月別アーカイブ / 2016年02月

 さっき書店員の何とかさんから「ありがとうございました」という謎の留守電が入っていたので、意味が分からずメールを見たら、書店員で作る埋もれた良書発掘とかいうFACEBOOKグループで、私がビジネスジャーナルに寄せた書評を見て店頭に並べたりしてくれたらしいです。「ビジネスジャーナルには本を売るリンクも貼ってないので、書評を書評で終わらせているだけ」というお言葉もいただいていたようです。私には本が売れたところで印税は1銭も入りませんが、悔しいので楽天ブックスのアフィでも置いておきます。もうね、意地ですよ。

「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行
あの一発屋芸人のヤバすぎる「絶望」告白


ヒキコモリ漂流記 [ 山田ルイ53世 ]

ヒキコモリ漂流記 [ 山田ルイ53世 ]
価格:1,404円(税込、送料込)



 何を滅入っているかというとですね、この本は去年の夏だかに出ているんですが、比較的即買いしたあと、それなりにレビューも集まっていたし、面白い本であることはサーチ済みだったと思うんですよ。ただ、書き手が「山田ルイ53世」という髭男爵なるお笑い芸人コンビの片方であるということで、ある種の「タレント本」扱いされてしまったことが、おそらくは書店の棚取りで不利になったのかなとも感じる次第で。

 書かれている内容だけ見るならば、これはもうタレント本ではなく、れっきとした人間の、きちんと書き込まれた半生、自伝であって、共感できる部分もあり、お前それいかんだろと湧き上がるものもあり、最後はしっかり家族してて、ああもうこれは芸人・山田ルイ53世ではなくて人物・山田順三なんだと思うわけですわ。

 なんかこう、本に対する反響であるはずの書評、その書評に寄せられた反響を見ると、同じ本、同じ著者、同じぐらいの読解力であるのに、こうも読む人の角度から読み取れる情報や感情の違いというのがあるのかと愕然とするわけであります。公表して良いというので公表してDISりますが、「最初この本を読んだときは何が面白いんだろうと思って取り上げなかったんですが、山本さんの書評を見て読み直してみるとやっぱり面白かったんだなと感じるようになりました」とか書店員が言っちゃ駄目だろ。なめてんのか。山田順三に謝れ。

 確かに書店は毎日本と向き合って仕事しているからプライドもあるんだろうし、膨大な量の新しい本が出るからすべてを読み抜くことはできないのも事実だと思うんですよ。でも、それって仕事の誇りをきちんと持つなら「すべてのジャンルを全部押さえることは無理でも、ここだけは他の書店員に負けない」という意地を持って欲しいなと思います。だって山田さんうんこ漏らして人生狂ったっていう、壮大なツカミがあるんですよ。そりゃ当該ページ読むと笑いはこみ上げるけど、一歩間違えると自分だってそういう小さな挫折で帰ってこられない別の世界線だってあったかもしれないんだからね。

 ということで、人間くさすぎて没入感がハンパない本書はいろんな人にお奨めです。
 ついでにしたのほうにamazonのアフィリンクも置いておきます。繰り返しますがね、意地ですよ。 


 

 対談の中で、人事のプロといわれる海老原嗣生さんが、我らライフネット生命の岩瀬大輔さんとの対談の中で、盛大にやらかしています。

【岩瀬大輔×海老原嗣生】総合商社が「新卒至上主義」なのは当然か?

[引用]

海老原:今だって、商社は基本保守的です。たとえば商社は今、総合職の女性採用って、もうほとんどやっていないんですよ。
岩瀬:そうなんですか。
海老原:商社って結局、日本企業向けの仕事でしょう。現地で調達したものを日本企業に売る。だから日本企業のクライアントを、夜、接待する場面が当たり前にある。接待担当は女の人のいる店を紹介したりもするんです。

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 2014年でとある大手商社の国内新卒正社員採用が224名、うち女性69名89名(やまもと註:数字見間違いました… ご指摘ありがとうございました)、海外事業所込みでいうと1,460名、うち女性695名であり、海老原さんの言っていることは完全な嘘というか、何か別の事情で勘違いをして踏み込みすぎたかという内容になっています。

 当然、それは違うんじゃないのという指摘は多数出ているわけで、さすがにきょうび「接待するから総合職に女性は採用しない」という商社があるはずもなく、それどこ情報よ? みたいな感じになるのは仕方が無いのかなと思うわけであります。







 で、かねがね気になっていたのですが、このNewsPicksというのは有料記事の対談その他でちゃんと編集者がファクトチェックしているのでしょうか。また、NewsPicksの取り上げている経済記事についているコメント欄で、明らかに錯誤の内容が含まれて晒されていることがあるんですけど、これって掲載しているNewsPicks側の責任であるということなんですよね? 有益な情報も多いし、新しい経済誌、経済サイトとしての取り組みは面白いと思う一方、本当にこんなんで大丈夫なのかと心配になります。

 個人的には、この手のランディングページ泥棒をNewspicksはそろそろ改めて欲しいと思う一方、ビジネスマンを集めて作っているはずのコメント欄でも、専門性から外れると人間はこうも微妙なことを言ってしまうのか見本市になっている状態ですので、引き続き頑張っていただきたいと願っております。

 個人的に、クラウドワークスであれランサーズであれマイクロビジネスを支援する仕組み自体に嫌悪感はなく、まあ適法にやってくれよなという気持ちしかないわけですけど、どうもややこしい話になっているようで。

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?
「クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名」は嘘だと思う。

 ござ先輩さんから村上福之さんへと見事なバトンリレーで、「儲かってないだろ」「いや、使える奴が来たら直取引に切り替えるから大丈夫だ」「もちろん嘘だけどなHEHEHEHE」というスタイルでありまして、そりゃ話が定期的に詰められる人が告知に乗って応募してきたら仲介業者外すのも仕方の無いことですよね。

 その結果として、ござ先輩さんがご指摘されるまでもなく革命的な働き方を提案しているはずのクラウドワークスの決算が真っ赤である件については、別のからくりでもあるんじゃないかと思いたくなるぐらいの状況になっているようです。大丈夫なのでしょうか。

 で、クラウドワークスというと身の回りでヤバい案件が多いので、やっぱり評判は良くならないわけです。

Steamでの評価レビューが行える方

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 ちゃんと業者特定してぶち殺しておけよと感じるんですよね。

 要は、ステマやサクラ口コミの具となる仕事を請け負ってくれる人を探す場所になっているわけでして、もう「これからは評価経済」とか頑張って喧伝してた岡田斗司夫の上半身に謝れと思うわけであります。

 そういう適法性が微妙でクソい案件を見つけて掃除するのもクラウドワークスの本来の仕事なのでしょうが、似たような事案は多数見つかります。囮受注でもして、炙り出しをして欲しいと思いつつも、そういうモラルの低い仕事もクラウドワークスからすればお客様であり取引拡大のネタだとするならば、もうこの界隈はいつまでもそういう仕事の巣窟にならざるを得ないのでしょう。

 ステマやサクラに関しては、メディアもSNSもほんと悪貨以外の何者でもないので、そこに銭をつける行為がいかに駄目かはちゃんと把握して欲しいと思いつつも、クラウドワークス赤字だろうから後手に回るんだろうなあ、どこが救済するんやろなあという出来の悪いクラスメートの受験失敗を憂うような気持ちになってしまうのは私が良い奴だからでしょうか。

(追記 27日 13:22)

 本件、Steam界隈でも気にされる話題であるらしく、ステマレビューについて記事が上がっていました。

Steamで販売されている日本同人ゲームにステマレビュー疑惑、まとめてみた
http://maruhoi.com/news/japan-doujin-game-stealth-marketing-review/

[引用] 確かに海外でもこういった開発者とレビューとの癒着というのは度々問題になっていて、Redditやメディアで取り上げられて日本でいう炎上状態になっているのは知っているんですが、日本の同人でもこういう事をしちゃうっていうのが残念ですね。

 そのうち、こういうユーザー評価のシステムはAIで人間と変わらないクオリティの自動コメント機能とか出始めると一気に崩壊するんだろうなあと思うんですが、そういう誰にでもできる仕事を人力でやることの空しさをぜひ同人ゲームで表現してもらえると面白いんじゃないかと思います。

 買わないけど。

 

サイバーエージェント側の認識とサイゲームスの中の人の考えが微妙に違うようなのですが、概ね「ややこしいことをしてしまったのでユーザー対応をきちんとする」という方針であることは良かったと思います。

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 ただ、以前4Gamerにも書きましたとおり、いわゆる「詫び石対応」 というゲーム内通貨で補償をするというのは、基本的にはユーザー被害がゲームの運営に依拠しない技術的な問題などへの対応に限定されるべきであって、今回のように消費者トラブルで運営会社側が事実上問題の所在を認めた場合は、本来であれば現金による返金をきちんと行い、対処する必要があるようには感じます。

【山本一郎】グラブルの消費者問題に寄せて――スマホゲーム業界全体に漂う問題を軽くまとめてみる

[引用] 今回のグランブルーファンタジーの場合は,ガチャの説明書きがユーザーの誤解を強いる可能性のある内容であり,景品表示法の優良誤認の疑いがある事案ですので,謝ってコンテンツを配って済む技術的な問題とはわけが違います。

 それでも、ガチャに天井ができて、個別の確率表示が(第三者による検証は困難ですけど)なされ、相応の詫び石配布の対応がされたことは前進だということで良いのでしょうか。

 なお、この問題が波及する先は概ね次の2つです。

 1)  それ以外の期日の問題ガチャに詫び石や返金対応があるのかどうか

 15年12月31日から16年1月7日までのキャンペーンで行われた事案においてのみ、ユーザーに対する補償が行われる形になっています。それ以外の誤認事案があったと認められるとき同様の対応、またはそれ以上がされるべきという話になりはしないか。

 2)  他の類似タイトル、同様のトラブル事案はどうなのか

 今回のサイゲームスの補償裁定は、「何が理由で」詫び石対応になっているのかが明記されていません。ただ、問題だとサイゲームスが認識してくれたので、ある意味で善意でそれとなく詫び石対応されたという形です。これが、「何が理由で」詫び石対応されたのかが確定すると、類似のソシャゲで似たようなトラブルがあった場合、そのような詫び石対応をするよう多数の請求が出る可能性は否定できません。

 ということで、業界の暗部を切り裂くトリガーを引いたサイゲームスが、今度は詫び石の理由に関する対外説明ひとつで業界全体が詫び石祭りへと発展するパンドラの箱を開けるかどうかの瀬戸際に立たされておるわけで、かなり微妙な展開になりつつあります。

 なお、私の承知している限り、サイゲームスではないほかのタイトルでそれなりの規模の訴訟が提起される準備が進んでいるようです。あんまり詳しく知らないんですが、分かり次第、どこかに書きたいと思います。 

(追記 13:56)

 本件については、サイゲームス「グランブルーファンタジー」公式に、対応策の詳細が書かれていました。
 
「グランブルーファンタジー」の今後の方針について

 懸案となっていた詫び石補償の理由が「ご不安の念を抱かせてしまいましたことのお詫び」とのことで、これはいったい何に対するご不安なのか良く分からないのがデリケートゾーンに指を突っ込んだサイゲームスなりの誠意なのかもしれません。

 ただ、不安という意味では、ガチャ300回分9万円相当を回せば一枚欲しいカードが確定というやり方をして、適用されるキャラクターすべてが突然景品表示法ど真ん中の適用対象内にしてしまうというダイナミックなアプローチにしたことで、カジノ研究家の木曽崇さんも目が点のシチュエーションにまで進化して、むしろ不安になるわけであります。



 木曽さんご指摘のとおり、今回の「300回ガチャ回してお目当てのものが当たらなかった人に、欲しいものプレゼント」は、9万円相当の取引の本体に付随する取引となり、景品扱いとなります。その場合、最大1回300円300回のガチャである9万円相当の取引価格の10分の2、つまり1万8,000円分の価値が景品類の最高額と規定されることになります。


景品規制の概要

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 このとき、例えばガチャの正価300円に対して0.01%、つまり1万回に1回の供出割合の目当てアイテムを「300回外れたからあげる」とするならば、経済的対価として300万円分の相当額(もちろん確率的には異論は出るだろうけど便宜的に単純に確率割にしますが)である目当てカードを9万円相当のガチャ外れの景品として供出するのはガイドラインに抵触する疑いが出ます。

 まさかの景品規制20%ルールに自らを追い込むことで、対象となる希少カードやキャラやアイテムは1万8,000円以下の価値であると宣言したに等しいサイゲームスの英断はビビるわけですが、分かっておるのか春田。

 基本的にとんでもないことをしているという認識を本来はもつべきところですが、お話の行く末についてはまだまだいろんなことがあると思うので注目してまいりたいと存じます。

 申し入れた取材を適当な理由をつけて遠回しに断られたうえ、他で取材に応じた相手がよりによって朝日新聞の大鹿靖明だったというダブルで効く馬鹿にされ具合で藤代裕之さんがキレています。まあ、気持ちは分かる。

取材に対してウソをつく組織「Yahoo! JAPAN」が信頼と品質など担保できるわけがない
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujisiro/20160224-00054718/ 

 ただまあ、個人的には宮坂学さんはヤフーの中でもニュース事業に理解のある庇護者でもあるし、なんかその辺の真意やプリンシプルのあたりを聞いてみたいという気もするので、門を叩き続ければきっといずれ開くでしょ。

 藤代さんを見習って、私もついでにBLOGOSを率いるLINEの出澤剛シャチョーに取材を申し込んで断られた上でキレてみようかしら。書き手の反乱じゃあー。

BLOGOS
http://blogos.com/ 

 割の良い執筆依頼を心よりお待ち申し上げております。 

(追記)

 静かにしろ。

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