的な話は触れませんが、というかそれこそ無料のサイトで詳細に語るほど私は善人ではありませんが、各所は遅滞戦術で売上の減少を食い止めつつ、ウェブという環境の問題を外側と捉えず、いかに内側の処理に援用し、高いコストを維持するのかという点に重要なポイントがあります。それこそ、共同通信や一部全国紙が取り組んでいる内容であって、営業的にはある程度「底打ち」をしてからが本当の勝負だろうと思っています。

 新聞業界が危機だ、と言ってもですね、財務諸表が読める人なら分かるとおり、官報に出ている数字が正しいなら、レガシーコストを削減できればあっという間に収益均衡するんですよ。問題は、彼らがサンクチュアリと思い、大事に守ってきた労働組合やそれに類するイデオロギーが、合理的な経営による企業存続の足枷になったということに尽きるんですけどね。

 人を切れば解決じゃん、でも人を切ることはできない、ではどうすれば売上を維持できるのか、というのは、JALもどこも相似形の問題なんですよ。パイが限られているのだから、オーバーストアが解消されない限り底打ちはしても浮上することはあまり考えられないし、消え去る業者になるか生き残る業者になるかは、業界最適の問題ではなくて、経営の合理化の問題です。デジタルとかウェブとか全然関係ない。環境の問題ではなくて、内部の企業統治と固定費の問題であります。



 一応、CGM関連も触れておくか… というか、お客様からの声に基づく情報を集約してうんたら、というのは製品レベルの話で、経営レベルの話をCGMに聴くのは間違っています。だって財務諸表公開してないし、上場会社ですら決算書読んで投資している人間自体が少ないだろ。

 新聞に限らず、お前の出す製品やサービスはこうだ、という話は聞く価値あるけど、お前の会社はこうであるべきだ、ここに投資しろ、というのは、相手の経営感覚や実務能力に依拠した品質次第で聞くこと自体が有害である可能性はあります。経済ニュースを専門でやっていて、そこに価値がある会社が、経営について必ずしも理解していない社内の有力者の発案で電子媒体への進出を考え、関西のメーカーだけ乗せて多額の投資に踏み込んじゃう、というのはあり得ないと思うわけです。というか、お前らのコアコンピタンスは経済ニュースであり、それを土台にしたブランド力であって、電子メディアそのものを市場として立ち上げるだけの構想力やハンドリングではないだろうという話です。

 …と、そういう話をしたらとても怒るので、遠くから頑張ってくださいと声援を送るのみの状況ではないかと。