月別アーカイブ / 2011年05月

 モバイル事業の借金も満足に返さないうちから、より大きい風呂敷を掲げてさらにチャリンコを漕ごうという意欲が垣間見える孫正義さん率いるソフトバンクですが、何故か電力事業への進出を定款に追加、本腰で採算が取れるかどうかもまだ見当もつかないソーラーパネルによる事業案を発表しようとしています。

 ただでさえ繋がらないソフトバンクモバイルの体たらくを無視して電力事業にうっかり進出したら、「世界で使えて自宅が圏外」どころか「原発ないけど自宅で瞬電」が頻発しそうな気がするわけですが。

ソフトバンク、自然エネ発電を事業目的に追加へ
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E0E5E29A998DE0E5E2E7E0E2E3E38698E0E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2
ソフトバンクがメガソーラー事業、19自治体と協議会設立
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20110526/271564/
 で、関西広域連合という一時代まえの暴走族のような不思議団体がでっち上げられて、そことの共同事業をソフトバンクがやるという建て付けであるようで、なんか資料が発表されたということで回ってきたんですけれども… 何でしょうか、これは。

自然エネルギー協議会
http://minnade-ganbaro.jp/res/presentation/2011/0526.pdf
関西広域連合がSB謹製資料を発表した
http://togetter.com/li/140971

 ええと、電力事業に参入するなとか、原発批判けしからんとか、そういうつもりは毛頭ありません。でも、なんですこの資料。裏づけがないとかってレベルじゃなく、詳しくない人たちに期待を持たせて美辞麗句でどうにかしようという典型の話ですわね。

 新味があるとすると、各自治体からすると放棄された農地は一円も地元に資金を落としませんから、これらの用地に電力パネルを勝手に設置してくれて運用して、管理業務を担う雇用も含めて電力や税金を地元に落としてくれるのであれば、悪い話ではないかな、という程度のお話だろうと思います。

 モデルケースとしては、四国電力の松山太陽光発電所なんだろうと思うんですが、試験的設備とはいえ、それなりに充実した機能を持っています。今回の関西広域連合とやらの資料では、この発電能力を遥かに凌ぐ合理的な発電事業を実現できる話になってて、何を根拠にこんなことを言ってるんだろうと感じるわけですが。

メガソーラー発電所の導入について
http://www.yonden.co.jp/press/re0901/1173659_1059.html

 要するに、通信事業が好調なうちに、より大きな風呂敷を広げられる事業へ進出していきたいという話であり、福島原発へのムーブメントがあったことによる反原発ポピュリズムを「光の道」で失敗したように展開したんだと思いますが、奇しくも東京電力とソフトバンクで手がけたスピードネットと同様に「大義名分は立派だけど画餅」というのは公共事業においては厳に慎んで欲しいと感じます。

 変なことをやってソフトバンクが潰れるのは自由、と言う論調もあるようですけれども、道連れになるのはみずほ銀行でありまして、公的資金でも注入される事態になればケツを拭くのは日本国民であります。いまソフトバンクの資金調達に簡単に応じるような海外からのホットマネーなどあんまりないでしょうからねえ。

 また、自治体からの支援金をアテにするのなら復興費用は日本企業にちゃんと回して欲しいですね。日本国民の税金ですし。京セラから買うとか。間違っても、安いからと言って韓国企業の電力パネルを大量購入して復興需要を海外に流す窓口のような売国機能にならないようにお願いしたいものです。

 いずれにせよ、せっかくヤフーやiPhoneの好調で借金返済の道のりができそうなところで、くだらねえ事業案に邁進して民主党へのロビー活動をするぐらいなら、孫さんは早いところ後継者を育成して自分の手金でやってください。

 『情報社会のいま あたらしい智民たちへ』を一度読み終わって、なお二度読みをしているのには理由があります。それは本書が分かりにくいという意味ではありません。むしろ、Twitterやブログ、Facebookといったツールを普段使っている人であればなおさら、ここで語られている「文化変容」や、使っているツールの意味が、実は私たちの心の中にあって、その実在する変容を読み直しながら確認してみようという動機に繋がる、ということです。



 一口に「ソーシャル化」と言われても、それが何であるか認識の形態を持たなければ意味を持ち得ないのと同様、普段面白そうだから、便利だから使っているツールがここまで人としての行動様式や思考に影響を及ぼしていることを理解するのには、やはり時間がかかります。第三者的に、Twitterはこうなる、Facebookはどうなる、という話があったときにそれを理解するのは容易でも、そういったツールが私たち自身の利用によって意味を変容させ、具体的な事案にどこまで影響しているのかを分析されたときに、「被験者としての私たち」がどういう理解をしようとするのかは、まさしく本書が読み解こうとした裏テーマのように思います。
 サイバーアクティビストという特有の概念もそのひとつで、2ちゃんねるで煽られてお役所や加害者に電凸する人々も、Facebookを情報拠点として反政府デモに身を投じるアラブ人も、程度の本質からすると摂取した情報を咀嚼するだけでなく、また行動に繋がるだけでなく、さらに人の行動と人の行動とを結びつける有機的な作用をもたらす過程そのものがソーシャル化の態様でありえるとも言えます。

 情報の先鋭化と、それに伴うある種のクラスター化というのは、情報のシマとシマとの間を隔絶させかねないという分断もまた生むのかなあというところではありますが、本来の人間のコミュニティがマスによる洗礼を受ける前の原始的なあり方に回帰しつつあるという風にも考えられるでしょう。日本の情報化のいまは、日本人がソーシャル化によってどのような情報を受け取り、いかなる行動に結びつけ、さらにいろんな人へと波及させていく過程を再組成しているのだ、という点で極めて重要な論点であると思います。

 読む側の問題意識が深いほどに、またその世界への没頭度が高ければ高いほど、本書が持つオルタナティブな部分を際立たせます。というのも、読み返して「そういえば、私はどういう時間にTwitterを見て、どういうツイートに反応しやすかっただろうか? それにどういう意味があって、どんな影響を与えたと論じられていただろうか?」と気になる部分があったりするわけです。それは無意識に使っているツールであるが故に、そのツールが持つ社会的な意味を自分の行動そのものに紐付けて考えることに他ならないんで、読んであっそうという簡単な本では終わらないってことなんじゃないかと思いますね。



 この手のTwitter論などサイバーツールによるコミュニケーション論の嚆矢となったのは津田大介氏の『twitter社会論』であるが、出版から時間が経ってもなお、基本的なTwitterの世界観や私たちの生活への影響を考える上でのきっかけを与えてくれる良書になっています。

 いみじくも、津田さんが本書の中で「中毒性」という表現を用いているが、コミュニケーションの形というのは表現を日がなしていきたい人間であれば電話だろうがカフェだろうが必ず誰かと喋っており、そういうさまざまあるコミュニケーションの形をどう選別してTwitterが興隆したのかを考えるに、日本人(だけでなく世界中の人が)サイバー空間でどのようなコミュニケーションを取ることを是とし、求めてきたのかが良く理解できます。



 最後に、「キャリアアップのバカヤロー」という名著はどうしても取り上げたくなったので。そもそもキャリアアップってのは具体的になんだろうね、という根本的な話や、著者・常見陽平さんの身の上話といった、会社は基本的に変わっていくものであるいまの時代の仕事観をうまく言い表しているように思います。

 自己啓発の無意味さとか他人の痛さを笑いたい気持ちをぐっと堪えて、でもキャリアアップしたい人たちが目指すような会社経営に自分自身はしているだろうか、と振り返るとひょっとしたら笑われているのは私なんだろうなあと思って自嘲してしまうわけであります。社員の皆さま、大変申し訳ございません。

 人事やマネジメントをしなければならない人にとっては、読み口は軽いですけど結構考えるべきことは重い好著だと思います。自分のスキル向上をして社会や仕事に役立てたい、と思う前に、読むといいんじゃないかと思いますね。マジで。

 といっても出かけるまでの20分ぐらいでどのくらい書けるかなテスト。

 まずこれ。

● 班目せんせの人間宣言

班目委員長「私は何だったのか」
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110526-OYT1T01193.htm
 御用というのはお上の都合で起用されるものであるので、お上の都合で梯子を外されることもあれば、棚上げされて放火されることもあるという事案でございます。この人、個人的には率直な物言いで、専門外で頓珍漢な質問でもきちんとした態度で聞けば真摯に回答してくれる、人の出来た珍しい有識者だと思うのですが。

● 太陽光パネルなどの復興需要の一部がなぜか韓国企業に

韓国ベンチャー、日本政府機関のプロジェクト受注
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/04/14/0200000000AJP20110414000300882.HTML

 ちらっと売国ネタでTwitterが騒がしかったのでピックアップ。このウィズドメインという韓国企業、会社としては優秀だったので提案力が高かったとの評はあったようですが、正直良く分からない展開になってきております。

 太陽光パネルの調達については、例の孫正義さんの財源の良く分からない電力事業において復興需要の一部が海外に出ることを嫌がる人が多いようで、まあ安くて帳尻が合えば海外調達でもいいんじゃないかという割り切り派とはすったもんだの論争になることは必至であります。

 そういえば、稲盛せんせは孫さんと仲違いしてたんですね。知りませんでした。

● メモリ容量の足りない鳩山さんが、党を割らないと岡田さんに宣言す

岡田氏と会談の鳩山前首相「党割ることは…」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110526-OYT1T00804.htm

 サミットでオバマ大統領と面白会談をさせられた菅さんが居ぬ間に、様々な躍動が政治で起きてるみたいですけど、くす玉のように党を割るの割らないの、不信任案に賛成するのしないのと右往左往していた鳩山さんに岡田さんが「お前、党を割るなよ。絶対割るなよ」とダチョウ倶楽部的プレッシャーをかけてて、これは何の前フリなんだと思うわけです。

 一足先に訪米して、知日派一同に怒られてた前原さんも「不信任案に賛成しない」ということで、6月の政局を見送るのかどうかって話になってまして、ここで一気に菅政権を打倒したかった谷垣さんからすると人の良さが仇となって、今度は谷垣さんが降ろされかねないという楽しい構造になってまいりました。

● 利権狙い&政界再編の主導権狙いで一発当てたい人たち

復興再生議連が発足 民・自・公の中堅・若手ら参加
http://www.asahi.com/politics/update/0527/TKY201105270002.html

 復興需要の差配だったり、親分がたが上記のように釘を刺されて身動きが取れないことを失望したり、とにかく危機的状況を前にして政治家として何もしていなかったという不名誉な称号を避けるためにも復興再生議連という不思議な文脈の会合が出てきております。どういう仕掛けなのでありましょうか。

 復興再生院の件や、復興対策本部のような新設&官邸直下の面白組織と、従来の政策を担ってきた経済産業省や総務省や各自治体の動きとがちゃんと噛み合わないのが素敵です。経産省解体しようぜとか誰か言い出してくれませんかね。

 というわけで、この辺で。


(追記 07:44)

 というか、枝野さんのことを書こうと思っていたのを忘れていた。

枝野氏:東電は「普通の民間とは違う」-債権放棄発言への批判に(1)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ah_7Q16_e3G8

 この二日後が、こう。

枝野氏:「私は求めていない」、東電向け銀行債権放棄-国会答弁(1)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ax1hBHBJim_Y

 枝野さんはいろんな意味でもう寝たほうがいいと思いました。

 投資先や関係先の決算作業がてんてこ舞いであるこの時期、E3向けのプロトタイプの納品が重なったり某新ハードのナニがアレだったり、今年は非常にしんどい。地震もありましたからねえ。

 そんなわけで、今年は例年以上にプライベートをすり潰して諸事対応を進めておるわけですけれども、全般に景気がよろしくないといいつつも好調な業界はやはり踏んだアクセルの分だけ業容は拡張しておりまして、やはり増資だ新会社だ選択と集中だ買収だといろいろ動いている状況であります。

 ひとつひとつしっかりと関係先の数字を見極めて経営陣とコミュニケーションを取る――という理想とは程遠い状況になっているのは、単純に経営管理業務を他人に任せられない私の性格的な狭量に由来しております。やっぱり自分で数字見て整理して決算方針とか吟味したいんですよね。すいませんすいません。
 悲喜こもごもという点では、自前のフランチャイズを用意してソーシャルアプリで稼いで事業拡張したいと考えていた会社が伸び悩み、有力なIPを持つ会社のリソースを借りてきてRSでアプリ開発を手がけるところが急伸したというところでしょうか。同じ高採算業界でありながら、ここまで見事なグラデーションを見せてくれる世界も少ないような気がします。まさに、経営陣のとった戦略や参入時期のあやで業績が数倍違うという状況にありまして、いまこの段階で数千万の利益で喜んでる経営者は来年業界からいなくなってるんじゃないかというような危機感を持ってます。私は。でも「儲かった、それは俺の手柄だ」と思っちゃうのは人情ですんで、まあしょうがないんですけれども。

 スマホ市場の地ならしが終わって海外進出だ頑張ろうオーとかいう事業計画をたくさん見かけるのもここ半年ぐらいでしょうか。レッドオーシャンというか、そんなに大きな市場でもなく利幅も取りづらいんじゃないかと思うわけですが、それでも他のサービス分野で充分な収益を叩き出せる事業もそれほど多くなく、先行投資をしている業者にいまから挑むにはそれなりのチャレンジが必要なので、やはり参入障壁の極めて低いアプリ界隈に事業意欲のある人が殺到している感は否めないです。

 一方で、古き良きテクノロジーを商品化しているとこや、クライアントにベタなさービスを提供している体育会系なところは、有力な商材の払底という危機的状況にも関わらず、その精神力で本当にどうにかしてしまっているのは驚きです。よく頑張ってるなあ、とか、若いって財産だなあ、とか、じじ臭いことを感じるわけですけれども。私にそんなパワーがあった時代はなかったなあ…(遠い目

 なので、いまや街中の公認会計士でも対応してくれる中小規模のM&Aなんかは本当に花盛りになってきました。こういう形でバイアウトが進んだり、業界の再編や資本の集中が進むというのはそれなりに意味のあることだと思います。というか、一昨年なんかよりも、カネになる方法論がはっきりしたこともあって、またガラケーからスマホへの市場変化が起きるということで、一種の駆け込み需要のようなM&Aが本当に増えたなあ、という印象です。

 いまベンチャーで頑張ってる人は、なんか運が向くといつの間にか大手企業が買収して経歴わらしべ長者になったりするかもよ! 給料はそんな変わらないだろうけど。

 というわけで、去年頑張った甲斐があって、決算は満足の逝くものになりそうです。懸案だったリビングデッド株も幾つか処分が進んで、投資そのものは仕込み時期ですけど実業が好調というのは素直に嬉しいです。今期はもっと良い仕事にしたいなあと思いつつも、そろそろ3月決算に揃えるのは辛いですなあ…。

 もうこの辺は統制のイロハだと思うのですけれども、混乱を誘発しそうな未確認な情報を検証のないまま公式に発表しない、というスタンスは容認できます。また、処理方針を説明する上で矛盾のある情報は公表しない、というのも場合によっては正しいかとも思います。

 ただ、情報の発表にあたって、ガイドラインがしっかり決められていないと当然今回以下のようなトラブルは発生するわけで、まさに「海水注入が行われていたか」というそれなりに重要な論点がしょっぱい形で公に晒されてしまいます。

東電「海水注入」ファクス、内閣官房にも送付
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110526-00000550-yom-pol
 そもそも、情報がどこで管理され、誰によって統制されるべきなのか、出すべき情報は何で、出すべきではない情報は何か、きちんと考えようにも急場ですからそんなもの最初から統一できるはずもありません。なので、通常は情報公開に関する方針を最低限のところで策定して、誰にどの分野の情報を集めるのかという作業をやるわけなんですけれども、今回は発言リストを作ったり、起きている事案一個一個の重要度を判定するといった、とても基本的なフレーム作りすらしていなかったように思います。

 だからこそ、賛成反対はともかく起きている事案そのものに対する政府内要人ごとに状況認識が異なり、それゆえに発表する内容も矛盾したり、訂正を繰り返さなければならないといった事態に陥るということです。情報発信の方針に基づいて、情報を出したり出さなかったりすることそのものが問題なのではなくて、方針がはっきりしないので、結果として情報の粒度や重要性に関係なく国民からその信憑性を疑われてしまうという事例が起きるのでしょう。

 もうここまで来ちゃったんだから、突っ張るしかないよね、という理屈なのかもしれませんが、このままでは比較的政府の緊急対応に消極的賛同をしていた人々も政府批判に回りかねません。別にこんな政府倒れてもいいよ、という話なのかもしれないけど、これだけの大災害を最後まで収拾できる機関は日本には日本政府しかないのだから、どうか気を取り直して頑張って立て直して欲しいと思う次第です。

 ポジショントークをお聴きくださり、ありがとうございました。

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