月別アーカイブ / 2012年09月

 安全保障への意識が高まりつつある日本において、ちょうどイラク戦争の際の国務長官であり、軍人あがりでありながら国務長官として戦争には最後まで反対し、そして湾岸戦争の端緒となったイラクの大量殺戮兵器については「誤報だった。人生最大の恥」とまで語った元軍人の人生訓であります。







 細やかなニュアンスにおいて、原著と若干の乖離が感じられる部分がありまして、英文を読みこなすのに難のない方は原著もどうぞ。






 コンパス的には共和党穏健派であり、叩き上げの軍人でありながら軍事力の行使に慎重であったパウエル元長官ですが、自叙伝でもありますとおり、本書は人生訓であるにも関わらず、猛烈に怒っております。物事に直面したときに「まず怒れ!」そんで「その怒りを乗り越えろ!」とか、普通の人には無理やがなと感じるエッセンスが盛り込まれているあたりが特徴的です。



 非常に楽観的に対処する反面、一歩を踏み出すにあたっては彼の経験やその後の経緯からしてどうしても慎重にならざるを得ないジレンマを常に内包していて、精神的にやはり緊張感が拭い去れないのでありましょう。とても「心が太い人だな」という心境になります。まあ、そうでなければ軍人を率いるトップとして、個人的には納得できない開戦が強いられていたにもかかわらず、組織人として異が通らねば自分を曲げて戦地に軍隊を送り込んでいるわけです。そのぐらいの人間でなければ精神が崩壊してしまうのかもしれないのですが、そのぐらい、人間としての「心の容積」が大きいように感じるのです。



 日本人がパウエルさんの人生訓を読んで「一から百まで参考にしろ」というのはなかなか難しいところがあります。もし、私が経営している会社で部下に結構な難題をお願いせざるを得なくなって呼び出したら、目の前で烈火の如く怒り出すパウエル読者だとするとやはり困りますので… でも、与えられた指令に対して無批判に従順であるべきではない、というのは至言だと思うのですよ。



 なぜか上下巻に分かれてるんですが、パウエルさんの自叙伝、『マイ・アメリカン・ジャーニー』は面白いです。心象風景としては、ドラえもんに出てくるジャイアンが、映画で出てくるヒーローモードのまま、ベトナム戦争にいって負傷しつつもリーダーシップを磨き上げて帰ってくる感じです。







 ちなみに、超党派の政策論争において、日本のポジションや日米同盟のあり方についてもう少し詳しく書いて欲しいという要望が多かったので、メルマガに書いておきました。一部がプレタポルテに転載され無料公開されておりますので、興味のある方はご一読を。



アーミテージ報告書の件で「kwsk」とのメールを多数戴いたので

http://yakan-hiko.com/w/2012/09/24/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%81%AE%E4%BB%B6%E3%81%A7%E3%80%8Ckwsk%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E5%A4%9A/





 個人的には、政権がどうなるかは分かりませんが、高い値段払ってでも国家戦略の検討をする部門にパウエルさん呼んで顧問として継続的に意見を聞くとか、そういう動きがあると嬉しいんですけどね。戦争を率いた経験のある将軍が、10億円で呼べるのなら安い… とか思ってしまう私は軍事脳でありましょうか。



(訂正 4日 03:51)



 パウエル元国務長官の経歴を一部間違えておりまして、内容について一部修正をしました。ご指摘をしてくださった方々、ありがとうございました。


 日本全国1億2千万、世界各国73億人の大沼ファンに惜しまれながらも、今年ついに女性スキャンダルに恵まれて一時引退に追い込まれた大沼。その大沼の長年に渡る功績とその歴史的偉業を湛えようと、今年からノーベル大沼賞が新設される可能性が濃厚になって参りました。メジャーリーガーのピッチャーであれば誰もが一度は夢見る栄冠、サイヤング賞受賞者ですら大沼賞の獲得は困難と言われていますが、年度ごとの集計において大沼感溢れるピッチングでスタジアムをいい湯加減で湧かせたり、むしろ味方ベンチが何か沸いたりしたピッチャーに贈られる栄誉ある賞であります。



 それでは、在りし日の大沼幸二の歴史的映像を見ながら、紹介してまいりましょう。



9回裏 西武大沼痛恨のサヨナラワイルドピッチ!! M-L 9月16日

http://www.youtube.com/watch?v=8jsAwldp0js



最優秀大沼賞とは



 リーグを問わず、もっとも大沼な感じの投球をシーズン通して行った投手に対して与えられます。


・大沼賞のめやす



 ドラフト上位であること。ドラフト一位や、逆指名、指名枠(希望入団枠制度)による入団が望ましい。



 荒れ狂う制球であること。目安として、BB/9がシーズンを通してコンスタントに4.00を超えていることが求められる。



 もちろんWHIPは1.50以上。2イニング投げて3人は塁上を賑わす、すなわち確実にピンチがやってきて焦げ臭くなってこそ大沼。



 壊滅的な防御率であること。少なくとも6点近い防御率であることが大沼度を満たす条件となる。



 登板数が多いこと。先発、中継ぎを問わないが、首脳陣に一定の評価をされ、期待されてマウンドに上がっていることが大沼指標の重要なポイントとなる。



 右投げの速球派投手であること。左投げ投手の場合はその負け数に応じて園川賞が与えられる。



 他人のランナーをたくさん返すこと。二死満塁で登板し、初球をホークス鳥越に二塁打されランナーが全員返ってきたり、同じく二死満塁で登板し、初球をロッテパスクチに二塁打されランナーが全員返ってくることを求められる。



 頑丈であること。あるときは先発、あるときは三連投も厭わない中継ぎ、またあるときは早々にノックアウトされた石井貴の後を4回2/3投げるタフネスが必要である。



※ そのうち計算式作ってマクロ組むよ。



■最優秀大沼投手(予想)



 今年まだシーズンは終わっていませんのであくまで予想ですが、当ブログが責任持って見極めた、今年の最優秀大沼投手は恐らく増渕です。

(※ なお、SABR系データはヌルデータさんより拝借しております。ありがとうございます。)



・増渕竜義(東京ヤクルトスワローズ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/Ys/p/22_stat.htm



 何といってもドラフト1位、素晴らしい速球派であるにも拘らず、現在WHIPは1.62とゴミ、BB/9も4.45と、大沼なみに荒れ狂う投球とクソのようなマウンド捌き、それでいて小川監督以下首脳陣からの圧倒的な期待を背負って42試合の登板に5回の先発、ホールドは8しかないのに負け数は6と、彼こそは大沼を継ぐ実力を兼ね備えているものと思われます。何といっても、NHB%が25%を割っており、中継ぎで登板して4回に1回も三凡で抑えないという、タフネス敗戦処理で使おうにも傷口が拡大するのみの状況に涙するわけであります。



 6月に先発に転向するも、あっさりブルペンに戻されるあたり、そしてそれでいて頑丈なのか戸田送りにはならないという微妙なラインをシーズン通して走り抜けるあたり、大沼の鏡です。交流戦は低迷するヤクルトを象徴するよんたまを繰り返し、そして7月には効果的な炎上の数々で神宮の夜空を華麗な花火で彩りました。まさに在りし日の花火師・花田投手を髣髴とさせる投球でした。



 残念なのは、顔はいかついけどマウンド捌きが少し神経質で、凄く善良な人なのだろうなあと思われる仕草やエピソードでありまして、ネタとして扱うには少しいい人すぎるのではないかと考えられる点であります。ヤ戦病院と揶揄されるヤクルツにおいて、打の田中浩康、投の増渕竜義として「なんかしらないけど故障せず一軍でプレーしている」という状態を来年もキープし、大沼度に磨きをかけて欲しいと願っています。



■大沼賞



 増渕ほどじゃないけど大沼っぷりが認められる次世代の大沼系プロスペクトを紹介してまいります。



・渡辺亮(阪神タイガース)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/T/p/12_stat.htm



 49回しか投げてないのに31個も四球出して大沼ファンを歓喜させた渡辺。本来こんなところに名前の出てくる選手じゃないのですけれども、今年は夏場にかけてチームの失速とともにぐんぐん大沼化していき、他人のランナーは返すわエラー絡みで失点するわで防御率に傷をつけずに大沼感を満喫させるおとなげない老獪プレイでベテランの味を感じさせました。



 四球が多いのも一昨年、去年に比べてなかなか決め球で空振りが取れなくなってきているからなんでしょうが、ある種中日金剛にも似た「通用するようで通用しない感じ」を来年はさらに促進してくるものと考えられます。



 逆から言えば、そろそろトレードの出し頃ピッチャーなんでしょうが、来年は阪神もブルペンの計算をするにあたって渡辺を枠に入れるかどうか微妙なところなんでしょうねえ…。



・福井優也(広島東洋カープ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/11_stat.htm

・岸本秀樹(広島東洋カープ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/48_stat.htm

・梅津智弘(広島東洋カープ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/39_stat.htm



 広島からは、何と三人も大沼にピックアップ。まあ梅津は速球派ちゃうやろと言われればそれまででございますが。この三人に共通しているのは、もはや美学とも言えるカープ采配の犠牲者であり、うっかり好投を二試合すると、好調と野村監督に見極められて、その日から連投連投アンド連投とか、福井も先発で機能したのは春先と8月だけなんですがとっくに力尽きてるのに続投させられて四球四球二塁打とか、何とも残念な感じなのであります。



 岸本とかいって被出塁率が363、BB/9が6.38、変化球のストライク率に至っては.233とか実に大沼で、それでもたまに好投するとすぐ間をつめて登板させられるので、すぐに調子を落として夏場に姿を見ることはありませんでした。



 カープは明らかに采配において駒不足に伴うコンディショニングが困難という、大沼量産球団になろうかといったところでしょうか。福井とかマジ期待しているんですけどねえ…。なお、江草はこのままいきますと青木高広の後をついで園川賞最有力候補になれると思います。



・吉川輝昭(福岡ソフトバンクホークス)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/H/p/00_stat.htm



 2003年、あの横浜ベイスターズの自由獲得枠で入団。2011年は好投しました。しかし今年は惜しくも最優秀大沼投手を逃しましたが、この吉川の四球力も侮れないものでした。32回投げて、四球は18、BB/9はなんと5.01と5点台。まさに歩かせる機械。本当に全盛期の大沼もかくやと思わせるドーム戦専用大沼という感じで、コンディションがいいはずのドーム球場でストライクが入らず猛り狂う姿はとても印象的です。



 ただし、空振りを取る力は優秀であるため、被打率231、被出塁率341と、比較的小じんまりと落ち着いてしまっているのは大沼的にはむしろマイナスでしょう。キレのある荒れ球投手って感じでしょうか。もっと真ん中に投げ込んで大やけどをして欲しかった。交流戦では阪神相手に犠打ワンアウトを取るだけで2被安打2与四球2失点と完璧な投球を見せ、未来の大沼の片鱗を見せたことは記憶に新しいところです。毎月満遍なく失点しているのもポイントですね。



 ホークスは大沼界未完の大器と噂される甲藤が故障もあってなかなか上で投げられない状態で、また巽がサンドバッグとしてブレイク途上であります。さまざまな条件の中で、吉川にはどうかパリーグの火を消さないで欲しいと思っているところですね。



・斎藤佑樹(北海道日本ハムファイターズ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/F/p/18_stat.htm



 言わずと知れた、持ってる佑ちゃん。どうしてこうなっちゃったんですかねえ…。もはやカリスマ性のあるネタ度マキシマムな大沼ワールドのスターと言えるでしょう。STATS的にも、もうろくなもんじゃありません。打たれる、ストライクが入らない、空振り取れない、セットになってさらに崩れるといいところなし。援護率だけは4.41と高いんですけど、お前の能力とは根本的に関係ねえ。



 被出塁率が367、BB/9も4.07で、出塁されるに関して死角なし。ただ、シーズンを通して働き続けるにはちょっとスター過ぎて残念な感じでしょうか。

 もはや大沼のベクトルとは違った感じの愛され方をしている状態でもありますので、どうか早く二軍の帝王になるなどして早期に首脳陣の信頼を獲得し一軍で元気に炎上して欲しいと思います。



・ゴンザレス(埼玉西武ライオンズ)

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/L/p/50_stat.htm



 大沼の産地、ライオンズの助っ人外人。実力のある投手と見られながらも、なかなかその本来の姿を見せることなく大沼と成り果てました。8月に先発して以降行方不明でありまして、イースタンでは防御率2.47と好投、上では炎上と、むしろ大沼の化身として君臨しておられました。



 被打率474、被長打率475、BB/9も4.70にWHIPも2.26と、数値的に見るべき部分はまったくなく、ほぼ大沼完全体の再現と言えます。何のために来日してしまったのでしょう。



 なお、ライオンズは一時期のブルペン全員完全崩壊の状態から復活を遂げてしまいまして、炎上投手という名産品の生産に苦労するぐらいにまで再建を果たしました。これはこれで凄いことだなと思う一方で、今年これだけブルペン使って来年無事で済むはずないぞ、そうだ無事で済まされるはずがない、そうだそうだといった状態でございます。



■総評



 やはり統一球が日本野球に与えた影響は大きいということではありますが、統一球の影響を最も受けない投手指標とは何か。それは与四死球であります。もうね、ストライクが入らなければそれだけでまずは大沼の始まりなのですよ。歩かせる。これこそが、新たなる時代を受け継ぐ大沼系投手のアプローチだと思うのですね。



 それは古き良きパリーグのあり方であり、ひいては球界全体、さらには人類すべてに対する責任なんだと考えられます。



 今回、最優秀大沼投手の栄冠に輝くことは間違いないと思われる増渕投手が、来たるCSで万一登板することがあったとしたら、どんな投球を見せてしまうのか、あるいは吉川投手が、そして、新たなるパリーグにおけるネタ投手のホープ斎藤佑樹投手は別の意味でどうなるのか…。



 思えば、私にとってのパリーグのインチキ左腕といえばロッテ園川でした。何か8回途中で川崎球場のマウンドを降りるまで7失点とかしているのに涼しい顔で投げ続けている園川が印象的で、その年は南海ホークスがダイエーに身売りした初年だったこともあり、これが新時代のパリーグなのかと、目に焼き付けていたわけですね。



 やがて、ホークスにもラジオが入団し、そしてゴセージ、バティスタ、グーリン、今年はペニーと、ネタには事欠かない選手が山と入ってきて、パリーグらしさにも一段の華やぎが肌で覚えられるようになったわけですが、やはり必要なことは「真剣に、全力で取り組んだ結果がネタで終わる」という事態であります。逆に言えば、ネタありきであってはならないということでもあるんですが、この真剣勝負であるからこそ生まれるネタの美しさが大沼なるものであり、初芝であると言えるでしょう。



 打撃においては大松がその地位を着々と固めつつありますが、投手においてはなかなか偉大すぎた大沼の穴を埋められる好投手になかなか恵まれないというのが実情ではないでしょうか。最近では、大リーグで斎藤隆や松坂が大沼的アプローチでアメリカ人どもを驚愕せしめ、一時期はダルビッシュもまたその身を惜しまず大沼化せんという模様でありましたが、何といってもやはりまずは挨拶代わりに四球を与えることから始まらねばならぬということは力説せずにはいられないのであります。



 残り少ないシーズンを、最後の一滴まで絞りつくして楽しんでまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。


 そのうち出ると思いますが、中国政府がロシアとの軍事に関する非公式接触を行い、尖閣諸島を巡る問題で日中間が武力衝突になった場合にどのような趨勢となるかの意見を打診したところ、結果としてロシア軍から「序盤から日本側が優勢、その後、米軍が加勢して中国軍は海軍、支援陸軍共二週間以内に壊滅的な打撃を蒙る」と回答。



 当然、ロシアも尖閣諸島の領有に関する問題については二国間による解決が必要という立場であって、中立なわけですけれども、日本の領土問題を巡る紛争が現実に武力攻撃の応酬となった場合、最終的に戦闘の結果を決定付けるのは米軍の参戦であるということであって、逆に言えば、日本は本格的な小競り合いについて完全な勝利を収めることはできないということでもあります。



 日本の安全保障や今後の外交を考える上で、結構重要な論点を提示してくれているのが8月15日に発表された第三次アーミテージ=ナイ報告書でありまして、我が国がTier-1 Country、すなわち一流国であり続けるならばアメリカは日米同盟を重視するという、結構デリケートな内容になっております。



アーミテージ報告書を読み解く――日本は二等国でいいの?

http://yakan-hiko.com/w/2012/09/24/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/


 領土問題だけが近隣諸国との紛争というわけではないのですが、少なくとも対ロシア、対中国・台湾、対韓国と、領土問題を抱える日本が信頼するべき国は結局のところアメリカしかないのも事実で、思いやり予算や沖縄の立場の尊重といった問題は抱えてはいます。ただ、我が国の安全保障を考える上で、アメリカとの同盟抜きには考えられなくなっているのもまた事実。ぶっちゃけ日本が尊重されているのは「曲がりなりにもアジアの一流国であり、その一流国であるがゆえに、アメリカと軍事同盟を結べていて、それが実効性があるから」でもあります。



 日米中は正三角形の関係とか言っていた小沢一郎さんが政権与党である民主党から叩き出されて影響力を失っている状態で領土問題が起きたことはまさに不幸中の幸いで、中国の現状の政治を考えるに対日交渉での弱腰が失脚の大きな原因となる昨今、中国共産党をアメリカと等距離の関係に置くことなど不可能でありましょう。真の意味で、尖閣諸島問題が発生したときの首相が野田さんであり、党内に小沢さんがいなくて良かったと思う次第であります。



 今後は、中国からすれば日米同盟こそがアジアで中国が国益を拡大するための障害であることが良く分かり、また同時に太平洋や南シナ海方面へ権益を伸ばしていくためにはアメリカの介入をどうにかして減殺させる必要があるということを改めて理解したことでしょう。そして、アメリカをアジアに引き寄せている勢力とは文字通り日本とフィリピンであり、この両国に対してアメリカへの信認を如何に減らすかを真剣に考えてくると思います。



 また、アメリカにとってアジアでの権益を考える上で、日本の国力が高いことが前提となることは言うまでもありません。力の弱まった日本に対して、アメリカが庇護をするメリットがなければ同盟は維持できないのは当然のことです。同様に、アメリカがアジアから手を引き、台湾から南シナ海、マラッカ海峡を中国に押さえられるようなことがあれば、それはもはや日本が必要な原油を運ぶシーレーンは中国に握られて、本当の意味でアジアの二等国へと転落する危機となるのです。



 アーミテージ=ナイ報告書は極論も多く、金科玉条とするにはなお読みこなし、日本側の意見や解釈をしっかり持つための議論をする必要はあるとは思いますが、一方で当たり前のことを書いています。国際的な責任を果たさない、地域のミドルパワーでいいやという日本のあり方は、むしろ領土問題で韓国や中国からナメられて一層嫌がらせの対象となる可能性を示します。そして、日本には相手に譲れるだけの経済的余力はもうないのです。



 日本が、生き残るために必要なものは強力な友邦国との実効性のある同盟であって、それは、中国でもロシアでもなくアメリカです。日本の主権である領土は寸土たりとも譲ってはならない、という前提で考えるならば、冷戦における反共産主義の盾となったのと同様に、新しい時代での反中国共産党の盾として、アジアの民主主義を守らなければならないのでしょう。



 そう考えると、いま日本の抱えている国内問題も外交課題もよくよく理解できるのではないかと思います。


 FNNでも出たけれど、別の解散前調査でも(9月上旬に実施)旧大阪維新の会の政党としての支持率が大幅に低下し、橋下徹市長に期待しないが26%→44%とちょっと陰りが出てきた感じでしょうかねえ…。



「日本維新」支持率が急落 「新報道2001」世論調査

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120923/stt12092321550009-n1.htm



 毎週のヒヤリングなどでは、聞き及ぶ限りでは女性支持者の全国的な退潮が際立っている感じで、一転原発再稼動容認→商売女の浮気スキャンダル→不透明な国政政党化って感じで有権者の置いていかれ感が強まっているのかも知れず。



 「不支持はあくまで首都圏や北海道、東北地方など非近畿圏」という状態なので、まだまだ大阪近辺では支持が集まっているようですが、肝心のお膝元でも女性の支持層が減少傾向が出てきて、これで松井知事のレイプ問題でも発覚しようものならちょっと痛い状態になるかもしれず。


 また、男性有権者の支持に関しては竹島問題でやらかしが出ました。ちょっとこれはこれでアレな感じです。



橋下市長、竹島を「日韓の共同管理に持ち込め」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120923-OYT1T00495.htm

橋下氏、辺野古移設を容認…竹島は共同管理提案

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120923-OYT1T00628.htm



 「こんなこと本当に言ったのかよ!」と半信半疑だったんですけど、どうやら本当に言ったらしい。うーんこの…。言わずもがな、共同管理に関しては”領土問題の棚上げ”ではなく”領土問題に対する譲歩”にあたり、日本外交の規定路線からすると明らかに後退することになるので、実効支配されている竹島に対して日本政府が取るべき対応としてはもっとも韓国側に譲歩した内容になり、おまけに竹島には共同管理したところで資源も出ないのでこりゃ駄目だろうと思うわけです。



 橋下さんのところの発言や方針のブレに関してはちょっと韓国関連では取り返しのつかない系の話が多くて、何か考えがあっての発言というよりは、質問が出るたびに脊髄反射で回答しているからなんじゃないかと思うんですよね。



(8/21)橋下市長「慰安婦連行証拠ない」 韓国に根拠明示要求

http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012082101001566.html



 8月21日に「証拠ない」という立場だった橋下さんが、上記の通り9月23日には「(日韓間の)根っこにある従軍慰安婦問題についてどこまで認めるかを韓国側としっかり議論し、(竹島の)共同管理という話に持っていくしかない」ということで、原則論から大幅に後退し「どこまで認めるかをしっかり議論」っていうことで、この一ヶ月の間に何かあったんですかねえと思える状態になっているわけです。



 どうせなので、ついでにこちら。一般的な外国人参政権には反対だけれども、特別永住外国人に限っては議論の余地があるという話をしておりまして、これはこれで、うーんこの… という感じであります。









 まあ、国政政党に脱皮しようとあれこれ会合を重ねていく中で、いろいろと左右の意見を訊くようになって、必然的に橋下さんとしても勉強中であり、政治的態度が変わることもありうる、ということなのだろうと思います。好意的にみれば。一方で、橋下さんに国民が期待したことというのは、今までの政治の延長線上では成し得ないだろう改革を国政レベルで行うことで疲弊した日本を再興して欲しいという願いの投影だと思われるので、とりわけ国民の耳目を惹く領土問題や外国人参政権関連の議論で原則論と現実論を混ぜてブレさせてしまうのはもったいないと思うわけですね。当然、歯切れも悪くなるわけですから、支持率も下がります。



 問題は、そういう大阪維新の会から日本維新の会となり、国政政党へとなっていくにあたって、追い風があると期待して集まってきた、あまり有力でない国会議員(や地方首長や元議員など)であり、これで支持率がみんなの党なみに低迷することになるとするとアテが外れたでは済まない大惨事となります。日本維新の会が恐ろしいということで、既存政党も野合して民主割って自民と合流するの、スポンサー筋も泡喰って自民と民主を一本化するのといってる間に、勝手に日本維新が沈没されては困ります。



 そもそも細野豪志さんが代表選を降りる契機になったのも、日本維新が自民と拮抗して議席を取ることになるかもしれないという読みがあったからでしょうし、そのタイミングで代表を禅譲すれば日本維新と組んで連立与党になれたらいいねぐらいの話だったように聞いているので、いまになったら「おい、ちょっと、それは」って感じだろうと思うんですよね。



 そうなると、俄然自民党総裁選レースがそのまま民主政権後の首相選びの様相を呈してまいります。いいんですかねえ、これで。


 あの元気だった私の祖母が糖尿で亡くなる間際が印象的だった、糖尿が進んで、末梢神経が壊死するのなんのといって、当時小学生だった私も「あのお婆ちゃんがそんなことあるもんか」と思った。次に祖母と会ったときは、祖母は棺桶に入っていた。



無職の父と、田舎の未来について。

http://d.hatena.ne.jp/sanokazuya0306/20120922/1348323875



 これは重いなあ、と思う。最近、東京以外のところをいろいろと旅する機会が特に増えたからというのもあるけど、世間では社会保障だ何だという傍らで、起きている現実って、たぶんこれなんだろうな。


 言いたいことは他にもある、そんならお前、地元捨てないで帰ってやれよとか。でも仕事がないからなあ、継ぐものもないしなあ、となると、都会で結婚して、地元へ奥さん子供連れて帰ろうにも生活が成り立たないだろうし。



■1. 向上心があまりなく、身体が丈夫でなく、コミュニケーションが取りにくい人間に、できる仕事はあるか。



 3つとも全部ない人は、東京でも暮らせないのではないだろうか。せめて向上心があれば、とか、頑丈なら何とか、とか、いろいろ思うことはあるが、こういう人こそ都会で暮らしていくほうがいいんじゃないかと思うんだよなあ。



 そうなると、田舎に誰が暮らすのか、となる。向上心がある人は、田舎暮らしに悲観したら簡単に都会に出てきてしまうであろうし、地元で踏ん張って仕事をするという何らかの自負がない限りそこから脱却するのはむつかしそうだ。



■2. そういった仕事を、人口100万以上の都市まで車で4時間かかるような、田舎に作ることはできるか。



 都会でもなかなか仕事が見つからなさそうな人の仕事を斡旋するのは大変だろうとは思うが、そこにいるからこそ、成立する仕事であれば田舎にもできるのではないだろうか。田舎だからできる仕事って言われるとなかなか思い浮かばないけど。



■3. そういった仕事に限らず、都会から田舎に仕事を流すことはできるか。



 これは可能でござるよ。欲しいスキルの人がいれば、都会だろうが田舎だろうが発注するだろうし、長期で成り立つ仕事は出せる。というか、逆に仕事と立地は関係ない、という世界はたくさんある。結構重要な仕事を、福井の田舎に住んでる人や、熊本や、岩手に出してます。



 ただし、そういう人たちは都会でしっかりとスキルを身につけ、そのスキルを持っていることを多くの人が知っているからこそ、田舎暮らしで成立するだけの環境を整えて地元に戻っていきました。彼らが地方の生まれで、地方でだけ暮らしていて成り立ったかといわれると、それは無理かなとも思います。



■その田舎だからできる仕事とは



 なんだろう。紋別郡だからこそ、できる仕事って。うーん、何も思い浮かばん。でも一度住み込んでみれば、いろいろ思いつくんだろうけどなあ。

 こいつらとか送り込んで、いいね!をたくさんつけてもらって町興しというのはどうだろう。



http://anond.hatelabo.jp/20120923021832



(追加:http://megalodon.jp/2012-0923-1120-24/anond.hatelabo.jp/20120923021832 誰だー、魚拓とか取った奴はー。だめだぞー、こんなことしたらー)



 あるいはこいつとか。戦争になったら逃げたいらしいけど、ビザとか知らんようだから、国内の僻地だったら成り立つんじゃないだろうか。



http://blogos.com/article/47015/



 こういうときこそmixiだと思うんだけどね。あるいはcampfireとか。都会からお金を巻き上げられるマーケティングが必要だ! そのお金を払う口実をうまく見繕うことで、その問題について取り組みたい人や、それに意味を見出す人たちを集めることはできる。



 ただ、まともに消費地で相手にしてもらえる商品やサービスを作り、ブランドを育て、その産業の担い手を用意するにはどうしたって10年ぐらいはかかりますから、自治体が腰を据えて取り組んで、ようやく五分五分かそこらの成功率なんだろうとは思いますけどね…。



■人口オーナスとか



 そういう意味では、これは個別事例といえど抱える問題の構造は深い。構造を改善しない限り、絶対に状況は良くならないが、この大学生が「いやでも俺は都会で勤め人やるんすけどねw」と言った10年後ぐらいに、結婚をし、子供ができて、「地元に戻ることにしました」と元気にはてなで書ける日が来ないと地域の未来は暗い。それ以上にはてなが暗いかもしれないけど。



 そして、彼自身が都会で働く選択をしれっとしている現状に憤慨してもしょうがない。地元にいても望むような仕事がない以上、大学にまで通った結果、所得を捨てて地元に戻るわけにもいくまい。いまはこうであるのは仕方がないとしても、どうにかならんのだろうか、と思ってしまいます。



 もちろん結論は出ません。残念でした。


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