月別アーカイブ / 2021年02月

 ということで、お騒がせしております元カドカワ代表取締役の川上量生さんとの間での3つ裁判のうち、一番最初の裁判において地裁判決が出ました。


 この裁判は何だったのかというと、川上量生さんが「カドカワ代表取締役」名で私(山本一郎)の所属する情報法制研究所に対し郵送にて私の記事の削除と謝罪などを求めてきた件で、そんな削除をする必要も謝罪する理由もない、ということで「債務不存在確認」の訴訟を起こしたものです。


 その私の記事の内容は、川上量生さんが海賊版サイト対策において、憲法違反の疑いが強いブロッキングを行うよう政府委員などの立場で強く求める珍説を披露していたため、これに対して盛大に反論していたものです。


 また、そもそも当時川上量生さんは「@nkawa2525」は匿名であるなどとして自身のアカウントとなかなか認めないという姑息な運用をしておられました。裁判になったらあっさり認めたので、そんなら最初から実名でTwitterやっていれば良かったのにと思います(その後、別の裁判の本人尋問で「川上さんの性格からして、訴えてみれば発信者情報開示請求によることなく本人が勝手に認めてくるであろう」という話が出て草が生えています)。


 で、そもそもが、この訴えの内容について主たる部分については、判決文でもあります通り川上量生さんは謝罪要求自体を取り下げており、そればかりか、「今後も(謝罪や削除などを)請求しない」とまで川上量生さんは主張しています(←重要)。川上さんの一連の不当な要求に対して、そんな求めが通るはずがあるかと訴えている原告である私たちにおいては、いきなりそこの部分が「訴えの利益がない」状態になっていました。何勝手に争いをなくしてるんだよ。顔真っ赤で謝罪要求の請求を封書で送ってきたのは川上さんのほうからなんだぞ。


 ということで、名誉毀損での賠償請求もくっつけて裁判を引っ張って判決を取ったところ、案の定、もうすでに「川上量生さんは抗議をしておらず、謝罪の要求も取り下げている」ということで、原告の請求は棄却された、という次第です。


 しかも、川上量生さんはすでに失脚して、カドカワ代表取締役からも降ろされています。


 そのカドカワ社も被告だったわけですが、社としては抗議文書で謝罪要求を送っていないということなので、川上量生さんが社の決定を経ず勝手に抗議文を私に送っていたことになります。そして、川上量生さんは「削除と謝罪を求める抗議文は(山本一郎の所属先である)情報法制研究所に送ったものであって、山本一郎に削除と謝罪を求めたものではない」という面妖な主張をして、地裁判決からは当然のようにスルーされています。


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山本一郎氏の訴え却下、川上量生氏「唐澤先生が予想されたとおりの結末」…東京地裁|弁護士ドットコムニュース https://www.bengo4.com/c_23/n_12497/


 つまりは、私が川上量生さんのブロッキング議論をおおいに馬鹿にしたので、川上さんがムカついて所属組織に抗議(=削除と謝罪要求)をしてきたというムーブに対して、債務不存在の訴訟をしたところ謝罪要求そのものを自分から取り下げてきたという、川上さんは吐いた唾一気飲みの構造になっております。


 この流れは、奇しくも川上量生さんに求められたというNTTグループの対海賊版サイトの超法規的ブロッキングの方針発表が、訴訟提起と同時に方針撤回された話と同じ構造になっております。


 主たる論点では原告被告の間に争いがすでに無くなって、訴えの利益も存在しなくなっているわけですから、超敏腕弁護士・唐澤貴洋大先生の読み通りになるのは当然でございます。普通は、抗議や主張を降ろしたくないので抗弁してくるはずが、「削除や謝罪要求は取り下げました」とか言い出すので「お前らの送ってきたあの抗議文は何だったのか」という話になるわけですよ。


 ところが、削除や謝罪要求はしていないと言いながらも、いまだに川上さんがブログに面白抗議記事をぶら下げているので、本件訴訟においては控訴したほうが良いかどうかはこれから考えていきたいと思います。


 で、今回は抗議文を送られたのが私の記事に関してであり、所属組織に対して私の記事を削除し謝罪するよう、大出版社カドカワ代表取締役名で求めた、というところがポイントです。


 これがもし、私が通常の勤め人であり、企業などで働きサラリーを貰って生活をしながら論評活動をしていたとするならば、勤め先に「お前らが雇っている社員が書いた記事は不快だから抗議する。削除して謝罪しろ」との書状を大企業経営者から送られれば、これは立派な言論封殺であり、SLAPPです。人によっては、これ一発で企業側から解雇をされてしまったり、発言を今後行わないよう求められたりすることはあるでしょう。


 その手の権力振り回しを、川上量生さんはカドカワ代表取締役として行い、また訴えられたら主たる争点で自分から取り下げるという吐いた唾を飲むようなことを恥ずかしげもなく平気でやった、ということになります。


 すでに、第二訴訟では高等裁判所で川上量生さんは敗訴しており、私が川上さんに書いた一連の記事やツイートについては名誉毀損などではなく違法なものではなかったと確定しています。


 したがって、川上量生さんは削除したり謝罪したりする必要のなかった私の書き込みに対して抗議をし、カドカワ代表取締役の名前で削除と謝罪を求め、その申し出は失当なものである(債務不存在確認)訴訟を起こすと、しめやかに「現在は削除を求めていないし、将来も削除をもとめることはない」と主張したわけで、つまりはこの裁判がなければいまでも削除と謝罪を求めていた可能性は高くあります。訴えられて、初めて「削除を求めていない」といい始めたわけですからね、川上量生さんは。


 ということで、後から付随させた名誉棄損部分はもちろん200万円の訴額は棄却になりましたけれども訴えの利益を損ねず裁判継続のためには必要な部分でしたし、判決文でもある通り、また、私もことあるごとにネットで書きました通り本件は「バーカ」「お前こそバーカ」の部分を否めませんので、本件訴訟において判決を書いてくださった裁判長以下裁判体の皆さんの決定は相当の部分で妥当であろうと思います。長文を使っていただき「お前ら、どっちもどっちやがな」と適切な評価を賜ったようにも見える部分については感無量であります。


 常識的には、決定的な内容があって送ってくる抗議文で、削除や謝罪などを求める場合は、その求めを取り下げずに正当性を争うのが本来であると思います。ましてや、業法違反だけでなく憲法にも抵触することが疑われるブロッキング議論において、政府内で議論を主導しておきながら、それに対して反論を受けてブチ切れてカドカワ代表取締役名で送ってきたぐらいですから、川上量生さんなりの正当性の主張が本件ではあるはずだった、という風にも思っていました。


 しかしながら、実際には裁判において議論の正当性を主張する書面はほぼなく、あっても証拠で記される程度のものであって、結局最後まで海賊版サイトのブロッキングについては主張を引っ込めたも同然のものでありました。川上量生さんにとって、その程度の話だったのでしょうか、ブロッキング議論って。


 というわけで、非常に力作に仕上がっております判決文に関しては、以下の通り引用いたします。皆さまのご声援を賜りまして、本当にありがとうございます。




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山本一郎氏の訴え却下、川上量生氏「唐澤先生が予想されたとおりの結末」…東京地裁|弁護士ドットコムニュース https://www.bengo4.com/c_23/n_12497/


 つまりは、私が川上量生さんのブロッキング議論をおおいに馬鹿にしたので、川上さんがムカついて所属組織に抗議(=削除と謝罪要求)をしてきたというムーブに対して、債務不存在の訴訟をしたところ抗議そのものを自分から取り下げてきたという、川上さんは吐いた唾一気飲みの構造になっております。


 この流れは、奇しくも川上量生さんに求められたというNTTグループの対海賊版サイトの超法規的ブロッキングの方針発表が、訴訟提起と同時に方針撤回された話と同じ構造になっております。


 主たる論点では原告被告の間に争いがすでに無くなって、訴えの利益も存在しなくなっているわけですから、超敏腕弁護士・唐澤貴洋大先生の読み通りになるのは当然でございます。普通は、抗議や主張を降ろしたくないので抗弁してくるはずが、「抗議は取り下げました」とか言い出すので「お前らの送ってきたあの抗議文は何だったのか」という話になるわけですよ。


 ところが、抗議はしていないと言いながらも、いまだに川上さんがブログに面白抗議記事をぶら下げているので、本件訴訟においては控訴したほうが良いかどうかはこれから考えていきたいと思います。


 で、今回は抗議文を送られたのが私の記事に関してであり、所属組織に対して私の記事を削除し謝罪するよう、大出版社カドカワ代表取締役名で求めた、というところがポイントです。


 これがもし、私が通常の勤め人であり、企業などで働きサラリーを貰って生活をしながら論評活動をしていたとするならば、勤め先に「お前らが雇っている社員が書いた記事は不快だから抗議する。削除して謝罪しろ」との書状を大企業経営者から送られれば、これは立派な言論封殺であり、SLAPPです。人によっては、これ一発で企業側から解雇をされてしまったり、発言を今後行わないよう求められたりすることはあるでしょう。


 その手の権力振り回しを、川上量生さんはカドカワ代表取締役として行い、また訴えられたら主たる争点で自分から取り下げるという吐いた唾を飲むようなことを恥ずかしげもなく平気でやった、ということになります。


 すでに、第二訴訟では高等裁判所で川上量生さんは敗訴しており、私が川上さんに書いた一連の記事やツイートについては名誉毀損などではなく違法なものではなかったと確定しています。


 したがって、川上量生さんは削除したり謝罪したりする必要のなかった私の書き込みに対して抗議をし、カドカワ代表取締役の名前で削除と謝罪を求め、その申し出は失当なものである(債務不存在確認)訴訟を起こすと、しめやかに「現在は削除を求めていないし、将来も削除をもとめることはない」と主張したわけで、つまりはこの裁判がなければいまでも削除と謝罪を求めていた可能性は高くあります。訴えられて、初めて「削除を求めていない」といい始めたわけですからね、川上量生さんは。


 ということで、後から付随させた名誉棄損部分はもちろん200万円の訴額は棄却になりましたけれども訴えの利益を損ねず裁判継続のためには必要な部分でしたし、判決文でもある通り、また、私もことあるごとにネットで書きました通り本件は「バーカ」「お前こそバーカ」の部分を否めませんので、本件訴訟において判決を書いてくださった裁判長以下裁判体の皆さんの決定は相当の部分で妥当であろうと思います。長文を使っていただき「お前ら、どっちもどっちやがな」と適切な評価を賜ったようにも見える部分については感無量であります。


 常識的には、決定的な内容があって送ってくる抗議文で、削除や謝罪などを求める場合は、その求めを取り下げずに正当性を争うのが本来であると思います。ましてや、業法違反だけでなく憲法にも抵触することが疑われるブロッキング議論において、政府内で議論を主導しておきながら、それに対して反論を受けてブチ切れてカドカワ代表取締役名で送ってきたぐらいですから、川上量生さんなりの正当性の主張が本件ではあるはずだった、という風にも思っていました。


 しかしながら、実際には裁判において議論の正当性を主張する書面はほぼなく、あっても証拠で記される程度のものであって、結局最後まで海賊版サイトのブロッキングについては主張を引っ込めたも同然のものでありました。川上量生さんにとって、その程度の話だったのでしょうか、ブロッキング議論って。


 というわけで、非常に力作に仕上がっております判決文に関しては、以下の通り引用いたします。皆さまのご声援を賜りまして、本当にありがとうございます。



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 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長であらせられる、俺たちの森喜朗さんが派手にやらかしていたので記事にしたんですが、実のところ、私らの足元で意外と抜き差しならないことが起きていて困っておるわけです。

俺たちの森喜朗、期待に応えて自ら東京オリンピックを台無しにする 日本における「会議」という名前の儀式の問題  https://bunshun.jp/articles/-/43302

 それは「まあまあアカデミックな能力も必要とするデータサイエンティストや、そのマネジメントの人を雇おうとすると、男性しか応募が来ない」という事案です。関係先が8名採用したいというところ、オープンエントリで応募のあった45名(2月4日現在)は全員男性です。

 それどころか、いわゆるリファラル採用(縁故採用)で声をかけた研究室から出たリストは22名中19名が男性。会社の方針として、なるだけ男女同数かそれに近い採用をしようとすると、おそらく採用基準に満たない経歴しか持っていない(ように見える)女性求職者は全員採用しなければならず、また、それだけでは足りません。

 結果として、おそらく経歴的に十分とみられる男性求職者は採用を見送らなければならないでしょう。これはある種の逆差別なのではないか、というか、逆差別そのものなのではないかと思うのですが、かといって、そこで「女性だから雇いました」と組織内で宣言するわけにもいかず、それでいてそれなりに高い報酬を支払う以上はうまく物事を着地させなければなりません。

 あまりにも面倒くさいので、新規採用を自前で行うのは諦め、派遣会社などに相談をしてそれらしい経歴の女性を何人か割高な報酬でお呼びする方向で話が進みそうな塩梅です。しかも、当方からすれば割高に支払う人件費も、それなりの割合が派遣会社に取られてしまうことになります。

 個人的に思うのは、男女平等に仕事をする機会を与えていく政策はおおいに賛成しつつも、実際に起きていることは男女ではキャリアや求職者の数そのものに供給のギャップがあって、責任あるポジションや高度なスキルを要する仕事で女性を採用しようとすると凄まじく苦労する、ということです。

 そのうえで、これらの男女参画を困難があっても実現しようとすると、バッファとして上記のように人材派遣会社や登録型人材会社のお世話にならなければならず、そういう働く女性のリストを持っている企業を利用することは必須となる場合が少なくなくあります。それも、大手でなければ条件に合う人が採用できません。理想として男女が一緒に働く現場を作ろうにも、結果として大手人材産業を使うしか方法がないんじゃないかと思います。

 SES企業なども当たりましたが、見事なまでに女日照りになっていて、なかなか大変です。

 じゃあ足回りの開発はオフショアで、となると、これがまたエンジニアの85%ぐらいは男性です。まあ海外だからいいか、という話になっちゃうわけですね。

開発残酷物語 https://www.atmarkit.co.jp/ait/series/4403/

 「ものわかりのいい女」以前に、キャリアを積んで能力的にたぶん合致する女性がマネジメント層にはそもそも少なく、そういうキャリア開発を女性にしてこなかったからだと綺麗ごとを言われても研究室レベルでそもそも女性が少ない状況ではどうにもなりません。仕方なく、デザイナーさんなど女性が多い職種で女性を増やして全体の採用における男女比率を均衡させることになるわけですけど、それって本来お前らの求める男女参画だったのでしょうか。

 これが、さらにエンジニアリングや貿易実務のところまで来ると女性の責任者自体が海外でもいないという事態になるわけですけれども、外資系企業はどうやってるんでしょうね。

同一労働同一賃金
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/same.html

 ようやく同一労働同一賃金にはなる方向にいったものの、このあたりのジレンマを政策的にどう解決するのかは是非もう少し議論して欲しいものです。マジで。

山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)

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