月別アーカイブ / 2014年01月

 当事者と観察者について。



 当事者は、素直に本音を言う。



 たとえば、仕事で働かない同僚を見つければ「あいつは俺と同じ給料を貰っているのに、働かないのは不公平だ」といい、テレビで生活保障が得られなかった親子が餓死すると「かわいそうだ。社会は彼らが生きていけるだけの糧を与えるべき」という。



 相反した意見を吐く当事者を詰るのは簡単だが、そういう矛盾を心の中に幾つも抱えながら生きていくのが人間だ。



 だから、往々にして「お前が言うな」とか「超大型ブーメラン」などが発生する。それらは、新しい状況を前にした本音を漏らすことが原因である。


 そういう当事者が、アンケートで「自民党を応援しています」と回答したとして、政策別の質問で自民党の政策と合致しない回答を多くする場合もある。それは揺らぎなんだろうか?



 分かる人には分かって欲しいのだが、人間の感情というものはそもそも環境に流されやすく、理性だけで政治決定し、投票行動を起こすわけではないのである。簡単な話、安倍政権は不支持でも、自民党を応援している人もいれば、みんなの党を支持しているのに共産党候補者に票を入れる人はいる。



 それを「矛盾だ」「いずれ収斂していく揺らぎだ」「有権者の政治的態度が不真面目だ」と判断して、ノイズにしてしまうのは観察者として良くないと思うのである。有権者の率直な回答に対して、観察者が抱くべき論がそこに載ってしまっている。



 観察者に撤しきれていない人が、自分の意に沿わないデータが出てきた際に「これはノイズである」と根拠なく判定することは、それはデータに対する冒涜だと言えよう。その結果として、厳然と出ているデータに対して、結果の「解釈」を巡って観察者が議論するというのはナンセンスであるし、それは本来観察者が為すべき仕事ではないのだ。



 データを元に観察者が提示した情報は、なるだけそのまま当事者に還元するべきものである。そこからさらに、記者なり編集者なりが加工することはあるのかもしれないが、サーベイランスというのはそういうものだという最低限の倫理がないと、なかなか議論の質や精度を上げることはできないだろう。


 籾井勝人NHK会長が従軍慰安婦関連の発言でやらかした件を受けて、日本維新の会の参院国対筆頭副委員長、中野正志さんが素敵な発言をかまして物議を醸しております。



風俗業引き合いにNHK会長を擁護

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20140130-1250938.html



[引用] 中野氏は29日の野党参院国対幹部会談で、籾井氏への対応を協議した際に「今も韓国の女性5万人が性産業で働いている。なぜ日本が戦前のことをいつまでも言われるのか」と述べ、中国の風俗産業にも言及した。




 おい!!!


 幾つか問い合わせがありましたので、いちいち回答するのが面倒くさくここに書いてしまいますが。



笑ってはいけない都知事選24時(追記あり)

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2014/01/24-4efc.html



 今回都知事選になる前から、原子力行政に対する国民の態度はRDDとネットパネルの併用で調査を行ってきておりまして、原子力学会その他のコラム提供とは別に粛々とモニタリングしています。



【告知】日本原子力学会の学会誌『ATOMOΣ』12月号に寄稿しました

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/11/atomo12-eed8.html



 今回、都知事選に立候補した細川護熙さんと、それを担いだ小泉純一郎さんが「脱原発、即時ゼロ」を争点に選挙活動をするということでメディア工作を繰り広げましたが、議題設定にそれほどの効果を持たなかっただけでなく、都知事選が実質開始される1月10日以降「即時ゼロ」を支持する都民は12%から15%の間をうろうろしています。


 つまり、原子力発電に対する都民の態度というのは都知事選の有無に関わらずすでに決していて、都民の85%以上の有権者は原子力発電に対する見解を固めているということです。



 ただし、「即時ゼロ」支持層は女性のほうがやや多く、全年齢ほぼ似たような比率であり、投票行動は「近い将来ゼロ」「原発万歳」よりも8%近く高い有意な差になっていて、政治参加のモチベーションが高いノイジーマイノリティの形質を持っていると思われます。



 一方、原発推進派は事故直後からのデータでは事故後一年近くは一桁%に下がっておりましたが、現在ではやや復権し、最盛期の半分ぐらいの19%程度を中央に一定の支持者がいます。支持属性は主に所得の比較的高い男性と、学歴が高い科学的態度を取る人物か、学歴のない文盲層に二つ山がある状態のようです。こちらも政治への参加意欲は比較的高いと思われますが、「即時ゼロ」派よりは低いと予想されます。



 今回、試金石だったのは小泉純一郎さんが政治的勘で、脱原発はムーブメントを起こせると確信したことが、統計上は必ずしも支持層の拡大に繋がらず、むしろ合理的に原発を段階的に減らしていくべきという考える大多数の中間層の離反を呼び、一時期は当確もあり得た細川陣営にとってはむしろ風を止ませる効果しか得なかった、というのが実態ではないかと思います。



 本命争いであった細川さんが政策評価で有権者の支持を失い、これから投票態度を決めていく無党派層からの得票予想でも舛添要一さんを下回る現状がある以上、たとえ舛添さんが金にだらしなかろうと、女にだらしなかろうと、ハゲ散らかしていようと、堅い公明党支持を覆すほどの動きは取れないと思われます。



 ただ、舛添さんにおかれましては下半身の治水工事を行わない限り東京が別の意味で水浸しになって議会大空転のリスクはありますので、そのあたりがトップ目のくせに女性票がさっぱり集まらないという意味で「再選選挙を意図した選挙戦術」をいまから行っておかないと長期政権にはならないだろう(次の選挙で目玉候補をぶつけられたら支持層が壊滅する)という状況であることは間違いありません。



 なので、上記「即時ゼロ」は細川・宇都宮間の一本化が失敗に終わった時点で公明党を超えるゲタを履くはずが割れてしまったので、文字通り共倒れだという解説になります。



 これから用事があるのでこの辺で。



(追記 17:12)



 論点追記。



・ 中間層は「近い将来(5年から15年)ゼロにするべき」で、60%から65%で、ここ一年ぐらい安定しています。



・ 「脱原発の争点化に失敗した」と表記したのは、主要な候補者がメディアを使って脱原発をスローガンに選挙戦を戦うと喧伝したにもかかわらず、4割台の有権者しか「争点だ」と回答しなかった点です。



 ごく単純に、メディアを使った選挙戦術に失敗した、という見解でよいと思います。


 若い人は知らないだろうけど、アメリカ横断ウルトラクイズの徳光さんバリの体制で冒頭に書いてしまいますが、舛添要一都知事就任、おめでとうございます。



 いまのところ中央値は280万票予想ですが、大丈夫なのでしょうか。









 田母神俊雄元帥は面白資本家からのご献金があるようですが、それは触れられないのでしょうか。まあ泡沫ですから仕方のないことかもしれませんが。石原慎太郎都知事が応援を決定した時は瞬間風速気味に70万票も見えた数字が、どうも剥げ落ちてしまっているようです。もったいないですね。



 まだ選挙戦も始まったばかりですが、ビッグデータ的に興味深そうなところだけピックアップしておきます。



■「支持する」and「投票する」を合計しても4割に届かない不思議な女性票


 今回、特徴的なのは投票先を固めている女性がとても少ないことです。辛うじて女性からの支持を集めているのは細川さんなんですが、細川さんを女性が応援しているというより細川さんを支持表明した小泉純一郎さんを支持しているのではないかと思われるわけです。



 来週中盤にも「なぜ支持しましたか?」のデータが続々と出てくると思いますが、たぶん来週になっても女性票は揺れ続けていると思うので、これを浮動票とするべきなのか悩む局面が出てくるかもしれませんね。



 でもまあ、確かにハゲと放射脳殿とアカと元帥とドクター中松と家入とスマイル党党首を並べて「さあ、選べ!」と迫られたら女性は皆逃げてしまいかねません。



 それにしても、今回舛添トップ予想で問題になるのは明らかに女性からの不人気ですね。やっぱりハゲはいけないってことなんでしょうか。フランス語喋ってもハゲは嫌い、というデータを見せ付けられると、男性としては実に鼻水の止まらない展開になりそうです。



■元帥陣営が訳が分からなくて素敵



 なぜか元帥陣営に元経産省の宇佐美典也さんが紛れ込んでいるようで、エレガントな記事を掲載しておられます。



 いったい彼は何をしているのでしょう。



この都知事選はネット選挙の実力が問われているのかな

http://blogos.com/article/78616/



 タイトルからして「ネット選挙の実力」とか書いてまして、そりゃあ応援カーの垂れ幕に「売国メディア・フジテレビを許すな」的な攻撃力の高い文言を引っ提げて展開していれば常識的なメディアも普通の有権者もドン引きになってネット選挙以外頼るものがなくなるのは当然のことです。



 そして、肝心のネット選挙においても家入陣営に押されているとか良く分からんことを書いております。



ここは臨時タモガミ政策室です

http://blogos.com/article/78746/



 いや、そもそも元帥は泡沫なんで。支持基盤のないところに、ネトウヨぐらいしか反応しないような宣伝文句で頑張ってたら、ネトウヨぐらいしか投票してくれないのは当然のことですので、必然的にネットでの工作以前に20代、30代からの支持率も4%台と低迷するのは仕方のないことだと思うのです。ちなみに20代女性にいたっては前半後半ともに計測不能のアスタリスク状態になっております。



 それでも世の中何が起きるのか分かりませんので、投開票日前日までは全力で選挙運動を頑張って欲しいと願う次第です。そして力の及ばなさを呪うがいい。



 ちなみに、候補者名をマスクして「どの政策に近いですか?」とアンケートをとると、参考値ではありますが元帥は「投票にいくつもりだ」と回答した有権者の23%近くを獲得して2位という数字になっています。やはり軍人でネトウヨからの熱い支持を受けているという先入観が、政治家としての元帥の低い天井になっている可能性が強そうですね。



■原発を争点にし損ねて、得票を毀損する細川



 今回、てっきり原発が都知事選の争点になってしまうんで、メディア対策は重要だなあと思っていたところ、雇用対策、高齢者対策、都市開発に続く4位が脱原発と埋没しております。おやおや。



 原発に絞った質問もしておりますが、投票に行くと応えた人の39%が「原発は争点となりうる」、46%が「原発は争点ではない」と応えており、思ったより小泉旋風は議題設定能力ねえじゃんという結論になりつつあります。まあ、まだ告示日での話ですので、この後も伸びるのかもしれませんが。ただ、小泉純一郎さんからの支持を得て、また小泉進次郎さんから「舛添出馬に自民が応援する件は大義がない」発言までの数日間が速報値的には細川護熙さんの支持率のピークとなっていました(推定・中央値で440万票近い数字)。



 その後、細川さんへの期待感は凄い勢いで尻すぼみになっていくわけなんですが、細川陣営の痛いところは、やはり「佐川1億円借用問題」と「東京五輪を開催しない発言」でありましょう。後者は、ごくごく単純に高齢者を中心に2020年の東京五輪開催を楽しみにしているんだと思いますよ。その宴の後のゴミ拾いをするのは都税を納める私たち現役世代でございますがね。



 あと、前者の佐川1億円は、結構な有権者が「覚えている」ようです。これは、30代後半を境にくっきりと「都知事に相応しい候補」で断層があります。中高年の浮動票を見る限りでは、ここの失点はとても痛く、また中高年の支持層への訴求を強めて選挙を有利に運ぼうとしたのが細川陣営ですから、堅い支持基盤があると思ったはずが砂地だったという爆笑するべき展開になってしまっております。



 さて、主要争点としようとした原発問題においては、即時原発停止を支持する層は全体の12%で、意外と都民の皆さんは原発はまだ止めなくていいんじゃねと思っているか、どうでもいいと考えているようです。ちなみに原発は必要であるからゼロにしないと回答したのは21%、いずれゼロにするべきが63%です。



 その薄い政策主題で赤い宇都宮けんじさんと細川さんが票を奪い合う形になり、ここでは細川さんが得票はマジョリティです。だからお前ら一本化しておけば良かったのに。12%の固定票が高い投票効果で細川さんに入れていれば、ひょっとすると細川都知事だったかもしれませんね。本気で共倒れしやがって、まるでこちらの飯を旨くして太らせようというメタボ業界の陰謀かもしれません。



■家入w



 「ニートの星」状態になっている若者代表家入さんですが、ネットではそれなりに話題になって、メディア露出の成果で出馬自体への認知は進んでいるものの、パネル調査ではどの年代層も男女も属性別もほとんどピクリとも動かない状況になっています。



 それでもどっかに支持層いるだろとSASと睨めっこした結果、唯一相関がありそうなのは「投票に行く予定はありますか?」という質問に「NO」と回答した有権者から熱い家入支持の基盤を視認することができました。投票する予定のないパネルから支持されてるとか、超絶意味ねえ…。



 例えていうならば、肉眼ではまったく見えないけど望遠鏡を使えば存在は確認できる冥王星ぐらいのポジションといったところでしょうか。一応、泡沫界のベテラン演歌歌手状態になっているドクター中松さんを得票では超えるんじゃないかと思いますが、あまりにも誤差すぎて却って予想が難しい状況に陥っております。しっかりしろ家入。



 なお、候補者の認知については、圧倒的にテレビ経由、次いでネットから、新聞など紙媒体からになっています。一連の状況を見るに、選挙資金というか供託金を家入さんに貸した堀江貴文さんには足を向けて寝られない状況なんじゃないかと思いますが、選挙参謀を自称している新田哲史さんが立命館の西田亮介せんせに突撃しているのを見て、非常にいかりや長介的な「だめだこりゃ」を感じる次第であります。









■投票率は低くなるんですかねえ



 いまのところ都知事選への関心は「小泉さん、細川さんを応援発表」をピークにどんどん下がっているようでして、前回よりも低いかもしれません。



 結構注目される候補者がメディアを賑わしている割に投票率が下がるのは、政治への関心が乏しいと言うよりも「好ましい候補者が見当たらない」ことによる投票の積極的見送りが背景にあるのではないかと思っております。



 このあたりの話は、こんどアドタイで統計学の西内啓さんや田中幸弘さんとの鼎談で少し喋るかもしれません。



アドタイに山本一郎さんが登場!1月20日から新コラム「燃ゆるICT界隈」が始まります。

http://www.advertimes.com/20140117/article143678/



 最後の1票が開票されるまでが遠足です。



(追記 14:25)



 「ウルトラクイズは福留功男か福澤朗だ」という声がありましたが、私が例示しましたのは「次のチェックポイントで脱落する人間は誰か」をコンピュータ予想していた徳光さんのことであります。多くの人がすっかり忘れていることを予測できず、大変失礼いたしました。


 ユーザーの好みをセグメント化してターゲティング広告というと凄そうに見えるけど、要は広告が掲載されているアプリの客を、同じジャンルのアプリへ広告を通じて誘導しているだけなんだよね。



 そりゃゲーム好きが遊んでるゲームにゲームの広告貼ったら広告効果あるでしょうし、フリマアプリにフリマの広告を掲載したら客は移動しますよ。



 という話をアドタイに書きました。



広告業者しか喜ばない不思議アドテク乱舞の巻

http://www.advertimes.com/20140120/article143766/



 もう少し詳しい話はメルマガにも出しています。



『人間迷路』

夜間飛行: http://yakan-hiko.com/kirik.html

BLOGOS: http://magazine.livedoor.com/magazine/50



 正直、簡単な検証でそれなりのリバースエンジニアリングできそうな気もしますが、その辺は使用上の注意をよく読んで正しくお使いください。


 ただ、仕組み自体はとても良く出来ています。どうしてこう、クライアントから吸い上げたユーザーデータを自分とこで再分類して広告出稿させるような仕組みにしてしまうんでしょうかね。CyberZもあそこまで頑張っているんだから、もう少し広告主側にとっても掲載メディア側にとっても意味のあるビジネスの仕組みを提示してくれないと、何のためのアドテクなんだかさっぱり分からんでしょ、という風に思うわけです。



 また、この仕組みを提案された掲載メディア側も、もう少しユーザー属性についてきちんと保持して、自社で分析できるような工夫をするか、良心的な業者を使うなどして、目先の小銭で大事なUUを競合に垂れ流すような誘いにほいほい乗らないのが大事なんじゃないかと考えます。



 結果として、体力のある会社の提供する強いアプリは他のアプリから客を奪ってより強くなる、アプリ単体で見ると広告宣伝し続けないと寿命はどんどん短くなるという悪循環になることを忘れないようにしたいものです。



 まあ、CyberZみたいな野心的で頑張ってる会社は好きなんですけどね。


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