月別アーカイブ / 2014年06月

 世知辛い世の中だなあと思うわけなんですが、フルカウント向けに野球観戦記の対談を寄稿したじゃないですか。それも、お相手は神田憲行さん( @norikan2 )。いろいろとお辛い人生をお送りのようですが、そのようなことは問題とせずヤクルトの負け試合を観戦しつつ野球のあれこれを駄弁ったわけです。



 そしたらですね、さまざまな大人の事情が発生して、原稿がボツに。やー、参ったわけじゃないですか。



 まあ、その後もっと酷い原稿を寄稿して掲載されているわけですけど。



【山本一郎コラム】サッカーファンのお前ら、ベイスやヤクルト、アストロズ見て落ち着けよ

http://full-count.jp/2014/06/26/post3229/



 そんなわけで、ボツ原稿そのまんま掲載するわけであります。



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■神田憲行さんとヤクルツ負け試合を観戦しながら野球界隈について語る



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 前回ここでヤクルト投手陣を評して「学徒出陣」と書いたところ、批判がやってきたわけなんですよね。



 でもね、よく考えてくださいよ。



 いまのヤクルツの中継ぎ、勝ち試合の8回9回はルーキー左腕の岩橋と、抑えの切り札が秋吉です。



 はい。京都産業大学からドラフト4位でやってきた岩橋と。

 中央学院大学からパナソニックを経てやってきたのが秋吉です。



 他にいないのかよ! って、いないわけですよ。



 例えば抑えに起用されるはずだったバーネット。この前、ブチ切れてました。切れたまま、怪我して戸田へ。



 その代替として起用されたのが、カーペンター。もうね、凄い数のフォアボール。どのくらい凄いのかというと、16回2/3投げて、与四球13、与死球3。ほぼ毎回四死球。ヤバイ。戸田送りになった試合に何をしたかというと、三者連続四球。何なの。ちょっと。ねえ。



 そしてロマン。良かったんですけどね。故障しましてね。まあヤクルトですからね。しょうがないね。いつ帰ってきてくれるのか分かりませんが、お爺ちゃんですからね。



 で、秋吉なんですよ。他にね、いないんですよね。強いて言えば山本哲なんですけど。彼も故障してましたからね、あまり無理はさせられないんですよね。無理させたら秋吉も故障待ったなしなのが問題ですが。



 というわけでして、神宮に繰り出すわけなんですが、このたびノンフィクションライターで『97敗、黒字。―楽天イーグルスの一年』や『八重山商工野球部物語』など野球のルポライティングで微妙に著名な神田憲行さんと負け試合を観戦したんですよ。




■森岡



神田 カープ調子良いね。



山本 神宮に来るファンの顔色がつやつやしてて腹立ちますね。



神田 カープファンのお客さん増えて、神宮は嬉しいんじゃないの。



山本 その代わりスワローズファンがちっとも増えませんから。



神田 増えないの。



山本 増えないですね。



神田 じゃあしょうがないね。



山本 (一塁側内野自由席を指差す) あの辺までカープファンが侵食しているじゃないですか。



神田 赤いね。



山本 むしろスワローズのユニ着てるほうがビジターみたいな状態で。



神田 アウェーって言うか。



山本 アウェー言うな。



・ ここで初回からいきなりヤクルト先発・八木が満塁からの牽制悪送球で広島に1点献上。



山本 ああ…



神田 弱いチームってこういうプレイが多いね。



山本 八木も別に雑な感じの選手じゃないんですけどね。



神田 歯車噛み合わないとこんな感じだねえ、って、ショートは今浪?



山本 森岡が怪我で二軍に。



神田 なんでやねん…



山本 私に言われても困ります。



神田 森岡、好きなんだよね。高校時代、くそまじめな選手やったわ。



山本 私も好きです、森岡。打守走どれも微妙にそこそこな感じで、頑張ってる感じが好きですわ。



神田 山本さんって微妙な選手が好きだよね。



山本 苦労しているのに馬鹿プレーで野次られたり、荒い動作でポテンシャルをまったく活かせない選手とか大好きですよ。



・ さらに廣瀬が2点タイムリー2ベースヒット。



山本 『こらー ハゲー もっと慎ましくプレイしろー』(太字)



神田 相変わらず野次るね。



山本 そのために球場来ているようなもんですから。



神田 ネットでの姿とあんまり変わらないね。



山本 裏表のないまっとうな人生を送ってますんで。



神田 あっそう。森岡が相手でも野次るの?



山本 エラーしたら野次りますね。「もういっぺん高柳に味噌漬けにしてもらえー」とか。



神田 それは言うたらあかん(笑)。



山本 今年は西浦と併用で起用されて好調維持できるかと思ってたんですがね。



神田 今浪のほうが守備うまない?



山本 真面目にやればどっこいじゃないですかね。打球反応とか見ても、今浪も森岡も一歩目は速いほうですよ。



神田 そういう数字を見て選手を捉えるの、山本さん上手いよね。



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■セイバーメトリクスとか



山本 (ラーメンをすすりながら)守備に関しては、かなり数値化が進んできてますからねえ。



神田 そうなの?(ラーメンすすりながら)あれ?これ美味いな。神宮の売店いうたら日本中のマズイもん集めて売ってる印象やったけど。



山本 古田監督以降改善されて、最近かなりマシになったんですよ。守備率とかUZRなんかの指標も一応参考にされますが、いまメジャー各球団の主流はMR(ムービングレシオ)みたいなビデオで見た選手の反応で判断されることが多いっすね。



神田 その辺は良く分からないなー。



山本 理屈は簡単なんですけどね。各選手の打球への反応を俯瞰カメラで観測して、その選手がいかに速く反応できるかを機械的に調べているだけですし。



神田 それでどういうことが分かるの?



山本 一歩目が速ければ、それだけ打球に対して近づける、イコール守備範囲が広くなる、安定した体勢で捌ける打球が増えるって話なんですよ。



神田 それって第三者でも分かるものなの?



山本 「Pitch f/x」ていう投球のモニタリング情報なんかは公表されてますけど、守備の指標については各球団がメジャーから3A、2Aぐらいまでデータ囲い込んでて第三者には分からないんですよね。



神田 よくメジャーのスカウトが計測用のカメラとかで撮ってるやつかな。



山本 全部が全部そうじゃないと思いますけど、守備における「一歩目」って才能なので、有望な選手は若いころから才能のあるなしが分かるってのが最近のセイバーメトリクスの世界ですわ。



神田 なるほど。



山本 誰でも見られるSTATS(選手成績)からその選手の活躍を予想するセイバーメトリクスが第一世代だとすると、いまのセイバーメトリクスはサッカーから来た選手のパフォーマンスで能力把握や疲れなどの体調を見て選手采配やスタメン起用に活かす第二世代が出てきた感じです。



神田 僕なんかと野球の見方が全然違うな。



山本 ですかねえ?



神田 やっぱり、僕はどこ高校で、監督はどういう人で、誰と先輩後輩で、そこから大学や社会人にいって… っていうような、人間関係を中心に考えるんですよ。



山本 『こらー 廣瀬ー ハゲー ホームランなんぞ打ちよって、死に絶えろー』(太字)



神田 あれが入るのか、神宮球場…。



山本 すみません、少し取り乱しました。続けてください。



神田 0対5になったらしょうがないな。ま、誰と誰が師弟関係でって文脈でどこからどの球団に入るかってのが大事で。



山本 確かに、宮本(慎也)さんの本なんかを読むと、明らかに縦社会の中でどんな技術を習得していくかっていう目線で書き綴られてて面白いですよね。



・宮本慎也 『歩』



神田 そうそう。野村監督とかがコーチをどういう目線で引っ張ってくるのかとか、野球って技術の伝承みたいなところがあるから。



山本 セイバーメトリクスみたいに、チームの采配やカラーをどう構築するかと発想がまったく逆ですよね。



神田 監督が変わると指導法から起用、采配までまったく変わってしまうのが日本の球界の「常識」やからなあ。



山本 メジャーが全部が全部いいわけじゃないですけど、オークランド(アスレチックス)やセントルイス(カージナルス)なんかはフロント主導で選手管理や育成まで統制されてて、編成の仕事になってますからねえ。



神田 現場にどこまで裁量あるものなの。



山本 全部はもちろん知りませんけど、登板する先発を予測してのツープラトン(右打者左打者などの併用作戦)から条件別のブルペン登板の指示まで、かなり細やかにフロントが現場を管理しているチームがパフォーマンス良さそうです。



神田 一時期楽天が目指したり、日本ハムが考えていたような感じなのかな。



山本 日本ハムは志半ばって感じですよね。



神田 ヤクルトは?



山本 それ以前の問題ですよ。聞かないでくださいよ(笑)。二軍で先発させられる投手の駒さえ足りないんです…。



神田 それは悪いことを聞いた。



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■そして敗戦へ



神田 先頭打者に四球はまずいよなあ…。



山本 丸はいい打者ですね。



神田 どの辺が?



山本 条件別の、ボールスイング率とかミート率というのがありまして。



神田 ほう。



山本 好不調は激しいですが、出塁率が高くて苦手とする投手傾向もないので、疲れない限りずっと上位に置いて試合で使いたいタイプの選手です。



神田 そこまで期待された著名な高校生じゃなかったような。



山本 スカウトが慧眼でした。広島の野球にあってたんですかね。このまま順調に行けば、間違いなく球界を代表するバッターになるんじゃないでしょうか。



神田 前田みたいな感じになるのかな。



山本 前田は天才ですからねえ… 打率は残すけど出塁率はうんこですが。



神田 出塁率重視かよ。



山本 そりゃそうですとも(笑)。



神田 おー、走った走った。丸、スタートいいな。



山本 『こらー 広島ファン 野球は静かに観ろ!』(太字)



神田 あんな簡単に走られちゃまずいよ。



山本 中村も悪い捕手じゃないんですけどねえ。



神田 もうカープファンはホームグラウンドだってぐらいに騒いでるね。



山本 昔の神宮はほんと紅しょうがぐらいの感じしか客いなかったんですけどね。



神田 人気チームになったんだねえ、広島は(しみじみ)



山本 他に娯楽はないんですかねえ。



神田 他に娯楽があるのに神宮に足を運んでる我々もどうかと思うよ。



山本 『ばかやろー ビールもってこい!』(太字)








 また竹熊健太郎さんの周辺に何かあったらしい。



ホップ・ロウ取締役退任および「電脳マヴォ」継続についてのお知らせ

http://memo.takekuma.jp/?p=5775



 共通の友人が多いし、いろいろと話は聞くことはあっても、それはあくまで風評に過ぎないのであって、竹熊さん側の真実はこれである以上、単なる一読み手としては「なるほど」以上の何かはありません。



 昔から顔見知りではありながら、最近はもう数年お会いしていない竹熊さんですが、彼の努力の経緯はウェブで随分拝見していて、ある意味で悶えるような、あるいは痺れるような、竹熊さんの究極の世渡りの下手さ、その裏返しとしての人間としての正直さ、誠実さを長期連載のように見ているわけです。



 えっとね、竹熊さんが繰り出す何かというのもさることながら、竹熊さん自体が面白いんですよ。あと、竹熊さんの周辺。語り部としての竹熊さんの抜群の才能、というか、凄さ。



電脳マヴォ

http://mavo.takekuma.jp/



 竹熊さん、正直だから、うまくいっていないと赤裸々にいう電脳マヴォ、でも立ち上がった当初からちらりほらりと見ている私からすると、小資本ゆえのいけてなさはあっても、ずっと面白いまんまです。というか、悪戦苦闘している。駅前で、ドトールだスタバだといったチェーン店が軒を並べている横で、昔ながらの喫茶店のマスターが自分の舌を頼りに豆をひいて一杯一杯客にコーヒー出してる感じ。


 いやー、正直言うと、竹熊さんじゃなかったらとっくに潰れてると思うんですよね。



 はっきりいって、竹熊さんだからできていることだし、竹熊さんじゃなきゃ続かない世界観なんですよ、これは。ある種の、ケンタウリ保護区。



http://smacdata.wordpress.com/2012/02/05/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%AA%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E5%8C%BA/



 だから、この程度のことでは竹熊さんは折れないと思うし、続けていくでしょうし、いろいろ始まって、いろいろ揉めて、良くも悪くも鳥人間のように滑空し、その人生そのものが作品のように扱われるんだと思います。



 つーか、竹熊さんの存在自体が大手出版社やウェブ企業が仕掛けるような大資本による大型戦艦乗りにいくのは想像つかなくて、どっちかっていうとどこから持ってきたか分からんゴムボートに謎のエンジンくっつけた手作り浮遊物体で闇夜に紛れてレッツゴー的な雰囲気ですからね。



 いろいろゴンゴンぶつかってるけど、竹熊さんですからね。いいんですよ、それが。


 ヤフーニュース個人のほうでも記事を掲載したんですけれども、2年ごしで手がけてまいりましたメルマガがついに100号ということで(まだだけど)、特別対談で乙武洋匡さんとご一緒させていただきました。炎上ネタではなく、そろそろ私たちどうしたらいいんだっけ、という手探り感のある内容がメインになっております。



『人間迷路』

夜間飛行: http://yakan-hiko.com/kirik.html

BLOGOS: http://magazine.livedoor.com/magazine/50



【特別対談】乙武洋匡×山本一郎 自分の人生を使って、どんな絵を描くか(1)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20140625-00036735/


 実は私自身あんまり対談モノって得意ではなくて、イベントのような軽いノリ以外の企画はご依頼があってもだいたいお断りしてしまう現状があります。というのも、相手の語っていることに同意できないとつい「ふっかけて」しまうから。別に怒っているとかではなくて、昔からそこにある矛盾で納得できないと論難してしまう悪い癖があるのを自分でも良く知っているからなんですよね。昨日も、飯田泰之さん、常見陽平さんのニコ生『饒舌大陸』でご一緒した際に、つい「リフレ派政策は良い悪いじゃなくて興味ないよ」的な話をしてしまうわけですよ。



 その点で、乙武さんとの対談においては、テーマが「これからの人生の描き方」であったために、なんとも身につまされる話が繰り広げられました。原稿を読み返してみまして、若いからこそ履けていたゲタを脱いだとき、果たしてこの先生き残っていけるのか?(社会的に)という話に立ち入って、もう対談は終わっているのに考えあぐねて腕組みしてしまうんなんですね。



 それは、社会に関わりメディアで発言する側に回ることのある身としても、また平凡な一人の夫、父親としても、若いころはなんでもこなしていた働き方からのギアチェンジの中で人生の目的地目指しつつ「何を得るか」より「何を捨てるか」を考えることになるのかなという当然の経過となるんですが。



 乙武さんの教育にまつわる捉え方はオーソドックスで、いままではメディアで物申す人間として少しずつ影響力を行使して良くして行けば良いという立ち位置から具体的な実践者として変革を担う人々と共に進んでいこうという凄味が見えて面白かったです。



 対談の最後の最後に、ちょっとした面白発言があります。んーなるほど。



 というわけで、ご興味のある方は是非に是非に。


 海外出張だ引っ越しだ出産だとドタバタあって、しばらくお家を留守にしていたところ、子猫のころ里親サイトからやってきたにゃんこ姉妹のさくらさん、わさびさんの二人が、完全に私の声も顔も匂いも忘れ去っておりました…。



 ご飯をあげるにも昔は飛んでやってきた二人が、いまやご飯袋を提げた私を見て、逃げ惑い、人間には手の届かないベランダの向こうまで走っていってしまう始末。いまでは日々お世話をお願いしている親族にしか懐かない状態です。写真は昔のにゃんこ姉妹。



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 まあ、猫ズが薄情なのではなく、彼女たちの記憶が喪われるほどに家を空けてしまっていた私が悪いんですけれども。毎日可愛がっていたのを思い出しつつ、少しずつでも、共に暮らした日々を取り戻していけるといいなと思っております…。



 ペットロスは本当に怖れていたけれど、猫ちゃんに忘れ去られるというのも相当に堪えますわ、マジで。すっかり夏毛になって、かわいいショートカットになってる彼女たちを撫でるどころか匂いを嗅がせることすらできず、残念です。



 長期海外出張とかでも連れてったほうがいいのかなあ。絶対ストレスになるだろうからやめてるんだけど。


 不規則発言が大好物な私がネット炎上史をテーマのニコ生『饒舌大陸』に出演するというのは何と不謹慎なことでありましょう。



今回のゲストは山本一郎さん!! 飯田泰之 × 常見陽平の「饒舌大陸」第22回  「ネット炎上史---燃え上がってこそのインターネット」 6月24日(火)20時から!

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39475



 時事放談としてはまことに絶妙なタイミングに震撼するところでございます、はい。




 今日は今日で、某上場会社さんの株主総会にお邪魔しまして、真正面から論難したりして愛されキャラを満喫してきたのですが、議場というのは質問しても野次っても楽しいというか、素晴らしいと思うわけなんですね。



 そのあたりも踏まえまして、時事ネタからネット系まで過去から未来にかけてあれこれ飯田さん常見さんとご一緒したいと思っております。お暇な人はぜひどうぞ。


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