月別アーカイブ / 2020年09月

 よく法人さん向け研修やウェブセミナーなどでご一緒する倉重公太朗さんのウェブセミナーでの対談が、どういうわけか全文掲載になりました。

日本型雇用の不合理とコロナ時代を生き抜く方法【山本一郎×倉重公太朗】第1回(倉重公太朗) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200915-00198297/

日本型雇用の不合理とコロナ時代を生き抜く方法【山本一郎×倉重公太朗】第2回(倉重公太朗) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200915-00198303/

日本型雇用の不合理とコロナ時代を生き抜く方法【山本一郎×倉重公太朗】第3回(倉重公太朗) - Y!ニュース  
https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200915-00198306/

日本型雇用の不合理とコロナ時代を生き抜く方法【山本一郎×倉重公太朗】最終回(倉重公太朗) - Y!ニュース  
https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200915-00198309/

 なげーよ。文字に起こすと大量ですねえ。

 で、まあ、なんでこんなことをいま言い始めているかというと、やはりコロナ禍で4月から6月にかけて経済減速したのが響き、また、消費者のライフスタイルや都市生活も変容したもので、そういう問題に対応できない(業態的にコロナ禍では操業・営業しようもないという意味で)事業者がやはり持ちこたえられず、持続化給付金切れとなる9月から11月にかけてかなりの勢いで倒産しかねない状況だよというのがあります。

 次いで、生き残る会社も先行きの経済見通しが悪いところを中心に人員削減や業容縮小に転じるところも多く、とりわけ6月7月に売上が回復しなかった事業者を中心に派遣社員さんの雇止めや、アルバイト・高齢者嘱託などを中心に解雇が増えています。これは、回り回って新卒採用にも響き、特に地方経済において若者に対する採用内定取り消しへとダイレクトに繋がっていきます。さらに、2022年卒の採用戦線においてはそもそも新卒採用見込み人員自体が大幅に低下する可能性があります。

 これは、先日総理大臣を勇退することを発表した安倍晋三さんが、辞任会見後に支持率が急回復しているというある種のセンチメントにも関係するのですが、20代30代男女になぜ安倍政権が支持されたのかと言えば、「仕事を無理に選ばなければ、そこそこ喰える仕事がある」という穏やかな景気拡大と雇用情勢の安定があったからだと見られます。積極的に安倍ちゃん万歳とはならなかったけど、まあ喰えているからいいかというあたりに安倍政権の7年8カ月に及ぶ長期政権となった原動力があるのでしょう。



 翻って、足元の景気低迷が破壊的に進行し、地方経済を中心に雇用問題として国民生活を直撃することがあるのだとすると、否が応でも政策対応を追加で打っていかなければならなくなります。菅義偉さんが総理になって最初に取り組むべき課題は、本来は解散総選挙でご祝儀支持率を背景に大勝することよりも、国民生活の困窮の元となっている経済対策を安心できるレベルで早期にしっかりと打つことが求められます。それは消費税減税のような縫合策だけでなく、もう一段の財政出動(真水)を伴う仕組みをどう政策として打ち出すかじゃないかと思ってるんですが、菅政権の入閣布陣を見る限り、どうもそうはならなさそうです。もちろん財政規律は大事なんですが、上手いバランスを取ろうという方向にいくのでしょうか。

 私もバブル経済崩壊後の失われた10年からの就職氷河期で苦労した口ですが、それでも同年代で本当にロスジェネに直面して経済的に困窮している同期が結婚することもできずにおひとりさまをやっているのを見ると胸が痛みます。おそらくは、コロナ発のロスジェネが今後何年も続かないようにどう若者の社会参加を促し、経済的に自立できる環境を作り、安心して働いて生活できる経済状態の中で結婚し、子どもを儲けて育める体制を作っていくことが急務だろうと思っております。そのためにも、働く女性やシングルマザーのような人たちに対する扶助をどうするのかという話が本来は政策の主眼になるべきなんじゃないのかなあと。

 こういうことを書くと非常に不人気なのですが、菅義偉さんのいう「改革」の中身を見極め、どのようにして経済再建を果たしていくのか、直近苦しい若者や失業者、高齢者には地方にもう少しお金を入れて、ニューディール的な時限的産業国営化も視野に入れた政策を考えてほしいと思っています。

山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊) https://books.rakuten.co.jp/rb/15879273/

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 私は経営情報グループ『漆黒と灯火』という有料サロンをやっとるのですが、明日に迫った9月10日に、元新潟県知事にして、おそらく合流新党から新潟5区あたりで出馬が予定されている米山隆一先生をお呼びして会員さん向け限定の月例対談をやる予定になっておったのですよ。

 もちろん、そんな毎月ピンポイントに「対談やるぞ」といって60名の会員さん全員が集まれるはずもなく、そもそも半分が地方都市や海外にお住まいなのでどうしようもないですから、対談の様子は毎月会員の皆さまにDVDとしてお送りさせていただいております。至れり尽くせり。

経営情報グループ『漆黒と灯火』
https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html

 そしたらですね。会員さんたちの間から「知人や友人にも米山さんと山本一郎の対談を見せたい」というお声が掛かるようになり… まことにありがたい限りなのですが、実は当会会員は60名が満員で、ずっと満員状態が続いていて新規入会を半年以上受け付けていないんですよ。なので、入会のご希望についてはしばらくお待たせをしてしまっている状態です。

 とはいえ、対談を見たいというご希望を無碍にするのもどうなのよ、という、運営をお願いしている夜間飛行さんの菩薩のような心意気もあり、明日、一日限定で会員さんを募集したいと思います。

 会場は都内某所、9月10日(水)19時〜21時。会議室にて対談の予定ですが、もしご興味がある方は、下記よりご連絡くだされば幸いです。なにぶん会の実施まで時間がありませんので、申し訳ないですが、できるだけ早めにご連絡くださいますと手続きがスムーズにいくかと存じます。

https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html

 ネットでは、女子大学生美人局に引っかかって「ハッピー米山」などの愛称でいじられる一方、先般は室井佑月さんとのご結婚も発表された米山隆一先生は、個人的には然るべき立場で、いま一度良い形での再登板ができれば国民・有権者の請託におおいに応えられる優れた人物であると思っています。

 もちろん、物議を醸す書き込みが沢山あるのも事実ですが、私はそんな米山さんを知事時代からとても好きでしてね。不倫とかしていたならともかく、独身で、相手も成人した女性で、しかも米山さんをハメにかかってる連中相手のトラブルでしたから、知事なんか辞めなくても良かったのに、ととても惜しく思う人の一人です。

 また、私のサロンにも(久しぶりの募集でソワソワしますが)ご関心のある方はぜひご一緒させていただければと存じます。
 よく考えたら、サロンはもう6年目に突入していたのですね…。ありがたいことです。

 よろしくお願い申し上げます!


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 どうも自民党総裁選は何事もなく官房長官の菅義偉さんへと移行するようで、安倍晋三さんの総理辞任会見以来すったもんだした件は収まりそうな気配であります。テレビの力は偉大だぞと思うわけでありまして、それまでどの調査でも全国ヒマ人にイタ電をかけて「お前、次の自民党総裁は誰がいいと思うんだよ?」と聞き出した結果が「コミュ障の正論吐き」石破茂さんトップから「苦労人の叩き上げ」菅義偉さんへとあっさり移ってしまいました。

 また、センチメントもあるとは思いますけれども、辞任会見をした安倍晋三さんに対して国民の賭ける声は優しく、どの調査も概ね20%もの内閣支持率アップという結果となり、いままでの支持率低迷はどちらかというと懲罰的なものであって、それ以外は穏やかな景気と雇用の拡大があれば良いという「国民の生活が第一」という路線とほとんど変わりません。たとえそれが国内の富を取り崩して国民に大盤振る舞いしているだけの政策であったとしても、当面は若い人たちが食いつなげるだけの仕事があり、就職氷河期を作らなかった、というのは実に偉大なことだったのだと思います。経済と景気と社会保障、この辺がまあなんとかなれば、モリカケや沖縄、北朝鮮のようなネタがあったとしても国民はまあまあ支持してくれるのだということの裏返しなのかなと思ったりも致します。

 で、海外でも安倍ちゃんの勇退を惜しむ声が一服すると、さっそく「次の総理らしいガースーってどんな人よ?」という質問がいっぱいやって来るわけですけれども、これがまたなかなか説明しづらい。38歳で地方議員をやり、遅咲きの政治産業叩き上げのおっさんです、という説明をしても、海外の人たちはあまり良く理解してくださいません。秋田というカントリーサイドから出てきたおっさんですというと、なぜ彼は秋田が地盤ではないのかというところから説明しなければならない。

 官邸や政党の基盤は引き継ぐ前提なので、政策に継続性がありますという説明をしても「なぜ菅さんでなければならないのか」がなかなか理解してもらえないのです。安倍ちゃんを投手だとすれば、菅さんはキャッチャーのようなもの、官邸を二人三脚でやってきたので政策も人事も事情も良く分かっていて… と解説をすると「それなら麻生太郎さんなどほかの政治家でいいんじゃないか」と海外から言われてしまいます。

 いや、そうじゃないんですよね。菅さんだから、勝負をかけてみんなすんなり乗ったのだ。そういう説明を海外に分かりやすくするにはどうしたらいいんでしょうかねえ。「Somewhat suitである」、というと必ず「何で?」となるし、どうにも摩訶不思議な人事なのだと思われがちでありまして。

 そのガースー新総裁を説明するためには、どうしても党のマネージャーである幹事長(この幹事長というのを説明するのもややこしい。事務局長のようなもの、とでも説明するほかないのですが)である二階俊博さんを開設しなければなりません。




 ところが、その二階俊博さんという人物を説明するのも困難なのです。なぜ彼はパワフルなのか。親中派とされるがそんなのがなぜ日米同盟の枢要なカウンターである自民党のマネージャーなのか。

 で、二階派は党全体を仕切れるほどの大派閥なのか、と言われると、まったくそんなことはありません。ある意味で二階さん以外は党内基盤のそれほど強くない寄せ集め的な部分があり、二階さんが仮に何かの理由で引退したら、なんかこう、バラバラになっちゃうんじゃないかと思うぐらいに希薄な派閥であって、幹事長に二階さんを推し上げるような力技ができるわけでもない。

 なぜ幹事長を最大派閥や多数派が仕切らないのか、と言われると、誰にも説明がつきません。せいぜい言えば、安倍さんが二階さんでどうぞと言ったから。何故? いや、安倍さんに訊いてよ。その安倍さんはなぜ菅さんで良いといったのか? 副総裁の麻生さんじゃないのか? 副大統領みたいなものなんだろ、しかも元大統領の。いや、麻生さんは人気がないから… じゃあなぜ人気のない麻生さんを副総理にしていたの?

 いやまあ、なにひとつ合理的な説明を海外にはできないんじゃないかと思うぐらい、日本人的な組織の阿吽の呼吸みたいなものですべてが決まっています。名状しがたい何か。「岸田文雄さんだと多数派工作が可能だったんじゃないか」とか言われれば「いや、私は岸田さん本人ではありませんので…」みたいな。

 日本は議会が強いのか? いえ、議会は弱いです、官邸が強いです。なぜ官邸が強いのか、それは霞が関の人事権を握っているから。霞ヶ関? 行政機関のことだよね。そうですね。じゃあそれを握ることがなぜ官邸の強さに繋がるの。法律決めてないのになぜ官邸は独自で政策を打ち出して予算をつけることができるの。

 なんかこう、説明しづらいところだらけなのが我が国の政治のむつかしさであり、よくできているところなのかなあ、と。まあ、ちょっとそう思いました。

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