月別アーカイブ / 2019年04月

 歳を取ると弾丸出張もなかなか大変なのでありますが、瞬間移動というか反復横跳びのような出張をして疲労困憊しました。ま、そういう日程でいいやと思ったのは自分なので仕方がない。

 で、それほど長くないフライトではあるものの本でも読みながら過ごそうと思っていると並びの席に座った中国人母子がものすごい勢いで機内で子どもに怒鳴っているんです。その向こう側に座っている、アメリカ人かカナダ人らしき二人組が「何が起こっているのか」「虐待か」みたいな感じで見ているんですけど、よく考えたらその隣に座っているのは日本人男性の私で、彼らからすればその中国人の母、子ども、同じく中国人くさい主人と思われていたんじゃないかと。違う。違うんだ、私は中国人ではないから。天安門事件、文化大革命。

 とはいえ、気になるものは気になるので、他人でありつつもちらちらと見ると、どうもアメリカのどこかのスクールに入るために、英語で何かの論文を書くために猛勉強をしているらしい。凄い。たぶん、背丈を見るとうちの子と似たような8歳ぐらいの男の子だと思うんですよね。筆が進まない男の子に、母親が時折金切り声を挙げながら何かをさせようとしている。しまいには、Newsweekアジア版(?)を出してきて、母親は流暢な英語でここを写せと言っています。いや、それは剽窃だから……。

 最近、息子たちも中学受験が視野に入ってきて、ただ本人たちは別でやりたいことがそれなりに見つかっているのでなかなかエンジンがかかりません。まだ時間の使い方が分からないから、ダラダラしていいときは精一杯ダラッとし、何か集中するべきときはガッと入る、というような効率の良い時分の精神の捌き方のようなものは見つけられていないのです。集中するときに儀式を自分で作るといいよ、と教えても、まあなかなかそうスムーズにはいきません。

 そういう似た年ごろの息子たちを持つ私としては、何かを目指す親として、子どもにどうにかしてそこまで辿り着かせようという修羅のような形相で物事を強いる気持ちは良く分かるんですよ。やっぱり親として子どもには良い人生を送ってもらいたいし、何か一ミリでも他の人より頭一つ出て優れた人物になってほしい。

 ただ、受験戦争を勝ち抜いたわりに勝ち抜いた後が大反抗期とモラトリアム期間になってしまった私からすれば、親の自己満足や見栄の部分もあって立派なところに入ったところで、そのまま立派であり続けるにはなかなか大変だというのもあります。親のケツ叩きで良いところに入っても私のように落ちこぼれる人間もいれば、そのまま偉大な技術者になったり医者になるような奴も出るのが世の中だとするならば、いまここで無理強いして頑張らせることが近道であるのかいま一度考えるのが良いのではないかと思うわけです。

「大学生なのに%が計算できない」と日本の初等中等教育の憂鬱(修正あり)(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20190427-00123968/
「おまえ、noteぐらいやっとけよ」と若者に煽られる選ばれし者の記憶|山本一郎(やまもといちろう)|note(ノート) https://note.mu/kirik/n/n8c8f00c47ce5

 そういう思うところもありつつ、私が子どもたちに伝えたいことは「悔いのないように、先を見据えて、やるべきときは集中してやれ」であります。やっぱこう、46年も生きていると「ああ、人生だいたいこんな感じかな」と、錯覚か本物か見えてしまうときがあります。漠然とした不安は、若いころはすべて自分の将来と現状だったものが、やがて仕事になり、家族になり、自らの健康へと変遷していく。それが大人になるということならば、やはり悔いのないように大人を迎えてほしいし、どういう大人になりたいのかは見定めてほしいし、その大人になるために集中してほしいわけですよ。伝えきるのは無理なんですけど。

人は強みで尊敬され、弱みで愛される|池田 紀行 @ikedanoriyuki|note(ノート) https://note.mu/ikedanoriyuki/n/nd4fcea15c873

 まあ、何が正解か分からないからこそ、子どもにとっても自分の気持ちに正直に生きることも大事なんだけどなあと思ったんですが、よく考えたら親にとっては子どもをビシビシ鍛えるのが正直な気持ちだということに考え至って、これはもうこの思考は駄目だなと思いながら『戦国大河』やってました。戦争したくねえなあと思いながら。戦争ゲームなのに。


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セブ山さんが二股云々でやらかした件で、地雷を踏み抜いて天高く舞い上がったセブ山さんに対し、面白系コンテンツの総本山とも言えるバーグハンバーグバーグ社から「お前ええ加減にせえよ」という記事がアップされており、見物しに行ってきました。

ライターの不誠実な行動への対応について | バーグハンバーグバーグのブログ(バーグハンバーグバーグ代表 長島 健祐 オモコロ編集長 原宿)
https://bhb.co.jp/blog/12192/

 正直に申し上げると、セブ山さんがよく執筆されていたバーグハンバーグバーグ社に限らず、ウェブ系のライターで行儀の悪い人や、この記事で言うところの「不誠実な行動」をとる人は少なくなく、セブ山さんはいろんな意味で目立つので結果としてクズエピソードが直撃した先がリスカ系メンヘラ女子のハートにダイレクトアプローチしたのかなと思うわけであります。決して「そんな大きな問題なの?」とか「それを問題視するなら他にもヤバイ奴が多すぎるのでは」などと言いたいわけではなく、早いタイミングで大見得を切り英断を下したと喝采をされた後で、もっと大きめの問題が発生してグズグズになるパターンに陥らなければいいなと思う次第です。

 翻って、このタイミングでセブ山さんがバナナの皮を踏むのは良いタイミングだったように思います。私が申し上げるのも何ですが、バナナの皮を踏んで転ぶことが駄目なのではなくて、転んだまま立ち上がれないことや、バナナの皮を踏み続けることがいかんのです。私も炎上しますし、いろんな人たちはある意味で自らを燃やしながら知名度を得てもっと上を目指すモデルを確立しています。

 確かに不誠実だ、クズだと怒られたり揶揄されたり黒歴史にされることは仕方がないことですけれども、起きてしまったことは仕方がないわけで、それを批判し続ける奴は別にこちらの人生や今後のことを思っていってくれるわけでもない無責任な人たちですし、批判は熱く受け止め、それよりも次はバナナの皮は踏まないぞ、次にバナナの皮を踏むときにはもっと面白い転び方をしてやるぞ、ぐらいの気構えが必要じゃないかと感じます。

 そして、いつまでもクズキャラを突き進んでしまうと百式的な取り返しのつかなさを再現してしまうでしょうし、一休のなおやさんのように泥沼のようなネタで身体を張ることになってしまいます。でも、じゃあ百式やなおやさんが面白くなかったかというと、面白かったのです。人物としても、書き物のコンテンツとしても。

 あくまで、コンテンツと人格、経緯は別物であり、ただ、年齢的、立場的に次のポジションを考えるときにいつまでもゲスでクズな面白コンテンツを生み出す人というだけでライターを続けていくならば、いずれどこかで摩耗してしまいます。バナナの皮を踏んで転ぶのは仕方がないとして、どう起き上がるか、起き上がった後で、どう一歩を踏み出すのかが大事なのです。

 バーグハンバーグバーグ社の次なる仕掛けがどうなるかは外野として楽しみに見ていたいと思いますし、セブ山さんが次なる成長を目指して一皮剥けることを、一読者として期待してやみません。


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 さすがに宗教的バックグラウンドもあるので、いろんな企業や個人から再建のための寄付が集まってきており、私も些少ながら浄銭をお送りするわけであります。出火の理由はまだ良く分からないようですが、何であれ良い形で再建されるといいなと思っております。

ノートルダム火災、寄付1千億円 大統領「5年で再建」:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASM4K2475M4KUHBI00C.html

 一方で、フランスと言えばプラットフォーム事業者などに対するデジタル課税を行う予定のある先進国のひとつでして、そういうフランスに対してアメリカ系の多国籍企業が歴史的な宗教施設のために多額の寄付をするというのは何の冗談なんだろうとも思うわけです。

 さらには、現在少し沈静化しているとはいえフランスでは労働政策を巡って黄色いベスト運動が騒ぎになっていて、これらの問題を理解する態度を取り困窮したフランス人労働者に何らか資金を提供したという企業があったという話はあまり耳にしません。

 正直、これが世の中の摂理なんだなあと思うところが大です。目の前で困っている人たちよりも、歴史的建造物のほうが安全だから優先されるのだろうか、という意味で。


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 文藝春秋から単行本の話があったので「出るとしても7月か8月ぐらいだろう」と余裕をぶっこいてたら嵐のなかの突貫工事みたいなゲラ修正と「あした! あしたまでに! 書名を!!」「えーーっ」みたいな蹴られる背中的なプロセスを経て、いきなり本が出ることになってしまいました。



 まあ、プロセスはどうであれ本が出るというのはめでたい。
 下はAmazonリンクです。

↑ Amazonはこちら


 記事自体は無料で読める文春オンラインの私の記事がベースですが、内容はかなり変わっています。

文春オンライン 山本一郎
https://bunshun.jp/search/author/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%20%E4%B8%80%E9%83%8E

 もっとこう、書籍というのは時間をかけて吟味して編集していくものなのかと経験上思っていたのですが、なんか「わーっ」と企画が立ち上がって「これ目次ですから!」「あっ、はい」みたいな流れになって、ゲラがドーンと送られてきて「週末まで修正を!」「あっ、はい」と半徹夜でせっせと直して、のほほんとしてたら「今日中に! タイトルを!」「え、あっ、はい」とかいう状況に陥りました。物凄く高速のベルトコンベアに乗せられて一気に駆け抜けていった感じがいたしますが、私は今日も元気です。

 別にこの本が出るからというわけでもなかったんですけど、Twitterのアカウントが凍結されたのでムカついて引退して、でもネットも含めてモノは書きたいということでnoteを始めていました。

山本一郎 note
https://note.mu/kirik

 本当は、文春オンラインにはこういう短編小説みたいなのを毎週書きたいなあと思っていたんですよね。ただなんというか、文春オンラインという媒体の良さのひとつでもある「なんでもあり」のごった煮感が強くて、時事ネタ書いても喜ばれる、企業ネタは通勤時間に超読まれる、ロッテオリオンズも許されるということで、まあ好き放題書かせていただいております。その結果として、本書のようなビジネス方面も踏まえた生き方本のような形でまとめてくださったというのは著者としてもありがたい限りですし、まことに励みになります。ありがとうございます。

 初代の文春オンラインのご担当は非常に丁寧な人物で、隅々まで目を通して「この表現はいけません」「そうですか…」みたいなことも往々にしてあったわけなんですが、文春オンラインで書き続けるにあたって、文春用のスタイルを固められたのはこの御仁のお陰だと思っています。逆に言えば、テーマの選定から執筆した原稿案まではかなり自由にやらせてくださったのですが、最後のところで「ここはこう変えて欲しいです」という意見が出たときは、かなりごもっともな内容ばかりだったために信頼して「そうですね…」と変更してきたように思います。非常に助かりました。ところが、ある瞬間からなんか雑な対応が増えてきたなあと思ったら、素敵な会社に転職していきました。何というアナザースカイ。この繋がった空の向こうから一緒に作り続けた私の記事をまとめた本を読んでくれているのかな。

 その後、新しいご担当者さんが決まり、毎週楽しくやり取りさせていただいております。いやー、良かった。良かったんですけど2つ問題があって、ひとつは私の他の連載のご担当者が同じ苗字で似たようなお名前でもあるため、紛らわしくて違う原稿を入れ違えて送っちゃったりするんです。私の人生でここまで池澤という名前の人が増殖したことは初めてです。ちなみに、コンサル先のご担当と、以前からご一緒している企業さんのシャチョー秘書も池澤さんです。紛らわしい。実に困惑する事態です。

 もうひとつの問題は、担当替えして半年が経過しようかというところなのにまだ会ったことがないんです。週刊連載させていただいていて面識のない人が担当であり続けるというのは書き手人生がそこそこ長い私としても初めての体験です。しかも、お互い気にすることもなく原稿の受け渡しをし、仮アップされたURLを見て修正内容などをやり取りし、たまに遅延するけどそこそこ問題なく記事が配信され続ける。他の編集部からも「山本さんは書き手としてイージー」とよく言われるわけなんですが、自分でもこんなことでいいのかとたまに思います。でも何も問題ないならこのままでもいいよね。

 そして、文春オンラインは他の媒体と違って「この記事はこの属性の人にこれだけ読まれました」ということをあんまり教えてくれないのです。文春オンラインの編集長である竹田直弘さんはなぜか東洋経済のセミナーに出かけて行って「信頼できるネットメディア」についてパネルディスカッションされていたらしく、きっと「この著者にはページビューは教えてやらなくても信頼できる記事を書くのだろう」と強く信頼してくださっている証拠だと思って毎週記事を書いています。

「信頼できるネットメディア」とは何なのか | セミナーレポート - 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/159197

 今回ご一緒した書籍の担当編集である斉藤さんは、初めてお会いしたときから「あっ、この人は冗談の通じない人だな」と感じ、また、書籍のゲラが最初に上がってきて一読、私のある意味書き方の手癖である悪口や冗談、悪態のような邪悪な装飾がすべて削ぎ落されたことを知り「これは大変なことになった」と思いました。文春オンラインの原稿でも、文章のリズムをつけたり読者の共感を引き出すために私は文中に短い文章で「バーカ」という表現を多用するわけなんですが、それが綺麗さっぱり全部なくなっているのです。スギ花粉をもうもうと出していたはずの山からスギが全部切り落とされてハゲ山になっているかのような心象風景でしたが、著者として思うのは「そういう悪態も悪ノリも全部落としたほうが、読者として読みやすいと編集者が判断したのであれば、信頼してその方針に乗っかろう」ってことであります。なにぶん大幅に文章が削れているので、たくさん文章を書き足したり、別の表現に置き換えたりしました。でも、自分が毎週書いてある文章に編集者の手がゴリゴリと加わっている、それを読み直しながらゲラを仕上げていく作業は、私にとっては存外に楽しいものでした。

 それもあって、文春オンラインの連載記事を読まれている人たちからすれば「あれっ、これって山本さんの連載をまとめた本だよね?」と感じる部分はあると思います。そりゃそうだろうよ著者である私自身がそう思っているんだからよ。ただ、そういう本に仕上がって私はとても満足しています。誰が、何処で読んでも恥ずかしくない、そういうしっとりとした書籍に仕上がったのはとても良かったです。

 本の詳細や、書ききれなかった解説のようなものは、noteやFacebookページにでも宣伝を兼ねてつらつら書いていきます。

Facebookページ
https://www.facebook.com/kiriknews/
note 山本一郎
https://note.mu/kirik

 興味があったらそちらも是非どうぞ。また、下部にあります通り、有料メルマガでも本の内容についての言及を増やしていこうと思っています。ご関心がありましたら、文春オンラインやnoteと加えて、ぜひ有料メルマガも取ってみてください。

 なお、文春オンラインの中で、ビジネス系と一部ライフ系の原稿だけが本書に収録されています。面白系の記事やエッセイ、エモい記事や、SNSなどで人気を博している記事は残念ながら本のテーマと異なるということで掲載を見合わせています。



 本当は当記事は10日のお昼にでも告知を兼ねて掲載しようと思っていたのですが、なぜか山本太郎さんへの抗議メールが殺到して、ムカついて午後まるまる仕事になりませんでした。いや、ほんとやめてください。マジで。


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 先般問題となりました参議院議員・山本太郎さんの自由党の離脱と新党立ち上げについては、私・山本一郎とは無関係です。山本一郎は山本太郎さんの別名や別アカウントではなく、山本太郎さんや小沢一郎さん、自由党などのスタッフでもありません。

 山本太郎さんの新党立ち上げにあたり、その名称が「れいわ新選組」であったため、一部の有権者から山本太郎さんに党名や自由党離脱などの点でご批判があるようです。私は関係者ではございませんので、詳細はまったく存じ上げません。

 しかしながら、山本太郎さんの発表のあった本日午後より、断続的に「山本一郎は新撰組から脱退しろ」などの抗議が相次ぎ、それも20件以上のメールや電話が寄せられていて、非常に迷惑しております。

 私・山本一郎は山本太郎さんではありません。また、関係者でも別アカウントでもありません。

 もしも山本太郎さんの自由党離脱や新党立ち上げに抗議をされるのであれば、山本太郎さん本人や事務所、政党宛にお送りください。山本一郎宛に頂戴した抗議を山本太郎さんに取り次ぐことはございません。

 一部の抗議については、ブログでの反論のためなら公開して構わないとご了承をいただきましたので、概ねの内容につきまして、以下の通り掲載をしたします。

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 私としましては、山本太郎さんの政治活動や、山本太郎さんに対する反論、抗議などをされる皆さまについて、何かを申し上げられる立場ではない、と思っています。強いて申し上げるならば「私は無関係です」という一文に尽きます。もちろん、山本太郎さんに対する賛成も反対も各々日本人が意見を持ち、自身で責任の持てる範囲内で主張し公表することは問題ないと思っています。

 ただ、私に山本太郎さんに関する抗議文を送られてもどうにもなりません。繰り返しますが、私は無関係です。どうか、ご理解ください。

 なお、一部の方から「山本一郎は新撰組批判を回避するためにTwitterアカウントを閉じて逃げた」との論評も頂戴しております。本件は単にアカウントを凍結されたのでTwitterから引退しただけです。
 私の記事執筆や活動につきましては、私の告知用アカウントを有志が作ってくださり、また、Facebookページも随時更新しておりますので、そちらをご参照ください。ご関心あれば、是非フォローをお願いいたします。

山本一郎 非公式告知アカウント:https://twitter.com/kirik_news
山本一郎 Facebookページ:https://www.facebook.com/kiriknews/

 なお、過去にもたびたび山本太郎さんとの混同が見られます。以前の記事を再掲しておきますので、ご一読ください。

山本太郎砂漠(追記あり) - やまもといちろう 公式ブログ https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/2999401.html

 ご理解とご協力のほど、重ねてお願い申し上げます。

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