月別アーカイブ / 2020年05月

 メルマガ本編に間に合わなくて号外という形になってしまいましたが、表題の件、号外を書きました。

 もともとは、政治の都合で官僚が知恵を絞って対策を打った結果、政治家が国会で余計な嘘を言ってしまったお陰でたいした話でもない事件が大問題になり、嘘を嘘で塗り固める必要に迫られてどんどん虚偽の説明ばかりになって、最後は「官僚組織が政治家に対して『忖度』したのだ」という理由でそのときの責任者である官僚が詰め腹を切らされる、ということが繰り返されています。

 記事中、「河井案里」さん夫妻のはずが「河合」になってしまい、申し訳ございませんでした。

【号外】ガースー官邸「夏の陣」河井夫妻摘発で外堀は埋まってしまうのか』―夜間飛行 http://yakan-hiko.com/BN9815

 概要についてはyoutubeで2月にも語っているのですが、随分話も進展して、広島地検も頑張り、また、大阪地検や東京地検特捜部も出張ってきて協力をしている模様。なかなかの様相になってきました。



 一方で、自由民主党内のつばぜり合いについて、やはり新人候補の擁立・支援にあたって1億5,000万円の「党費」が使われたこと、それが岸田派の重鎮であった溝手顕正さんに対する安倍晋三さんや、官邸の要である官房長官・菅義偉さんとの関係の悪さ、さらにポスト総理争いまで絡んで、滅茶苦茶なことになっているわけですよ。

 そして、そういう『党費』がどう捻出されたのかについて、裏金の作られ方も含めて証言が集まってきているようです。そのまま大疑獄事件になり自由民主党の危機になるのかどうかは分かりませんが、なんで横車を押してまで検事長・黒川弘務さんの引き立てを狙ったのか、検察庁法改正・国家公務員法改正問題も含めた見立てを整理して号外にしました。

 ご関心のある方はぜひご一読賜れますと幸いです。



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あまりにも滅茶苦茶な論考記事が朝日新聞系ウェブメディア『論座』に掲載されていたので、驚いて質問をTwitterでしてみたのですが回答は得られませんでした。Youtubeでも第一報についてコメントしてみました。



 元の記事はこちらです。

「超過死亡グラフ改竄」疑惑に、国立感染研は誠実に答えよ! - 佐藤章|論座 - 朝日新聞社の言論サイト https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052600001.html
(魚拓) https://web.archive.org/web/20200527093546/https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052600001.html

 うーん、どこから突っ込んだらいいんだろう。そのぐらい、かなり無茶な記事なのですが、結論から言えば、グラフ改竄などしていない国立感染症研究所にあらぬ疑いがかかり、統計捏造が相次いだ安倍政権への批判とごっちゃになって大迷惑といった趣です。

 そもそも、各都市(東京、大阪など指定21都市)から発表される死亡者個票の集計は概算値であり推計です。説明書きにもそのように書いてあります。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2112-idsc/jinsoku/131-flu-jinsoku.html

 また、「グラフにおける実際の死亡者数は死亡の定義が異なっているため、人口動態統計の公表数値とは一致しません」と書いてあります。本来、死亡者速報についてはおおよそのインフルエンザ等感染症の流行の傾向値を知るために暫定的に公表されているものであって、正確な死亡者数値は約4週間程度を経て修正される前提で利用されます。これは、インフルエンザ等感染症に関連した主訴を持つ患者さんがどのくらい増えそうかや、インフルエンザワクチンの接種可能状況などの参考にするために医療機関がチェックする目的で使うものであって、にわかに話題になったコロナウイルスによる死者推計のための超過死亡者を弾き出すための正確なものではないのです。

 しかも、それらは暫定値であるということは2月の段階で多くの感染症対策医や感染症モデルに詳しい人たちによって中期が為され、Quoraなどでも質問のたびに回答が行われていて、Charlotte Elizabeth Dianaさんも本件については網羅的に「あくまで推計であって、死亡者個票の実数は追加で発表され、グラフも修正される」ことを説明されています。

 ぜひ以下リンクをご参照ください。

日本の「超過死」についての注意事項|Charlotte Elizabeth Diana #note https://note.com/lotta_liz_di/n/n506972308fd6

 そして、Bloombergなどでも我が国の(主にコロナウイルスによる死者であると推計される)超過死亡について死亡者個票の確定値を元に算出された人口動態統計を基準に報じられ、結果として超過死亡は無しという結論になっています。これは、5月26日に発表された人口動態統計速報によって「1ー3月の累計死亡者数は36万8793人で過去5年の同期間の平均を0.7%下回」ったことが確認されたことによるものです。

 当然ですが、佐藤章さんが『論座』で示した国立感染症研究所による「情報の捏造」や不可解なグラフの変化なるものは存在せず、要するに誤報であるという結論になります。

 たぶん、担当者ベースで集まった数字をExcelの自動グラフ作成で出力したものを画像化してサイトに貼ってるだけであって、グラフの目盛りが変わっているのも大した意味はなく、そんなもの棒グラフぐらい普通に読めよという話ではないかと思います。

日本の1-3月死亡者数は減少-新型コロナ拡大も超過死亡確認されず
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-28/QB0MVSDWX2QB01

 それも、当該記事中に佐藤章さん本人がちゃんとサイトの但し書きを読んで、これは推計であり速報値であるという認識を持っています。推計なのだから、実数が後から報告されればグラフは修正され、より正確な統計(速報)である人口動態統計で判断されるべき(この数字も、死亡月の修正などがあるため、確定するのはもっと後にはなるが、はるかに正しい数字となる)という話です。

[引用]
 国立感染研の説明を読んで、まず念頭に置かなければならないのは、グラフの縦軸にある「死亡数」というのは、実際の「死亡数」ではなく、推計された「死亡数」であるということだ。
--ここまで--

 さらに、当初から国立感染症研究所ではデータの出どころや性質については但し書きがしっかりとサイトに記載されており、記事中にもある通り電話取材で感染研から塩対応されて「木で鼻を括ったような回答」と小見出しにしています。でも、単純にその通りサイトに書いてあることを批判がましく電話取材されたら門前払いするのも当然です。私なら電話ガチャ切りも厭いません。

 これは「安倍政権では統計数字や公文書の改竄の露顕が相次ぎ、問題になっているので、国立感染症研究所でも同様の統計不正が行われているだろう」という取材者の予断によるシナリオ通りに取材を進めて強引に記事を書いた結果、捏造に近い誤報になってしまった、ということではないでしょうか。

 国立感染症研究所も現在目の前のコロナ対策だけでなく、インフルエンザや結核、麻疹など常にある感染症の脅威に忙しいところで、こんな与太記事を朝日新聞系列のウェブサイトに書かれても馬鹿らしくて放置しているのかもしれませんが、こんな公衆衛生にまつわる統計のイロハのところで誤報を流してしまっては駄目なのではないでしょうか。

 結果として、この『論座』ではアクセスランキング1位に君臨し、この記事への反響を見ると「国立感染症研究所は捏造をした」と思い込んだ人たちによる書き込みで溢れています。確かに、この記事の書き方で、医療統計や公衆衛生についての知識がない人であれば、誤報を鵜呑みにして噴き上がるのも当然と言えます。

https://twitter.com/search?q=https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052600001.html

 さすがにこの誤報については国立感染症研究所の名誉のためにも早々に内容を取り下げ、訂正記事を出すのが「誠意」だろうと思いますし、それでもなお捏造なのだと主張したいのであればもう少し納得のいく取材を重ねて論考を練ったうえで主張してもらいたいとも存じます。

 蛇足ながら、感染症対策に限らず保健所や国立感染症研究所については、今回本当に最前線で奮闘してくださり頭が下がることばかりです。先日も、個人的な事情で地元の千代田区保健所に相談出させていただいたときは、大変丁寧な対応を賜り、こちらが恐縮したぐらいです。

 同じく朝日新聞の報道ですが、各保健所では情報のやり取りが紙ベースで、ファックスで個票をやり取りすることがあるという内容が報道されています。ファックスを使うというのはあくまで現象面のことですが、感染症対策が必要であるというときのために、医療に関してはもう少し冗長性の採れる予算や人員の配置ができれば、いざというときに貴重な働きができるのではないか、と思わずにはいられません。

都の感染者なぜ報告漏れ? 集計はファクス、連携できず:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASN5F7F8WN5FUTIL01M.html

 文春オンラインでも記事に書いたのですが、国民の多くの命を奪った結核の問題からずっと、日本の公衆衛生の最前線で戦ってきた保健所の役割をいま一度見直し、然るべき強化をすることもまた必要なのではないかと思わずにはいられません。

根拠なく「緊急事態宣言は要らんかったんや」と言い出す知識人が増えている問題
専門性のある議論は、感染症の研究者や医師に任せましょう #山本一郎 #緊急事態宣言解除 #西浦博 #文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/38122

新型コロナ、日本独自戦略の背景に結核との闘い 対策の要「保健所」の歴史から見えるもの https://www.47news.jp/4844929.html

コロナウイルス対策は功を奏したとしても、他の感染症をどうか忘れないでください|山本一郎(やまもといちろう) #note https://note.com/kirik/n/n6873646519e2

 政府も確かにだらしないし、安倍晋三政権になってから特にデータ、統計に対する信認が失われるような事件が多発したのは佐藤章さんの主張の通りなのですが、だからといって、無原則に根拠なくまともに対策に取り組んでいる人たちを巻き込まないで欲しいという気持ちも含めて、朝日新聞各位や佐藤章さんのご健筆もまた祈念したいと存じます。

山本一郎(やまもといちろう)YouTube
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 一部で「なんやこれわ」と騒然としておりますが、アビガンの有効性を巡って藤田医科大学が何か言ってました。

アビガン「有効性示されず」報道は誤解 藤田医科大が見解 https://www.sankei.com/life/news/200520/lif2005200046-n1.html

 いや、そうじゃなくて、総理大臣の安倍晋三さんが「(アビガンの)治験成績の提出を必要とせず」「今月(5月)中の承認を目指す」とか大見得を切ったから騒ぎになっているんですよ。中間解析が8月までかかるからそれまで待てとかいうレベルではすでにないのです。

治験成績提出「必須とせず」‐アビガン承認で安倍首相 https://www.yakuji.co.jp/entry79168.html 

[引用]
 中間解析で有効性が示されず、現時点で承認に必要な十分な科学的根拠が得られていないとする一部報道を受けたもので、同大関係者は「報道には誤解がある。中間解析で結果を出す方が異例だ」と話した。厚生労働省も「途中経過で判断するのは時期尚早」としている。
--ここまで--

 すでに日本医師会のCOVID-19有識者会議が表明している通り、現段階では効果がはっきりしないアビガン錠の、それも副作用で催奇形性という重いネタがある前提でステップを飛ばした早期承認はすべきでないという話です。

COVID-19治療薬、拙速な承認を行うべきでない:日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202005/565613.html

 大脇さんがこの辺をすでにまとめているので、問題が良く分からないという人はちゃんと読みましょう。

アビガンは効かない|k_owaki #note https://note.com/k_owaki/n/n41bb28b3c6b7

 もちろん、国産のアビガンが効いてくれるほうがいいに決まっています。コロナウイルスの問題は解決の糸口が一つでも多いほうがいいのは間違いない。ただ、プロセスを飛ばすなら飛ばすなりのしっかりとしたエビデンスとバックグラウンドがあって欲しいと切に祈ります。

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 ヒマネタに類する話題ですが、例の「9月入学」論にあたって、いま半年遅らせて9月入学にするか、段階的に一か月ずつずらすかみたいな検討会が行われている最中です。

 もともとギャップイヤーや9月入学についてはもう10年以上前から議論になっていたものの一向に話が進まず、高等教育での入学時期ズレのお陰で留学や単位交換が進まないと言った弊害をどうにかしろという要望は出ていました。私個人の考えで言うならば、もしもコロナウイルス対策で3月4月5月に授業ができず、夏休みを潰して帳尻を合わせるぐらいなら、長年の懸案だった9月入学の検討を進めても別にいいんじゃないのという消極的賛成派です。

 そこでエビデンスベースドの流れから教育経済学的な考え方や、高大接続その他の学力観の問題について詳しい人たちがオンライン上で集まってあーだこーだ議論が盛り上がっているわけなんですが、中でも賛否両論というか酷評気味な感じで取り上げられていたのが慶應義塾大学教授の中室牧子さんのプレゼンでした。

科学的根拠に基づいて「9月入学」を考える
https://drive.google.com/file/d/1wGoEJPGRlSzFjOrqlQ-p5wsCZJqRiKZf/view

 見物に行ってみたのですが、言われているほど悪くもなく… というか、ギャップイヤーの議論はともかく、そもそも感染症対策で安倍ちゃんが思いつきで全部学校を3か月閉めるという時点で化学的根拠がないし、調査票が取れる前例もない(あるわけない)ので、中室せんせに限らず「科学的根拠を出せ」と言われてもあるわけがないんですよね。いままで起きたことがないし、データもないんですよ。

 資料の中にあった通り、長時間の休みで学力が落ちた、学校が閉まっていたので成績の良い子はより良く、悪い子は墜落したとか、それって要するに酒を飲んだら酔っ払った程度のエビデンスしかいまのところないわけです。生涯の逸失所得が増えるとか書かれていますが、最大の逸失所得はいま目の前で倒産の危機に瀕しているサービス業の皆さんやフリーランスの方々、そしてこれから社会に出るはずだった新社会人の皆さんこそが最大であって、何をのんびり半年学校がないことの生涯賃金の低下を推計出してるのかという話は当然出ます。

 それでも、ギャップイヤー気味に「9月入学」という話があるからには、単に時期をずらすということではなく、オンラインを使った学び、子どもや学生が主体的に参加し、教える教師ではなく授業をきちんとファシリテートする能力をどう教員が養うのか、あるいはプログラミングやSTEM教育、英語教育も含めた教員外の外部人材を使った学校の現場に加えて、むしろ「何を増やすか」だけでなく「どう教師の負担を減らすか」も含めた学校改革が必要なのだという議論は出るでしょう。

 さらには、いま日本で進めている6/3/3/4の学校制度は望ましいのかどうか、あるいは3歳以上から義務教育にする制度の推進、ギフテッド/2e教育の拡充など、日本が本来必要としている初等中等教育の在り方をきちんと議論せえや(単に「9月入学」の文脈でだけエビデンス掘り起こして是非判断するなや)という気持ちになります。

 熾烈すぎて問題になっている中学受験についても、学校教育と狭き門を維持したい私立学校の間でミスマッチが広がり、学校の教育をおざなりにしてSAPIXや早稲田アカデミー、四谷大塚など大手進学塾の週間試験の成績に一喜一憂する受験一家の弊害なんぞもきちんと含んだうえで、より意欲的に「日本が将来必要とする、活躍する日本人像」に向けた学力観の構築が必要なんじゃないかと思うんですよ。

 むしろ、学校が休校している間に運動不足になる子どもたちのためにどういうケアをするべきなのか、家の中にいることの多くなった子どもがきちんと父親・母親との間で然るべき良好な関係性を維持しているのかといった、家庭の機能をきちんと考える必要があります。「9月入学を進めると、子どもの生涯収益が損なわれます」というのもまあ分かるんですが(実際にエビデンスを出せと言われるとそういうのしか出てこない現実もありますが)、学びをどう変えていくのか、何を目指していくのかにももう少し注目し、また学校の現場の大変さに加えて家庭の機能の再認識も含めた「子どもを取り巻く総合的な環境」について議論していかないといけないんだよなあとも思います。

 別に「どうせコロナなんだから、必要なことを大胆にいろいろやっちまえ」と乱暴に言うつもりもないのです。ですが、上手い形で実施計画を組むだけでなく、将来こういう子どもに育ってほしい、頑張って良い日本人になり、良い父親母親になっていってほしいと思えるような心と未来の問題にもフォーカスしていっていただき、それを実現するにはどういう制度か、何の技術か、いかなる教育かと考えて欲しいなということで。

山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)

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 一読して「なんじゃこりゃ?」という記事が会員制月刊誌FACTAの政治欄に掲載され、そっち方面の物好きがオンライン上に集って意見交換をしております。クソ深夜なのにご苦労なことです。

 この記事は、巷の安倍政権批判の文脈において「官房長官の菅さんが、安倍政権を見捨てて守ろうとしなくなった」という意味合いをまぶして、むしろ菅義偉さんの人物像を否定死にかかっています。しかし、検察庁法改正のすったもんだで強行採決するのしないので全く逆の情報がさまざまなメディアから出て大騒ぎになっているこの状況で見ると、むしろ安倍官邸が用済みになりつつある菅義偉さんの「御役御免」の段取りを見据えている雰囲気にも感じられます。

安倍を見限る菅義偉 https://facta.co.jp/article/202006030.html

 安倍4選を目指して改造をするんだ、そこでは新官房長官に誰を据えるんだみたいな話はもちろん出回るのはもちろん仕方がないのです。でも、ただでさえコロナウイルス対策で疫学的にも経済的にも国民が大変なところに加えて、今回の検察庁法改正論議に米中対立で中国の船が尖閣諸島にたくさんやってきている現状を鑑みるに、結構な国難が目の前にあるのに大物人事で政権が動揺しているかのような話というのはさすがに国民からしても冷めます。

 さらには、緊急時対応のために憲法改正をというコメントが、憲法の日に安倍晋三さんから飛び出しまして、まあお日柄的にそういうことを言わなければならないというところは割り引くにしても、いま大変な時期に憲法改正のような本来安倍さんがやりたいそもそも論をぶん投げて国論を二分してしまう必要がどこにあるのか悩ましいのです。

 少し長いですが、重要な部分の引用。

[引用]

官邸官僚で菅氏が最も頼っている和泉洋人首相補佐官との「不倫疑惑」がスキャンダルになった大坪寛子内閣官房審議官は4月3日付で官邸の兼務を解かれ、厚労省専任に戻された。菅氏が避難させたにせよ、和泉氏の腕力を封じられた菅氏には大きな痛手だ。菅氏もやられっぱなしではない。与野党協力が必要なコロナ危機の最中、あえて野党の猛反発が必至な検察官の定年延長法案を国会に出した。「官邸の用心棒」と噂される黒川弘務東京高検検事長の検事総長就任に道を開く異例の定年延長閣議決定を後付けの法解釈で正当化するため、人事制度全体を変える強権手法だが、そもそも黒川氏と蜜月なのは菅氏である。安倍首相はこの件にほとんど関心がなく、「問題の本質をよく理解していない」(官邸高官)とも言われる。

--ここまで--


 ここでFACTAで記事を執筆している方の素性が何となく分かるわけですが(おそらくとても信頼のおける人物です)、しかしこの指摘が事実なのだとするならば、安倍官邸はいまここに及んでなお週刊文春に大坪寛子さんと首相補佐官・和泉洋人さんとの関係を文春にタレ込んだ人物すら掴めていないことになります。

 国民からすれば、いろんな人間同士の諍いはあるにせよコロナ問題で人の命と日本経済の命運がかかっているところで安倍晋三さんと菅義偉さんの間で「隙間風」と言われても途方に暮れてしまうわけで、まあだから記事では敢えて「ステーツマン(立派な政治家)」という表現で解き表しているのでしょうが、もうちょっとうまくやって欲しいと思うのです。

 いわば、隣の家が燃えた火がこっちに延焼してきそうで、一家で慌てて外に出て避難したら路上で夫婦げんかが始まったようなもので、ほんと途方に暮れるんですよ。このタイミングで元小池百合子さんの秘書であるプレジデント誌が「菅義偉・人生相談」とか、見ようによってはヒマコンテンツをぶっ込んできて、これが菅義偉批判に繋がっているのもまた知るべしというところなのですが。

 いや、ほんと「真面目に政治をやってほしい」という以外にないよなあという読後感と、失点続きの菅義偉さんを官房長官に据え続けてきた安倍晋三さんの気持ちをおのおの四十字以内で述べよ的な状況になっております。困ったもんだなあと。

山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)
山本一郎(やまもといちろう)YouTube

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