昔、塩谷やマック鈴木の件とかオリックスの件はいろいろ書いたけれども、本丸は変な資金融通かなあと思っていたらどうやら違ったようで…。もう足掛け3年近くになるんですね。

オリックス事件はリクルート事件以上の衝撃
http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2006/06/27_042903.html
 いろいろと与太を書いたりしてますけど、まさか郵政の件で突破するとは思わなかったです。まさに正面突破じゃないですか。かんぽの宿で言うならば、ディールそのものは合法であり問題ないんだけれど、精査された資産内容を考えると「安値で買取」から「転売」あるいは「それを担保に入れて資金調達」という技が充分考えられ、それが鳩山総務相の勘に基づいた蛮勇で政治問題化して今に至る、という話です。

 取りも直さず、オリックスグループの有利子負債残高5兆ちょいのカウンター部分がスカスカだったりすると先にも書いたようにみずほFG直撃で年度末ショック連鎖というのが一番恐ろしいことであり、その対策の責任者であるべき中川(酒)さんが読売新聞の女武将の伏兵を踏んで撤退というギャグがあったわけであります。嘆くべきか嘲うべきか。

旧郵政物件の7割すでに転売、「一括売却」で取得後…読売調査
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090220-OYT1T00031.htm

 この問題の一番厄介なところは「違法とは言えない」点です。感情論ですわ。「国民の財産が、不当に安い値段で払い下げられて転売するとはけしからん」的な。ただディール自体は合法中の合法で、これを違法よんというといろんなビジネスに不都合が生じて経済が止まります。困った。

 堀江裁判を思い返して欲しいんですが、ライブドア堀江さんが有罪喰らった件については一個一個のディールは合法なんだけど、最終的に粉飾スキームであるから有罪ですバーカということで陽の当たる日本社会から一味もろともパージという事例であります。適切なガバナンスも利いてなかったので日興はセーフでもライブドアはアウトという展開に、構造改革派が涙するという百年戦争序盤の戦争は体制側が勝利したことになります。

 問題は、同じようなやり口でオリックスをどうにかしようとすると、オリックスもいままで散々政権や霞ヶ関に喰い込んでいろんなビジネスを振り回して機能してきた分、明日あさって失脚しました逮捕ですさようならバーカとはならず、やはり返り血というか落としどころとして連座して斬られる官僚やら政治家やら学者やらが必要になるわけで。

 加えて、実ビジネスでの存在感という意味でもオリックスは非常に大きく、先に挙げた「何かあったらみずほ連鎖」というボンバーマン状態の面白スキームを回避するためには、当局の「オリックスは破綻させないで問題の部分だけ逮捕して無害化する」とかそういう方法になるんじゃないかと思います。しかも、オリックスや郵政の利権に預かれなかった民主党が次でどうやら政権を取りそうだというのもポインツです。誰も身体を張ってオリックスを守ろうという人は出てこないでしょうし、ウザいから目立つ村上さんだけ斬って終わりとはなり得ないと感じます。

 さて、下地幹郎氏に先にやらかされて「じゃあさっさと出せ」とケツに火がついて読売新聞が旨く報じた上記一件ですが。やはり味わい深いのは、SPCや有限投資組合や民法組合などの箱も全部開示させる金融庁の方針が出て以降、アングラでヤクザーな資金だけじゃなくこの手の神々の遊び的スキームさえIR情報で部分開示され当事者が分かってしまうことなんだろうと思うんですよね。

 穴吹シリーズや東急リバブルといったお馴染みの皆さんに加えて、いわゆる号ファンド風のSPCで建てつけをした箱については、IR資料でモロに出ていて、8924リサ・パートナーズや8844コスモスイニシアであります。これ、リビエラじゃないけど長期保有を前提にした方法とはなかなか思えず、初めから転売を視野に入れて力の限り風呂敷を広げてみました気味の買い方に見えます。もちろん、結果はほぼ全物件売却であり。

 これも、問題は儲けのカラクリははっきりしていて合法なんだけど国民感情として釈然としないタイプの取引だ、ということですね。政治家が票集めの人気取りとして政治問題化するには持って来いの事例ではありますけど、このような取引になった経緯や先導役の人物は誰だったんだろうという話になります。ただ、これ西川さんなわけがないんですよね。時系列的に郵政公社時代の話なので、合わない。竹中さんでもない。じゃあ誰なんだ、という部分になると思うんですよ。

 返り血について言うならば、まさに旧郵政省が何かしたのか、じゃあ総務省説明しろとかいう話になって、さらに民主党政権にでもなろうものなら日本は猟官制まっしぐらになる可能性だってあります。本来なら、ここでガセネタ大乱舞で情報を錯綜させて本丸だけ逃げ切って無事というような展開なんだろうと思いますけれども…。

 なお、これだけ儲かることが確定的に分かっている郵政物件の一括売却先に、オリックスは入っていません。これからマスコミの皆さんが転売先やディールを仲介したブローカーは誰なんだ、どういう手数料が誰に入ったんだというような話を調べているんでしょうか。こればっかりは情報が出てみないと分からない領域ではありますけどね。どうなんだろうという興味本位でヲチするしかないんでしょうか。

 ただ、繰り返しますけど、オリックスは本件ディールでは総じて合法にやってますからね。外側から見る限り、ですが。ほんとどうするんでしょう。注目です。

(追記)

 アウトローズさんのところに記事が出ていたけれども、まあこれは悪く考えすぎですね。通常のカストディに過ぎないので。また、民間の入札額でマイナス額面の札を入れることはとても一般的です。ただし、問題があるとするとオリックスの上位株主に名を連ねる信託口が郵政簡保機構の本丸だった場合で、これは恣意的にオリックスを支える意味合いで特別な「配慮」があったと疑われても仕方がない部分ではあります。それでも合法ですけどね。

【特別寄稿】日本郵政・西川善文社長の「犯罪」を糺す(下)
http://outlaws.air-nifty.com/news/2009/02/post-76b1.html