月別アーカイブ / 2012年12月

 年末も押し迫る中、小沢一郎さんの「王の帰還」を執り仕切る(かもしれない)葬儀委員長の海江田万里さんに面白い声明が出され、注目が集まります。



海江田万里氏の民主党代表就任に対する声明

http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2012/12/post-1390.html



 もちろん、慎みある大人が然るべき判断で投資を行うのであれば、年利13%超で元本保証とかいう謎の金融商品に資産を突っ込む馬鹿はそれほど多くはないと思いますし、笑顔の海江田万里さんが雑誌などで「これマジでいいっすよ☆ お奨め(⌒∇⌒)」とか書かれてもイラ立ち倍増というのが常識なんじゃないかと感じるんですけれども、世の中にはいろんな人たちがいらっしゃるんですね。


 しかも、被害者の会の団長が紀藤正樹せんせであるということでして、この冗談の通じない具合がまた素晴らしいです。和牛商法の広告塔となって宣伝に加担した海江田万里さんに対してその損害額である15億8,000万円あまりの10%にあたる1億6,000万円の賠償を求めるとか、海江田さんに本来そんな価値はあったのだろうかと遠い地平線に沈む太陽を眺めて物思いに耽ってしまうレベルでやりすぎ感があります。



 ところが、この海江田さん、何の運命のいたずらか、かの東日本大震災ではたまたま所管官庁であり重要閣僚である経済産業省の大臣を務めておられ、天才的な右往左往の素質を遺憾なく発揮され、大勢にツメられて人前で号泣するなどの十八番の芸を披露。役立たずのため改造後更迭されてもう日の目を見ないかと思いきや、選挙惨敗の煽りを受けて小選挙区で落選するも、肝心の対抗候補が自民から出た良く知らない女性候補だったために惜敗率が高く比例で復活当選されまして、選挙惨敗の総括で責任を取って退場する野田佳彦さんの後任の民主党代表に登り詰めてしまいました。



 この本人の能力や実績とはまったく関係のないところで昇進を果たして野党比較第一党の党首に祭り上げられたとなれば、当然和牛商法側としては西武の中継ぎ陣に襲い掛かる猛牛打線の如く荒ぶった声明が出るのも当然で、いいぞいまだもっとやれと思うのです。そして、声明の最後のほうに「民主党に対し,代表者が関わった安愚楽牧場の被害について,被害者の具体的な救済に向けた政策や立法を強く求める次第です」とか政権与党から滑り落ちた民主党への追い討ちのような文言が涙を誘います。



 そんな政策要求を国会で海江田さんが主張したらまた罵声浴びて泣いちゃうだろ。



 いいですねえ、この実に八方塞がりな感じが。しかも、民主党ほとんど関係ねえ。うっかり繋ぎで代表に担いでみたら、遠くから飛んできた矢が眉間に刺さる的な「だめだこりゃ」感が素晴らしい。もうね、これが本当の美しい日本ですよ。駄目に決まってるじゃないですか。身体検査とか持ち回り人事とかそういうレベルですらない、一文字で言えば信頼ですかね風のどうしようもない感じが素敵なんです。ああ、日本に生まれて良かったなと。私たち日本人っていいなと。そう思うのです。



 一方で、鈴木宗男さんを「落ちぶれた」と少しお馬鹿になさっておられた亀井静香さんが、未来を離党後自ら新党ひとり状態となり、結果として”みどりの風”に合流してみどり亀になってみたり、未来の党が分裂、といえば聴こえは良いけど政党助成金しか頭にない小沢一郎さんに本丸に居座られて使い捨てられた格好で嘉田由紀子さんが阿部知子さんごと放り出されてブスが代表に据えられるなどのトラブルが発生したりしていました。



 なんでしょう、この全般的にクズな感じは。泡沫政党祭りです。二大政党制を目指して小選挙区制にしたんじゃなかったんでしょうか。



 で、支持率については海江田民主党を超えて13%となった日本維新の会ですが、例によって橋下徹さんが快調に飛ばしております。



自公に対抗、民主・維新・みんな結集で…橋下氏

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20121220-OYT1T01233.htm



橋下市長、参院選大阪選挙区「戦い合うのは日本維新と民主党」

http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/topics/news/20121229-OHO1T00108.htm



 20日には「民主も一緒に結集」と言っておきながら、28日には「惨敗した民主と戦い合い議席を伸ばす方針」を打ち出すなど、もう何でもいいんでしょうかねえ、この人。もしも私がここから議席奪回を目指すまともな民主党前議員だったら、橋下維新の会を信頼できないと思います。党の共同代表が一週間も経たずに前言撤回とか安定感のなさは驚きです。病気なんでしょうか。



 海江田さんにせよ橋下さんにせよ、このままの勢いで迷走を続けますと、来年の参院選までもたないんじゃないかと思うんですよね。どうせ民主党もどこかのタイミングで海江田さん降ろして細野豪志さん担いで選挙戦をという話になるでしょうし、そのころまでにハードルなく自民党が頑張っていけるのかどうか。



 年末の最後の最後まで日本の中枢というのは楽しいです。


 あのとき… 私に言ってくれた言葉は嘘だったのね…



MobageとGREE、青少年ユーザーの課金上限額を制限へ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1204/23/news096.html



 というわけで、GREEが未成年者向けの課金決済において、フィーチャーフォン向けのカード決済の上限設定を忘れ、半年以上にわたって問題の所在について外部に認めてこなかった件について、メルマガにて号外を書きました。



 メルマガのご購読はこちらをクリッコ。微妙にタイトルが違う気がするのは気のせいだ。



やまもといちろうメルマガ「人間迷路」

http://magazine.livedoor.com/magazine/50

やまもといちろうのメールマガジン「人間迷路」

http://yakan-hiko.com/kirik.html


 以前、NHKでも報道されたんですけれども、高額決済のトラブルについて消費者庁、生活消費センター宛の相談件数がコンプガチャ規制後も引き続き高い推移で続いている件で消費者庁でも警察庁でも海面水位が上昇しております。しかし、まさか「ミスがあってほとんど対策されてなかった」というオチが待っていようとは思ってもいなかったのではないでしょうか。



 問題はこの設定ミスという技術的なところに留まらず、GREEが会社組織全体としてこの事態を隠蔽しようと動いた節が強いことが、内部文書と関係者からの証言で明らかになりました。というか、まあ9月にはそういうことらしいというのは知っておったわけではあるのですが、肝心のGREEサービスセンターをブチ抜いて複数の怒れる親がゲーム会社に高額決済されたどないしてくれんねんオラという抗議をするトラブルがコンスタントに発生しており、もう毎日が楽しくてしょうがない中で選挙戦に突入してしまい号外を出して読者の皆さまにお裾分けすることができなかったのが残念です。



 まずは年忘れということで「GREEもあんな儲けておいて、隠蔽した挙句バレやがって、高い給料とっていながら馬鹿ばっかりなのかなあ、あっはっは」と笑っていただければこれ幸いでございます。



 「年末年始のこのクソ忙しいところでこんなラブレター送ってもガン無視されてしまうのかな」となかば怯えながらGREEのサイトで晒してあった広報窓口に正面玄関から野良取材メールを送ってみたのですが、大変丁寧な対応をGREE広報にはしていただき感謝しています。しかも、未成年者向けの高額利用制限に対する設定が行われていなかった事実確認も、いままで社としての判断で関係者を含む一般に対する事態の公表、謝罪等は見送ったことも教えていただけて、本当に幸せな年末を迎えることができました。改めて、GREE広報の皆さまには深い御礼を申し上げたいと存じます。



 なお、当局からの怒りのリークが公共放送の電波を通じて皆様のお茶の間に届いた一部始終については、残念ながらNHKのサイトから消えてしまいましたので、適当に検索したら出てきた2ちゃんねるまとめサイトに書いてある無断引用をご参照いただければと存じます。



「高額を請求された」ソーシャルゲームの相談が依然相次ぐ

http://okanehadaiji.doorblog.jp/archives/7472797.html



 この記事のポインツは、「その後もソーシャルゲームに関する相談は後を絶たず」という文言でありまして、その真意は「コンプガチャ規制を消費者庁にやらせてみたけど被害実態が減らないようだから、また新しい規制を考えないといかんな諸君」という規制当局の熱視線がどぼどぼとソーシャルゲーム業界に注がれて大河となり、そして溢れ、堤防が決壊して家や畑や車を押し流して自衛隊が災害出動という一連の流れであるとお考えいただけると嬉しく存じます。



 しばらく忙しくて大人しすぎたかなと反省している次第でございまして、来年はいま以上に焦らず弛まず業界事情の掘り起こしに精を出したいと考えておりますので、皆さまも良い年をお迎えください。


 中国からは数年前に撤退はしているんですが、いまなお投資先や子会社で雇用している関係で、中国人・韓国人を雇用したときに起きる心理的なわだかまりやしがらみについてインタビューを受けました。







月刊プレジデント

http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2013/20130114/



 結論から言うと「よほどのことがない限り韓国人は雇用しなくなった」とか「領土問題については完全に話題として避けるか、または逆にそういう問題があると厳密に日々話をしてそういうマネージメントであると分かってもらうか」であるという内容で返答をさせていただいております。ただ、大量に韓国人、中国人を部下として、あるいは同僚として使っておられる方からするとまたニュアンスも大きく違うところかとは思うので、そのあたりはむしろ私も意見を伺いたいところではありますが。


 ところで、ちょっと前に同じプレジデントで伊藤忠の岡藤正広社長関連の記事がネットで面白おかしく取り上げられておりまして、これはこれで凄い話題になっていて興味深かったです。



「イクメン、弁当男子」は出世できないか

http://president.jp/articles/-/8136



 ここでも、めいろま女史が無双をしており、主にTwitterを舞台に炎上の中心でダンスダンスダンスという状態になっておりましたため、多くのヲチャーが天岩戸前で天照待ちをする神々のような感じで楽しかったです。また、後追いでしっかりJ-castも絡んできており、もはやネット界炎上案件の必勝リレーのような形になっており、限りない好感を覚えます。



プレジデントの記事がひどすぎと話題に

http://togetter.com/li/426738

「イクメン」「弁当男子」は出世できないのか 伊藤忠社長「変わった趣味」論が波紋

http://www.j-cast.com/2012/12/22159373.html



 もちろんこれを読んだ私としては「そりゃ当然仕事人間が家庭を顧みず働くのは当然という価値観なのは分かるが、社長という立場でそんな話を公言したら叩かれるのは当然だろ。どうせなら仕事も家庭も全力で生きろとか綺麗事だけ言っておけよこの正直者社長が」としか思わなかったわけですが、ただ来年のテーマとしては恐らくこういう「ブラック企業」的価値観と低迷する日本経済のパラダイムシフトのようなものが問われると思うので、岡藤社長ってマジ先進的じゃんとも感じます。







 何といっても、ブラック企業というのは単体で存在するものではなく、そういうブラック企業が業界に一社いるだけで、ブラックではない企業は利益率や利益を再投資に回して競争力を強化するという部分において劣後に位置することとなり、不当な競争力を持たれた会社を相手に戦うことを強いられます。結果として、業界全体がブラック化していくという現状になっていくのは当然で、その意味でも日本の労働行政というのは大きな岐路に差し掛かっているんじゃないの、という興論もまたありと言えます。



 それは、喩えとして適切かどうかは分からないけど堀江貴文さんの拝金主義的価値観への批判であったり、年越し派遣村といった、お金と労働、雇用をどう捉えるかというトレンドもまたあるわけで、そういう問題や議論を一過性のものとせず、政策面で本来は反映させていったり、社会的にどう是正していくのか具体的な行動を伴うアプローチにしていかなければならないのです。



 伊藤忠という看板を下げて何を前近代的な会社人間の価値観ご披露されておるのかという一面的な問題提起ではなく、就職氷河期だブラック企業だ辛く苦しいサービス業の労働のあり方の模索だといった、幅広いテーマで考えていったほうが個人的にはよろしいのではないかと思いました。



 もちろん結論はありません。引き続き楽しいネットライフをお楽しみ下さい。なお、メルマガは今夜発行いたします。よろしくお願い申し上げます。


 例によって「言わんとすることは分かるが、それはまったく違うよ」という話を一つ。



ソシャゲへの反感はワインの方程式が生んだ反感と同じ -ゲームと心理学(2)

http://www.famitsu.com/guc/blog/shin/12191.html



 冒頭のワインの話は本当です。ただ、その後に続く、ソーシャルゲームの話はまったく間違いです。間違いというか、統計違いです。




 新さんが例示しているDAUやKPI指標というのは、「現在、ユーザーがどういうアクセス状態にあるのか」という程度を示すただのユーザー動態データの総体であって、上記ビンテージワインで言うならば「値段」にあたるものです。



 ビンテージワインの「値段」が分かるのは極当たり前のことであって、それが解析されたからといってゲーム業界の職人芸とはまったく関係ありません。せいぜい言えば、meta scoreを高く出したコンソールゲーム、あるいは売上データが揃ったソーシャルゲームというものが出てきました、というだけの話で、データを元に、どういうパラメータがこれに作用し、より相関の高いフォーミュラを構成ができるのか検証しなければ職人芸の代替には到底なりません。



 むしろ、UnityやUnreal Engineのように制作環境の進化がゲームデザイナーにバランス調整のためのレベルデザインを効率化させることに成功したのと同様、KPIツールなどで吐き出すことのできる数値は運営者側に収益を最大化させるための試行錯誤を容易にした、ただそれだけのことです。ワインの話とは次元が違います。



 例えば、イベントをやったのでKPI指標が改善しましたというのはセイバー的でなく、いわばヤクルトのID野球のようなドクトリン・オリエンテッドなデータ活用というレベルです。それはそれでもちろん有効ですが、これを成立させるにはスコアラーを配置し状況をデータ化して分析をし、データの”谷”はどこにあるのかを経験則で学んで情報にしていかなければ学習効果が出ず、その情報に基づいた作戦が得点に繋がらないという意味で経験主義的です。

(なお、ヤクルトや中日のデータ野球と、現状のセイバーメトリクスなども含めた統計的手法とは思想が全然違う。)



 一方、統計的アプローチというのは新さんの誤解にもあるとおり、「データが取れてもそのデータどおりの再現を行うための条件を洗って検証しなければならない」ことを見落としてはいけないのです。これは、野球だろうが選挙予測だろうが同じです。



 また、ここで新さんが「不確実性」という言葉を使ってるんですが… たぶん統計のことをすべては理解せずに使ってしまっているんじゃないかなあと思うので、その後ろの「ソーシャルゲームに対する感情的な反感」という文脈も、まったく間違った展開になってしまっているように感じます。データを駆使しているからユーザーがソーシャルゲームに反感を買っている、という文脈も理解できなくもないんですが、そんなデータはどこにあるんでしょうか。むしろ、あればそれを見たいです。



 唯一、現在のソーシャルゲーム業界で成立するフォーミュラは週間の離脱率だけだと思います。再帰的です。これは、課金と効用のカーブに物凄い大きな相関を持っているように思いますが、これはまあほにゃらら。



 なお、こういう公式作りを参考にされたい方は、『セイバーメトリクスマガジン』や、西内啓さんの書籍が面白いと思いますので、ぜひご一読を。







 なお、ソーシャルゲームについてはRandom Walkの可能性が強く、これらスポーツのようにセットプレイや再現性のある構造とはまた違うと思うのですけれども、再現性を確認するための方法論については参考になると思うのです。







 いやほんと、統計結果を語るのであればともかく、プロセスを記事にするのであれば、「データ取得ができてゲーム運用や収益最大化に活用できるようになりました」という八百屋の仕入れの話と、「過去データから統計的手法で相関分析ができるようになって同一ノウハウが流用できる構造分析ができるようになりました」という選挙の当選予測の話とをごっちゃにしないほうがいいと思うよ。>新清士さん



 お陰で、この手の話を理解していないどこぞの会長が簡単に釣られてて心が痛むぞ。



Kawango_chogyo_121226



 以前、mixiの利用率が突然2%に、とかいう大ネタで釣られてhagexにクソミソに書かれた人は、先生黙ってるから静かに手を挙げなさい。



[Web] 朝日新聞発「mixi利用者が97%から2%に激減」というデマが出回る

http://d.hatena.ne.jp/hagex/20121211/p13



 まったくmixiめ。いちいち馬鹿みたいなネタ流してきやがって。早く滅んで欲しい。






 もうすでに発売中の月刊『WiLL』に情通関連のトピックスを寄せさせていただいております。

 告知遅れ申し訳ございませんでした。というか、特集の並びに池田信夫せんせに飯島勲さん、さらには櫻井よしこ女史という無限にシュールな取り合わせになっており、仕上がった雑誌を見てアゴが外れかねない状況でございます。



http://web-wac.co.jp/magazine/will/201302_w

WiLL (ウィル) 2013年 02月号




 本論では、スマホブームから個人情報のオプトイン、オプトアウト話にサイバー攻撃まで、いま起きている話題を「2013年はどうなる」というテーマで総花的にまとめた内容になっておりまして、なんか屋台でもやっているのかという雰囲気の内容になっておりますが、まあ個人情報というのはお前らが思っている以上に大事なんだよという心の叫びが伝わってくれればと思う次第であります。



 なんだかんだで何年も『WiLL』は愛読していただけに、感慨深い寄稿となりました。



 そういえば、今号の特集で書かれている安田浩一さんとは「ネット右翼本」でご一緒することになってまして、まだ見本もきていないので何とも言いづらいところですが、進展がありましたらまた告知させていただきます。



 なお、mixiの身売り情報が産経bizに掲載され、それをmixi広報が否定するという定番のギャグが炸裂しておりましたが、小職といたしましてはmixiは身売りとは関係なく早急に崩壊していただきたく、近日中にまとめでも書きたいと思います。


↑このページのトップへ