月別アーカイブ / 2011年01月

 最近、ジャーナリストというには脳筋度合いがますます増しているtwitterで絶賛愛玩中な@tuigekiこと奥秋氏であるが、たまに酔っ払ったようにまともなことをいうモードと、ウェブ視界に津田大介氏が見切れて瞬間風速的にキレるモードとを柔軟に使いこなしており、技量が高いと思うわけです。

http://twitter.com/tuigeki/status/31168892860628992
[引用]与謝野氏は【咽頭癌テロ】といってもいいようなものです。病気を楯に破れかぶれで自分の名誉をこの世に残したいのでしょう。その精神はもはや狂っているといって過言でありません。病気なので批判できないという─弱点を強みに変えた稀有な政治家です。見識があれば引退すべきです。

 確かに、このところの与謝野さんというのは癌治療あけにも関わらず政策通としての名声に重きが置かれ、また自民党を出て何か結党し、そこから政権党に引き抜かれると飛び出してさらに要職へ就く行動を取っており、他者の評価や感覚など吹っ切れたように見事な遊泳をしているのを見ますと、素晴らしいと思うか早く死ねと思うかは立場や考え方によってそれぞれと思います。
 そういう感慨深いツイートをしていたかと思うと、うっかり津田大介氏の名前を上杉隆氏経由で見かけて、その場で全ての議論を捨て中断し忘れ棚に上げ潰して津田叩きに回るあたりが芸術的です。

[引用]俺は津田の似合わない金髪に違和感感じない奴の感性を疑う。ゴチャゴチャいう以前の問題。こんなやつの言うこと信じられっか!て話 RT @uesugitakashi: 津田さん @tsudaにもご案内済みです。#fpaj RT @mutevox: 津田「TVが政局 #dekibiz

[引用]もう、このセンスがイモ。自分だって40過ぎのくせに、年上見るとみんな年齢差別だ!二人並べば大抵の姉ちゃんは俺を選ぶ RT @tsuda:血圧上がりすぎないようご自愛ください。 QT @tuigeki: 俺は津田の似合わない金髪に違和感感じない奴の感性を疑う。ゴチャゴチャいう以前

[引用]パンチのとどく距離で言えないことをネットだからって言うんじゃない、 RT @tsuda: 顔真っ赤ですよ。 QT @tuigeki: もう、このセンスがイモ。自分だって40過ぎのくせに、年上見るとみんな年齢差別だ!二人並べば大抵の姉ちゃんは俺を選ぶ RT :血圧上がりすぎないよ

[引用]40にもなって金髪なんてのは中身に自信がないから外見で張ったりかまそうっていう魂胆ミエミエ。皆さんの周囲に金髪の人間がどれだけいますか?勝間さんも心の中で、この人って、と思って目が茶髪に釘付け。

[引用]いつもそうだが、どうしょもないワンパターンだな。頭の中が空っぽなのが丸見え⇒<血圧上がりすぎないようご自愛ください。> @tsuda


 もうね、純粋に、濃縮果汁還元100%の悪口。混ざり物なし。誰がどう思うか、何を伝えたいか、次に繋がるように何を話すか、そういうった観点からの配慮が見事なまでにゼロ。津田を見かけたので悪口を書く、そういうプリミティブで文学的な、ほとばしる強烈な直情が美しい情景として読む者の心に刺さります。

 何がすごいのかというと、ここ二年ぐらいぼちぼちウォッチしていると、びっくりするぐらい文脈も構造も進歩しておらず、好感が持てます。@tuigekiが@tsudaの悪口を書く、@tsudaが受け流すコメントを返す、それを@tuigekiが拾ってさらに悪口を書く、@tsudaが飽きるか出かけてしまい話が途切れる、@tuigekiの悪口だけが最後にぽつんと残ってやり取り終了、という図式が毎回繰り返されており、水戸黄門もかくやといった様式美がそこにはあるのです。味がある、という表現がしっくりきます。

 最近はウェブでも「言いたいことを言っているだけ」という面白発言者がなかなかフィーチャーされなくなり、人材の発掘が困難になっている実情はありますが、いま求められているのはきっとベテランの奮起なんでしょう。

 注目していきたいと思います。

 9年越しの完璧な投擲です。

格付け
http://www.n-kan.jp/2002/05/post-1294.php
その魚拓
http://megalodon.jp/2011-0127-1917-22/www.n-kan.jp/2002/05/post-1294.php

 もちろん、元ネタはS&Pが思い出したように日本の長期国債を格下げしたことなんですが、財務大臣の職務経歴のある菅首相が「疎いので」と発言、世界的に面白がられて英字紙ではエジプトの反政府デモの拡大というビッグニュースを押しのけてトップで報じられるなど健やかな笑いが広がっております。

米S&P、日本国債格下げ 前職が財務相の菅首相、「疎いので」とまさかの発言
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00192013.html
 もっとも、S&Pの今回の格下げって実に微妙なもんで、インチキってほどでもないんですが、日本の政権の経済運営が不透明だから格下げっていう「いまさらお前らが何を言ってるんだよ」という口実のものなので、とっても政治的なバックグラウンドを疑いたくなる措置であることもまた事実です。

S&P、日本国債を格下げ 「民主党政権に戦略なし」
http://www.afpbb.com/article/economy/2783658/6736822

 我が国ではちょうど国内での消化率がとても高い長期国債をもっと海外の投資家にも買ってもらうべきというような議論が起き始めたところでもあり、また、消費税論議も進められるのかなあという状況なので、円高問題も含めて様々な思惑や陰謀論のようなものも多く語られております。

 つーか、ずっとネガティブだったしフィッチは元々AA-だし、これで少しは円安にでもなるのかと思ったら83円攻防戦で変わり映えしないし、何だろうねと思うわけですけれども。

 なお、この手の格下げが野党にとって政権に対する攻撃材料になるのも分からないでもないので、まさかブーメランになるとは当時は思わなかったんでしょうけどね。まさか、首相になるなんて思ってなかったと。だから超かっこいい投擲だったわけですねえ。

 ついに我らが大沼幸二が横浜へのトレード。パリーグの何たるかを知り尽くした男が、ついにベールを脱ぐことになったと知って、素直に嬉しい。結局、2010年のシーズンは不完全燃焼だったけど、同じくここ二年イマイチな成績に終わっていた元スワローズの坂元弥太郎とのトレードというのもまた感慨深い。何と言っても、ヤクルト→日本ハム→横浜→西武と、セパセパといろんな球団を楽しく渡り歩く感じがとても斉藤秀光。順応性があり人間が親しみやすくて、それでいてトレードの玉になる程度の手ごろな能力という点で、まさに弥太郎な感じがします。

大沼と弥太郎がトレード!環境を変え再生狙う
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/01/21/kiji/K20110121000088970.html
 で、その大沼のSTATSを改めてしげしげと見物していたのですが、2009年にそこそこ中継ぎで活躍したと思いきや、腰痛の状態が思わしくなかったのかイースタンでも球速がいまひとつ安定せず、チーム事情でシーズン中盤に先発起用されるも期待通り炎上、という不本意な一年であったようです。

 体力はあるけど30球も投げると極端に球の回転が減る典型的なブルペン型のピッチャーになってきた大沼、ただでさえ中継ぎが牛田と牛田、あと牛田、せいぜいいって牛田ぐらいしか計算の立たない横浜の状況からするともってこいな感じもするんですが、セリーグでは全般的に変化球の割合がもともと多いこともあって、使える球種の少ない大沼がどこまで真正面からの勝負で逝けるのかは本気で未知数です。意外にいけるかもしれない、というのは大沼の数少ない利点である球質の不思議な重さというのがキーになるのではないかなと。ああ、もちろんランナー出すとかなりの勢いでホームラン打たれる傾向に変わりはないんでしょうけど、でもいまの横浜なら大沼のポジションは確実にあるはずです。

 一方、寺原が放出されてしまいました。せっかく井手とまたチームメイトになったというのに。セイバー的には評価の高かったカスティーヨも解雇、なぜか大西も見切られて解雇と、とても不思議な横浜の編成を見るに、あのチームは陰ながら応援せずにはいられません。

 もちろん、神宮で大沼の登板を観たいというのもあるんですが、我が山本家は今年も出産を迎えるためあまりスタンドに足を運べないのが残念。フジテレビCSには本当にお世話になりっぱなしで。ええ。

 ネタではなく、本気で大沼の横浜での飛躍を期待し応援して逝きたいと心から思っています。心機一転、駄目でもいいから彼の最大の力をマウンドで発揮してくれると嬉しいです。弥太郎も頑張れ、大沼も頑張れ。

 もうかなり前に本を出したとき書いたけど、いまだに地方新聞社や協会での公演で論じてくれといわれる内容があって。



 まあ、分かっている人からすれば「何を当たり前のことを」という話ではあるけれども、意外に見落としがちなことが本質そのものだということも多くてですね。

大メディア ネットでの言論増加に対し完全にパニック状態
http://www.news-postseven.com/archives/20110119_10419.html
 このポストセブンの記事では菅直人首相がテレビ出演したときの視聴率が悪いといって騒ぎにしているのですが、でも実際にはもう少し違った側面があるのだろうと。

 というのは、実は私たちが考えているニュースというのはそれほどの分量があるものではなく、それこそ淡々と事実ベースだけ報じられているものであるならば通信社がヘッドラインとして流しているもので事足りてしまうわけです。あるいは、自分の住んでいる地域のニュースであるとか、日々の暮らしに関係するものを事実関係に集中して取り上げるとなると、メディアというのは実に機能としてコンパクトなものになるであろうと。

 ところが、実際にこの記事で言うところの大メディアというのは、生の情報をそのまま報じているだけではなく、テレビとして視聴者の時間を取るに足る加工をして、膨らませて映像にし仕事としていることになります。単純に事実関係だけ伝えるのではなく、トッピングとして解説であるとか、参考映像であるとか、マスコミとしての付加価値をつけて、電波というメディアに乗せてビジネスをしているわけです。

 したがって、私たちが情報としてみているものは事実関係の占める割合は最初から途方もなく小さく、では何をもって情報、報道としているかというと、その事実に対する評価であったり、背後関係であったり、他の事実との関係性を成立せしめることで価値としていることになります。

 菅政権が内閣改造をしました、与謝野さんが大臣になりました、という事実関係であるならば、それこそ一行、テレビで数秒の語りで終わってしまうところを、菅政権を取り巻く情勢であったり、民主党の実情であったり、与謝野さんの人となりであったりといった内容を加えることで、より付加価値を高めて、その事実を評価するための意味づけを行っていると言えます。

 ところが、現在のネット文化では、このマスコミが作り上げる評価に対して、必ずしも正しからずやということで様々な言説が飛び交うことになります。もともと、事実関係に対する評価というのは単一のものではなく、人の数だけ論旨はできうるものであるので、メディアが報道として「こうだ」と決め付けたからと言って昔のように「そうですか」と視聴者が受け止めてくれるものではなくなりました。

 だからこそ民主主義とネットは相性がいいのだ、という議論がおきやすい部分でもあるのですが、でも実際には専門性に対する世間一般の信認の低下という部分もまた多いわけです。というのも、いまのマスコミの報道で素人の記者が体系だった学習もせずに取材ベースに記事を書いたところで、その道で飯を喰って、プロとして暮らしている人たちからすると今さら感があったり間違っていたり入門的すぎて価値がなかったりといったことが多くなります。

 マスコミが批判されることを嫌うのは、そもそも新聞記者は知的トレーニングを積んだ専門家集団ではなく、あくまでメディアに情報を乗せ、それを加工し、評価するためのプロ集団だったことが背景にあります。下手をすると、読者や視聴者のほうがその問題について切実であり記者よりも詳しく経験も見識も伴っていることが多いわけですから、ある程度仕方のないことと言えます。

 ネットでの言論増加で、そこでの発言の質的な向上や、高品質な意見のピックアップが出来るようになってくると、事実関係に基づいた評価はネットで多面的に行われてメディアが付加価値として行ってきた活動にお金を払ってくれる人が少なくなっていくでしょう。アメリカで、ついに報道機関がNPO化していった背景には、社会的に価値のある事実関係の調査報道は必ずしも世間一般の関心ごとと同一ではなく、むしろそうではないがゆえに、より重要度が低いはずの娯楽や芸能の情報に目玉を奪われ負けてしまうということに対応した結果といえるでしょう。利益が出ないのだから、仕方がありません。

 本来ならば、一国の首相がテレビを通じて時事について語るということが価値でないはずがありません。私たちの代表であり、実力者なのですから、私たちの生活そのものが指導者の双肩にかかっているのです――本来ならば。

 しかし、政治がショー化して、エンターテイメントとして見下されて、一時期問題視された「政治不信」という言葉すらごく当たり前のこととして議論の対象にならなくなって久しいのは、大メディアが機能不全に陥ったからではなく、私たちの社会がまだ安全で豊かで、だがゆっくりと衰退していっている閉塞感がマグマのように溜まっていっている過程にあるからだろうと思います。

 旧来からのマスコミが国民の支持を失いつつあり、パニックになっているのは、いろんな意味で過渡期だからでありましょう。マスコミがネットで批判されているとはいえ、まだ体力も残しており、能力の高い記者もたくさん抱えています。ただ、彼らにお金を払おうと思っている人が減り始めていて、その減少幅が無視できなくなってきている、という話に過ぎません。

 ではtwitterやfacebookが従来からのマスコミの持っていた機能をそのまま継承しうるかというとそういうわけではないでしょう。マスコミは引き続き必要です。ただし、昔ほどは儲からず、尊敬を無条件で得られるような職業ではなくなりつつある、ということだろうと思います。

 それを弱者というのであれば、確かに弱者ですね。ただ、本当の弱者は、自分から情報を取りに逝くことが出来ず、与えられた情報ですらその評価や価値を認識できない人々のことをいうはずなのですが。

 本当にエアポケットのような感じで予定と予定の間にイベントに出演するよう清田さんから言われまして、以下のようなセッションに参加することになりました。もう締め切ってしまっているみたいなのでここで告知しても誰も得をしないネタになってしまっているのが残念ですが、一応の掲載など。

Six Apart ユーザーギャザリング 2011 開催のお知らせ
http://www.sixapart.jp/news/2011/01/07-1100.html
 「これは来ないサービス」ということですので、普通に「FF14は来ない」とかいうと単勝1.1倍とかになって面白くないんでしょうが、とはいえ普通にFACEBOOKは日本で流行るかどうかを議論しても佐々木俊尚領を侵食するだけですので、多少趣旨を変えて、現存するウェブサービスに対する誹謗中傷を読者の皆さまから広く募集したいと思います。

 ここでのコメントや、私のtwitter・facebookアカウントなどでどしどしお伝えいただければ厳選してパネルディスカッションに何となく反映させていきたいです。

http://twitter.com/kirik

 根拠とか特になくても、面白ければ何でもいいので、是非ご協力いただければと存じます。各位におかれましてはご多用のところ大変恐縮ではございますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

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