月別アーカイブ / 2010年06月

 セカンドライフ以来のバブル発生だ!

 ということで、関係先や投資先で少しでもソーシャルアプリ(SAP)開発をやってるところにVCから電話来放題。完全にバブルだねえ。出資は要らんつーの。
 いまソーシャルアプリ関連を手がけているところで、月額の売上が3,000万を超えているところは山ほどあるんだけど、来年まで続くのか、成長してきちんとしたIPにまで持っていける会社がどれだけあるのかって話だ。忙しいから、マネージャーに任せきりだったけど、会った内容の議事録とか読んでるとZyngaとかもまともに知らない担当者が出資交渉の窓口になっていたりするんだね。

 融資みたいな出資の形態をとろうとしたり、一方的にVC側に有利な株主間契約書を押し付けてくるのも相変わらず。起業の立ち上げの頃からこっちはリスクとって粛々と事業経営や運営の手伝いをしているというのに、何で後から来たお前らが有利な契約を取ろうとするの。

 さらに、「うちはfacebookと深い繋がりがあります!」とか豪語してくるし。じゃあfacebookに有利な条件で契約を取ってきてくれるの? 確かにfacebookやgreeはプラットフォームとしては魅力的だけど、それと同時に彼らがいつまで業界内のリーダーシップを取り続けられるか分からないし保証もないから、様々な保険をかけながらサービスの運営先や受託を考えて経営しているのが分からないらしい。

 iPhoneアプリ開発でもプチバブルがあって、それはそれで酷かったけど、他に成長市場が乏しいという理由だけで相対的に優位に立ってるソーシャルアプリに群がりすぎるのもどうなんだと思うよ。こういうことを書くとアホがいっぱい湧くんだと思うが、でもIPO狙って体制作りしますとか言ってる頃にはソーシャルアプリなんてピーク超えてるのは間違いないし、バックオフィスなんて充実させたら最低限の開発人員でタイトルを量産する低コストな開発体制なんて作れませんって。

 弊社グループでさえ、企画や受注業務は東京でやっているけれども、難易度の高い研究開発や制作は地方都市で、量産しなければならないグラフィックや決まりきったエンジンのカスタマイズはベトナムや東欧でやってる。電子書籍しかり、iPhone/androidアプリ開発しかり、ソーシャルアプリしかり。こういう動きって、コンソールだろうがソーシャルアプリだろうがほとんど変わらんだろと思うんだ。

 このあたりはCEDECでも喋ろうと思うし、4gamerで書くつもりだけど、あまりにも酷いVCが来ていてびっくりするので。ほんと、そのネクタイをもっと根元まで締めてあげたい。

 一応、報道にはなりましたけれども。

スパイ容疑で米国が10人逮捕、情報が矛盾とロシア側
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK867939420100629

 相変わらずどこまで本気なのか疑わしい部分も残っていて、ダブルエージェント気味にロシア側へクソ情報を流していたスパイの身柄を米当局が安全に確保するために逮捕したという雰囲気もするので。まあ、この時点で整合性の取れた情報を元に報じられることなんてまずないんですけどね。

 例によって東浩紀氏が暴れていて、昨日から今日にかけてそこそこ騒動になっているようです。

東浩紀氏、三島由紀夫賞贈呈式について語る
http://togetter.com/li/32371



 あらすじ的には、三島由紀夫賞を受けた東氏が、自分の友人知人からの花輪がずさんな扱いを受けたり、文壇の爺さん方から東氏の若い友人たちに対する「戸惑いと拒絶の意志を感じ」取ったりしたようで、現地で暴言も吐いたようであります。内容は良く分からんのですが半裸騒ぎとか書いてあって、何でしょうね。
[引用]それを知らずに暴言を聞かされた選考委員の平野啓一郎氏と川上弘美氏には心よりお詫びいたします。以上のような事情を率直に言えればよかったのですが、それが言えないので意味不明の暴言になりました。

 何と言うか、いつもの東氏だなあという感じで、とはいえ、文壇と東氏の心情の断絶があるんなら、普通に賞は返上するのかなあと思ったけどそういう話にもならなさそうです。外部的には、半裸もネットでの暴発もある種の東氏一流の計算があってのことだろうと確信するし(そして、本人が否定することも)、あくまで仄聞的な内容ながらも、いままでの東氏の喧嘩別れの歴史を鑑みるに、「ああ。いつもの東氏だなあ」という話だろうと思われます。

 具体的に誰が誰と何を言って、東氏とどんな絡みがあるのかなんて何も知らんわけですが、新潮社から見て完全に東氏のテリトリーであるweb上、twitter上で「屈辱感を感じた」と言われても「何かあったらしい」としか分からないし、CLANNADとか新潮からすればまったく島違いのもんで、そんなところから花束を木札付きで送られてもTPOを弁えろと思うんじゃないかと考えるわけです。っていうか、何でそんなもん送ってくるんだという話で。

 それが、東氏の論調では「開かれた文壇」というような誰も否定しづらい内容に振り替わっていて、読者が花束持って懇親会の会場に押しかけてくるとかギャルゲの花束の木札が抜き取られたとか、新潮側からすれば容認し難かろう話も、まあ閉じたの開いたのと言われると大変微妙な話であり、じゃあ懇親会もオールカマーでゲーヲタもハゲもホモも全員集合とかいったら格式高い会合が途端に面白人間見本市になってしまいます。

 たぶん、この辺が東氏の芸風であり、彼自身が「10年間培ってきた読者や支持者たちへの裏切り」と論ずるように、彼は裏切らなければ新潮の用意する文壇の世界へは入れないのでしょう。その不浄の血を、この門が嫌っているのだよ。

 また、セルフブランディングとしての「みなさんもおわかりのとおり、こんな発言は損でナイーブなだけ。文壇から着られれば損するのは僕だし」→損をしてでも自由な文壇を作りたいという論理構成はしっかり作り上げてます。これは凄い。その根幹にあるのは自分の世界の住民を文壇のパーティーに参加させてくれなかった、存在を認識したがらなかった文壇への問題提起の形になれば、実はそれがお友達を呼びたかった単なる東氏のエゴの発露であり、その排除に対する屈辱感であったとしても大義名分は立つのでしょう。

 また小さいコダワリにでっかい大義名分で作り変えて、ミニな海老に分厚いコロモを付けて揚げる安い天麩羅みたいな感じがするのですね。
 そして、ある種のB級グルメ式に東浩紀氏は偉いと持ち上げる奴が続出するわけです。だがそれがいい。

 つくづく、作品と作家の違いを感じさせる物件なんですが、ゲームでも文藝でもスポーツでも恐らく作品や記録がいかに優れていて、それを支える才能が作家に備わっていたとしても、作家がその才能に見合う万人向けの人格を具えているとは限らない、ということなのでしょう。私はそういう騒動師としての東浩紀氏が大好きだし、やっぱり東浩紀はやりやがった、と昨夜一人で溜飲を下げておりました。

 ここは、私らネット住民は敢えて東浩紀氏に「お帰りなさい!!!」というのが筋なんだろうなあと思いました。新潮社側からすると、「腐海にお帰り」と言われるのかもしれないが。

 別に勝間和代女史を斬りたくて参戦しているわけではないけれど、トークショーをやるというのでお伺いすることに。プロフィールには書いてないけど、3人とも1973年生まれのいい年したおっさんであります。



水野俊哉x切込隊長x中川淳一郎ビジネス本作家の値打ち発売記念イベント~カツマーから勉強会ブームまでビジネス本シーンをめった斬り!
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_100614203030_1.htm
発売記念トークショーwithビール 大物ゲスト続々参加表明中!
http://d.hatena.ne.jp/toshii2008/20100628
 水野さんの最近の著書に引っ掛けてのイベントではあるのですが、肝心の水野さんの書評で気になる点とかいろいろあったり、実は本人書いてなくてこれゴーストなんだけど自著よりゴーストのほうが点が高かったり、なかなか悩むところはさまざまあるわけですけれども。ビジネス本はバブルとも言われていてどうしてもそういう啓蒙的なビジネスマンしか本屋できちんと買ってくれない状況があるんじゃないかとか、そういう真面目な話をすることになってます。

 でも、お相手が中川淳一郎氏なんですよねえ。ええ、あの中川氏です。

おい中川淳一郎。ちょっと待て。何だそのクソサイトは
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/06/post-fe2e.html

 きっとろくでもない話が飛び出すんでしょうが、酒が出てしまうと私もろくでもない話をすることになりかねないので、今回はきちんと酒量をセーブしてきちんとした議事進行に努めてまいりたいと思います。皆様のご参集を心よりお待ち申し上げております。

 前回エントリーで「サラリーマンだってそんな悪い職業じゃないだろうし、起業志向が少ないことの槍玉に挙げる必要はないんじゃね?」という趣旨のことを書きました。

サラリーマンは起業家より無価値、って誰が決めたんだろう
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2010/06/post-acb6.html

 そしたら、あっという間に2方向から反応が…。趣旨は転載して良い、というので別エントリーにして取り上げてみます。ありがとうございました。
● 「サラリーマンの源泉徴収をやめたくないし、優遇措置をしたくないというポジショントークもあるんですよ」

 そういうもんですかねえ…。起業率が低いから会社ができず、会社ができないから雇用が増えない、というロジック。加えて、法人税減税への水向けの世論作りもあるんだそうな。こちらも、高収益の企業が海外へ出て逝く危険性が高まる、そうすると日本国内の雇用が減る、というロジック。なるほどねえ。

 個人的には、源泉徴収をしっかりしてくれて所得の捕捉率が先進国に比べてそれなりに高いのはサラリーマンあってこそで、だからといって起業を奨励する(=サラリー生活に対してネガキャンする)のはかえって産業界にとって良くないことなんじゃないかと思うんですが。

 企業経営をして、うっかりうまくいって高額所得になっても、なぜか日本では叩かれますからねえ…。

● 「あのEUの調査はサンプルに偏りがありすぎて、日本の起業意欲が低く出るのは仕方ないです」

 こちらはサンプルの元ネタをいただきました。ありがとうございます。が、見てびっくり、普通の人口構成に忠実に作ってる感じがしますね。我が国は労働人口の結構な割合を40代以上が占めており、彼らが起業したいなんていうことはまあ考えられないので、そう考えると起業意欲のない結果が出やすいのは仕方がないんですかね。

 労働人口全体における起業意欲という観点では、ヨーロッパなんかでも決して高齢者は高くないような気もしますけれども、良く考えると資格関連の業務は欧米ではすべて起業扱いになるとかそういうことなんでしょうかね。デイワークの一人親方も起業になるんだそうな。うーん。

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