月別アーカイブ / 2017年01月

 この手の話はデータが全部出ているので、きちんと調べればちきりん(伊賀泰代)女史の記事は半分当たり、半分間違いというタイプのものであることはすぐに分かります。

 簡単に言えば、ちきりん女史は「日本の自動車輸出台数の総計」と「アメリカの自動車輸入台数の総計」を見て、これらがすべて日本の輸出、アメリカの輸入であるかのように勘違いをしていることになります。もちろん、事実関係は違います。その意味では、ちきりん女史の書いていることは間違いです。

日本の自動車産業が直視すべき現実 - Chikirinの日記 (id:Chikirin / @InsideCHIKIRIN) http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20170125

 このちきりん女史の論法で言うならば、フランス(主にルノー)もドイツもアメリカに激おこされなければならないことになります。

外務省 自動車輸出の多い国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/car_ex.html

 正解は、こちらです。

日本の自動車輸出国別 2015 年
http://www.ambtokyo.esteri.it/ambasciata_tokyo/resource/doc/2016/05/tabella_automotive_2_jpn.pdf 

 ちきりん女史の引用した2015年弩の日本からアメリカへの輸出台数は160万4,446台で、アメリカの2015年度の自動車輸入台数約537万台の29%であり、独仏に次いで3位です。

 もちろん、ちきりん女史の言う「生産台数が国内販売台数に比べて過大である」というのは事実なので、不均衡は是正しないといけないという主張は正しいと言えます。ただし、それらが日米の自動車貿易において摩擦の根源かと言われると微妙です。トランプさんはいろいろ言ってるけど。

 日米で言うならば、ソフトウェアや金融などを日本が輸入し、自動車や化学製品などを日本が輸出しているという単純な貿易の互恵関係がある一方、いわゆる外-外と言われる日系資本が中国やアジアへ進出して生産したものがアメリカへ輸出されるものもあるため、生産台数と国内販売台数を並べて450万台生産超過だ、これが全部アメリカに輸出されている、貿易摩擦だ、と言われてもピンとこないなあというのが正直なところです。

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 なお、日米の自動車貿易についてはさすが主幹産業でして豊富なデータが揃っている界隈です。
 細かくは、自動車産業ポータルを観てね。

自動車産業ポータル MARKLINES
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2016 

 結局、読み手の若返りを図りたい媒体側と、お座敷呼ばれたら断らない書き手側の完璧な利害一致が素敵です。タブーはない感じでお願いしますというオーダーだったので、どうせ一発目だし作家タブーど真ん中の某ハゲの人を取り上げようとしたら「面白いかもしれないけどそれだけは勘弁してください」と言われたのが印象的です。

高齢化問題は、実は「30代と40代の問題」なんだぞ
http://bunshun.jp/articles/-/1100 

 「44歳になるので、先を考えて酒を控えました」みたいな個人的な話よりは、社会派の時事ネタのほうが読まれるというのはやっぱり文春らしくて、現在は早々にランキング2位に入っております。ありがたいことです。アウトライン見ると、案の定男性読者が9割台です。もうね、女性人気は捨てました。

 いまは某業界誌(学会誌)さん向けに株の話を書いてて、そのあとは4Gamer向けに裴元紹の記事を仕上げるつもりですけど、それもこれもトランプ大統領の就任のお陰で訳の分からないことを言う偉い人に振り回される相場が怖くてしょうがないから現実逃避してる感じです。変に動くと絶対損しそうだ…。
 
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 最初は一年ぐらい継続できればOKと思ってスタートした私のオンラインサロンですが、すでに2周年を突破して三年目に突入をしました。時事問題からウェブ社会まで、個人的な興味の対象をメインにゲストをお呼びして対談というスタイルのままずっとやってこれたのも、心の広い会員の皆様のお陰です。

夜間飛行ミーティン 『漆黒と灯火』
https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html

 光栄なことに大学の教員のお話をいただくことが増えたんですが、私個人としては、誰かに何かを教えるよりも、誰かと一緒に悩み、考えるほうがこれからの時代にはマッチしていると思っています。人によっては、大学で教鞭を取るのが「上がり」と考えることもあると思いますが、その価値観は認めつつ、私自身は永遠の暗中模索をしながら手探りで前に進むほうが性に合っているのかな、と。

 先日も、あるネットメディア編集者や経営者の方をお呼びした際に「ネットでもサロンでも山本さんは根源的で厳しいことを仰る」と笑ってお話をされました。私としては、基本的な考え方の起点が「これで大丈夫なのか」「問題はないのか」というところにあることが多いので、 どうしても「そうは仰りますが、実はこうじゃないですか」みたいな話をさせていただくことになってしまいます。でも、そういう考えるべきこと、捉えることの座標軸が違うからこそ対話に価値が生まれ、議論に意味を持つのではないかと思うわけであります。

 ことしもまた、退屈しない一年になるのではないかと考えていますが、誰かに教えを乞うというよりは、一緒に悩んで前に進もうという方がおられましたら、ぜひお声がけください。 

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 一か月ぶりのフジテレビ系ネット放送ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』は、「トランプのアメリカをどう読むか」「東京都政大変」「ネットメディアのあるべき姿を考える」の三本です。や、一本ですが。その一本2時間で3つのことを喋りますという意味です、はい。

ホウドウキョク
https://www.houdoukyoku.jp/

 お暇な人は是非どうぞ。

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 問題のない範囲で書くと、慰安婦少女像の撤去も含めた(明文化はされていないが)日韓合意の履行の行方よりも日本の国益を左右しそうなのが崔順実女史絡みの国政介入事件で、さらにはグループの裏金作りなどの工作の実態が出てきてそのままバレて御用、という流れになってます。

韓国最強のサムスン法務チーム、トップの逮捕状請求を防げず-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/16/2017011603085.html 

 韓国独自のこと(OINK:Only in Korea)と馬鹿にして流すのは簡単なのですが、むつかしいのは他の外交問題とのリンクや、日韓経済交流の本流のところにまで火が回ると日本も対岸の火事とは言えない状況に陥ることです。

THAAD:土地交換契約、中国の報復にロッテは及び腰-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/17/2017011700667.html
韓国国政介入事件 サムスンの次の捜査対象はロッテとSKか-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/16/2017011602462.html 

 一部の証券筋では、すでにサムスンだけでなくロッテに対してもグループ資産の不正計上の疑いや海外事業も含めた国際的な脱税捜査に着手するというような話を流し始めているようで、事実だとすると日本との貿易や日本にある企業資産にも影響が出てきますし、韓国の通貨リスクは地味に大きくなるでしょう。

 状況は進行中であり、着地点がどこにあるかも定かではないのですが、THAADや日本を含む貿易にまで火の手が回っている、しかも韓国司法当局が韓国国内の民情に揺さぶられるように韓国稼ぎ頭の多国籍企業を攻撃するようになると、文字通り韓国経済が自壊してしまい、笑っていられる状況でもなくなります。日本もデカップリングして切り離したいと思っても、そう簡単には話が進められないと思いますし、誘爆する大手企業も出てくるでしょう。

 日本にとっては迷惑この上ない状況ですが、韓国は韓国で、外交状況が危機的で非常に切実なうえに当事者である朴槿恵大統領が弾劾訴追可決で当事者能力を実質的に失っているため、暴発する韓国内の民情をコントロールできる状態にないとも言えます。新潟県立大学教授の浅羽祐樹さんの記事は日本国内でも反発が強かったようですが、圧倒的にごもっともなので、NHKの時事公論(解説委員の出石直さん)と併せて目を通されると良いのではと思います。

慰安婦少女像、「合意」守らない韓国の裏事情 : 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170113-OYT8T50011.html 
「慰安婦合意 崩壊の危機」(時論公論)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/260578.html 

 個人的には、日韓合意に基づく慰安婦少女像の撤去を含めた対応を、韓国政府に粛々と日本政府が求めていくということで良いとは思います。ただ、ここで無理に日韓関係が一層こじれるような対立や差別を煽ると、韓国政治が一層不安定になって取り返しのつかない事件、事故、現象を韓国発で起こすトリガーを引いてしまい、日本も困ることになりかねないので心配です。日韓スワップ協定もこれらの対応を韓国政府が誠実に実施できるまで先送り、という程度で納めておきつつ、冷静に事態を眺めておきたいと思うところです。

 個人的にはちゃんとパリーグが開幕できることを祈ってやみません。
 

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