月別アーカイブ / 2019年10月

 すでに一部ではご回覧いただいておりましたが、改めて告知など。

 2019年11月25日、19時から。八重洲ブックセンター本店にてということになっております。
 
白桃書房デジタルソサエティ関連書籍フォローアップサイト https://topic.hakutou.co.jp/digitalsociety/archives/364 


Amazonリンクはこちら 『激動の時代のコンテンツビジネス・サバイバルガイド』

 本件、なかなかの力作でありまして、従来のコンテンツ事業が如何にしてデジタルの荒波に揉まれて業界の大きな転換を余儀なくされたかというテーマで各分野の産業を網羅した内容です。

 私も地味に本書で解説など寄せさせていただいているのですが、今回は本書の訳者であられる小林啓倫さんとのトークイベントが企画されたということで、個人的に総立ちであります。

 実は、非常に近い界隈で棲息している小林さんと私のはずが、なぜか今日にいたるまでお目にかかる機会はなくて、以前マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて (マイナビ新書)を執筆しておられた際は、畏友のコグレマサト、いしたにまさき、堀正岳各氏が名を連ねておられるにもかかわらずお会いしたことはないという。また、まつもとあつしさんもイベントで遠巻きに存在を確認した程度で、しっかりとお話をしたことはないのです…。なぜだ、こんなに世界は狭いはずなのに。

 とはいえ、こちら方面の事業コンサルや投資も粛々と手がけてきた私としても、今回小林さんとこの本の出版でご一緒できたことは何よりの誇りですし、もしも家庭の事情がひと段落したならば、改めて勉強をし直してこの業界のさらなる発展の礎の置石の一個ぐらいにはなりたいと願っています。

 そして、私たちの住まうこの世界が、技術革新によって様変わりしつつもこんなにも豊かで、より良いものになっていったのだという振り返りが、本書『激動の時代のコンテンツビジネス・サバイバルガイド』で一望することができます。先日、某大学で学生さん向けにお話をする機会があったので、本書の一節を切って出したら、レコード業界の変遷も含めた内容はすでに「産業史」の一部になっていて、昭和からデジタルと一緒に歩いてきた私たちとは全く違う感慨を若い人たちは持つのだということを改めて知りました。

 彼らからの反響の中で、何よりも大事なことは「何かを知り、脳みそにインプットする方法は技術と共に移り変わっていくのだ」という点で、そこにビジネスモデルが如何に巧緻に組み上げられていようともデジタルの奔流の中で新たな価値を創造するために私たちは住み慣れた世界をいずれは捨て、どんどん新しいことにチャレンジしていかない限り埋没していってしまうのだということを本書は教えてくれるのです。

 そんな話も含めて、当日は小林さんと長い目で見た業界の変遷、そしてこれからどうなっていくのかを交えながら、思うことを語ってまいりたいと存じます。もしもご関心のある方は是非本書をお手に取り、イベントに参加していただければ幸いです。

白桃書房デジタルソサエティ関連書籍フォローアップサイト https://topic.hakutou.co.jp/digitalsociety/archives/364

 くれぐれも、会場をうっかり爆破予告をしたり、トイレで後ろから刺したりすることのないよう心からお祈りしつつ、皆様のお越しを心より待っております。


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 巨大台風一過ということで、凄い快晴になって気温もぐんぐん上昇して夏本番の東京界隈ですが、一昨日から昨日にかけて、かなりの暴風雨が吹き荒れて本当に往生しました。これはもうなるようにしかならないと思い、テレビ観ながらの宅飲みを決め込んでビール出してきて飲んでたんですが、階下は雲が低くて実に微妙でした。低気圧ってほんと何か変なのが降りてくる感じがします。亡くなられた方は大変気の毒ですが想定していたほどの大事件もいまのところなくて良かったですね。

 で、テレビで連呼されていた「落ち着いて、命を守る行動を取ってください」という表現、凄く大事なことだと思うんですよね、災害で大変なところを田んぼや川の増水の様子を観に行って死んでしまっては元も子もありませんから。また、もう台風が吹き荒れてしまっているところでうっかり外出して身を危険に晒すよりは、頑丈な建物の上階にいてじっとしていることがこの手の災害では一番の方策であることは良く分かっています。

 もちろん、そう呼びかけられたところでどうにもならないだろうという気もします。東京都でも、荒川区や江戸川区、墨田区のあたりは台風による堤防決壊だけじゃなくて高潮にも注意しないといけないし、いま「高いところへ逃げろ」と言われても、もう逃げられる状態にないわけでね。

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 まあ、意識高い系東京都民としてはそういう事態に追い込まれて右往左往する前に、なるだけきちんと備蓄の水や食料を買っておくことや、乾電池や懐中電灯、バッテリーなどの準備は大事だってことは分かってます。ですけど、あればあったで「あれ、3日分しかないお。これでうっかり本格的にここが陸の孤島になったらどうなるだろう」とか「目の前に流れている神田川が御茶ノ水駅を超えてこっちにきたら大丈夫か」などと余計な心配を始めることになります。

 高い建物に住んでいたら住んでいたで、台風のような大風だと建物全体がギーコギーコと音を立てて揺れるわけでありまして、猫ちゃんは暴れるし、赤ちゃんも泣き止まないので、まったく落ち着きません。

 そんなわけで、心配なので雨脚が強くなる前にと思って買い物に出かけると、みんな似たようなことを考えているのか見事に商品がない。


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 雨に濡れながら、戦果なしで帰宅するわけであります。ハイリスクノーゲインですよ奥さん。

 でもまあ、家庭の中では台風がゴーゴー言わせる風の中で、家族みんなでワイワイ言いながら一日中ごはんを食べ、テレビをみんなで観て、穏やかに過ごしました。

 で、朝になって地域の活動に出てみると、さすがに都心なだけあって堅牢な建物の上階に避難するなどして、みんな無事で、落ち着いた表情をしていました。あら、元気なら何より。意外としぶとくて安心しました。

 交通機関が死んでいるので、仕方なく車で浜離宮経由で青海方面に行くのですが、例のトライアスロン会場の近くを通ったら大変そうな物体がたくさん浮いていました。大雨だからあれこれ垂れ流しになるのは仕方がないとはいえ、大腸菌祭りと流木大集合のコンボって結構しんどいと思います。小池百合子が悪い。

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 川上量生さんと裁判をやっているんですが、大きなイベントもなく実に静かに進行しているんですよね。


 川上量生さんは私の書いたツイートがデマだと言っていたのに、クラウドフレア社は情報公開請求に応じ、NTTグループもブロッキングを一時は実施を表明しましたから、結果的に私の書いたことは全面的に正しかったわけです。でも、真実誤認性でも主張するために、クラウドフレア社に川上量生さんが行ったとしていた法的措置の内容も無ければ、NTTグループに「訴えてもいいですか」とまで言ったはずの川上量生さんの陳述書も出てきません。


 つつけば川上量生さんが何をしたかったのかもう少し分かるのかなと思っていたら、どうもまったく何も思っていなかったし、具体的には何もしてなかったようだということが分かったような感じで、非常に残念です。

 このままでは普通に裁判終わっちゃいますよ川上量生さん。まだ間に合います。ちゃんと川上量生さんが働きかけた先についての証拠が出てくればいいんですが。


 最近は、川上量生さんはメディアに呼ばれて出ることもなくなり、川上量生さんの珍説を目にする機会も減ってしまっていて、世間に川上量生さん発の笑いが途絶えてしまって残念ですが。みんな、笑える川上量生さんを待っていると思うんですけど、朝日新聞の取材に見事に釣り上げられていました。朝日新聞、グッジョブ。


川上量生さん、いまでもサイトブロッキングは必要ですか:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASM9N468TM9NUCVL00H.html


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 まるで有料記事が落語のようになっていて、はなから馬鹿にされている感じで可哀想です、川上量生さん。

 そして今度は、川上量生さんがどこぞで書いた『総会屋2.0』なる表現について流用した変なサイトで言及した人は誰だろと思って私が情報開示請求を出しプロバイダであるIIJさんとやり取りしていた高裁判決を180度間違って解説した素人サイトがありました。当たり前のことですが、その変なサイトを作っていた人と私との裁判ではありません、発信者の情報開示請求でプロバイダのIIJさんとお話していた内容ですから。IIJさんとは私自身も間接的に取引があるので、プロバイダ責任制限法の枠内でのお話に過ぎません。


 素人サイトがあべこべなことを書いていたので、馬鹿なんだろうなあと思って壇俊光先生と笑っていたんですよ。


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 その高裁判決とは、川上量生さんが私について書いた『総会屋2.0』を変なサイトで記述した件は単なる意見論評であって、事実の摘示とは言えないので、書き込み者の発信者情報はIIJさんが開示せんでもええやろというだけの内容です。高裁は「私への総会屋発言を事実摘示とは言えないということで、発信者情報の開示を認めなかった」という判決ですので、そんなら中傷だなんだと訴えるのも野暮だし、まあいいかと思っていたわけですね。


 そしたら、これをどこかで見た川上量生さんが、判決文も掲載されてないこの素人サイトを見て、Facebookで「これは便利」とか書いて回覧していました。いや、これ川上量生さんが書いた「総会屋2.0」って発言は意見論評であって事実摘示とは言えないっていう、そういう趣旨の判決ですよね。川上量生さんがそう書いているということは、これは川上さんが事実摘示をしたということなんでしょうか。


 繰り返しますが、川上量生さんの「総会屋2.0」という発言は事実摘示とは言えないという高裁判決ですよ。


 この程度のことを書くから川上量生さんは笑われるんだろうと思うんですが、さらに面白いのは、フレンドのみ回覧となっているFacebookですら、川上量生さんの発言や意見に対して「いいね」をする人は悲しいぐらい少数であり、だいたい川上量生さんがかつて事業で一緒だった人ぐらいしか訪れてないってことですかね。


 一時期は、日本のネットコンテンツの旗手として最前線にいるとされた川上量生さんが、ネットの未来は中国的であるべきと海賊版サイトのブロッキング賛成を喚き散らしていたころが川上量生さんの全盛期でしょうか。知らんけど。その後、わざわざ情報法制研究所に削除と謝罪をカドカワ代表取締役名(当時)で封書で送りつけた川上量生さんが、結局はカドカワの業績悪化の責任の詰め腹を切らされて代表を降ろされ、雲の子を散らすように担いでいた人がいなくなったようで、実に寂しい末路を感じさせます。


 川上量生さんが威光を失った理由は私のせいじゃなくて川上量生さんの油断と人望のなさじゃないかとは思いますけれども、いい歳してそこそこの立場にあった人が、判決文も読めずにガセネタに引っかかって正反対の事実認識を持つ姿を見ると、そもそもその程度の人だったんじゃないかと思わずにはいられません。


 実際、川上量生さんがカドカワ取締役およびドワンゴ顧問に降格になってまで会社にしがみついているから、というのはありますが、その後まともなネット系企業の社外取締役などに就任したという話も聞きません。


 川上量生さんとはあれこれ裁判をやっているものの、川上量生さんが親しいとされたNTTグループから何か素敵な証言でもブロッキング絡みで出してくるんじゃないかと正座して待っていたのですが、本当に誰からもなんの助勢もない模様です。


 このままだと何事もなく裁判終わっちゃいますよ。

 川上量生さん、しっかりしてください。


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 長らく闘病されていた元『FACTA』の編集長・発行人だった阿部重夫さんが、リハビリを兼ねて独立し、自分メディアを立ち上げて調査報道の原点を探る事業を始めるのだそうです。マジかよ。

 新メディア名は『ストイカ(Σtoica)』とのこと。すでにパイロット版の募集が始まっているようで、一言、先に言ってくれればよかったのにと思うところ大であります。

阿部重夫 -note
https://note.mu/stoica_0110

 阿部さん、しばらくお加減が芳しくないことは存じていたのですが、骨の髄までジャーナリストなんだなあということで、率直に応援したいと思っています。

ストイカ(Σtoica)を創刊します|阿部 重夫|note(ノート) https://note.mu/stoica_0110/n/n60fce266091f

 結局、私自身は『FACTA』には一本も寄稿することはなかったのですが(本当です)、阿部さんが別の会員制月刊誌『選択』の編集長をされていたころから知己として主に証券系の経済事件でお話をお伺いする機会があり、その幅広い(幅広すぎる)人脈と、信頼できる複数の情報を組み合わせて事件を立体的に把握し記事に落とし込み、二度、三度と繰り返し報じて同じ標的を追い込む調査報道の凄みを拝見しておりました。

 その真骨頂は、ジャーナリスト山口義正さんを起用して一大スクープとなったオリンパス事件に関わる問題、そしてFIFAやオリンピックを巡る電通の一件、さらには鬼才・北尾吉孝さん率いるSBIグループを巡る騒動など、思い返せば調査報道に徹した阿部さんの『FACTA』がつけた一番槍がきっかけとなって世の中が問題に気づき、驚き、動いたというものも少なくありません。





 ある案件では、私がとても親しい企業の経営者が阿部重夫さんの筆に激しく追い立てられ、ツーブロック黒光りゴリラの典型だったのに、半年もしないうちに秋ナスの漬物みたいな風貌になっちゃったのは印象的でした。怖ろしい。実に怖ろしい。人間、上手くいったなとふんぞり返っているところへ、突然ガラリと襖が開けられて槍持った阿部重夫さんが闖入してくるという「好事魔多し」そのものだろうと思うわけです。

 悲しいかな、一人の読者として『FACTA』を見たときに、昨今は良くも悪くも筆のノリが悪くなったな、いかな阿部重夫さんと言えどネタが枯れることがあるのだと思っていたら、実は結構前から健康問題が理由で『FACTA』の現場からはずっと離れていたことを知りました。それを先に言ってくれ。やはり良いメディア、信頼できる記事というのは、箱ではなく人が作るものなのだ、ということを改めて感じずにはいられません。

 調査報道の観点から言えば、いまのネットや情報流通ではPV至上主義的な風潮で「量」がモノをいうこんにちにおいて、ぶっちゃけメディアが「質」を求めて調査報道をしても喰えません。よりセンセーショナルに潜入取材をして一旗揚げることはできても、定点観測で広く世間を網にかけながら継続的に問題を掘り起こし、商業的に成功させるモデルはなかなかないのが現状です。調査報道の機能は新聞各社や通信社が担ってきた部分もありつつ、週刊誌も含めて紙によるビジネスモデルの緩やかな崩壊とともにその行く先は危ぶまれているようにも見えます。

 具合が悪いので『FACTA』辞めるって話だったのに、いつの間にか「調査報道をやるために新しいメディアを立ち上げたよ」と笑ってる阿部重夫さんは、人生の最期の瞬間までジャーナリストなんだと思います。何という根性。死ぬぞ死ぬぞと見せかけて、紳士服屋の閉店セールよろしく令和時代最後までしぶとく駆け抜けるという悪い予感もしなくもありませんが、やはり『選択』や『FACTA』を愛読してきたわたくしとしても、これはもう謹んで『ストイカ(Σtoica)』を拝読しないわけにはいきません。

 事前に原稿をくれているわけでは全くないので、まだ『ストイカ(Σtoica)』を一行も読んでいない私がお薦めするのも変な話ですが、きっと阿部重夫さんのことですから、世に栄えるあんな人やこんな人が誌面で真っ二つにされるような調査報道を連発してくれるのではないかと心から期待しております。

 ご関心のある方は、ぜひどうぞ。

ストイカ(Σtoica)を創刊します|阿部 重夫|note(ノート) https://note.mu/stoica_0110/n/n60fce266091f

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