月別アーカイブ / 2015年03月

 そもそも何をしにいったのかが良く分からないんですが、とりあえずクリミアに鳩山由紀夫元首相が赴いたようです。



「鳩山氏を首相にした民主党は反省を」 クリミア入りで自民・高村副総裁

http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/150311/plt15031111490008-n1.html

鳩山氏のクリミア訪問「軽率で遺憾」…菅長官

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150311-OYT1T50058.html

鳩山元首相のクリミア訪問「国益を害す」 自民・高村氏

http://www.asahi.com/articles/ASH3C3Q7LH3CUTFK001.html



 もはや「ネタとして面白い」というレベルを超えていて、なんだかなあといったところなのですが、各紙一斉に鳩山さんのやらかしは記事にしているものの、誰の手引きでややこしい地域に鳩山さんが入れるのかという点については触れていません。


 高村さんも批難したコメント内で指摘していますが、「元首相」という肩書きがよろしくないというか、諸国に間違ったメッセージを伝える可能性が高いことを危惧するわけです。というのも、過去にも鳩山さんは元首相として尖閣諸島は日本固有の領土ではないなどとした発言をして、これはこれで物議を醸したりしているからです。当然、日本国内では鳩山さんは馬鹿扱いとしても、諸外国においては「国の元指導者が」という話で宣伝戦に使われるのは当然ですからな。



「尖閣は固有の領土ではない」

放言いまだ健在の鳩山由紀夫

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4204



 そして、今回のクリミア入りでは親ロシア派の「クリミア共和国」にロシアのビザで入国という形になっており、文字通り武力による現状変更は認めないとした日本政府のアプローチとは異なる姿勢が明確になっています。



政府説得振り切り“元首相”露ビザでクリミア入り

http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/150311/plt15031100360004-n1.html



 問題は、誰が鳩山さんにクリミア共和国入りを唆し、誰が手引きしてこれを実現したんだろうかという点です。鳩山さんにおいては、ご子息がモスクワ大学に留学されたり、祖父・鳩山一郎が日ソ共同宣言の締結を実現したりと、その方面では縁の深い人物でもあります。一方で、ロシアも鳩山さんを担いだところで宣伝にしか使えないことも知っているわけで、ロシア政府の本丸筋が鳩山さんを起用したとも考えづらいところでして。



 さすがに現状のロシアは経済的な孤立が理由で西側との関係修復を考えたいという意向も強いようですが、ちょっとこの有様では日本としても橋渡しの役割を担うことはむつかしいでしょう。鳩山さん個人のクリミア訪問の意図が何であれ、クリミア問題、ひいてはマルチでの対ロシア外交での日本の信頼をそれなりに落とすことになるからです。



 シリア問題にしてもイスラム国にしても、これらの問題の端緒となったロシアの支援に対して強い猜疑心が広がっている現状で、鳩山さんが取った行動は問題です。仮に何らかの彼なりの善意があったにせよ、どういう事情があれ迂闊としかいいようがなく、日本にとってはかなり本気で迷惑なことだろうと思います。



 どうにかならないのでしょうか。


 苦手な人と、話が続かなくて困っている人には、最適な本だと思うんですよ。

 対人スキルやコミュニケーションのあり方に悩みには、とても効く内容です。



 「ツッコミには10個の型がある」と分類されてますが、漫才やコントでなくとも日常会話で行うツッコミって、要するに相手と話を続けたり、内容を引き出すための「うまい相槌」のことなんですよね。






 相手との会話での違和感へのツッコミの技法をうまく使うことで、話が途切れなくなったり、ミスを正せたり、相手に「あ、こいつは俺の話をちゃんと聞いているんだな」と感じてもらえやすくなるのは間違いありません。こうして本書で10の技法と分類されて読み進めてみると、確かに私自身も対談その他で似たようなことを考えているし、逆に自分でできていない技法があることに気づきます。「セルフツッコミ」とか「ノリツッコミ」はほとんどしないですし、この分類だと自分はこれとこれは多用してるな、とチェックすることもできたりします。







 本書の後半は圧巻で、コミュニケーションだ、対話する力だとテクニックを惜しげもなく披露しておいて、最後に出てくるのは人と人との関係の中にある「間」。ここだけはセンスだと思うんですよね。結論は出ているんだけど、敢えて考えているふりをするとかそういう意味ではなく、相手にリアクションの内容として行間を読ませるような「間」って、生きてきてあまりまじめに考えたことはありませんでした。



 著者曰く、リアクションとしてのツッコミは才能ではなく努力と経験で培える。確かに、相手の機嫌を損ねずにいかに間違いを指摘するか、受け入れられやすいよう意見を伝えるか、聞き手として上手に気持ちよく話してもらって印象を悪くしないか… 様々なコミュニケーションのスキルの原型が、まさかお笑いのツッコミという角度から解き明かされるとは思ってもなかったです。



 むしろ、著者は放送作家の方のようですが、タイトルにもあるようなお笑いの世界観を読者が変に意識する必要は無いと思います。コミュ障を治したい、人と普通に対話できるようになりたい、興味のない人や話題でも一定の会話のラリーを続けたいという涙の止まらない系の悩みを持っている人ならぜひ一読するべきです。相手との対話の中から自分なりの違和感を見つけ出し、そこを打ち返すフックにして相手の話を引き出して沈黙を避けるというのは、マジで目うろこです。文字通り、眼鏡が落ちました。移動中の飛行機で読んでて、何度も読み返してしまいましたし。



 唯一注文があるとするのなら、この書名は微妙です。お笑いメソッドの解説本のようでいて、これは対話している相手の言葉や表情から違和感を掴み取り言葉を繋いでいくための技術書兼思想書ですわ。「ツッコミ術」となってますが、むしろ「ツッコミ道」です。テクニカルだけど、相手を洞察しようという強い気持ちがないと発動しないスキルですし、まったく共通の話題や前提知識のない人でもちょっとした興味関心からどうやって会話を繋ぎ広げていくかという心の問題ですから。このやり方を知って実践しようという気持ちの準備があるだけで、落ち着いて知らん人でも対話できるようになるんじゃないかと思います。



 よくもまあ、これだけのことをあっさりと新書で書くもんだなと感心しましたし、むしろお笑いを前面に出すよりは「対人スキルの磨き方」だと思って読んだほうが一般の人にはわかりやすいかも知れません。そのぐらい、良くできた本でした。


 去年に続き、お世話になっている月刊誌で、保守論客なるものの鼎談があったんですけれども、同じ保守主義でもいろんな見方があり、議論が紛糾するのは仕方がないとおもうんですよ。



 簡単に言うと、先方大御所お二人は夫婦別姓は認めず、同性婚も望ましくないというお考えで、その根拠が憲法や日本の伝統が理由だということでして。



 私個人は夫婦別姓も同性婚も社会がこれだけ開明的になってきたのだから日本社会も緩やかな変容を認めるべきだと思っていて、宗教観念上は同姓婚には個人的な心理抵抗はあるけれども本人同士がそれを求める限りにおいては、婚姻かそれに準ずる仕掛けを社会が用意してあげてもいいんじゃないかと思うわけです。


 夫婦別姓も同様。あくまで戸籍上の問題であり、普通の生活においては結婚後も結婚前の苗字で仕事をされている女性もたくさんおられ、制度的に別姓にしたいのだというのであればそれは好きにすればいいんじゃないかと思うわけです。



 ところが、それが理由で「日本的な伝統が」とか「家庭の崩壊が」などといわれると困ってしまいます。そもそも、明治維新前は日本人は苗字なんざ持ってない人が大半だったわけじゃないですか。社会の要請や、国際社会との関係のうえでいろんな制度が日本に入ってきて、日本社会が受容していった結果がいまであるわけで、さらに国際化され、その中の日本であるということが明確になっている以上、戸籍とか家族制度も日本人のニーズに合わせて柔軟に考えればいいんじゃないのと考えます。



 その意味で、日本の保守主義というのは「家族、かくあるべし」と固定されるものではなくて、むしろ「日本社会を維持するために、世の流れに応じて柔軟に制度や価値観を変えていくのが保守的態度なのだ」ってことで良いのでは、という話をしていたんです。



 そうこうしているうちに、全然関係の無い対米従属の問題やら安倍政権の立ち位置やらを認める認めないで鼎談相手の大御所同士が意見対立してしまい、私を置き去りにして鼎談が良い意味で壊滅してしまいました。ゲラが送られてきたんですが、きっとこの原稿は月刊誌に掲載されることなくお蔵入りになることでしょう。大御所とは怖いもの知らずの人たちのことで、であるからこそ好き放題にものをいう権利があり、喧嘩する資格があるということなのでしょうか。



 逆にあのような大御所の方々の奔放さには魅力を感じつつも、自分があの年齢になったときにもう少し立ち居振る舞いを気をつけようと思ったのでした。


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