以前、ギリシャ問題が騒がれているときにさまざまな解説記事が乱舞していて、いわゆるPIIGSと並んで貯蓄率が微妙な国として韓国なんぞも挙げられており、まあそれほど不思議ではないのだが、いざ発生してみるととってもドキドキしますねえ。

韓国版サブプライム危機が激化 世界経済に再び暗雲か
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0224&f=business_0224_035.shtml
道民貯蓄銀行が営業停止の前に自主休業…顧客が激しく抗議
http://news.google.co.jp/news/story?q=%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%80%80%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%80%80%E5%96%B6%E6%A5%AD%E5%81%9C%E6%AD%A2&um=1&ie=UTF-8&ncl=dLNgIY5YiaBLaiMtYfJZ_LPosws4M&hl=ja&ei=oExmTZjgOpHEvgOdgcnbDA&sa=X&oi=news_result&ct=more-results&resnum=1&ved=0CCEQqgIwAA

 この手の問題は韓国だから悪いというわけではないし、いろんな経過をたどって経済危機になることもあれば持ち直すこともあると思うので微妙なところではあるのだが。
 一応、視点として二つほど。

● 韓国経済を見習え論とか

 サムソンが絶好調で、LGもまだ持ちこたえていた状態で我が国の産業再編が進んでいないことを理由に「韓国を見習おう」という論調が日本国内でもちらほらと見られた。個人的には、良いところであれば韓国に限らず見習うべきだろうし、実際にサムソンが世界的に極めて優良企業へと成長したことはきちんとメカニズムを調べてキャッチアップしてったらいいと思う。

 その一方で、韓国という国の経済全体がいいのかどうかというと、一企業としてのサムソンとは随分性質が異なる。というのは、韓国国内の経済というのはここ三十年の状況を見るに無理な成長と急激な崩壊を繰り返す側面があり、特定の素晴らしい企業周辺と悲惨な地方・末端経済の組み合わせになっていることに気づく。

 李明博大統領の統率力は素晴らしく、世界的な過剰流動性の中でグローバリズムに乗り切れた韓国の舵取りは参考になるところも多いだろう。その方法論は、比較的、弱者や地方の切り捨てもやむなしという内容であることも充分理解して議論を進めていく必要があるだろうと思う。

 当然、地方が疲弊すればその消費を支える経済圏も自律的には立ち行かなくなるわけなので、政策的に切り離そうにも難しいという話になり、受け皿銀行を作るなり政府系金融機関に統合するなりの政策を打ち立てねばならないのだろう。これが、何らか競争力の足を引っ張る可能性もあるわけだが、まあまだ金額が小さいからどうにかなっちゃうんだろけどね。

● 資源インフレで弱者にしわ寄せ論とか

 よくエジプトやリビアなどでの市民暴動でFACEBOOKなどのソーシャルサービスが主導的な役割を果たしたのでソーシャル革命だ的な言論を呼び起こすようなのだが、基本的には穀物やエネルギーなどの市況が上昇して、アラブ諸国も含めて世界的な経済成長の恩恵に必ずしも預かれなかった人たちの生活水準の大幅な切り下げを呼び起こしたという側面もあろうかと。もちろん、生活に不満を持っている人が横で繋がりやすくなったという点でソーシャルは大変有効に機能したというのは間違いないのだろうが、基点はそっちじゃなかろうと思う。日本でも昔からネットでいろんな奴らが活動しているが、政権が倒れそうなほどの集会が起きたという話は聴かないから。

 日本の場合は、圧倒的に強い通貨と資本の分厚い蓄積で難なく資源インフレをこなしてしまうので、せいぜい電気代が上がりましたとかガソリンが高いねえとかその程度で済んでしまう。どうしてもこの手の話題には鈍感になりがちなのだが、本当に抑圧されている国家では国民自身が死活問題だし、確かに似たような不満を国民が持つ国に飛び火というのは自然なことなのだろうねえ。

 この辺、昔は一本調子で拡大路線を支持するような政策をとる国家が多かったこともあって、市場も成長前提でどんどこアグレッシブに取りに逝く連中を歓迎していたのが、最近ではそういうヘッジファンドの成績がよろしくなくなってきたこともあって、かなり雲逝きが変わってきたなあという感じでしょうか。

 「平和の配当」を取り終わって流動性が減少に転じるところで多くの政変が弱い輪を中心にもっと激しく起き始めるんでしょうね。そうなっちゃうともっと円が買われたりして鬱になるんですが。