月別アーカイブ / 2020年03月

 小池百合子さん、パフォーマンスしか考えていないようですが、まだ細目が詰まってないのに会見をやるってことだけ決まってて、騒動になっております。いまが18時30分ですから、一時間半の間に全部の調整を終えるつもりなんでしょうか、さすがは我らが小池百合子さん。安定感ゼロでも全力で走る姿勢、感動を禁じ得ません。

 小池百合子さんと言えば、豊洲市場移転では共産党や森山高至さんの与太話に乗せられて多額の都税を無駄にし、さらに2号線の着工も遅れたうえに東京オリンピックの開催にあたってはホストであるにもかかわらず意志決定から外されるという大技を披露されましたが、今回もこの大ピンチの状況でスーパー見切り発車をして都政と都民を大混乱に陥れてしまうのでありましょうか。

 いまさら何を笑うのかという話ではありますが、千葉を見て「森田健作よりはマシ」と自分を慰める以上のことはできない都民としては、今回の見切り発車が「緊急事態宣言」でないことを祈るのみです。ガースー黒光り官邸の主である官房長官・菅義偉が記者会見で小池さんの暴走を念頭に「ギリギリ踏みとどまっている」と発言する伝統芸能を見せ、3月31日まではやるなよ、やるなよ、絶対にやるなよというダチョウ倶楽部メソッドをフリにしたのがいけなかったんでしょうか。

 そして、小池百合子さんが「やるなよ」と言われた非常事態宣言を前のめりに出してしまうのかどうか。まだ分かりませんが、私は確かに現段階で外出の自粛要請だけでなく、感染症法33条等に基づいた強制力のある外出禁止令を出すのは仕方がないタイミングではあると思います。ただ、できて3日間、どこで打つかという問題と、「新型インフルエンザ等」に突貫工事で今回の新型コロナウイルスも入ったのでこの伝家の宝刀を抜くにあたっての抜き方が大事なわけですよ。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の 一部を改正する政令等について(施行通知)
https://www.mhlw.go.jp/content/000613829.pdf

(交通の制限又は遮断)
第三十三条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

 一か所を想定している条文ですが、ドバーッと制限しちゃえばいいんですよ、ドバーッと。
 そういうことをやるために、わざわざ3月26日に政令出したんでしょ。

  充分ではないけど強制力があるので、何かやるのであれば、せめて3月31日15時以降にしてほしいんですよね。もしくは、やるぞやるぞと危機感を高めていって、北朝鮮のような芸術的な瀬戸際外交を小池百合子さんには期待しなければならなかったのです。彼女自身にそのような能力があるかどうかは別として。

 でも、都道府県知事の持っている権限は、今回とても大きいんです。いままでは、新型コロナウイルスが指定感染症になって、強制措置・入院させられる方針を打ち出せるだけでなく、交通機関も強制的に止められる。そのぐらい、東京都民の健康と財産は小池百合子さんの双肩にかかっておるわけです。

 しかしながら、小池百合子さんがぶっ放した発言はこれです。

小池都知事、志村けんさんの死去を「最後の功績」。ネット上で批判の声 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e819fdfc5b6256a7a2d8a9a

最後にですね、悲しみとコロナウイルスの危険性についてですね、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださったという、その最後の功績も大変大きいものがあると思っています。

 いや、そうじゃねえだろ。

 最初これを見たとき鼻水が出ました。せめてコロナ騒動が落ち着いた振り返りで言えよ。どうしてこういうときだけ正直者になるんだよ。

 ということで、小池百合子さんが記者会見で余計なことを言って爆発が発生して記者席が陥没し、記者会見場がセットごと壊れて最後に黒塗りになった小池さんが「だめだこりゃ」と言って大団円としていただきたいと願うのみです。

 で、宇佐美典也さんも書いておられましたが、軽症の感染者対策として隔離策はどうかという話は実際に動いていたものの、結局は人員、機材、装備の問題で実働させるにはリスクの方が大きいということで検討段階でまだ止まっている雰囲気があります。

https://twitter.com/hinabe_ch/status/1244549114857000961

 本件については、カエル先生こと高橋宏和さんも指摘されていますが、人工呼吸器だけがあってもしょうがないですし、一時的な隔離施設があってもダイヤモンドプリンセス号のような状態になりかねない(空調その他、感染症対策が行えるようにはそもそも建物が設計されていない)ので、改装した施設内で感染がむしろ蔓延する怖れがあるだろう、ということのようです。

志村けん氏の訃報を聞いて町医者が伝えたいこと。
https://www.hirokatz.jp/entry/2020/03/30/103946

 あくまで人工呼吸器ってのは最後の砦であって、一番大事なのは家からなるだけ出ず、自分が感染しないこと、感染している可能性があっても無自覚である以上自分が感染を広げないようにすること、に尽きると思うんですけどねえ。

 そうこうしているうちに、官房長官の菅義偉さんが「緊急事態宣言やロックダウンの噂を強く否定」と言っておりました。本当にやらないのならそれがベストだと思うんですけど、わざわざ3月26日に感染症法の政令まで2発ぶっ放しておいて、観測が出ないはずがないわけですよ。

菅長官 「近く緊急事態宣言」「ロックダウン」のネット情報を強く否定 https://www.sankei.com/politics/news/200330/plt2003300024-n1.html
日本医師会「緊急事態宣言出してよい状況」 #日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://www.news24.jp/articles/2020/03/30/07617631.html
 
 「3月31日までもってくれ」ということであれば、菅義偉さんとまったく同じ気持ちです。
 ただ、それだけ安倍政権・官邸が後手に回った対策もあって、医療崩壊しかねないという危機感を国民にどう持たせるのか、あまりきちんとしたコンセンサスはないのだ、ということの証左なのだろうな、と思います。

 むしろ、東京証券取引所を閉めろ、大正義・中央線山手線を含む公共交通機関は運行をやめろ、空港も一時的に閉鎖だ、だから国民は危機感をもって当面の2週間・3週間は外出をせず、みなで結束してコロナ危機を乗り越えていこう、あとでリーマンショック時以上の経済対策は打つからさ、と言ってくれればそれでよかったんですけどね。

山本一郎(やまもといちろう)YouTube

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(追記 20:45)

 30分ほど遅れて始まった会見、ネット上では「おい、小池!」など待たされた視聴者からの怒号が飛び交っておりましたが、15分見てたけどもちろん何らかの宣言は出ず。

 そればかりか、具体的な休業補償など対策の発表は無し、外出については改めて自粛程度の呼びかけで終わりという、何のための緊急記者会見なのかという状況になり、しめやかにタブを閉じました。

 さっき読者の方からご指摘ありましたが、日本医師会はこんなことをすでに仰っていたのですね。医療クラスタからすれば前の週末(27日)に出していれば感染がもっと防げたかもしれない、という忸怩たるところは大きいのかもしれません。ただ、週末に宣言出したら経済が死ぬというギリギリの線じゃないかと外部からは思えるんですよね。

日医幹部、首都圏「緊急事態宣言してよい状況」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57400220Q0A330C2EA2000/

 菅義偉さんとの間で先を見据えたブックありのプロレスであることを祈るのみであります。

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 ちょっと家庭の事情もあって複数の町内会を掛け持ちしている、というか顔を出しているんですけど、実家の近くの町内会で「コロナウイルス患者が近所に出た」と言って騒ぎになったんですよ。

 もうね、パニックですよ。

 実家近所の知り合いという知り合いから、誰だ、何処に出たんだ、何処に行ったと連絡多数で情報を求める人で大パニック。

 私なんかは「おい、少しは落ち着けよ」と思うわけですが、しかし騒いでいる人たちからすれば「山本さんは、実際は実家から離れて住んでいるんだから悠長に言っていられるのだ」という話になる。

 でも、こういう「犯人探し」に駆り立てられる人たちの熱量は凄いんです。どこそこの爺さんを最近見かけないとか、あそこの一家が一昨日急に引っ越したとか、そういう人力相互監視モードに簡単になってしまうんです。その前にも、院内感染が報じられた病院に勤務をしていた看護師(私の姪のママ友)がどうやら感染したようだという噂が流れ、住んでいるマンションに入らせるなと住民がマスクとレインコートで「武装」し、マンションの入り口を封鎖して騒ぎになりました。

 その結果、封鎖したはいいもののマンションの中の住民が出られなくなり、買い物に行きたい奥様方と感染の噂のある女性をマンションに入れたくないおっさんとの間で内部抗争が発生し、無事に奥様方が勝利、多数のトイレットペーパーを買い込んだ奥様方に交じって感染を疑われた女性も凱旋帰宅しておられるという物件になりました。もちろん、ご本人はまったく感染しておらず、何も問題なかったようです。

 先日、田中信彦さんが中国における町内会にあたる「居民委員会(居委会)」を解説する記事を発表しておられ、日本と中国の間での町内会の実力の差をひしひしと感じる事件だったなと思い返すのであります。

徹底的な隔離はなぜ実行できたのか~中国の「大衆を動かす仕組み」の底力 https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2020032601/index.html

 日本の町内会で言えば、中国の居委会とは違って単なる寄り合いベースで、中国共産党から指示や連絡や情報が降りてくることはなく、あったとしても市役所の職員さんや市議会議員さんたちから個別に「今度、こういうことがあるのでよろしくお願いします」という要請ベースの話が基本です。

 また、民生委員さんも含めて「やらなければならないこと」に対して「それに対応できる人員」が圧倒的に不足しているので、話を承っても身の回りの手の届く範囲内だけに連絡を回してそれで終わり、ということのほうがどうしても多くなります。もちろん、管理しているマンションの組合や地元の商店街、大規模商業施設の施設長といったところには連絡を回すんですけど、町内会ができることは町内美化や独居老人・障碍者への声かけと付き添い程度で、出来ることは少ないのです。

 そこに降ってきたのがコロナウイルス騒動です。言うなれば、レベル1で銅のつるぎを装備したぐらいのパーティーがドラゴンに遭遇したようなもんです。こんなの受け止められないわけですよ。

 町内会長が最近連絡取れないなと思ったら、奥さんが泣きながら電話してきて保健所や学校や福祉施設などから大量の協力要請がやってきてご本人が精神的にパンクして寝込んでしまった、と。いやお前、先週駅前のドラッグストアで早朝にマスク買うために並んでる元気な姿を見たぞ。

 綺麗事として「住民の問題は地域で解決しましょう」と言われても、受け止める側がヒマな老人とボランティアが大多数の寄り合いでしかない町内会にそんな負担は担い切れないので、何か起きると私のような人間が駆り出されることになるのです。

 で、起きたことは「うちの町内会の区域内にコロナ患者が複数出たと言われたので、どうにかならないのか」という無理難題であります。

 そんなの受け止められるわけねえじゃんかよ。そもそも、コロナウイルス感染者を特定してどうにかしようというのが無理だ。むしろ、それが誰なのか突き止めようとするな。そう思うわけです。

 ところが、次に発生するのは犯人探しのような、コロナ感染者の特定を急ごうとする高齢者の動きなんですよね。どこそこの小学校のママが罹ったらしい、あそこの配達員が怪しい、根拠のない情報が大量に乱舞します。それでいて、本人が本当にコロナウイルスに感染していたら「すみません、あなたはコロナウイルス患者ですか?」と訊きに行く高齢者本人が危ない。

 結果として、町内会の皆さんから「山本さん、若いし元気そうだから訊いて来てよ」と言われる。そこでなんで私に白羽の矢が立つんだよ。お前らは馬と鹿とのハーモニーですか。

 私のやることは「そもそも特定しようとするな、自宅から出ていないかどうか確認するのは保健所や役所の仕事だから」とブチ切れて役割は終わりです。お疲れさまでした。

 さらに日が経って、どこからか「この町内会では感染者が増えて数人いるらしい」という噂が出回り始めます。まあ確かにいてもおかしくはないんだろうけれども、20万人以上いる都市で数人いたところで誰が患者なんだか分かるはずがないじゃないですか。しかし、町内会のお年寄りたちは「市長さんは頑として教えてくれないが、市議会議員さんはうまくやってくれて、誰が患者なのか知っていると言っていた」と自ら不安定な噂を拡散している始末です。

 この感覚、どこかで感じたなあ。そうだ、「人狼」だ。みんながみんな、あいつが狼ではないかと疑心暗鬼になっている。医学的にではなく、民主的な議論の結果「あいつが狼である」と認定されて吊るされるという。コロナウイルスが怖すぎて、誰が感染者かという問題にのめり込んだ結果、確たる話などどこにもないのに、誰かが感染者に違いないと探し出して安心しようとするのです。

 そして、自分自身が感染者になってしまっているかもしれないという認識もない。

 そりゃあコロナウイルスは恐怖かも知れないけど、まずは不要不急の外出はなるだけ行わず、万一出かけなければならないとしても手洗いは怠らず、たくさん食べて良く寝て万が一罹ってしまっても対処できるように心身を健やかにしておくことが最大の対策であるわけです。

 いまでこそお前らコロナ感染者が怖ろしいって言ってるけど、つい先日、小池百合子が都知事のふりして「重大局面」とかいう記者会見をやった日、大挙して24時間営業のスーパーに買い占めに走ってたじゃねえか。普通はそういうところで感染する危険があるんですよ。黙って家帰って腹筋でもやってろ。そのように思います。

 そして、今度は嫁選びに失敗した総理大臣の安倍晋三さんが記者会見をして、なぜか「やるべきことは国民の結束だ。町内会はもっと連絡を密にして毎日会議をやろう」とかお年寄りは言い始めるのです。お前ら全然話を聞いてないだろ、外出するな、集まるなって言ってんだよ。なに町内会の意義にいまさら目覚めてるんだよ。お前の葬式を今日出してやろうか。

 今日にいたっては、さっき聞いた話では町内会年寄り有志が連れ立って、駅前の繁華街や飲食店にたむろしている若者たちに解散のお願いをするのだと雪の中を出かけて行ったと聞きました。何してんだよ。そもそもお前ら今朝もドラッグストアの前に並んでただろ。どの口で若い人たちに「集まるな」と言うつもりなんでしょうか。

 家にいろって言ってんだよ。たったいま、声を枯らして電話越しに怒号をお伝えして私も少し興奮しておりますが、どうか皆さまに置かれましては穏やかなコロナ自粛月間をお過ごしいただけますよう。




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 まあもうどうしようもないので、受け止めて、前に進めるしかないのですが。

 本当は、3月12日ごろには大規模イベントの開催自粛が東京都から各種イベンターには申し入れられており、感染が確認されて騒動になっていたライブハウスや、各種劇場での公演、さらに大規模なDJイベントなどもイベント開催取りやめに追い込まれました。

 このような状況で5月上旬に予定されていたコミックマーケットもあの規模、あの人口密度で開催を強行できるはずもなく、非常に残念なことではありますが中止の発表となったのは仕方ない。誰も悪くないと思うんですよね。

 コミケ準備会から、各サークルに19時過ぎに開催中止のメールが飛んだかと思いますが、詳細は公式サイトに今夜19時30分ごろから順次掲載されるとのことです。(追記:一部、掲載されました)

コミックマーケット98の開催中止について
https://www.comiket.co.jp/info-a/C98/C98Covid19Notice2.html

 私の想いはYoutubeに流しておきました。開催できないことは残念ですけど仕方がない。

0:04 / 12:17 コミックマーケット98中止決定に直面して、考えたこと。
https://www.youtube.com/watch?v=UUKo2xHj_Cc


 問題は、参加を決めていたサークルに対する返金をどうするのかや、その周辺の事業者に対するキャンセル補償をどうするかです。参加者さんへの対応をどうするのか、コミケ準備会も相当悩んだのではないかと思います。また、同人活動で自分はこういう表現をしたいと自腹を切って創作活動をしている人たちはどうにかなる部分もあるかもしれませんけれども、ブースの設営や男性女性を派遣していた事業者や、今回のコミケに向けて大きな発表準備をしていたコンテンツ企業などは千万単位で売上が飛び、貸し倒れることになります。

 東京都の側から言えば、都議会も都庁も随分頑張って各種調整を行ってはいたようです。ところが、7月に開催する2020年東京オリンピックの開催が新型コロナウイルス対策で一年延期になった時点で、都内の各種イベントに関して規模を問わず強い自粛要請しない理由が無くなりました。一大イベントであるオリンピックが中止になるのに、ナイトクラブやライブが営業できる、イベント開催できるはずがありません。

 これは、しょうがないんですよね。もう、どうしようもない。誰も悪くないのです。

 当然、コミケは状況としていかに準備会が万全な対策を打ち、参加者たちが規律をいままで以上に守ったとしても、あんな人口密度である以上はコロナウイルスの感染クラスターにならないはずがありません。楽しみにしている、どうしてもやりたいという私たち個人の情念はどうであれ、中止は当然です。コミケ準備会も状況を真摯に検討してきちんと結論を出したと思います。

 一方で、参加を予定していたサークルさんへの返金は当然行うとしても、事業者や関係先への支払いや、中止決定に対する補償はどうするのか、という問題は残ります。筋論で言うならば、今回は東京都が一段強い対応をするということでコミケを含む都下のあらゆるイベントや飲食店、風俗営業に対して自粛を求めていますので、その中止・休業に対する補償を国なり都なり特別区なり自治体なりが行います、というのはあります。つまり、これだけのカネをあげるから営業しないでね、イベントをやめてねという話です。

 今回の一連の中止においては、東京都庁でも都議会でも「線引き論」が出ていて、少なくとも7月のオリンピック中止までのイベントについては現金での補償を行う意図や予定はなさそうです。あの芸能事務所がやる劇場公演の中止は東京都が補償するが、こっちのライブイベントは金銭補償しない、という線引きを都や自治体が行うことができない、なのですべての事業者に対して公平に中止・休業に対して金銭補償はしない、という意味になるのではないかと思います。公平と言えば公平ですが、エンターテイメントで頑張ってきた産業からすると向かい風どころの騒ぎではありません。

 また、一足先に経済危機に陥りそうな韓国や、一息ついたとはいえフル稼働には程遠い中国の状況を見ると、中国・韓国ほかアジア系の高い制作能力や製作委員会への資金供給が途絶える連鎖の一端にこのコミケ中止がぶつかるので、困難を受けてコンテンツ産業全体、文化活動全体が変容していかなければならなくなるのでは、と思うのです。

韓国との貿易(コンテンツ系)で何が起きているのかと、日本企業の課題をありのままに語る|山本一郎(やまもといちろう) #note https://note.com/kirik/n/nbe4ace9c0530

 こういう状況なので、一刻も早く発注を止めて、ブレーキを踏んで発注をキャンセルしないと関連する事業者が大損をだしたり潰れたりして信用不安を起こしてしまうので、できれば(一部の事業者がコミケ向けの支払いが部分的に発生するであろう)25日には中止を公式に発表してほしかったなあとは思います。まあ、うちも「万が一、コミケが強行開催されたなら違約になる」と考えて払っちゃいましたからね。同人さん向けの事業者は入金や支払いがもう少し先かもしれませんが、一般的に、ナイトクラブであれ劇場公演であれブッキングしてしまった実演家のギャラは中止でも支払わなければなりませんし、売ってしまったチケットの払い戻しをしなければなりません。コミケも同様に、委託してしまった仕事についてはお金を払わなければならないところも多いのではないでしょうか。

 不幸だったのは、30日31日が週末を挟んで月曜火曜だったことで、お支払いで困るようなところはいまから事業計画書を書いて都庁や金融機関に特別融資の申し込みをしにいくにも土日は銀行やってないんですよね。私の身の回りにも「今回、何かあると潰れるんだろうな」という業者さんも少なくありませんでしたので、この週末に資金繰り対応する必要がある業者が多いなら早め早めに情報を出していくしか回避方法はないのだろうなと思っていました。

 業者同士の横のつながりにおいてはさっさと情報はお伝えしていたのですが、関係先のTwitterで本件をスタッフに書いてもらったところ、なぜか先走った人たちが「コミケ準備会が公式に発表していない話なのだから、それはデマだ」といきり立つ反応があったようです。元気な人たちも多くて微笑ましく見ておりました。すでに超党派でイベントのキャンセルに対する補償をどうするのかという議連も立ち上がり、都庁や都議会、都庁記者クラブでもコミケだけでなく大型のイベントの中止はオリンピック延期決定後に強く要請する(事実上の強制に近い)のは知れている話で、業者間にも「中止ですので案件はクローズしてください」という失注の連絡が出ているのですから、行儀よくコミケ準備会の公式発表を待つ必要も私たちには無いんですよね。

音楽ライブの中止に補償を 超党派議員、支援策検討:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56903890X10C20A3PP8000/

 もちろん、本音では「そうは言っても強行開催したらどうなるだろうか」という興味本位もあったわけなんですが、いまのコロナウイルス対策の状況で言えば、当初の秋ごろまでにはどうにかなるだろうという楽観論は消え、ワクチン開発から感染状況を社会がコントロールできるようになるまで一年半以上の期間が必要だという流れになってきています。そうなると、冬コミ開催はもちろん他のイベントもクラブも興行も長い期間全部自粛・中止を余儀なくされますし、休業が続けば飲食店やナイトクラブはバタバタと倒産してしまいます。体験を売るコト消費にサービス業全体がシフトしていったことが、却って感染症対策の強化で壊滅してしまうという残念な状況がしばらく終わりそうにありません。

 そういう長く続くかもしれない危機的状況であるからこそ、いわゆるハレの舞台であるコミケもオンラインや分散開催も含めた方法を模索して、環境の変化に対応しながら柔軟にイベントの中身を変えていってほしい、より意味のある、さらなる価値を創出して、世界に誇れるものにしていってほしいと願っています。


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 2020年3月14日、NHKから国民を守る党(通称「N国党」)の関係先に、警視庁のガサ入れがあった模様です。しかも、なぜかガサ入れがあった事実をそのN国党の関係者が動画でアップしたため、警視庁側が土曜日にもかかわらず一部メディアに状況説明をする事態となり、N国党幹事長の上杉隆さんがかねて主張していた記者クラブが激しく機能してしまうという本末転倒な状況になりました。

 さっそく反応動画をYoutubeに上げておいたんですが、日時を間違えてしまいました。正しくは3月14日です。

N国党の関係先に警視庁がガサ入れ! 立花孝志さんは逮捕間近か。お金集めに協力した堀江貴文さんや幹事長の上杉隆さんも危ない? ……でも、この展開... https://youtu.be/uk1alSJ7ZYE

警視庁、N国党首を任意聴取 威力業務妨害などの容疑で https://www.sankei.com/affairs/news/200314/afr2003140008-n1.html

N国党と立花孝志にガサ入れの詳細がわかりました! https://youtu.be/bJEdgPPINpQ

 ちだいさんのところに出ていましたが、確かにこれはアカンですね。

https://twitter.com/roquence1/status/1238788443578068992

 で、NHKもN国党や立花孝志さんその他には塩対応を繰り返しており、また集金人さんほかは単純に実際の迷惑をしたうえで被害届を粛々と提出し続けていたようでありまして、本来であれば小ネタとされてもおかしくない小競り合い気味の不正競争防止法や威力業務妨害の容疑で家宅捜索に発展しています。

 遠因として、その前に二瓶文徳さんに対する脅迫容疑で書類送検されており、立花孝志さんは粗暴行為を繰り返す人物として、またN国党も反社会的勢力(社会活動標榜ゴロ)の対象集団に準ずる扱いになっているようにも見受けられます。

N国・立花党首を脅迫容疑で書類送検 警視庁 https://www.sankei.com/affairs/news/191002/afr1910020062-n1.html

 ただ、二瓶さんに対する脅迫に関してもそうでしたが、一連の不正競争防止法事案や業務妨害に関して身柄を取られるような逮捕案件になるかは微妙ですし、これ一丁で起訴されることはむつかしいんじゃないかとも感じます。

 動画でも説明しましたが、出資法・会社法違反のほうが認定はむつかしいものの一発でGO TO JAILもあり得る悪質事案と見受けられるので、本当はこっちを本線にしたほうがよかったんじゃないかと思うんですよね。資金集めで堀江貴文さんも協力していますし、お金を預かる役職である(はずの)幹事長も上杉隆さんですし、空間除菌でもしてくださったほうが良かったんじゃないかと。

 堀江貴文さんの「クリスマスキャロル」では、先日がん闘病に悩む患者やご家族相手に素敵な代替医療を高額で提供していたことが報じられた湘南美容外科グループ(SBC)のスポンサードで立花孝志さんが資金集めと広報のゲストとして招聘されていました。

 その後、N国党所属の立候補者が行っている選挙運動を党首立花孝志さんが幹事長・上杉隆さんと一緒に堀江貴文さん主催の麻雀大会に長時間入りびたり。そして、2月に開催されたホリエモン祭ではゲストに呼ばれるなど、引き続き堀江貴文さんと立花孝志さんの関係は深いわけですよね。

「NHKから国民を守る党」立花孝志さんの微妙な資金集め動画と、広告塔となる堀江貴文さんの蜜月(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191210-00154435/
あの湘南美容グループ「がん免疫療法」の真相 告発スクープ!有効性を示す論文はなし | 最新の週刊東洋経済 - 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/330037
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 もちろん、これらはウォッチャー目線なので、警視庁はある案件を淡々と解決しておられるのだとは思います。万が一、これでN国党の関係者が具体的に逮捕されました、立花孝志さんも身柄を取られました、となると、面倒なことになります。

 破産もできずにN国党の関係者みんな最後まで債務を負うことになるかもしれないので、まだ先のある人は早めに逃げ散るなり、高利に釣られてN国党にカネを貸してしまった人は返済を求めるなり、頑張って身の振り方を考えていってほしいと切に願います。

 まあ、高利で釣って集めた借金を元手にクラブで豪遊していたという話もありましたが、いい歳をした精神的に危ういおじさんが、長年の一発芸がついにあたって一度は国会議員のバッジをつけるまでにいたった、という人生ウォッチングという意味では最高に面白いコンテンツだと思います。願わくば、周りの人を巻き込まず、面白さを社会的に有意義に昇華していってほしいと願っております。

 無理かもしれないけど。

◇火鍋チャンネル 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC_d247C8KBoSz6p75kGQQgw



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 世界的に市場環境が慌ただしくて対応に追われるなどクソ忙しい最中ではありますが、先般、カドカワ元代表取締役(現・KADOKAWA社取締役)の川上量生さんから東京地裁に提起された名誉毀損のSLAPP気味の訴訟で、無事に勝訴しました。

 私が川上量生さんに対して書いた文言については「川上量生さんの社会的評価は低下しない」「意見論評としての域を超えるものではない」「社会通念上許される限度を超える侮辱行為ではない」と認定されました。

 世の中大変なところで、本件のようなほのぼのニュースをお届けできることを誇りに思います。

 なお、一連の訴訟は三部構成になっており、最初に「カドカワ代表取締役 川上量生」の名義で私の所属する情報法制研究所に抗議文が送られてきたことに対する債務不存在確認の第一訴訟(その後損害賠償請求を追加)、これを踏まえて川上量生さんが私に名誉毀損と訴えてきた第二訴訟(本件地裁勝訴の裁判)、さらに私が川上量生さんに対して名誉毀損で訴えた第三訴訟が並行して進んでいます。

 関係する有志の皆さんからのご支援もいただきつつ、まずは地裁で望む結果が得られたというのはありがたく存じます。改めまして、ご支援くださった皆様方には深く感謝申し上げます。

山本一郎氏、川上量生氏に勝訴 「侮辱的な表現に誘発された」「限度を超えていない」|弁護士ドットコムニュース https://www.bengo4.com/c_23/n_10924/

 経緯に関しては、火鍋チャンネルの公式Twitterが記してくれています。


 川上量生さんが問題だと言って訴えてきた私のTwitterの書き込みはこれです。

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 1と2は、いずれも川上量生さんが海賊版対策において、憲法で違憲の疑いがあり、通信事業法でも緊急避難とはとても言えないサイト遮断(ブロッキング)に賛成する発言を政府委員として繰り返し行っていたことに対して書いたものですね。

 川上量生さんの主張するサイトブロッキングは否定され、業績不振の責任を取ってカドカワ社の代表取締役は辞任に追い込まれ、経営の調子が良かった頃に適当に広げた人工知能将棋やニコニコドキュメンタリーやテクテクテクテクや東京東京フェスティバルやバーチャルさんは見てるやけものフレンズ2やジブリ関係などなど川上量生さんが手がけるものは見事に全部失敗して壊滅的な状態になっていますね。
 これ。川上量生さんに経営能力が無いから失敗したんですよ。
 夢を持って仕事に取り組んできたドワンゴ社の方が、リストラや賃下げに遭い擦り切れるように退職ブログを綴っているのを拝読すると涙が止まりません。

 で、その川上量生さんが1円を求める名誉棄損裁判を起こしてこられました。しかも、降りることなく判決まできてしまうという。
 彼は、何のために訴えてきたんでしょうか。ムカついたから? 
 完全に逆ギレじゃないですかね。

[引用]

8日投稿は,その文脈を総合的に考察すれば、ブロッキングの法制化に賛成する原告の意見が不当である旨主張することに主眼があるものと容易に理解し得るのであって、その中に「支離滅裂」、「狂ってる」という侮辱的な表現が含まれているとしても,被告が、原告から、従前「日本のネットのガン」、「総論として屑」、「下劣な品性の持ち主」、「ごろつき」などと、ブロッキングの法制化の是非を巡っての直近のやり取りで 「山本一郎が発狂しているな。」などと、いずれも侮辱的な表現を用いて批判されていたことに照らせば、かかる原告の侮辱的な表現に誘発され、これに対抗する趣旨で記載されたものとも考えられるから、8日投稿中の上記表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為であるとは認められない。

--ここまで--

 要するに、私は川上量生さんのブロッキング賛成論を否定しているのであって、裁判所もそのとおり認定してくださり、ついでに先に侮辱的な表現を用いて批判してきたのは川上量生さんじゃねーかというおまゆう判決(お前が言うな判決)になっています。

 3の「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」は、みんな大好き『Civilization 4』の宣戦布告を行うときのセリフなんですが、まさかの唐澤貴洋弁護士さんを代理人に据えた川上量生さんが「刑罰として死刑に値する行為をしたとの事実を摘示し、一般の読者をして原告(川上量生さん)が殺人罪、強盗殺人罪などの重罪にあたる犯罪行為をしたと誤信させ、原告の社会的評価を低下」とか主張してきたんですよ。んなあほな。

[引用]

14日投稿は、原告による被告の所属法人への抗議文の送付やインターネット上での公開がされたことを契機に、その対抗措置として先行訴訟を提起したことをブログ上に発表し、自らの心境を比喩的に語った被告において、これまではインターネット上での相互批判の域を出なかった原告とのやり取りが訴訟の提起という法的措置に進展したことを原告との戦争ないし戦いに例え、原告が被告とのゲームの趣味の類似性を自認し、被告の執筆に係るゲーム記事を好意的に評価している旨公表していたこともあって、「貴公」などという被告の従前の投稿とは全く異なる文体で、開戦を意味する著名ゲームの言葉をそのまま引用することにより、被告自らの高揚した心境をツイッター上でも表現しようとしたものと理解することができるのであり、これを14日投稿前後の被告の一連の投稿と切り離して原告が刑罰として死刑に値する犯罪行為をしたことを意味するなどと解する余地はないから、そもそも原告の名誉感情を侵害するものとはいえないし,仮にそうでないとしても、これが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であるとは認められない。

--ここまで--

 当たり前のことですが、川上量生さんの主張は、一刀両断されています。真っ二つです。著名ゲームの宣戦布告選択肢のフレーズを書いて、それが死刑に値する犯罪行為を行った事実の摘示なわけがないじゃないですか。自意識強すぎwww

 いま読み返していても思わず「川上量生さんwww フフッwwww」ってなるぐらいに「この人は何を言ってるんや?」という心境になるわけでして、シヴィライゼーションやってきて良かったなって思うのであります。

 で、訴訟をふりかえると、これ、嫌がらせだと思うんですよね。これが仮に、相手に何の財力もない匿名アカウントが相手だったら、本件のように1円訴訟だとしても代理人雇わないといけない話になりますし、費用だけでなく、とても手間はかかります。この第二裁判だけでも提訴から一年あまりが経過していますからね。

 そりゃあこんな訴訟の起こし方では川上量生さんに1円の名誉も認められないのかもしれませんが(控訴するでしょうが)、普通の人が訴訟を受けたときは大変です。間違いなく、楠正憲さんのような見解になるでしょう。


[引用]

損害賠償1円を求めて提訴って、裁判で争う手間を考えると嫌がらせもいいところだな。自分はここまで関わり合いになれないんで気をつけなきゃね

--ここまで--

 これが、多くの方から多大なご支援を戴けた私であり、かつ裁判にある程度慣れたうえに、情報法制研究所(JILIS)という文字通り法律の専門家の集まりの団体に私が所属し、さらに代理人である壇俊光先生、神田知宏先生、第一訴訟補助参加人であるJILISの代理人である清水陽平先生、板倉陽一郎先生といったこの方面のエキスパートが揃っていたからこそどうにかなったわけですよ。

 その結果、川上量生さんを「認識不足」又は「注意不足の程度が著しい」と論じても、あるいは川上量生さん派「合理的・論理的な判断が出来ない」と論じても、社会的評価の低下はないと裁判所に認定いただけたというのはありがたく、議論の前後関係も踏まえてきちんとご判断賜ったと思っております。

 まだ一連の裁判はいろいろありますが、引き続きご愛顧、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。



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