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 もっと早く告知しろよと言われて気づいたのですが、シンポジウムに出るのでした。


2020年6月16日(火)~26日(金) 情報法制研究所「第4回情報法制シンポジウム」(オンライン開催)
https://www.jilis.org/events/2020/2020-06online.html
【第4回情報法制シンポジウム】テーマ1「個人情報保護法 改正の行方(仮) 」※オンライン開催・参加無料 https://jilissymposium4-1.peatix.com/

 今国会で改正個人情報保護法が成立し、お陰で私どもも慌ただしいコロナ外出自粛期間を送っていたのですが、とりわけPHR界隈でコロナ対策・個人の健康、感染管理のようなものまで対応しようとすると、個人に関する情報を利活用するにあたっても法的な立て付けをきちんと考えて展開していかなければなりません。

 おそらくは、今回の改正についても「永遠の過渡期」の途上に過ぎないのかもしれませんが、概ね現段階で求められる法的課題については解決されたか道筋も見えてきた部分が大きいのかなと考えつつ、海外の情報法制との連携のもとに個人に関する情報の扱いについて適切に管理し、利活用を促進していく枠組みになればいいなと思っています。

 もしもご関心のある方がいらっしゃいましたら、オンラインではございますが奮ってご参画賜れますと幸いです。
 よろしくお願い申し上げます。

有志が告知用アカウントを作ってくださいまして、よろしければフォローをお願いします!

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「何してるんだよ」という内容なんですが、習近平さんの国賓来日が事実上白紙になったという報道もありつつ悩ましいことになりました。コロナウイルス禍から一足先に経済が立て直されると見込まれる中国との関係を、立ち上がった香港市民の立場や考え方、そして普遍的な価値である民主主義・人権といった大事なものよりも優先しようという話になっておりまして、非常によろしくない状況になっております。

日本、中国批判声明に参加拒否 https://reut.rs/3eYc0wV

 確かに、中国からすれば香港問題というのは所詮は外縁のファクターに過ぎないわけですけど、影響力はおおいに衰えたとはいえ中国にとっても便利な欧米との玄関口であり、また、都合によってうまく使い分けられる一国二制度の温存をするために「否定しつつ、肯定する」関係だったと思うんですけどね。



 一連の「国家安全法」を巡る香港での動乱の過激化と、アメリカでの無実な黒人の警察官による殺害事件による抗議行動の広がりとは同一視してはならず、前者は参政権のない中で奪われた地位や権利を香港市民が取り戻すための活動である一方、後者はアメリカ国民に与えられた自由の範囲内で抗議活動やデモを行っているものであって、暴動・略奪に類さない限りは大規模抗議活動が起きたところで自由なんですよ。

 中国の人権状況は決してよろしくなく、台湾との関係悪化や南シナ海への進出、尖閣諸島にも出てきている中国の現状があります。香港問題をそのまま認めてしまった場合は台湾が明日の、日本が明後日の香港になる恐れも否定できないわけですから、経済面で、貿易でも技術でも互恵関係にある日本と中国の唇歯の間柄があるとは言えども、民主主義国として強烈な人権抑圧の危険が深まっていることに対してきちんと抗議、批判をしていかなければならないのじゃないの、とは思います。

香港に関する共同声明 | 在日米国大使館・領事館 https://jp.usembassy.gov/ja/joint-statement-on-hong-kong-ja/
https://www.state.gov/joint-statement-on-hong-kong/

 で、なぜか自由民主党の片山さつきさんが出てきて、こんなことを書いています。




 どこから突っ込んでいいのか分かりませんが… 外務次官の秋葉剛男さんにうまくあしらわれた形になっていますけれども、前述の通りアメリカからの声明案は5月28日と一週間以上前に文案が出ているものです。「突然言われても」とも言いづらいものではないかと思います。

 また、G7で香港問題について中国大使を呼んで日本が抗議したのは事実ですが、それであるならば、イギリスやアメリカ、豪加の妖精に基づいて声明に賛同することは何も問題なかったはずです。そもそも、そのG7では共同宣言において香港問題に言及しており、この時点からすでに香港情勢は悪化している以上、G7による宣言そのものを中国が踏みにじるものであることは当然指摘されるべきだろうとも思います。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000510268.pdf

[Quote] 
Hong Kong
The G7 reaffirms the existence and importance of the Sino-British Joint Declaration of 1984 on Hong Kong and calls for violence to be avoided.
[抄訳]
香港
G7は,1984年の(香港返還問題に関する)英中共同声明の存在を再確認し、(デモ鎮圧などに統治における)暴力を回避することを求める。

 そのG7に日本も参画して共同宣言を行い、当事者であるイギリスが主となって「中国は英中共同声明には違反している」と明言されている以上、経済関係を考えて中国への批判声明に賛同しない日本はむしろG7の合意を踏みにじっているとも言えます。

「中国は完全に共同宣言違反」リフキンド元英外相、香港政策批判 単独インタビュー - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200605/k00/00m/030/200000c

 また、片山さつきさんは何故か「独仏も共同で中国批判声明に参加していない」と説明していますが、そもそもドイツもフランスもウイグル問題や南シナ海への中国海洋進出問題についてもより強い非難声明を出し、さらに、欧州連合(EU)の外相にあたる外交安全保障上級代表のジョセップ・ボレルさんが香港問題で中国を批判しています。EUとしては、香港問題は離脱したイギリスの問題としつつも、日本同様立場は相応に明確にしたうえでそれ以外の中国の行動についてしっかりと批難、批判を行っているのもまた事実です。

ウイグル弾圧問題、中国が改めて正当性主張 仏独の批判受け https://www.afpbb.com/articles/-/3257224

英・独・仏が共同声明、「南シナ海の緊張の高まり懸念」 https://reut.rs/2ZCwnvv

香港に対する中国の統制強化、国際秩序を脅かす-EU https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-27/QAZ97WDWLU7D01

 そういう情勢下で、日本が突出して中国批判する態度に出てはならないという考えがあるのだとするならば、それは景気回復を担う日本の産業界からの要望で安倍政権が何らかの配慮をしたのだ、という話になってしまいます。あるいは、現在外務大臣の茂木敏充さんが中国国家主席・習近平さんの国賓来日と第五の政治文書(ドクトリン)の取り交わしについて白紙に戻すことで中国側のメンツに傷がつき、それとのバーターで共同批判声明を一回パスしたのだというような風聞も立ちます。

 本件についてはイギリスを中心としてアメリカ、豪加と共同で批判声明を出すことにさしたる障害は日本にはなさそうだと思っていたところ、どういう判断でかこういう流れになったというあたりには侘び寂びを感じます。

 個人的には、経済的関係はそれはそれとして、外交でのお作法として中国への批判声明については、特に香港問題では甘受してもらいつつ、香港問題でいかなる国益を我が国は追求していくべきなのかという視点が欠けすぎていて、批判声明ひとつとってもだらしなさすぎるように見えるのはもったいないとは思います。

 仮に、これがWHOに代わるグローバルヘルスの新しい組織体やウイルス対策に関する包括的なファンドが立ち上がるとして、アメリカ側にも中国側にも(外交面で)いい顔をしようとしても、結局は最終的にアメリカ側につかなければならない日本の立場からすれば「批判が突出しない程度に、きちんと香港問題に言及し、日本の立場を明確にしておく」ことが国益に繋がるはずなのですが。

(追記 23:50)

 読者より指摘があり、本件の元報道になった共同通信の記事がおかしいとの指摘がありました。だとすると、「秋葉外務次官に『いきなり言われても困る』と返され、仏独は参画していない」と説明した片山さつきさんは何だったのかという話になりますが、本件についてはイギリス連邦と中国との国連での取り決めに基づくもの、という内容であるならば、すでに日本がG7ほかで中国に抗議済みであることも含めて、G7で行われた共同声明に基づいて重ねて日本の立場を明確にするべきであろうと思います。



誤報!共同通信「日本、中国批判声明に参加拒否」→各国足並み揃わず時期未定のため日本政府は先行して発表、官房長官「深く憂慮する」(動画あり) https://ksl-live.com/blog32590

 誤報であるかは判断保留ですが、外務報道官の内容はいわゆる事態注視で「深く憂慮」までしか述べておらず、前出の批判声明とはトーンがまったく異なるものにも見えます。

香港情勢について(外務報道官談話) https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005159.html



 なお、イマイチ盛り上がりませんが日本や米英豪加が対中批判を起こすその前のムーブがこれです。

米、香港情勢で安保理会合要請 中国反対、再び対立:時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052800440&g=int

山本一郎(やまもといちろう)YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCYngjP_3hOC-yu2A077rKbQ
山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)

 ベビーシッターの仲介大手キッズライン社が、自社サービスに登録をした男性による男児わいせつ事件を受けて、今日キッズライン社に登録している男性シッター全員に対して「利用の一時停止」を含む措置を発表したようです。

シッターが預かり中の「わいせつ容疑で逮捕」の衝撃、キッズラインの説明責任を問う|BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-214061
【男児強制わいせつ勃発「キッズライン」で見える、 自宅で子どもを任せられる他人の線引き問題】 | BEST T!MESコラム https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/497703/

 自社でもリリースを出していましたが、この対応しかキッズライン社にできなかった理由は明白で、いままでフリーエントリーに近いシッター登録を希望者に行わせ、シッターの能力や資質について質的補償など一切できない状況のままサービスの拡大にのみ走ってきたことが大きな理由ではないかと思います。

【重要】弊社の取り組みに関して- キッズライン https://kidsline.me/contents/news_detail/605

 つまりは、ちゃんとシッターとして活動できる男性たちも、いままで未経験で仕事の代わりになればととりあえずシッター登録してみた人たちも、一緒くたになってキッズライン社のシッター候補としてマッチング対象になっていたわけです。そして、わいせつ事件が勃発し、それも一件や二件ではなさそうだ、他のシッターにもわいせつ事件があったかもしれない、という話になると、いまさらシッターの質を把握しようにもキッズライン社はそういう情報を持っていなかった、ということに他ならないでしょう。

 もちろん、中野まどかさんの記事にもある通り、仮に登録者に犯罪歴のある人が紛れ込んでいたとしても、これを業者の側が照会して弾くことは困難で、また、性犯罪者になってしまった男性が初犯であったならば犯罪歴がそもそもなくトラックできません。業者側にとってはできないことだらけである一方、そういうサービスを受ける一般家庭とそこに住むお子さんが被害者になり得る以上、そういうリスクがあることを利用者に周知したところで救いにはなりません。結局、業者側がしっかりとシッターの能力や資質をチェックし、手間と費用をきちんとかけてシッターを一人ひとりトレーニングをしなければなりません。

[引用]
利用者同士で起こった紛争には法的責任を負わない(キッズライン利用規約:2020年5月17日確認)としているものの、経沢(香保子)社長は「(キッズラインは)面接と研修をしている」と、匿名掲示板との違いをアピールしており、今回そのような形で一定の質の担保がされているはずのキッズラインで事件が起こったことで、ニュースを知った親たちには衝撃が走った。
--ここまで--

 そして、キッズライン社の利用規約には堂々と「利用者同士で覆った紛争には法的責任を(キッズライン社は)負わない」などと責任逃れをしているものの、具体的な性犯罪を自社サービスで起こしておきながら「マッチングしているだけです」と言えるものなのかはきちんと考えておかなければなりません。常識的には、そういうマッチング業者に登録しているシッターに対して質を担保されている前提で手数料を払うわけで、シッター料金をピンハネしておきながら責任を取らないというのはさすがに通らない理屈だろうとも思います。

 これを機に、真面目に経営してね(ちゃんと手数料に見合うシッターのチェックをやって、サービスの質を担保してね)と思うわけですが、そもそもキッズライン社が上場するぞと平気で言えた理由は、ピンハネ率の高さと、そのピンハネをする割にフリーエントリー状態でコストがかからず事業を拡大できたというだけなんですよ。だから、ちゃんとした業者がそこまで利益を出せないシッター派遣事業を、ただの登録によるマッチング事業としたうえで、上記の通り法的には免責として低コストでやれるので利益が出る。そのリスクは全部、利用者の家庭にくるわけでして、襟をちゃんと正してね、と思うわけであります。

 どうもちゃんと取材にも応じてくれず、なんか困ったもんだなと思うところではございますが、シッター文化をどうかより良いものにしていっていただければと願います。

山本一郎(やまもといちろう)YouTube

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