月別アーカイブ / 2014年11月

 私も寄稿しております『次の本へ』が並び始めたようです。



 amazonではいきなり在庫がなくなって、補充もされないといういつもの現象が起きているようでして、ここはひとつ楽天ブックスを試してみたいと思っております。楽天デーブルス最高です。楽天ブックスに本の画像がないのは仕様みたいですな。










 というわけで、各界の本読み84人が一冊本を選び、そこからさらに智を求めて読み進めるとどの本になるのか? ということをガイドするコンセプトの本であります。最初、寄稿のご依頼をいただいたときはあまりのコアなテーマに身じろぎし、こんな好事家しか手に取らない本に寄稿するのは如何なものかという自問自答があったわけなんですが、まあほぼ毎年100冊近く目を通す生活を20年続けてきた自分が得てきたものを出せる機会があるならということでお請けしたんですよね。



 そしたら、なんか意外に身の回りに好評じゃないですか。や、私が書いた内容が、というんじゃなくて、84人の本読みが横並びで「俺の選んだ本を読め」と書き募る修羅の朝市みたいな情景が。興味を持って自分でも送られてきた著者本をつらつらと読んでみたんですけど、これがまた面白い。



 確かに私も世間一般からすると本を読むほうではあるし、幸いにして本を書く側に回ってもいるという豪運もあって、興味のある方面の本は一通り読んでいるつもりでいました。ただこの本を通して他の本読みの目線を見ていますと、そういう自負は単なる傲慢であって、この世にはさまざまな種類の智があり、その智を照らす視線にも数多の角度があることを知るのであります。



 中身には敢えて触れません、余程の好きが無ければ読んで「ふーん」で終わる代物です。ただまあ、ライフハックだ教養だとネットの中でぐるぐると時間を費やすことの多い私やこのブログの読者からすると週末の3時間を充てて自分なりの落ち着いたひとときに紙をめくるのもまた人生において悪くない一興だろうと感じます。



 この本の編者は、まさに先に告知した『プレジデント』を手がけておられ、退職された石井さんであります。彼が編集者時代には逆に私とつるみすぎていたこともあり一度としてプレジデントから寄稿依頼されることもなかったわけですが、彼がプレジデントを離れてから本誌とお付き合いが深まり、一方で彼が新しく踏み出した出版社の処女作に私の名を連ねることができたというのはある種の僥倖といってもいいのではないかと思います。



 そういう人生の機微の点についていえば、私自身においては『プレジデント』という雑誌自体が次の本へ繋がる門だったのかもしれませんし、また折があれば石井さんらしい本に活字の一個でも寄せられればと思う次第であります。


 一部で話題が沸騰していた財務省の35人学級向け予算削減の話と、G型L型大学に分割する冨山和彦さんの議論を、少子高齢化下の財政難の話に寄せて執筆してみました。



http://www.president.co.jp/pre/new/index/

クエスチョンタイム [39]●山本一郎

「35人学級」とは誰のために必要なのか





 元とした議論はこちらです。



「アベノミクスの終わり」解散で社会保障改革待ったなし

http://ironna.jp/article/622

財源のはっきりしない政策議論は、そもそもおかしいと思うんだよね

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2014/10/post-388f.html



 記事の中では触れませんでしたが、35人学級の効果についてはいまなお有識者の中でも意見が分かれており、効果がないともあるとも言い辛い状況ではあります。ただ、それとは別として教育予算を他に比べて温存する、あるいは優先するのであれば、他の政策よりも優遇されるべき理由を文科省や教育現場はしっかりと説明しなければならず、自分の取り組んでいることは大事だからという理屈だけではダメでしょうという話で。


 日本の国力の根幹は教育であり、その予算は最優先するべきだ、という議論に反対する日本人はたぶんいません。しかし、教育の内容や効率の問題とあわせて、ひとつの政策を優先させるには別の政策を劣後させる議論をしなければならず、必要性だけを説いていては意味がないと思うんですよね。



 併せて、財務省が敵みたいな議論になっていますが、確かに予算配分の権限を財務省は握っているんだけど、各省庁各政策に関する予算は当事者誰もがこれは大事だと思って予算獲得に奔走しているわけですよ。みんな重要だ、というところからどれを優先するかの議論がきちんとなされなければ、そりゃあ優先させる権限を財務省に渡していることに他ならないわけですから、もう少しやりようがあるのではないかと思うのであります。



 大事なのは分かっているから、何に比べてどう大事であり、どういう政策をどんな目標に向かって実現するのか、というのはもう少し考えるべきだと思います。



 教育は大事なのだから教員は削減するべきではない、教員の職場は大変なのだ、で話が終わられては困ります。そもそも、義務教育を司るところでは本来家庭が子供に対して担うべき躾を学校の現場までもが代行しているかもしれないし、大学全入時代になって子供が増える前提で大学を増設した結果何の役にも立たない私立大学が量産されてしまって淘汰の時期に来ているだろうし、そのあたり子供の教育とこれからの社会での貢献の仕方については合理化や調整が絶対に必要でしょう。



 これからメルマガも送ります。いましばらくお待ちください。


 回線の細いところをひいこらいいながら各国旅してきたわけなんですが、一時期ほどではないにせよ、身の回りでNewspicks経由で経済記事をクリップしてFACEBOOKやTwitterで共有している人がおります。で、スマホで踏みに行くとNewsPicksのサイトに飛んで、読みたくもない他人のコメントがいくつかピックアップされてるページをまず表示されるわけですね。



 ウザすぎるというか、他社のコンテンツの上にnewspicksのサイトをコメントつきで掲載して、勝手に他サイトの「新着ニュース」とか表示しちゃうのは単なるフリーライダーなんじゃないでしょうか。


 で、これってNeswpicksでユーザーがコメントつけてタイトルをSNSなどで共有して押されたクリックというのは、属性データその他を各メディアさんにきちんと還流しているんでしょうか。ここんとこ、ちゃんと仕組みを握っておかないとバイラルメディアが「感動したらシェア」とかいって動画貼ってSNSボタン置いてるのよりも悪質だと思うんですよね。



 ある意味で、はてなブックマークだって「コメントを掲載されたくない」という書き手やちきりん女史のような人には救済の手段を用意し、SNS共有でも短縮URLで直接アクセスは送っているわけです。メディアが金をかけて取材して記事にしている内容をこういう形で横取りしてPVを稼いでいる形だとしたら、さすがに問題が大きいんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。



 ビジネス系のサイトに原稿を入れていて、閲覧数の予測の割にNewsPicksからの流入が少ないのは、上記のような理由なんじゃないかと思うんですが。


 沖縄では現職の仲井真弘多さんが敗れ、知事に前那覇市長の翁長雄志さんが当選した。



翁長氏、来月にも上京し辺野古移設の反対訴え

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141117-OYT1T50103.html



 米軍基地の移設反対を主張しに東京にやって来られるという。東京で暮らしている人間としては、いままで沖縄に基地を押し付けてきて安全と繁栄を享受してきたということで、政治的にも経済的にも沖縄をどうにかしたいという気持ちは強い。



 一方で、米中対立が先鋭化する中で、最前線である沖縄の重要度は高い。日米同盟が日本の安全保障の根幹である以上、地元に反対されたのでいきなり米軍さようならとはならない。日米関係と軍事的なバックグラウンドのあり方については、我らがFinalvent爺がなぜかポリタスで興味深い記事を書いているのでそちらをご覧いただくとしてもだ。



【沖縄県知事選】沖縄県知事選後に予想される泥沼

http://politas.jp/articles/160


[引用]

◆そもそもなぜ仲井真が立候補したのだろうか?

マスメディアやネットでは普天間飛行場の辺野古移設反対派の声が際立つため、仲井真知事が辺野古移設推進派とされて批判されることが多い。しかし、中立的にかつ継続的に仲井真を注視すれば、彼が辺野古移設を推進したことはない。その主張の主眼は、普天間飛行場の撤去であり、そのための代替基地建設は沖縄県外であるべきだと一貫している。

そもそも仲井真は、本土の東京大学を卒業後、通商産業省に技官として入省し、それなりに重要なポストを歴任した有能な官僚であり、米国勤務の経験ももつ国際派でもある。官僚の手の内は熟知しているし、米国がどのような国であるかも知悉した人物である。その上で、日本政府と対決してまで今日の沖縄の基地問題の局面を切り開いてきた大田昌秀元沖縄県知事の下で副知事を務めた経験もある(ただし1993年まで)。仲井真知事は日本本土でいう保守派でもなければ、沖縄ナショナリストでもない。




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政府、翁長氏説得へ…不承認強行なら行政訴訟も

http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20141117-OYT1T50025.html



 読売新聞の記事でも、グアムへの基地移転のスイングについてはさらっとしか書かれていないが、実際には沖縄の絶対的な問題ではなく、フィリピンとアメリカの軍事関係の再強化やら、ベトナムやインドネシアへのアメリカのアプローチがどう転ぶかといったところが要素としてどうしても絡んでくるのでどうにも先を読みづらい。



 沖縄から米軍基地が完全に撤収するシナリオは早期にはあり得ないからこそ、沖縄にとってどのラインが納得できるラインなのかをきちんと見極められるような対話が必要なんだろうとは思っていた。ただ、Finalvent爺が指摘したように、仲井真さんのような人物でさえ問題を最後まで着地させられなかった中で翁長さんが混乱を収めて一定の道筋へ導けるのかと言われると微妙なのだろう。



 泥沼は仕方がないとしても、その乗り越えるべき泥沼の向こうにどんな地平線が広がっているのか、実はあんまり良く分かっていないんだよね。沖縄が、今後想定される主戦場である南シナ海への最短アクセスであり、尖閣諸島その他列島線の確保を目指すのであれば、なかなかその役割を他に担わせることも難しいのだから。



 沖縄の負担を軽減させるために何ができるのか、時節柄、地政学的な問題を抜きにできる技術革新でもあろうものならすぐにでも、と言うことなのかもしれないが。


 忙中につき手短に。









東証、一時1万7千円割れ

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2014111701001388/1.htm



 評価の向きによっては「できることを全部やった」安倍政権ではありますが、各種インジケーターとしてはあまり楽観視できる状況になく、公示前の調査においても景気問題や生活の不安が断然トップの状況での解散でして、増税見送りで野田政権からの三党合意後の是非を問う形になっております。



 それでもなお現状では各選挙区においては与党やや優勢は変わらないのですが、非常に揺らぎが大きいように感じている次第です。


 今回は安倍政権特有の「投げ出し」でないことを期待するほかないわけですが、選挙に勝った後で、本格的に景気が後退→消費税引き上げ再延期からの社会保障制度の破綻が起きるとシャレにならないぐらいに日本全国夕張化する可能性もあるので、正直いろんなものを考え直す必要があるのではないでしょうか。



 この前、都議のおときたさんが面白いレビューを書いておられたので、真のダークツーリズムにご関心のある方はぜひご一読ください。



「燃えるゴミ」が燃やせない町・夕張に、暗い日本の未来をみた

http://www.huffingtonpost.jp/shun-otokita/yubari_b_6162644.html



 解散自体に大義名分があるとはとてもいえないけど、今回もまた日本の将来を占う本当に大事な選挙になるかもしれないです、が、与党がああで、対抗するべき野党もああというのは日本人にとって最大の不幸といえるのではないでしょうか。



 もちろん、政治家各氏が本当に意欲のない無能だとはとても思えません。それだけ、我が国の現状で解決するべき問題が山積していることの証左だろうと感じます。社会保障費、本当にどうするんでしょう。


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