単純に松田さんのミスリードだと思うんですが、一応。
東電と銀行の裏取引について
http://blogos.com/article/73661/
東京電力が再建型法的整理の対象とならない理由ははっきりしていて、「原子力損害の賠償に関する法律」の対象となっているからです。
原子力損害の賠償に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
法律の是非はともかくとして、施行されていて東京電力はその適用されている限り、法的整理は行われないのは当たり前のことなんですが、なぜか松田さんの議論を読んでいますと「裏取引をした」という話になっていて微妙すぎます。
もちろん、裏取引どころか内容はネットでも開示されており、国民誰もが見られるところで公衆監視状態なんで、なんでそういう話になっちゃうのか良く分からないというのが正直な印象です。
原子力損害に対する賠償について
http://www.tepco.co.jp/comp/index-j.html
当然、東京電力はいまなお東証一部に上場しており、株主その他ステークホルダーがいるわけで、ぶっちゃけそういう機関投資家やファンドマネージャーも含めた監視を潜り抜けて国益にも株主の利益にもそぐわない取引が合意されていたのだとすれば、それは問題です。
東京電力
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9501.T
ただ、これだけの大型株でプロが熟視している銘柄でそのような話があったというのは聞いたことがなく、またみんなの党が引き続き東京電力の法的生理を主張するのであれば必然的に上場廃止を一度挟まなければならず、株主としては松田さんのところに神輿担いでわっしょいわっしょいご訪問することになりましょう。
[引用] 検査院の報告によると、銀行が東電に「無担保融資」として貸し付けていた資金のうち、すでに8千億円程度は「私募債」に乗り換えられています。
当たり前のことですが、私募債の引き受け手がいて、利率が無担保融資よりも低利であれば資本コストの見合いから考えても乗り換えるのが当たり前です。原子力損害の賠償に関する法律に基づいて東京電力が適用申請をし、政府は適法に受理しており、その結果として、適法に支援するため「原子力損害賠償支援機構法」を国会に法案として提出しています。
そして、本件法律が成立したため、原子力損害賠償支援機構が組成されて、この支援を受けて東京電力が救済されている、というスキームがある以上、何の合理性があって東京電力を法的整理しろと言っているのかが良く分かりません。国が支援して事業継続のスキームを用意して東京電力が事業継続してるのに、なぜいま器をひっくり返す必要があるの?
[引用] 例えば、タリーズに大赤字店が10店舗あり、閉店を決めてシャッターをおろしたのに、それを資産としてバランスシートに計上し続けたらどうなるでしょう?モラルハザードが起き、投資家も何を信じて投融資をしたらよいか分からなくなってしまいます。
本件の問題をおかしくしている認識はここにありそうです。
つまり、タリーズが仮に弊店しても地域住民の生活に著しい不便が発生するわけでもなければ代替のサービスがある状態であって、閉鎖の原因が天変地異等重大な事象ではないのであれば「タリーズが赤字? 勝手に潰れろタコ」という話で、伊藤園救済待ったなしになります。
しかし、東京電力が仮に整理の対象となり、従業員への給与支出が滞るなどして国民に電力の供給が行われることが阻害されかねない事象の場合は、適切な公共事業を運営せしめるための措置として救済特別法ができるのは別段不思議なことではありません。ロシアだって公共機関でストが起きた場合はモスクワ市が代替の職員を任意に手当てして良いという法律ができます。
あとは、政府の主体的責任を認め(民主党時代の東京電力が主体であるという責任規定を改め)、債務の上限を規定して、それを上回る損害が発生した場合には国が債務を負うという形になれば、東京電力の債務が確定するため、上下分離や法的整理のような議論も出るでしょう。ただ、そうであるならば、いままでの枠組みを撤回して青天井になる可能性のある債務を国が引き受けるという政治決断をしないといけません。
そういう途中の議論を無視して、債務超過だ無担保融資の私募債切り替えは問題だと主張するのは「理解できなくもないけど、無責任野党と批判されても仕方ない話なんじゃないの」と思います。
また、単なる民間企業のタリーズの店舗閉鎖と、代替の事業を持たない東京電力とを単純に比べて批判するのは政策的にも市場的にも馬鹿呼ばわりされる覚悟をもっていただきたいと考える次第であります。
東電と銀行の裏取引について
http://blogos.com/article/73661/
東京電力が再建型法的整理の対象とならない理由ははっきりしていて、「原子力損害の賠償に関する法律」の対象となっているからです。
原子力損害の賠償に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
法律の是非はともかくとして、施行されていて東京電力はその適用されている限り、法的整理は行われないのは当たり前のことなんですが、なぜか松田さんの議論を読んでいますと「裏取引をした」という話になっていて微妙すぎます。
もちろん、裏取引どころか内容はネットでも開示されており、国民誰もが見られるところで公衆監視状態なんで、なんでそういう話になっちゃうのか良く分からないというのが正直な印象です。
原子力損害に対する賠償について
http://www.tepco.co.jp/comp/index-j.html
当然、東京電力はいまなお東証一部に上場しており、株主その他ステークホルダーがいるわけで、ぶっちゃけそういう機関投資家やファンドマネージャーも含めた監視を潜り抜けて国益にも株主の利益にもそぐわない取引が合意されていたのだとすれば、それは問題です。
東京電力
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9501.T
ただ、これだけの大型株でプロが熟視している銘柄でそのような話があったというのは聞いたことがなく、またみんなの党が引き続き東京電力の法的生理を主張するのであれば必然的に上場廃止を一度挟まなければならず、株主としては松田さんのところに神輿担いでわっしょいわっしょいご訪問することになりましょう。
[引用] 検査院の報告によると、銀行が東電に「無担保融資」として貸し付けていた資金のうち、すでに8千億円程度は「私募債」に乗り換えられています。
当たり前のことですが、私募債の引き受け手がいて、利率が無担保融資よりも低利であれば資本コストの見合いから考えても乗り換えるのが当たり前です。原子力損害の賠償に関する法律に基づいて東京電力が適用申請をし、政府は適法に受理しており、その結果として、適法に支援するため「原子力損害賠償支援機構法」を国会に法案として提出しています。
そして、本件法律が成立したため、原子力損害賠償支援機構が組成されて、この支援を受けて東京電力が救済されている、というスキームがある以上、何の合理性があって東京電力を法的整理しろと言っているのかが良く分かりません。国が支援して事業継続のスキームを用意して東京電力が事業継続してるのに、なぜいま器をひっくり返す必要があるの?
[引用] 例えば、タリーズに大赤字店が10店舗あり、閉店を決めてシャッターをおろしたのに、それを資産としてバランスシートに計上し続けたらどうなるでしょう?モラルハザードが起き、投資家も何を信じて投融資をしたらよいか分からなくなってしまいます。
本件の問題をおかしくしている認識はここにありそうです。
つまり、タリーズが仮に弊店しても地域住民の生活に著しい不便が発生するわけでもなければ代替のサービスがある状態であって、閉鎖の原因が天変地異等重大な事象ではないのであれば「タリーズが赤字? 勝手に潰れろタコ」という話で、伊藤園救済待ったなしになります。
しかし、東京電力が仮に整理の対象となり、従業員への給与支出が滞るなどして国民に電力の供給が行われることが阻害されかねない事象の場合は、適切な公共事業を運営せしめるための措置として救済特別法ができるのは別段不思議なことではありません。ロシアだって公共機関でストが起きた場合はモスクワ市が代替の職員を任意に手当てして良いという法律ができます。
あとは、政府の主体的責任を認め(民主党時代の東京電力が主体であるという責任規定を改め)、債務の上限を規定して、それを上回る損害が発生した場合には国が債務を負うという形になれば、東京電力の債務が確定するため、上下分離や法的整理のような議論も出るでしょう。ただ、そうであるならば、いままでの枠組みを撤回して青天井になる可能性のある債務を国が引き受けるという政治決断をしないといけません。
そういう途中の議論を無視して、債務超過だ無担保融資の私募債切り替えは問題だと主張するのは「理解できなくもないけど、無責任野党と批判されても仕方ない話なんじゃないの」と思います。
また、単なる民間企業のタリーズの店舗閉鎖と、代替の事業を持たない東京電力とを単純に比べて批判するのは政策的にも市場的にも馬鹿呼ばわりされる覚悟をもっていただきたいと考える次第であります。
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