月別アーカイブ / 2018年01月

 「やりたいことができる人生って素晴らしいんだろうな」と感じる人は、一年のおよそ半分を大好きなサッカー観戦で海外を旅する村上アシシさんの話を聞いたほうがいいと思うんですよ。

 一見風来坊で無茶なことをしている人物のようには見えますが、ある意味で「いまを最高に生きる」ことにおいては文字通り第一人者です。対談もしたんですけど、相変わらず尖っていました。その辺にふよふよしている風船が片っ端から割れるぐらいの鋭利な尖り方です。

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 私が彼を見ていて思うのは「目的に対する集中力の高さ」です。突き詰めれば「私はこれがしたい」と具体的に落とし込めているので、いつの間にか南米にいたりロシアにいてもまったくブレないし、周りも驚かない。

 でも、私もお前も「お前の人生における目的はなんだ。それに集中すれば、半年だけ働くことで充実できますよ」と言われても、頭では「そうか」となって、その後は実際に、あれ、吾輩の人生って目的なんだっけ、何が楽しいんだっけ、ってなってしまうわけであります。

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 やはりですね、人生を謳歌するには謳歌する歌詞を覚えなければならないし、節も丁寧に歌い上げられなければならんのですよ。一方で、対談でも今後出てくると思いますが、背負うものも出てきます。独身で稼いだ金は自分のものだから好きに使える時代もありましたし、親の介護や育児その他で走り回るようになると、やはり学校の暦にあったお休みしか取れなくなります。親になんかあれば、旅行先から飛んで帰ったり、いままさに旅行に行こうというところで歯噛みしながら帰宅を強いられることだってあります(実話)。でも、自分の楽しさの実現だけが人生ではないと思い至れるようになると、むしろ村上流の「半年だけ働く。」ことの意義も貴重に思えてくるのです。

 何かに打ち込み、これが好きだと言える自分と、何かを背負い、これを果たさなければと考える自分とを切り分ける苦しさも、やりくりしてどうにかする情念も、すべては自分の人生を如何に豊かなものにしていくか、また、自分が生きた証を打ち立て、生きる意味を見出し、価値のある人生を誰憚ることなく送ることができたという納得感に直結します。

 だからこそ、村上アシシさんのモノの考え方をそのまま鵜呑みにして実行するというよりは、己の人生の中で「何に意味を見出そうとしているのか」を見定め、限りある人生を楽しく有意義なものにするためにどうするべきかを考えるほうが良いと思います。哲学的なことではなく、自分自身の生き方は自分でしか決められない、だからこそ、稼ぎ方と使い方とを制御できるようにすることが、良い人生を送る最善の方策なのだということに気づくための書だ、ということです。

 彼と私は随分違う人生を歩んでいるけれど、それは当たり前であって、私は彼ほど爽やかでもないし人懐っこくもないので、それ相応のスキルを別で磨いて家庭を築き子供を儲けて楽しく生きています。これは、読む人ごとに良い生き方がある前提で、どう実現するかを思い描き、羽ばたくために気後れせず前に進めるための本だと感じます。読んでいて「そりゃ村上さんが優秀だからだろ」とか「子供いて介護始まるとそんなこと無理だよ」ってツッコミもいれたくなるでしょうが、自分を再考するという意味でもお薦めしておきます。

 さきほど、45歳の誕生日を迎えました。

 別に大台というわけでもないし、この歳になって誕生日が来て年齢を重ねること自体には何の感慨も無くなっているなあというのが正直なところですが、自分自身は持病もありつつ健康で、また家族に囲まれて幸せに暮らせているというのが何よりの感謝です。今年も家族親族とともに、静かな、それでいて騒々しい年の瀬、新年そして誕生日になりました。

 一昨年から半常勤や時間拘束のある仕事の量を大幅に減らし、セミリタイア気味の日々を送りつつも、介護や育児、合間を縫っての執筆や資産運用、ご相談事の仕事と、なんだかんだで慌ただしく過ごしています。親族の術後の闘病生活も幸運なことにめどが立ち、長く共に暮らしていければと願っています。

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 子供たちも至らぬ私にも似ず順調に育ち、長男は熱中すれば脇目も振らずどこまでも、次男は人の輪にあって物おじせず友達と仲良く、三男は旨い具合に要領よく、三者三様見事に個性的な男子に成長してきました。家内も育児の苦労と闘病でしばらく大変でしたが、このところは体調もかなり戻り、まずはホッとしているところです。今年一年で視界が晴れるといいなと強く願う次第です。

 昨年は、自分の人生から余分なものが削げ落ちて、生み出せる価値に忠実に生きていくための準備が整った一年があったと実感しています。今年は、そんな一昨年からから昨年にかけて蒔いた種も充分に育ち、あまり手を広げず、丁寧に一歩一歩進めていきたい取り組みにしていきたいと思います。

 神と家内と子供たちに限りない感謝を。今年もよろしくお願い申し上げます。

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