月別アーカイブ / 2019年05月

 公私ともにあれこれありましたが、その最大のドキドキであった妊娠を乗り越えて、先週、家内が無事に山本家の第4子となる長女を出産しました。


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 何というか、長かった。何がって、妊娠期間が。もともと家内はアレルギーで上昇した好酸球値(白血球)が納まりつかないぐらい増えてしまう病気を3年ほど前に発症してしまい、ステロイド治療を2年半もやって体重が20kg激増し、体調的にも大変だった時期がありました。治療の甲斐があって、ようやく寛解したところの妊娠発覚で喜んだのもつかの間、また妊娠期間中盤から例によって切迫早産の疑いであれやこれや起き、実家では年寄りが介護の手配を待ち、家庭ではいつまでも宿題をやり始める様子をみせない兄弟のケツを叩き、馬鹿みたいに長いゴールデンウィーク進行によって予定は滅茶苦茶になり、何しろ家内が絶対安静を言い渡されて動けないのでゴールデンウィークはどこにも行かず、かといって子どもたちを家に置いとくわけにもいかないので都内各所あちらこちらにワンオペで連れて行き、たくさん写真を撮り、デイケアや施設から老いた両親を引き取って一時間運転して帰宅する…… みたいな生活を送っておりました。家内も妊娠期間中はとてもしんどかったと思います。


 自分の人生において、自分以外の人の人生のためにここまで時間を使った記憶がありません。もちろん自分以外の人と言ってもかけがえのない家族であり、何といっても愛する家内であり、親族であり、そこにまた一人、新しい命を迎えられたことは、何にも換えられない喜びです。月並みな言い方ですが、何人できても子どもはかわいいのです。赤ちゃんはかわいい。生まれるたびに、あたらしい感動があります。別に世の中が少子化だからみんなが一人でも多く子どもを産まなければならないというわけではないけれども、私の次の世代にしか今後の社会をどうにかできる人はいないのだから、全霊をかけて育てなければなりません。でもそれは、日に日に成長する子どもたちと一緒に素晴らしい時を刻むだけでなく、私自身もまた46歳にして新たな一歩、次なる挑戦に誘(いざな)ってくれる使徒として、神から命を授かったのではないかとすら感じ、心より感謝するしかないのです。


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 家内の体調に関しては、また無理をして再発でもしたら大変ですので、家内には産後の体力回復のためにも体をいたわってもらいたいと切に思っています。実際、三男が出生してから5年、夫婦で「4人目ができるとしたら、早い方がいいね」と話し合っていたのが、ここまで間が空いてしまったのは他ならぬ病気の発症があったからで、家内もかなり頑張ったし、家族もみんなで支え合いました。今回もまた、上手く乗り越えられることを祈っています。


 そして、長女は無事の出生を待つ三兄弟の待つ自宅にやってきました。それはもう、一家は大騒ぎで、祖父祖母から5歳の三男まで、勢ぞろいして初帰宅を祝いました。新たなベビーベッド、小さな服、たくさんのおむつ。孫の誕生を待つ祖母と世話好きの長男が頑張って、次男も珍しく掃除を手伝ってくれて、お出迎えの準備を万端に整えておりました。三男は椅子にのぼって存在を強くアピール。下に妹はできるけど、みんなにかける愛情は減らないんだよ、と伝えてあげました。長女を抱いた家内が、無事の帰宅をしたとき、ああ、一区切りがついたのだなあとうっすら涙ぐんでしまったのはちょっとした秘密です。


 奇しくも、今回文春から本を出した刊行日に、長女の誕生日が被りました。そんなことがあるものなのかと思いましたが、実際そうなのだから仕方がありません。本のあとがきに、この本が出るころには長女の出産妊娠が終わっているかのような話を書いてしまったのですが、実際には誕生は刊行日当日だったという。また、私の経営情報グループ『漆黒と灯火』でも、新規会員第10期の募集が始まりました。どうなるのかなと思いつつ、もう5年目ですか… この津波のようなプライベートのお陰でいろんなものが押し流されてしまったようには感じますが、それもまた人生ということで…。


経営情報グループ『漆黒と灯火』 第10期募集開始

https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html






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 積まれに積まれた各種業務は、睡眠時間の許す限りちゃんとアクセルを踏みつつ頑張ってまいりたいと存じます。いろいろと無理を申し上げた関係各所には、改めてお詫びかたがた引き続きのご友誼ご愛顧のほどをお願い申し上げます。


 また、この文章を最後まで読んでくださった皆さまにも、神の祝福と日々のご多幸があらんことを心よりお祈り申し上げております。


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 文脈としては、幻冬舎・見城徹さんが作家の百田尚樹さんとの個人的な政治信条や交友関係もあって百田尚樹さんの『日本国紀』推しを続けているのは分かるんですけど、売れる売れないはともかくコピペ批判ぐらいは受けて当然とスルーするぐらいが良かったと思うんですよね。

百田尚樹『日本国紀』コピペ論争と歴史通俗本の果てなき戦い(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20181222-00108643/

 ところが、幻冬舎で執筆している作家の津原泰水さんがこの『日本国紀』のコピペを指摘したからと言って、津原さんの幻冬舎での文庫化の企画を潰したり、ネットで津原さんの刊行した小説の実売部数を晒したり、見城徹さんの見識が疑われる事態になるのは仕方がないことだと思うんですよね。





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 しかも、見城徹さんと普段親しそうにしている筋や、普段あれだけ死ぬこと以外はかすり傷といっていた箕輪厚介さん以下関係者があんまり見城徹さんのやらかした内容について擁護どころか見解を書きもしないというのは、「見城組」とも言われる友情で結ばれた絆の深い集団として情けないというか、恥ずかしい事態のようにも見えます。これから何か言われるのかもしれませんが。

 ただ、今回の一件で、俄然『作家・津原泰水』が注目されたのも事実でありまして、ここで「一冊津原作品を薦めろ」と言われたらすぐに思いつくのは『Eleven』(河出文庫)です。「五色の舟」に込められた何とも言えない感情が文章から湧き上がってくる心象がたまりません。

 単に「お薦めだよ」というよりは、ああ、これが津原泰水なのかという感じになるし、幻冬舎相手に津原さんが何かを言い、見城徹さんがどんな振る舞いをしても「どっちが出版文化を支えているだろうか」と言われれば自明なんじゃないかとすら思うんですよね。だって凄い小説なんだもの。見城徹さんの代わりは山ほどいても、津原さんを超える作家はお目にかかれないだろうという点で、この騒動を見た本読みはだいたい津原さんに同情を寄せるんじゃないでしょうか。

 もちろん、対比として60万部以上を売ったとされる『日本国紀』と、5,000部刷って1,000部も売れなかったとする津原さんの本とのコントラストは、まさにいまの出版事情を示していると思うんですよ。売れるのが正義だというのもまたひとつの真理として、一方で「名作として評価され、読み継がれるもの」という点でもまた正義だと思うわけです。決して幻冬舎の商法が何も知らない人を煽って騙して売りつけるものだとまでは申しませんが、良いものを作る努力をしている人たちや、そういう作品を売ろうとしている人たちの熱意や才能をもう少し評価してあげられる幻冬舎であってほしいなあ、と。何しろ現場や担当が可哀想なので。

 なお、『日本国紀』のコピペ問題というのは「どうしてこうなった」としか思えません。有識者からの指摘も相次ぎましたが、エンターテイメント本なのか歴史通説本なのか微妙なところで「そういうものを信じたい人に届ける」ことが大正義になっている以上、どうにもならんのでしょう。今回の見城徹さんの炎上劇がもしも何らか誰かの役に立つとするならば、そういう”商法”がもう少し上品になり、裏付けがしっかりあるものが大衆に好まれ読まれる出版文化の方向へ進んでいってほしいといったところでしょうか。

 繰り返しになりますが、あれだけ日ごろ見城徹さんと親しい、見城徹さんと一緒に仕事をしている、見城徹さんは素晴らしい人物だ、と仰って来た著名人の人たちが、一連の見城徹さんのコメントを見てどう思ったのか、それでもなお擁護するのか、いや、見城徹さんの物言いはいかがなものか、と綴るのか、ちゃんと意見をしてほしいと思うぐらい強烈な事案だったと思います。

(追記 23:12)

 アフィを記事下にもう一個貼れってことなので、Amazon貼っときます。



 うん。

元朝日新聞記者の平和博さんが上梓した『悪のAI論』に関するイベントで行われたパネルディスカッションの内容が、Facebookで見事フェイクニュース判定されてコミュニティ内での配信拒否になったということで、平さんが騒いでいたので見物に行ってきました。

「AIリスク社会」を生き抜くリテラシーとは?―『悪のAI論』座談会採録
https://kaztaira.wordpress.com/2019/03/14/%E3%80%8C%EF%BD%81%EF%BD%89%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%80%8D%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%8A%9C%E3%81%8F%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/

 内容を読むに、本を出した平和博さんと、山本龍彦、栗原聡、津田大介各氏がAIと世間についての見解を述べるというもので、一読する限り、さしたる違和感もなく「そうわね」というレベルで問題を感じませんでした。

 Facebookがどういう理由でこの記事を「問題だ」としたかは分かりませんが、類似の事例で芸能ニュースや海外事情を紹介する記事のFacebookでのシェアで「コミュニティ規定に違反する」という表示とともに第三者が閲覧禁止になることがあります。また、別の件では洋画に関する論評がなぜか「差別・偏見を助長するコンテンツ」判定されて記事が見事BANされるという事例があったそうなので、なかなかむつかしいもんだなと思います。

 平さんも飛んだとばっちりですし、悪のAI論のプロモーションという意味では格好の餌がFacebookから投げ込まれた感じにはなっていますが、ちょっと注目してみていきたいところですねえ本件は。

(お詫びと追記 11日22:57)

 文中、栗原聡さんのお名前を間違って記述しておりました。修正いたしました。ご指摘いただきまして感謝申し上げますとともに、深くお詫びいたします。

 また、文中でFacebook側の対応については、続報として「平氏の討論の中でフェイクニュースとみられる事実誤認の記述があった」とのことでしたが、平和博さんの発言内容の真偽は不明のため、論評は差し控えたいと思います。


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