月別アーカイブ / 2013年07月

 スマホバブルも末期に差し掛かり、各社の足元の業績が気になる昨今ではありますが、今年もサイバーエージェントに暑い夏がやってきました。もちろんアベノミクスで各社株価は底上げしている中で、同業他社に比べて株価が伸び悩むサイバーエージェントは平常運転のようです。



IR掲示板

http://www.cyberagent.co.jp/ir/ir_bbs_detail/id=7783


 もはやCAもイット業界のレガシーになっちまったんでしょうかねえ… こっちもいじろうにもネタがねえよ。


 ああ、これは語らなければならないなあ、でも仕事立て込んでるしなあ、落ち着くまで話題が続いているといいなあと思っていた本件ですが、見事にネット社会で継続審議となっておりましたので、落ち穂拾いの役割を全うさせていただきたいと思っております。ご声援、ありがとうございます。



 「あれっ、この人、こんなに面白い人だったっけ?」というのが今回スターダムに駆け上がろうという体勢で目下赤丸急上昇中の谷口マサト氏であります。



 話の振り出しはこちら。アドタイに全6回の連載を敢行した谷口氏の連載記事の一個目が、膝に矢を受けてしまって冒険に出られないレベルで微妙な燻り方をしております。



広告“枠”買いから、広告“コンテンツ”買いへ。

http://www.advertimes.com/20130704/article119507/



 読んでいただけると分かるのですが、要するに「広告コンテンツ生だとユーザーに届かないから、面白コンテンツをまぶせば反応レートは上がるよ」という、どちらかというと「アイスクリームを食べると口の中が冷たくなります」という類の記事なんですが、どういう理由か堀江貴文さんと佐々木俊尚さんがこれを絶賛。谷口氏の気球に熱風が送り込まれ大空高く舞い上がる下地が完成します。


 当然、実際にアドテクをやっている人からすると「それはそうなのかもしれないけど、それがどうしたのだ」という話か「意味が分からない、ひょっとしてパブ広告とコンテンツマーケとを混同してるのか」などの見解になるのは仕方がなく、私などは「まあ連載の一回目だし、全部終わってから評論しよう」と思っていたわけですね。



 ところが、その後の一連の動きは鱸 id:copiz 氏によってまとめられている内容を読んでいただければ分かりますが、いろんな人々が谷口マサト氏の記事に対する賛否両論を投げかけていつつも、その批判する側がわいわいといるところで、その群衆の中にいる高広伯彦さんをピンポイントで指差した谷口氏が「おい高広! このやろう!」ばりの騒ぎを起こすわけですね。この記事は必読です。



残念な感じの”LINE 谷口P”のやり方

http://copiz.hatenablog.com/entry/2013/07/27/024247



 谷口氏が残念であるかどうかはともかく、騒ぎの冒頭にあった高広さんの指摘ツイートを読むとどっちが正しいんだろうかと言うのは一目瞭然です。









 谷口氏の発言を好意的に解釈するのであれば、後段は「コンテンツを純粋に愉しみたいユーザーのために、広告枠はコンテンツと切り離すのが流儀であった」という意味であろうかと思うのですが、前段の記事広告(パブ記事)とコンテンツマーケとが混同されてて、その後の記事でも「SNSクール男子」とか全然関係ねえウケ狙いのライフハック的要素の記事が並存しているので本格的な武装漁船が谷口氏の本質ではないかと考えられるのです。



 当然、揮発性で、かつ沸点が低い高広さんと、成長著しい遅れてきたルーキー谷口氏のバトルというのは俄然ヒートアップし、双方適切な距離感を保ちつつミサイルの撃ち合いの様相を呈して黒煙がもうもうとあがるのであります。いいぞお前らもっとやれ。



ある日突然Twitterで論争に巻き込まれた時のガイドライン(高広さん篇)

http://blog.chakuriki.net/archives/51403887.html



 ヒートアップして、FACEBOOKでやりとりした私信まで公開する騒ぎとなり、この一線の超え具合が素敵です。なんか記事は削除されておりますが、魚拓は残っており、当然の如く画像で保存するヲチャーが続出する状況になってしまいました。いやー、いいですね、この自分を否定してきた相手を年甲斐もなくなりふり構わず攻撃する姿。これこそ、私たちが求めてきたネット社会の原体験だったわけですよ。幾つになっても少年の心を失わない谷口氏の真摯な姿に惜しみない拍手を贈りたいと存じます。



 そして本日、高広さん本人との和解をネタとした終了宣言が。



【終了】ある日突然Twitterで論争に巻き込まれた時のガイドラインその3

http://blog.chakuriki.net/archives/51404390.html



 高広さんをサイコパスだとまで疑った記事も消すのかと思ったら消えていないようです。これもまた核抑止力の一端ということなのでしょうか。いずれ再度戦争が再開されたときのために、宇宙戦艦ハヤトを海中に沈めておく的な。何でやイケダハヤトは今回関係ないやろ。しかし、アドタイでやけに考察の浅い不思議な記事を書いていたという事実は残ってしまいます。「テレビ黎明期の映画会社の失敗に学べ!――適正なウェブコンテンツ制作費の決め方」という記事ではさらに微妙なことを書いています。



[引用] 例えば、「大阪の虎ガラのオバチャン」の記事では、大阪ロケをしましたが、交通費を削減するため、東京から大阪に行ったのは私1人。カメラマンなど他のスタッフは全て現地で手配し、5時間ほどで撮影を終え、あとは私1人で3日ほどで記事を執筆・編集して作りました。



 これは「立場の割に安い仕事しかしていません」という意味なのか、複数のコンテンツを同時に扱うために部下を派遣して稼ぎを最大にするべき立場のプロデューサーが何をしているんだという話にも聞こえます。ああ、もちろんこれは同じコンテンツでもゲーム制作をしている私どもとネット媒体を担当している谷口氏との間でのプロデューサーという肩書きが指す仕事の違いかもしれませんが。でも本来の仕事はクソ現場を安く上げましたとかそういう内容じゃないんじゃないの、谷口氏に期待されているレベルからすれば。



 逆に言うと、LINEはいまとても勢いがあるので、谷口氏のような多才な人にも仕事を与えて試行錯誤させる余裕があるのだ、と前向きな評論をしつつ、高広さんとの休戦交渉も成立し、再びアドテクとかいう警戒海域にクソ記事のような機雷を巻いて通りかかったアドマンが爆発炎上するのかと思うと楽しくてしょうがありません。ここは紛争地帯だからね、しょうがないね。やはりここは平和維持軍としてmixiから掃海艇を出し機雷除去作業に精を出した挙句うしろからやってきたLIGがくしゃみをして爆発してボンバーマン的に誘爆しmixiもトレンダーズもはてなも貰い事故して大爆発を起こしどくろ型の煙が上がって与沢翼さんが「駄目だこりゃ」という展開を期待してやみません。



 このような業界の一角に物議を醸す炎上マーケティングにGOを出した田端信太郎さんの英断にはネットヲチャー一同深い謝意を申し上げます。谷口氏の次回作に期待しております。


 ある事案での当局の話を書こうと思ったら、ちょっと考えるところあって来週以降にしました。メルマガの発行が遅れまして申し訳ございませんでした。



『人間迷路』

夜間飛行: http://yakan-hiko.com/kirik.html

BLOGOS: http://magazine.livedoor.com/magazine/50



 また、BLOGOSでは新たにバックナンバーのランキング機能がついたようです。それはそれは。



http://magazine.livedoor.com/magazine/50/ranking


■ビッグデータ周り



 JR東日本が日立製作所にSuicaの利用履歴を提供していた話で、私自身はそれ自体にはあまり文句はないんですが、そこから広がるビッグデータ関連産業は未来予測にスマートグリッド、交通情報に医療情報、ひいては新薬開発といった人がより良く暮らすための方法論が詰まっていると思っているので、そのあたりの思いのたけを書いてみました。



■ネット選挙関連まとめ



 本当は選挙関連の情勢分析も交えて… と思ったんですが、微妙にしがらみがあって書きづらいものも多いもので、まずはメディアでネット選挙はどのように捉えられて、今後どのように使われていくんだろうね、といったところを考察してみました。



■迷子問答、告知その他



 某上場企業の際どい話が質問でやってきましたが、どう見てもオウケイウェイヴです本当にありがとうございました。

 ひょっとしたら、明日あさってぐらいで号外めいたものを出すかもしれません、はい。


 あんまこっち方面は詳しくないのだが、どうもゲーム方面にも影響を及ぼす可能性が高くなってきたので備忘録を兼ねて書く。



「売り上げ伸びない」モザイク極端に薄く 「コアマガジン」部長ら逮捕

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/130725/cpb1307251257000-n1.htm



 この問題は、当局の恣意性というよりは、業界が「これであれば摘発されないであろう」という慣習に依存しすぎて事情の変化に気づかず摘発されてしまったというところに本質があるんだろうなーと思うわけです。つまり、「カリクリ結合」さえモザイクかければ摘発はない、という業界の自主ルールは別に当局の墨付きでもなんでもなかった、という話なんですね。



わいせつ雑誌書店に配布容疑で3人逮捕 警視庁

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2501Z_V20C13A7CC0000/



[引用] 太田容疑者は「わいせつ図画に該当しない程度に編集していた」と容疑を否認している。


 もちろん、コアマガジン、ひいては白夜書房という会社に対する当局の見方という補助線もあるようなんですが、それは脇に置くとしても、ビデ倫摘発事件に例を見るまでもなく当局としては業界団体に天下りがいようとも潰すべきものは潰そうという考え方です。逆に言えば、当局としては過去摘発してこなかった暗黙の諒解というものは存在してない。「状況の変化」ゆえに、過去の担当者ではOKであったものが、現在は違うよっていうのは実写ポルノだろうが違法クラブだろうが同じってことです。



 今後はネットに対してや、同人活動にも介入が出てくるかもしれませんし、いわゆる青年誌の性描写も含めて街角にポルノ紛いが氾濫している現状を考えるにまあもうこれは仕方がないということで諦めるしかないんじゃないかと思うんですよね。



 興味深い論考としてはこの辺もあります。



We’ve always been at war with genitalia

http://dankanemitsu.wordpress.com/2013/07/28/weve-always-been-at-war-with-genitalia/



 ご存知の通りアメリカでは「猥褻」(obscene)と「下品」(indecent)を峻別しており、2003年のNBC の生放送番組ゴールデングローブ表彰式で、男性歌手のボノが受賞のインタビューで"This is really really fucking brilliant"と発言。このf-word問題では意見書が飛び交う事案となりました。最終的にFCC は、ボノの発言を1464条で規制の対象としている profane(下品で冒涜的)な発言であると認定するに至るわけです。



 現状で観て、我が国の当局が恣意的に猥褻物陳列事案を可変ストライクゾーンのごとく運用している、という批判は確かに存在するものの、アメリカを例に取るまでもなく未成年者が自由に出入りができ購買ができる状態で(たとえビニール止めで中身が閲覧・立ち読みできないとしても)猥褻物が陳列されていた場合、そもそもアウトなのであって、いままでの警察対応が諸外国に比べて事業者側に譲歩しすぎていたと考えても良いのではないかと思います。



 モザイクが濃いの薄いのという話ではなく、きちんとゾーニングしてやってくれと。

 成人が成人向けポルノを愉しむことが禁止されているわけではなく、成人ではない少年らに手の届くところに頒布する可能性があってはならないというものも含むわけですね。



 文中では「つまりやろうと思えばちょっとでもHな表現あらなんでもしょっ引けるというチート法規」とありますが、欧米の事例でもあんまり明確に「これはセーフでこれはアウト」というもんは策定されていません。最近のReno/ACLU事件最高裁判決でも、この事件で争点となったニューヨーク州法では「未成年者に有害なマテリアル」の定義として未成年者にとって補い合うような公共的重要性の欠落を盛り込んでいて、通信品位法だけでなく書籍や写真・画像やケーブルテレビでの放送、ラジオ番組、インターネット放送も含めて含意は個別判断的に感じます。



1911年にTheodore Schroederで「言論の自由は実害のない限り保障され、実害のない猥褻表現を規制する連邦郵便法や州法は、合衆国憲法修正第一条や州憲法に違反し無効」とされつつも、実際の州法などでの運用においても青少年への悪影響は実害と認定され放送、出版では望ましくないコンテンツの制限はある程度(といっても日本以上に厳格にゾーニングされ)実施されていると考えるべきなのかなあと思うわけです。



 翻って、インターネットポルノや児童ポルノについては、これも今後は強力に摘発を推進していくことになるんでしょうが、例によって海外事業者や海外鯖の問題やらプラットフォーム業者責任論などまだまだカオスな状態なので、とりあえずFC2でも槍玉に挙げてあれこれ研究しつつ数年かけて方針を固めていくのかな、といったところでしょうか。



 まあ「日本の知識人はなんでそんなにエロに寛容なの?」みたいな話は良く出るんですけどねw




 なんかさっき速報が… 本当に辞められるのでしたら、まずはお疲れ様でした、ということになりますでしょうか。



 あ、NHKから速報でました。そうですか。



社民党福島党首 辞意表明へ

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130725/j60447910000.html



 それにしても、例のテレビ東京の池上彰さんが問いかけた「非自民の受け皿で浮動票が消去法で集まる先はなぜか共産党であり、社民党ではない」という件は、この辺に回答がありそうな気がするんですよね。すなわち、福島さんは必ずしも社民党(旧社会党)のピークで役職についていたわけではなかったけれども、一度は社民党も自社さ政権という枠組みの中で有権者からの負託で与党になった経験がある。しかし、自民に対するバランサーとしての機能はなかなか十全に果たすことができず、結果として村山談話も含めて現在の閉塞した日本外交の象徴となる事例を残してしまった。



 もちろん、社民党がだらしなかったと結果論でいうべきではないのでしょうが、それでも一度は与党にいた社民党がどのような役割を果たして国民からの期待に応えたのか、あるいは応えられなかったのか、意外に国民は知っているのではないかと思うわけです。同時に、共産党も社民党もスターはいないけど、自民党にモノを言う存在、組織としての安定感、信頼度のようなものに差がついてしまったのではないか、と。


 そういう党勢が衰亡していくなかで社民党の党首となった福島女史が、では何をすれば回復できたのか、また社民党を支えてきた支持団体を取り返すことができたのか、結構いいケーススタディなんだろうなあと思います。福島女史だけが負うべき結果ではなかったんじゃないの、と。



 ともあれ、社民党も選挙での敗北をもって党首が辞任することが決まった以上、我らが愛する先輩である海江田万里さんの去就には改めて注目も関心も集まろうというものですけど、さてどうなりますか。



 これね、あんまり粘ると不利なんですよね。野党再編で非自民の保守勢力結集って話がでますと、海江田さんが頑張れば頑張るほどに野党改革の抵抗勢力のレッテルを貼られて、使い捨てられる側に回ってしまうという問題もあるわけでして。



 敗戦処理ってのはね、引き際のタイミングを自分で選ぶことが生き残る秘訣なんですよ!!(切実)


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