月別アーカイブ / 2017年11月

 「この人はきっと何も考えていないんだろうな」と思う事例がまた発生しているのですが、今度は小池百合子さん、国政政党である希望の党の特別顧問に就任したそうです。11月21日の記事がこれ。

小池氏、特別顧問に就任=希望:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017112101107

 そのわずか一週間前の11月14日、衆議院選の惨敗の責任を取る形で希望の党の両院議員総会にて代表辞任を決めたばかりです。

小池都知事、希望代表辞任の意向 都政に専念:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23455670U7A111C1000000/

 希望の党代表の玉木雄一郎さんから特別顧問就任の要請を受けた、という形を取っているわけですけど、常識的には「都政に専念する」と言うからには特別顧問として国政政党に関わるのもおかしい話で、いったい何を考えているのかって話になるはずなんですよね。

 都知事である小池さんのブレーンとされる人々は誰もこれを止めなかったのか、また、本当の意味で「小池百合子」という政治家の今後を考えて話を聞いてやれる側近もいないのか、非常に不安になる状況です。

 その東京都下では、大きな問題はないのに無理に豊洲市場移転問題で「立ち止まる」結果、コンクリートで密閉されていない表層土壌で環境基準値以上のヒ素が築地市場のボーリング調査で検出されました。

築地市場ボーリング調査で環境基準超のヒ素 - 産経ニュース http://www.sankei.com/politics/news/171122/plt1711220028-n1.html 

 「もうどうしようもない」としか言いようがない状況なんですよね。
 そのどうしようもなくした希望の党の創設者でオーナーシップがある前提で特別顧問に座らせることが、本当に希望の党にとっても小池百合子さんにとっても都民にとっても良かったのか、というのは、いま一度きちんと考えたほうが良いと思うのですが。


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 本当にやるかどうかは別として、4人以上出産した女性を表彰してはどうか、という話が自民の山東昭子さんから出て、まあいろいろ波紋を呼んでおるようです。実際には、批判八割ってところでしょうか。

自民の山東氏「4人以上産んだ女性、厚労省で表彰を」:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASKCP5RL8KCPUTFK017.html

 出生対策をある程度勉強したことがある人ならば、1920年代にフランスが鉄道事業の一環として大家族カードを作り、表彰制度から拡張して企業協賛や特典をつけていって、フランス人の出生率を引き上げる対策の目玉にしていることはそれなりに有名です。ただ、日本の場合は「産んだんだね、偉いね」で終わってしまいそうですので、別の形で出生だけでなく育児支援などもセットでやらないと意味はないというのもありますし、表彰されたから子供を産むというよりは子供が産まれたので表彰されるという後付けの制度に意味を見出しにくいというのは分からないでもありません。

 しかしながら、朝日新聞の記事にもあるように過去に厚労大臣であった柳沢伯夫さんが「女性は子どもを産む機械」と発言して爆発炎上した事例と組み合わせる向きもあるわけなんですけど、見方を変えるとそれだけ出生率の低迷はあかんことになっており、危機感はあるんでしょうけどね。それなら単純に所得にかかわらず子供の出生に対する直接の助成や、育児・教育へのバウチャー制での補助といった、直接給付に近い出生対策を取らない限り、なかなか出生率なんざ上がらないんじゃないか? と思うわけであります。

 一方、最近では独身税とかその手の話がたびたび取り沙汰されるようになりました。

石川県かほく市ママ課「独身税」創設報道は飛ばしだった!? 市担当「大変困惑しています」|ガジェット通信 GetNews
http://getnews.jp/archives/1887579

 実際、独身者や子なし世帯は一連の子育て支援関連予算の恩恵は一切蒙らないうえに、子育て世代より上の世代は政策的支援なしに子供を育て上げたという点で「私たちは苦労したのに、いまの若い人たちは」みたいな世代間の分断の原因になるよなあというのもあって、非常に微妙です。事実上、税金として取り立てられることはないにせよ、独身者や子なし世帯は不利になるのは自明であります。

 また、最近の「働き方改革」の議論の中でも、子育て中の女性が時短勤務を許される一方、子育てをプライベートな事情とみるならば独身者のデートや買い物だってプライベートなのに時短勤務は認められないのかというような話も出てくるわけでして、正直「そこを突っ込み始めると政策議論にならない」という状況に陥ります。

 少子化対策の問題は、ただでさえ「現代社会で日本人に与えられた権利として『結婚しない』『子供を儲けない』自由」と「子供は欲しいけど頑張ってもできなかった」「結婚したいけど相手が見つからない」という事情とが交錯するところなので、結局は結婚したい男女を後押しすることと、産まれた子供が育てやすい社会にすること以外に政策の引っ掛けるポイントがないのが辛いところですね。

 産経新聞で微妙な記事が掲載されています。ほんまかいなと思って様子見をしていたのですが、どちらかというと親韓的な某官僚の方もSNSで「おそらく事実」としたうえで北朝鮮の繰り返される挑発の一端はこういう日韓関係のイケてなさにもあるということでしたので、まあその通りなのでしょう。

「独島エビ」日本抗議で米指摘、韓国「独島」削除 トランプ氏、元慰安婦と知らず抱擁 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/171117/plt1711170010-n1.html 

 それにしても、わざわざやってきたアメリカ大統領のトランプさんに元慰安婦と説明せず抱擁させるというのも厄介な話ですし、それは逆に「この女性は元慰安婦だとされています」と事前に言ったら政治的な立場も考えて拒否される可能性を充分に韓国サイドも理解していたということになります。

 また、領土問題は別に日韓関係だけでなくどこの国でもある話ですので、アメリカとしては「当事国同士で話し合って決めてよ」以上のスタンスを引き出すことはおそらくむつかしかろうと思うわけです。しかしながら、韓国の場合はアメリカ大統領をもてなすのに韓国らしい他の名産もたくさんあるだろうに、わざわざデリケートなネタを想起させる独島エビを饗応の場に出すというのも意味が良く分かりません。

 我が国で言えば、特に韓国に嫌がらせするような振る舞いをトランプさんにする必要が無いからこそ安倍晋三首相がバンカーでコケたりしてもネタで済むし、横田基地に舞い降りようが「歴史的に考えればまあいいんじゃねえの」で終わるところですけれども、どうしてこう韓国はいちいち面倒を起こそうとするのかよく理解できないんですよね。

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 流石に触れないわけにもいかないので反応するのですが、維新の会の衆議院議員、足立康史さんが朝日新聞に対して「死ね」や「捏造報道」などと中傷を繰り返していた問題で、懲戒動議にまで発展してしまったようです。

維新 足立氏の発言で懲罰動議提出も検討 野党側筆頭理事 | NHKニュース   http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171115/k10011224401000.html

維新議員「朝日新聞死ね」を説明 #BLOGOS
朝日新聞のねつ造報道は“万死に値する” - 私が朝日新聞を最も強い言葉で非難する理由 -
http://blogos.com/outline/258949/

 さらに、一部で騒ぎにすでになっている「報道特注」にて、足立さんのある種の暴走も見られます。

#16報道特注【朝日新聞また捏造SP】足立議員が天下の朝日にねつ造されたw これがその手口だ!!
https://youtu.be/nwux9GL3qQ4

 もちろん、報道機関として朝日新聞がかねてから問題視されるような報道姿勢を崩さないと指摘する向きはあるので、それは適切な形で批判をするのは必要なこととは言え、国会議員がさしたる根拠を示さず「捏造だ」と言い張るのはなかなか大変なことであります。

 そもそも足立康史さんは小選挙区で落選したら比例復活せず政界を引退すると大見得を切ったものの、大阪9区で惜しくも2位となって、重複立候補していた比例から復活当選をしたという経緯もあります。前回も小選挙区で敗れており、2期連続の比例復活です。まあ、人情としては分かるのですが、底まで言っておいてこれかよというツッコミは各方面から入るのも致し方ないところです。

『足立康史前議員が衆院選2017の小選挙区敗退なら政界引退』youtu.be/kVpLs4L_wDM
足立康史先生困った。比例復活も辞退か(笑) - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1163753 

 いわば、足立康史さんは俗に言う「右翼商売」のスペシャリストであって、左派政治家や朝日新聞・毎日新聞のようなエスタブリッシュを痛烈に批判し、こき下ろすことでネットでの評判を得ようとするものの、言論の実態としては必ずしも証拠や証憑類の裏付けのない内容も多くあるため、誹謗中傷と受け取られて今回のような事態に陥ることもあるのでしょう。

 さすがにこれ一髪で議員辞職にまで追い込まれるという話には単発ではいかないかもしれませんが、他にも足立発言として森友学園問題や小池百合子東京都知事関連の話で微妙な内容も含まれ、今回の事件を奇貨として当事者から蒸し返されると一気に苦しくなります。ましてや、報道特注も出版して活字にしてしまいましたので、言い逃れはなかなかむつかしいのではないかとすら感じます。

 朝日新聞は捏造報道を行ったと繰り返し発言していた足立康史さんが、ネット番組であまり根拠のない微妙な発言を行っていたことをつつかれるとろくでもないことになります。小選挙区で負けたら引退とまで言っておいて比例復活した挙句、ネットで信者に囲まれて調子に乗ってしまったことは仕方がないと反省して、足立さんらしい見識と品格ある議論のできるよう、うまく乗り切っていただきたいと祈る次第です。

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週刊エコノミストでの板谷敏彦さんの連載がまとまって単行本になっておったわけですが、これがまたまとめて読むと面白いわけです。




 なんというか「世界史好きなんだろ? 黙って買って読めよ。楽しいぞ」って内容でありまして、いわゆる通史としての第一次世界大戦前夜の欧州とアメリカ、日本、中国の状況が一望できる、真の意味で歴史の面白さが体現される本なのです。



 難点をひとつ挙げるとすると、世界史を知っていたほうが、この本に関しては絶対に楽しく読めます。おさらいとしてWikipediaでも目を通しておけ、捗るぞってノリはありますし、また、世界史における第一次世界大戦の意義なんてのをぼんやり把握してから読み進めることはこの本を二度読み三度読みするよりも楽に全体像が入ってくるという側面はあります。

 それだけこの著者の板谷敏彦という人物の知識の奥行きの深さ、のめり込み度合いの強さというものを感じるのですが、この本の隠れたテーマは冒頭から見え隠れしていて、つまりは「第一次世界大戦の詳らかな情勢を眺望しながら、その知識や経験をもとに米中対立下にある日本の安全保障について比較し熟考する」ことを読者に強く求めてやまないのです。

 良き時代(ベル・エポック)の終わりから第一次世界大戦までの動きは、世界経済が順調で国家間が相互に貿易を繰り広げていました。各国が経済相互依存の状態にあり、ノーマン・エンジェルの著した『大いなる幻想』においては「各国経済の高度な相互依存がある状態で、欧州諸国が戦争することなど考えられない」と論じて、欧州は平和を謳歌しておったわけです。それが、イギリスのアレな感じや「殺されそうなドイツ人」といったプロセスを経て、誰もが疑わなかった平和から徐々に誰も望まなかった戦争へと傾いていき、最後は総力戦とは何かみたいな話になっていくのが細やかにこれでもかと綴られているのが本書です。

 裏を返せば、第一次世界大戦前までに欧州最大となったドイツ経済の4割は他国との貿易によるもので、主要な貿易相手は他ならぬイギリスであり、現状の米中対立構造と言われるアメリカや日本の最大貿易相手国は中国であります。だから戦争だ、と言いたいのではなく、平和を実現し継続していくにあたり、経済的な互恵関係の安寧に身を委ねている間に戦争の萌芽を見逃すと簡単に平和など壊れてしまうのだ、ということをこの本は教えてくれます。

 そこには、国民感情や経済状況だけでなく、軍艦や鉄道、通信などの技術革新の状況や、それに伴う国威、国富の変動、国家や社会・民族の抱く熱意やプライド… 様々な要素が網の目のように絡み合い、みなで享受していたはずの平和が粉々に崩れ去っていく中を鉄道が兵站を支えて多くの兵士を前線に送り込んで次々と戦死していく姿がありありと映し出されます。

 読み進めるほどに引き込まれるのではなく、理性的であるはずの人の危機を前にした愚かな行動や、ストレスに弱い社会が過剰に反応するメカニズム、超大型インフルエンザであるスペイン風邪の後始末、力の均衡を求めたはずがとんでもない展開となるウィーン会議などなど、まあドン引きです。そのぐらい、この本には力があります。歴史の前には人間は無力なのだと思い知らされるぐらいに。

 そのぐらい、本書はお薦めです。黙って買って読んで悲しい思いをしましょう。
 ただ、今週末時間があるからゆっくり読もうとか、通勤電車で空き時間を活用しようという甘い考えはお薦めしません。読み解くのに時間を擁する本です。週末が3回ぐらい潰れるのを覚悟した方がいいです。また、巻末の参考図書では特に『第一次世界大戦』(マイケル=ハワード・著)は出色なので併せ読みとしてお薦めしておきます。

第一次世界大戦

 なお、人間の心の機微や、大国の心情を本当に知りたければ、7人友人を集めて『ディプロマシー』をやるのをお薦めします。まさに第一次世界大戦をモチーフとした歴史に基づいたボードゲームであり、シミュレーションゲームの大傑作です。通常、このゲームをやるのに集まった7名は、ゲームを終える頃に友情が破綻しているものと思います。

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 日本はこういう危機管理や安全保障に関する議論がナイーブになる理由として、この手の協調と裏切りが隣り合わせになったゲームに対する免疫が弱いんじゃないかと思ったりもするんですよね。

 皆様も良い週末を。

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