月別アーカイブ / 2022年07月

 ネットではもちろん賛否両論で、どっちの意見もきちんと出るというのはいいことだなと思う一方、論拠については割と雑にみんな扱っているのと、国民葬でも国葬でも民主主義的にはどちらもあまり変わらないこともあって岸田文雄さんが「安倍ちゃんの葬儀は国葬にしたい」と決断したんならまあそれでいいんじゃないかとも思っております。

 NHKでは、早速世論調査をしていました。気のせいか70代以上のジジイが多く回答しててちょっと偏ってねえかという気もしないでもありませんが、議論は二分しており、おおいに安倍ちゃんの治世についてあーだこーだいう言葉の手向け的にはこんな感じじゃないのかなと思います。

 亡くなって初めて分かる、安倍ちゃんの存在感。

「国葬」を「評価する」49% 「評価しない」38% NHK世論調査
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/86361.html

 若い人が割と安倍ちゃん国葬に賛成が多いのは、いくつか世論調査でも特徴的に出る傾向が今回も分かりやすく出ているのかなと思うのですが、何よりも「アベノミクスで(選ばなければ、安くても)仕事はあった」「若い人にとって、(良くも悪くも)日本政治イコール安倍晋三であった」ことに尽きると思います。選挙権を持ち投票所へ向かうとき、ずっと内閣総理大臣は安倍ちゃんだった世代は、穏やかな日本経済の状態の中で受益したという意識はある程度あるのだろうなあと思います。

 国葬儀のありようについては、弁護士の山中理司さんが分かりやすくまとめておられます。
 ぜひご一読ください。

国葬儀
https://yamanaka-bengoshi.jp/2022/07/16/kokusougi/

 岸田文雄さんのいう国葬の法的根拠も、戦前の国葬と異なり国民が喪に服す義務を課さない違いなど、議論が整理されていますが、過去の議論を敷衍しても、まあこんなもんなんじゃないかと思います。それでも国葬に法的根拠はないのだ、国は予算を出すべきではないのだと主張する人がいるのも事実ですが、それはそれとして、粛々と国立武道館で国葬がしめやかに執り行われることになるのでしょう。

[引用] やはり国の立場におきましてそれに相当すべき場合に葬儀を営むという考え方はとれるのではないかという認識を持ったわけでございまして、具体的な例といたしましては、故吉田茂氏の葬儀の場合に、昭和四十二年十月二十三日の閣議決定によりまして国葬を行っております。
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 安倍ちゃん級の人物が亡くなって、国際的な話題のなか海外からの多くの弔問客をお受けするにあたって国葬やるぞってのは、儀礼的にもまあ適切なんじゃないですかね。

 重ねて、神の御許に召された安倍晋三さんの魂が限りない平安のうちにあることを心よりお祈り申し上げます。






 峯村健司さんが、結構ピンズドな議論をしていて、昨今一層顕著に見える清貧的な習近平さんの思想の根幹がロシアの作家・チェルヌイシェフスキーの著作にあるのではないかという話で、言われてみればそうだな、と。

【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり 習近平が“籠絡”されたプーチンからのプレゼント|NEWSポストセブン https://www.news-postseven.com/archives/20220706_1768841.html

 チェルヌイシェフスキーは極東とも縁が深く、まあ要するにやらかして政治犯として長年シベリア送りになっておったわけですが、何を言ったかといえばマルクス社会主義国家建設にあたって、資本家の清貧的活動であったり、『農村共同体論』という、ある種の計画経済・マルクス経済学の政策実践のひな型のような著作を持ち、またユートピア社会主義を体現したような人物でもあります。

 なもんで、確かに習近平さんの中国共産党入りに強い意味を持っていた父・習仲勲さんの訪ソと、それにまつわる思想的バックグラウンドが奈辺にあるのだとすれば、確かに帝国主義の旧領回復にいそしむ(脱近代化に失敗したロシアという意味での)プーチンさんの思想と、ラフメトフの書中での説話に影響を受けた習近平さんとの間柄において、習近平さんが「私たちは似ている」と公式に発言するのも理解はできるよなあと思うわけですよ。

 対中国ではいろんな論評が成立するものとはいえ、習近平さんが実はユートピア社会主義のような、ある種の原始的というかナマの社会主義思想の持ち主であるだけでなく、権力者としてそのような方針で社会建設をしたいと考える人物であるならば、確かに出世もするし有能なんだろうなあとも感じます。習近平さんがあれだけの反腐敗運動をやり、収まるかと思いきやもっと苛烈に進めているのも、チェルヌイシェフスキーの著作に思想的な共鳴をしていたのだとするなら(習近平さんの説話を見るとびっくりするほどマルクス回帰的だけどベースは何かは良く分かっていなかった)、すごく類似点があるよねと思います。

 それがマルクス主義的に厳格であるからこそ、原理的であるがゆえに、各種政策を浸透させるロジックとして非常に強固であって、また遊びがなく、権力闘争に持ち込まれても堅牢な理論的バックを持つのかなあとすら感じるんですよ。だって理想の社会主義建設をするための中国共産党なんだもん。

 類例として、2,300万人上海市において、またコロナが増えてきたからゼロコロナ政策して都市封鎖再開するぞって話で、いままでは、どっちかっていうと一度トップが決めたことをひっくり返せない組織的硬直性を指摘する話は多く流布されてきました。私もどっちかっていうとそうなんだろうなと漠然と思っていたわけですよ。

高口康太×安田峰俊×山谷剛史
「B級中国2022コロナを封じるユニバーサル異国飯教えますスペシャル」
https://bookandbeer.com/event/20220527_bc/

 ただ、ここに峯村健司説でユートピア社会主義の影響が強かったんだよって補助線が入ると、見え方が変わってきます。これ、ただのゼロコロナ政策の推進ではなくて、あるべき社会への建設にあたり、コロナ対策が十全に行えない国民や行政の対応は怠惰だよって話ですよね。国民は身を切ってでもコロナ対策をしろ、不適切なものはきちんと除去するのが責務だという話になります。「ぜいたく禁止令」もその一環ということになりますし。

 これだとよく中国観察で見られるような幸福な監視国家論も成立しつつも、上層部はさらに苛烈で、本当の意味でのマルクス主義的な清貧国家観じゃんと思うわけですね。豊かだけど真面目に働く国民の社会、本当に望ましい働き方をしているのかは監視して共産党が統制いたしますよ的な。そこまで首尾一貫でできちゃうのが習近平さんの優秀さ、有能さであると同時に、改めて中国とロシア双方の隣国としてこりゃ大変なところでワイら民主主義やってるぞ、と参院選直前に震撼してしまった次第であります。





 しつこい勧誘で業務停止命令が出た神戸のリフォーム屋「新生ホームサービス」の話が報じられました。

しつこい勧誘で業務停止命令 https://reut.rs/3a1mkaA 

 ポイントは当社に特別顧問に俺たちの竹中平蔵さんや岸博幸さんが就任しており、派手な広告宣伝としつこい勧誘で業績を伸ばしてきた側面があるのだろうなあというところですね。

 で、興味を持ったのは、同業種リフォーム屋に比べて利益率がとても高いように見える割に、官報見てみるとどっかで利益処分でもしてんのかと思うような数字に感じられる点です。何か素敵なことでもされているんでしょうかね。

 現任社長の赤樫武尚さんはもともと施工部門の責任者からの社長抜擢ですが、その大元は吉都紀太介さんで、なぜかダイヤモンド社から自費出版されてます。名刺代わりの一冊なんでしょうか。出版時点での肩書は新生ビジネスパートナーズ社になってますね。ただ、別の財界録で見ると、本丸の会社さんは新生不動産パートナーズ社になっています。手広くやってるぞ、ということなんでしょうか。

 もちろん、本の帯に登場しているのは我らの岸博幸さんです。菅義偉政権時の内閣官房参与ですが、新生不動産パートナーズ社方面は維新筋に見えますし、まあそういうことですよね。

 身体検査もろもろ、ご安全に。









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