月別アーカイブ / 2011年12月

 大賞がちきりん女史という順当過ぎて面白味の欠片もなかったBLOGOS AWARD、私も参戦したくて仕方がなかったのですが帰京&宴会があったため残念ながら見送りとなっておりました。

 ところが、ヲチャー垂涎の乱闘騒ぎが池田信夫を中心として発生していたと知り、先ほど動画も観ましたが何と言うか本格的なプロレス団体の旗揚げ的状況となっており、しまったこれは万難を排して末席に加わっておきたかったと残念に思う次第です。

BLOGOS AWARD 2011 授賞式
http://www.ustream.tv/recorded/18947224
BLOGOSアワードで武田邦彦×池田信夫
http://togetter.com/li/223768
惑溺と自尊
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51760376.html

 それにしても馬鹿だなあ、ハハハハハ。
 で、相手の武田邦彦、田中龍作両氏もまた、池田信夫のアレゲな感じをうまくかわしながら大人の対応をしているんですけれども、率直に言い分を理性的に考えると池田信夫とそれほど大きくは質的に変わらないというのもまたポイントです。

 いやあ、どうしてこうなっちゃったんだろうなあ。良かった、野次馬で。そう心から思う日が来るとは思いませんでした。ありがとう、池田信夫。

 一年半ぶりに4Gamer向けの原稿を書きました。矢じりを丸くして書いたつもりだったんですけど、どうも眉間に刺さった人が若干いたようで、さっそく抗議を頂戴したりしましたが、まあ来年には会社が潰れて業界から彼らはいなくなっているでしょうからさほどの問題はないでしょう。

【山本一郎】コンシューマゲーム開発部隊がスマホアプリやソーシャルに何故適応できないか(メモ)
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20111205049/

 一方で、ソーシャル業界のエポックとしましては、Klabが「自社製品を模倣された」とクルーズを訴える事案が発生。親亀が騒動を起こせば小亀もさまざま小煩いといった風情であり、お前ら全員芥川龍之介先生の『蜘蛛の糸』を読んで出直して来いと思うわけです。

プロ野球参入のDeNA、本業揺さぶる「場外乱闘」
模倣・訴訟…問われるソーシャルゲーム業界の健全性
http://www.nikkei.com/tech/business/article/g=96958A90889DE1E5E2E0E7EBEBE2E2E7E3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;dg=1;p=9694E2EBE3E3E0E2E3E2E1E7E2E4
 もちろん、模倣を放置するのが健全でないから法的手段に訴えても是正すべき、という考え方を否定するものではありません。心逝くまで殴り合っていただきたいと思う次第です。

 ところが、パチンコ業界もそうでしたが、遊戯と知的財産の分野というのは非常にむつかしい線引きを強いられるものでありまして、例えば「はねもの」と呼ばれる定番機があります。まあ、どのメーカーも「パチンコとはそういうものである」ということで模倣し続け、それらが定番化することで、業界全体も客も「パチンコとはそういうものである」という認識になるわけです。

 翻るに、ソーシャルゲームにおけるカードバトルや、ライフ制、エナジー制というものも、パチンコにおけるチューリップ構造と同様に「ソーシャルゲームとはそういうものである」という文脈を形成していまに至ります。じゃあ、お前らが常日頃使っているライフバーという表示概念はどういう権利処理になっているのでありましょう。

 あるいは「5」を押したら紙芝居が進む、友達をリクルーティングすればアイテムがもらえたりボス戦で加勢が来るといった、いわゆる「ソーシャルゲームとはそういうものである」という定番の権利はどうなっているのでしょう。

 知的財産を適切に処理し、相互にライセンスを出し合うなどして業界の健全化を図ると言うのは立派である反面、Klabが「パクられた」とする「真・戦国バスター」は、まったく模倣せずに制作されたコンテンツなのだろうか、というところも良く考えるべきだと思うのです。

 同様に、いま私たちがソーシャルゲームだスマホアプリだと喜んでプレイしている作品は、特にUI面も含めて特許化されているものを流用しているにもかかわらず、すべてが自分たちが湯水のように使ってよいかのように振舞っているという側面もあります。全部が駄目だというわけじゃないですよ。でも、Android対Appleの訴訟でもあるように、その辺には結構な地雷が埋まっているんです。

 主観ではセーフと思っていても、客観的には健全でないと判断される事例は他にもたくさんあります。思い違いや考えすぎも、さまざまあるでしょう。ただ、自社のサービスは健全だ、問題ない、と主張するのは企業防衛上止むを得ないとしても、他社のサービスを健全でないと言うからには、通すべき筋道を考えたほうがいいと思うのです。

 それが倫理なのか、知的財産なのか、非合法なのか分かりませんが、売れる定番ゲームが出ると総じてそれをキャッチアップするという業界全体の体質の問題とも言えます。ブーム商売の宿命と言えばそれまでですけど、もう少しどうにかならないのだろうかと。

 これから移動するのでこの辺で。

 スマホは「通話のできる不完全なPC」というニュアンスのところから「スマホ自体が危ないんじゃないか」と大騒動になっておりまして、日本人の感覚からすると何のことやらという部分もありつつここは大事だから薬だと思ってぐっと我慢して読んでおけ。

Carrier IQもHTCもサムスンもアップルも...スマフォ監視ツールの件で集団提訴。米上院と独政府も調査開始
http://www.gizmodo.jp/2011/12/carrier_iqhtc.html
Carrier IQ, HTC, and Samsung Sued for Millions Over Tracking
http://us.gizmodo.com/5864488/carrier-iq-htc--and-samsung-sued-for-millions-over-tracking
[Quote] If they lose, the companies could face penalties of $100 for every day that violation took place.

 「監視ツールを撤去しました、はい終わり」とはならないのがこの問題の辛いところ。まあ、今後は個人に関わる情報をサービス側に提供する場合はいちいち許諾を取るような方法が奨励されるんでしょうか。
 当然、余波は太平洋を渡った先にある島国にも訪れるわけです。

国内キャリアのCarrier IQ対応状況(12/5 16:10 update)
http://wirelesswire.jp/News_in_Japan/201112021439.html

 さっき更新された情報によると、キャリア各社は対応に追われているとのこと。ところがですね、スマホでの個人情報の取り扱いや流出については、アプリベースでの利用も含めてこれらの問題はずっと前から高木浩光せんせが指摘していたわけですね。

心から利用者に説明する気なぞ微塵もない日本の事業者たち
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20111101.html#p01

 高木さんの一貫した姿勢というのは本当に評価すべきだと思います。

 で、上記国内キャリアのCarrier IQの対応状況も踏まえて考えるに、今回問題となったのはCarrier IQだとはいえ、実際には高木せんせが指摘するように、多くのアプリが多かれ少なかれ個人情報を充分な利用者承認のないまま確保している事例がある。

 話の例としてネタに挙げられている頓智ドット社の「セカイカメラ」、去年からKDDIが出資して、傘下ビジネスになってるんですよね。

KDDIと頓智・の資本提携について
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/0805/

 ということは、キャリアが自社提供の端末で問題アプリの面白挙動があるかないか語るだけでは手落ちで、通信業界全体でこの手の個人情報のセキュリティに関しては対策を考えていかないといかんのではないの? と思います。

 ある種の性善説で運用されることの多い我が国のこういうサービス界隈ですが、欧米並みとは言わずとも、せめて恥ずかしくない範囲で制限をかけていけるような仕組みを考えて欲しいと願う次第です。

 どうやら、湯川鶴章さんがやらかしたようであります。

苦況(ピンチ)の内にも入りません
http://d.hatena.ne.jp/Rockridge/20111204/1323015965

 元となった英文記事はこちら。

Firefox faces uncertain future as Google deal apparently ends
http://www.zdnet.com/blog/bott/firefox-faces-uncertain-future-as-google-deal-apparently-ends/4241

 確かに断定はしていないですね。それを、湯川さんが拾い読みしてFirefoxが苦境に陥ったと断定調で書いたものだから、その筋から反論されたという次第であります。
 もっとも、反論の側も別に契約状況を詳しく知っているわけでもなさそうだし(当たり前だ)、Microsoftと代替契約が取れれば大丈夫的な微妙な内容でもあるので、まあとりあえず事情を知らない第三者の私としては「もっとやれ」という熱い声援を送ることしかできないわけですが。

 もはや、TechWaveの信頼性を取り戻すにはメディアを湯川さんごとMixiが引き取ってMixiページ専用サービスとするしか方法はないように思います。では、ランチの約束の時間になってしまったのでこの辺で。

 ということで、東京に一時帰って来ましたが… わー、限界集落だー、とかいう語彙のかっこよさとは裏腹に、ヤバイことになっております、地方の農業。細かいところは、『農協の大罪』(山下一仁・著)という本が出ておりますのでそちらをご覧いただくとして、私が見てきたのは数字の部分です。

 統計と言うと、とても冷たい印象があると思います。全体で見ると何だ2兆6,000億の不良債権か、という話になりますが、そこには何百何千何万もの返済に追われる農家があり、後継者がいないので農業を継続できなくなったり縮小して所得が減り、所得が減ったのでトラクターやらコンバインやら農協から借り入れて買った設備投資も回せなくなっていく。そして、先祖代々預かってきた田んぼや山林を二束三文で売りに出そうとして、それがどこにも需要がないことを知って、80代の農家が自己破産していくわけですよ。休耕田の問題や、地方経済の担い手不足というのは、カネの面から見ると、擦り切れるように磨耗して潰えていく、くたびれた地方経済の持つ不良債権の山となって跳ね返ってくるのです。
 この問題を最後に取り上げたのは朝日新聞だそうですが、震災の後で象徴的にヤバくなったのが福島県の農業です。風評被害がどうという話ではなく、文字通り福島の農家は四散してしまいました。福島産の農産品が売れないという目先の話というよりは、誰もそこにいなくなった福島の農業の現状です。

 話を聴いていて思ったのが、買い手のつかない売り農地。政府からの保障がもらえるかどうかというのは、死期が2年か3年先になるだけのことであるのは福島の農家が良く分かっているわけです。低利融資があったところで、それはいずれ返さなければならないおカネであり、貸し倒れてもいいじゃないかと開き直るには実に微妙な金額であることもまた問題で。宮城の二重ローンは大手資本による支店経済ではなく、宮城土着の地場資本を駆逐しておりますが、福島の場合は産業そのものが消滅するんですね。

 で、農協も好調なところとそうでないところがあるから、一括に良し悪しは言えないけれども、全体で少なくとも現段階で3兆円ぐらいの不良債権があるんじゃないかと言われている。もちろん、細かい数字はもっと精査が必要だし、農林中金やそっち方面からの集計もしていかなければならないんだけれども、北海道の農業、酪農、林業、漁業といったところで言うならば、このセクターだけでどうも2,200億円ぐらいの赤字になってる。これを多いと見るか、まあこんなもんだろうと考えるかは立場によるけど、これらは最終的に税金で処理されなければならないという点で、正直地方経済の疲弊をどう国家として定義し考察し、方向付けをして解決に導いていこうとしているのか良く分からんというところはある。

 こういう場合に、単純に受け皿銀行作って債務寄せて、そこに公的資金を入れていくような破たん処理をしていけばいいじゃないか、とはなかなかならないのではないかと思います。しかも、なかなか次世代に繋がらない。就業者の平均年齢が、50代後半ですよ。酷い自治体だと、平均が70代に迫るという。誰だ、ゴーイングコンサーンとか言ってる馬鹿コンサルは。10年を待たずに葬式のはしごが発生してしまいかねない。で、そういう債務を最終的にカバーしようとすると、やっぱり冒頭に述べた税金による処理をしていかなければなりません。

 地方経済や行政建て直しの方法論として、橋下徹さんが大阪都構想をブチ上げていたけれど、自力でどうにかなる自治体は是非自力で再生できる方法を模索していただいてどんどん合理化すればいいと思うんです。問題は、主たる産業が支店経済で、もう倒れるのを待つだけっていうクソ田舎の経済をどうするんだという話で、それは道州制のような地方への権限委譲をし始めるとゴミ捨て自治体同士が老人と負債の押し付け合いをしているだけの荒涼とした日本の姿を想像させるんですよね。観光事業誘致だとか取り組んでみたけどそこで働いている人の七割が中国人になってしまうとか。

 溜池通信を見ていたら、日本のイケてるセクターはまだまだ大丈夫だ、という話が出る反面、疲れた地方経済をどうにかするという後ろ向きな費用を「政治的分配」の果てに賄おうとするのは本格的にイケてるセクターの日本脱出を促す作用しか起こさないような気がしてガクブルです。どうにかならないのでしょうか。

http://tameike.net/pdfs8/tame482.PDF

 まあ、どうにもならないので私も幻滅しているんですけどね。その幻滅から絶望にいたる時計の針を、少しだけ先に進めてくれたのが福島の農業の現状だということなのでありました。

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