月別アーカイブ / 2014年05月

 身の回りでこのところの好景気もあって独立を志向する人が増えているのも事実だと思うんですよね。



 ただ、いままで組織の中にいたり、渡り歩いていても何がしかのスキルを武器にプロフェッショナルで頑張ってきた人が、フリーになったり起業したりしているのを見ていると、あまりスケールしない独立の仕方をしていることが多いんです。



 スケールしない、というのは、誰かが独立して、まあ凄い人なんだけど、組織の看板があるからその人に予算がたくさんついて、事業なりコンテンツなりが回っていたのが、そういう組織から飛び出た瞬間に人月幾ら、一山幾らの世界に陥る。で、仕事を大きくしようにも、その人だからそのクオリティが保たれていたわけで、そこに小僧が何人か丁稚していてもカネの取れる仕事量は増えないだろ的な。


 例えば、尊敬する人で言うと安倍宏行さんが先日独立されて、ウェブメディアを作った。一個一個は面白いし、人選も良くできてるんだけれども、なんかサイトのバナーは被ってるしデザインがいけてなくて一時代前の仕上がりのままになってて興味深い。なんか、長年頑張ってきた人が路地横の店改装して喫茶店はじめた感じの佇まいなんですよね。



Japan In Depth

http://japan-indepth.jp/



 んで、サイトの出来では安倍さんの能力は当然図れない。だけど、どう考えても儲かるはずのないサイトじゃないですか。



 一方、加藤さんがやってるCakesが新たなサービスnoteをやって、これはこれで面白がられている。



https://cakes.mu/



https://note.mu/



 でもさあ、これでどうやって上を目指すの、といわれると単独ではどう考えてもなかなか大変に過ぎる。角川と一緒になったドワンゴにでも買ってもらわないとEXIT見えないでしょみたいな切ない雰囲気を感じさせつつも、洗練された雰囲気でいつまでも戯れていたい気持ちには浸れる。



 同じメディアで凄い能力を発揮した人たちが、ある意味勝負をかけた結果として見る分には物凄く興味を持つんだけど、「自前のメディアとそれを広げる仕組み」ってそこまで情報に生きてきた人を虜にさせるのだろうか、と読みながらぼんやりと思ったり。



 一方で、仕組みオンリーで立ち上げた後で、そのまま外部資本を大量に導入して一気にエンジン噴かして伸びていこうとするGunosyやSmart Newsもある。このあと別のフェーズに入るかもしれないLogmiもいる。こうやって、新しいサービスを横に並べて、起業の経緯とか考えてみると、物凄いワクワクするんですよね。



 数年後には忘れられている可能性も高いんですけどね。


 タイトルを読んだときは「釣りだろう」と思っていたら、全文読んで何ともいえない気持ちになりました。



徴兵制を導入した方がよいかもしれない - 森永卓郎

http://blogos.com/article/86396/



 集団的自衛権の問題については、左翼業界が盛り上がっているだけでなく国民全体が公論の中で決定していくべき事項であることは同意であり、そういう問題についてなかなか当事者意識をもてない日本人が増えているのは分かります。そういう人に対して、戦争の恐ろしさを知らしめるべく徴兵制を取るのだというショック療法もまたありと逆説的に森永氏は主張しているのでありましょう。



[引用]  戦後、日本が一番評価されてきたことは、日本が一度も他国を侵略をしていないこと、自衛隊員が誰一人殺していないことだ。その評価を解釈改憲は、打ち壊そうとしている。



 ところが、これだけの重大な事態が進んでいるのにもかかわらず、国民には危機感がほとんどない。私が教えている学生たちも、大部分が関心さえ持っていないのだ。




 森永氏のところで学んでいる学生にも危機感がないといわれても、それは獨協大学にはそういうレベルの学生しか集まらないというだけの話ではないかとは思いますが、言わんとすることはまあ理解できなくもないです。


[引用]  日本の若者に戦争への危機感がないのは、「自分は関係がない」と思っているからだろう。だから、私はいっそのこと若者たちに徴兵制を適用したらどうかと思う。そうすれば、戦争の恐ろしさを、自分自身のこととして、考えるようになるだろう。もちろん若者だけではなく、国会議員にも任期を終えたら戦地に赴く義務を課し、国家公務員は人事異動で前線に配属できるようにすべきだ。そうすれば、安倍内閣がこれだけの暴走をすることに危機を感じるようになるだろう。



 で、徴兵制を採れば危機感を感じて云々というのは反語だろうとは思うわけですけれども、任期を終えた国会議員に戦地に赴く義務を課しましょうとかかなり発想が微妙なのが気になります。それをやったら、任期を終えた国会議員が戦地にいった後で党に復帰したとき、党トップは軍人だらけになるわけですね。それも、共産党も公明党も軍務経験者が党を指揮するという革命ソヴィエトも真っ青な超絶軍人国家が完成するわけですよ。



 確かに森永氏には危機意識が強いんだろうなあという好意的解釈は成り立つわけですけれども、あまりにもバランス感覚を欠いた例示で議論を煽られますと逆に知性を疑われる可能性もあるので、もう少し肌のケアをしっかりやって丁寧な議論をして欲しいと願うところであります。


 日経で非常に素晴らしい連載があって、これは通勤中でもクソ中でも目を皿のようにして読むべき記事だと思うわけです。



スター誕生の裏側 小保方博士と理研の迷宮(中)

http://www.nikkei.com/article/DGXBZO71055780S4A510C1000000/



 今回は理研が採用している研究者任期制を取り上げて、希望や夢を抱けない若手研究者の苦悩を記しているわけですけれども、


[引用]  日本で研究を続ける場合、35歳がターニングポイントになる。大学で助教になるか、研究所や企業の研究職に就職しないと、その先はポストを探すことが難しくなる。そもそも博士課程を修了すると30歳近くの年齢になるため、理研に入った研究者は、任期が切れた後に不安を抱く。



[引用]  「研究の現場は、5年経てば全員が入れ替わる。こんな巨大研究組織は世界でも珍しいのではないか」。理研横浜研究所に在籍していた研究員は、その現実に憤り、大学の研究室に戻った。任期制の優秀な研究員が次々と去っていく一方で、一部の終身雇用の研究員は居座り続ける。若手研究者の間では、この枠を「座布団」と呼んでいる。



 「高齢の研究者がやめないから、座布団があかない」。定年が60歳から65歳に延長されたことで、その座を狙っていた若手研究者が行き場をなくしている。




 これ、シンガポールの学術研究のあり方と酷似してるんですよね。大して能力のないシンガポール人(シンガポール国籍)のマネージャーを座布団として、ここでいう高齢の研究者と置き換えればそう大差ないです。



 私自身はあんまり理研には詳しくないけど、周囲には現役もOBもいるのでニュアンス的にはコネ採用のクズが大量にいるんだろうという雰囲気は伝わってきます。そういうところから日本の科学研究体制というのは劣化しているのだという話なんですけれども、じゃあ海外の研究機関はどうなのかというと、程度の差はあれ似たような仕組みで回っていたりもする。では、彼我でどうしてここまで状況が違うのか、という話になると、ガバナンスの有無という結論になるわけですわ。



 要するに、日本というのは名選手がそのまま監督になるように、優秀だった技術者や研究者がそのままプロジェクトリーダーとなり、組織の管理職になって、研究以外の雑務にも手を出さなければならなくなっていく。当然、それまでは研究のことしか頭になかった人たちですから、マネジメントだガバナンスだコンプライアンスだといっても能力を発揮できるわけがありませんわな。



[引用]  「今の理研はポスドクだけに頼り過ぎている。テニュア(トラック)を増やして、責任ある研究者を作っていくべきだ」。テニュアトラック制度とは、博士課程を修了した若手研究者で、任期の間に一定の成果を出していれば終身雇用の職を用意するというもの。この制度を導入すれば、優秀な人材が集まり、腰を据えて研究に取り組む環境が整うという。



 そうするとね、一定の成果をどう判断するかという人事を、誰がやるのかって話になるわけですよ。任期の間(=5年)に出せる成果は限られているし、生物学に限らず自然現象を扱う分野の場合、どうしてもその成果は運不運にもよるところがある。これは、シンガポールでもロシアでも同じ。結局、科学技術を担う親亀の甲羅にどう乗っかっていくかが研究者人生の生命線になっている部分もまた、あるわけでしょう。



 その意味では、それこそ文中にある京都大学の山中伸弥先生というのは本当に偉大だという話になるわけですけれども、そういう人をどんどん日本が発掘するために、理研を含めた科学技術開発の体制というものを考えるのにはとても良い機会なのではないでしょうか。


 大人の事情の時間だああああ



データスタジアムプレゼンツ 野球の見方が変わる!? ディープな2時間半

勝てる野球統計学 トークライブ ~野球データの近未来と今年のプロ野球を語る!~

http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_140508204572_1.htm



 というわけで、2014年7月21日のお昼という家族サービスにうってつけの時間帯をぶっ潰してデータスタジアムさんご主催の野球統計学関連イベントに登壇する運びとなりました。







 すでにBOS使いの中では話題になっている本書ですが、選手評価や成績予測(といっても、真面目に使おうとすると作業が必要になり少し手間はかかると思いますが)の土台になる要素が盛りだくさんであります。


 また、セイバーメトリクスと一口に言っても、2000年代のビルジェイムズの理論から『マネーボール』を草創期とすると、現在はよりチームアプローチでフィジカルからサインプレイまでインフィールドの作戦構築のほうが主体となる、いわば発展期に移ってきております。



 その一番重要なメソッドは当然のことながらpitch f/xなんですけれども、残念ながら正規で導入されているpitch f/xは日本球界にはなく、各球団の編成担当が趣味の延長線上でモニタリングしているに過ぎない現状からいたしますと、できることは沢山のこっているよなあと思うわけであります。もちろんポジショントークであります。



 我が国の野球は、選手評価の過半が選手出身の現場によってなされ、どちらかというと主観的な技術性に根拠を求めることが数多く、その結果としてチームの勝利に貢献できる成績や一個一個の客観的なプレイタイムに依拠した評価はないがしろにされる傾向です。まあしょうがないんですけど。それもあって、本来であれば統計分析にもっとも向くセットプレーの塊である野球は、アマチュア、高校野球から大学社会人プロ野球に至るまで日本であまり有効に使われてこなかったという歴史でもあるわけですね。



 もちろん、このブログの読者の99%にとってはどうでもいいことだと思います。



 っていうかほんとうにどうでもいいですねすみません。たいへんもうしわけございませんでした。



 そんなわけで、野球を客観的なデータから楽しみたいと思う人々は、より奥深くのサムワットポジティブの精神でぜひご来場いただければと存じます。



 あと、何故かはイマイチ分かりませんが、執筆者でもなんでもないこのわたくしがご来場者の皆さまに本書のサインをイベント記念にさせていただくという不思議なエッセンスが盛り込まれているようです。本来の著者である統計家の鳥越規央先生やデータスタジアムで日々データ入力を頑張っておられる諸氏を差し置いて私がサインすることにどのような意味と価値があるのかに思いを馳せてしまう日々ですが、どうもそれでいいっぽいのでご希望の方はぜひ本書をお持ちいただくか、現地でお買い上げ賜れますと幸甚でございます。



 オリックスバファローズの身売り話の噂も喧しい昨今ではございますが、一人でも多くの皆さまにご来場賜れますよう、心からお祈りしております。もちろん、去年はドベカス同盟とかいって一緒に戯れていた広島カープが突然首位争いしてて早く呪われて一緒に低迷したい気分で一杯なんですが。


 朝日新聞が最近公衆衛生や医療方面で興味深いネタを快調に連発しているわけですが、今度は診療報酬の不正請求ネタです。



厚労省、半数の調査放置 診療報酬、不適切請求の疑い 対象、8000医療機関

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11128638.html



[引用] 厚生労働省が毎年、診療報酬を不適切に請求した疑いがあるとして調査対象に選んでいる全国約8千の医療機関のうち、実際には半数程度しか調査せず、残りは放置していることが朝日新聞の調べで分かった。



 調べで分かったんですかそうですか。



 記事最後になぜか古賀茂明が出てきて語っているあたりで台無し感がありますが、J-ADNIの件然り、何が起きているんでしょう、厚労省。いや、何も起きていないのかもしれませんが。


 ちなみに、秋田県や四国4県は100%とのことですが、過疎の地域は調査がしやすいというよりも、地元の医師会との力関係や歴代の責任者の資質によるところが大きいともいえます。また、最近では不正請求の疑いを見繕える統計的なアプローチで問題医療機関の炙り出しができるようになってきてもいるようです。



 そうなると、必然的に高齢者を受け入れて過剰診療のえさにしている診療機関のレセプトを精査すればこの規模では済まない不正が眠っている可能性があり、いわゆる適正診療とは何なのかを良く考える必要があるわけですね。



 そういうゲタを履いているからこそ日本は医療機関がクオリティを保てているのだという議論があり、それを脱いでしまうと医師のなり手がいなくなるとかいう話も抗弁の中に出てきているようですが、実際には不正を行って儲かっているのは医療機関なのであって勤務医その他には回ってこず、さらに過剰医療の根拠となっているのは大概が投薬および延命治療であります。医学の発展に必ずしも資するものではないし、医師の待遇改善に直結するものでもないというのが実態ではないかと思うわけですよ。



 このあたりはメルマガに書いたほうがいいかもしれませんが、診療報酬や薬価の問題と、いまある小保方理研問題というのは若干似ているものがあります。何でお前その能力でそこまで評価されてそこのポジションにいるの的な。



 こういったところをまず解消し、しっかりとした監視体制が出来てから医療機関の株式会社化も含めた議論が進むんじゃないですかね。そういったものがない限り、40兆をはるかに超えていくであろう我が国の社会保障費の削減のための合理化努力が実を結ぶことはないと思いますし。


↑このページのトップへ