月別アーカイブ / 2009年12月

 年末のパーティーに些少な時間顔出ししたらバッタリ遭遇。当然、彼が元いた会社の話題に。

「で、どうなの」
「いろいろあるようで」
「いろいろ? どういろいろあるの?」
「ややこしいことがたくさんあるんですよ」
「ややこしいこと? 一言で言うとどういう感じ?」

 一言で言えない面倒な事態が起きているからみんな困ってるんだってば。

 日本語版が出たので、買ってしまった…。年末は無闇に多忙なので、あまりしっかりプレイできていないのが心残りなのと、バージョンが1.0のクソ仕様なので全力で手動というのが最大の難点なのだが。


 完走してないけどいまのところのプレイ履歴。

○ フィンランド

 冬戦争がしたくてフィンランド。"Red more then dead"、と言いたいところだが、ソ連があまり影響力を行。使してこない。

 今作品ではプロヴィンスが分割されてしまったので、大量にユニットが必要となって、フィンランドでは予備役を駆使して動員を図るほか方法がない。ところが、戦争が始まってから動員が開始されたのでは遅い。戦線が維持できない。民兵2ユニットが並ぶ、やけに弱々しいマンネルハイムラインが泣ける。

 ところが、イベント戦争始まってからソ連に講和を申し込むとあっさり承諾される。これはなんと残念な仕様だ…。これでは何の緊張感もないではないか。つまらん。次。

○ チェコスロヴァキア

 ということで、中欧の工業国チェコスロヴァキアでプレイ。もちろん狙いはズデーデンラント分割拒否による対独を楽しみたいという。

 だが、こちらもドイツと講和できてしまってつまらん。講和すんな、という話もあるが、予備役のおかげで戦線崩壊するので講和しか方法がないんだよ。国民を守るために手段を選ぶべきではない。素人はすっこんでろ。

 悔しいので、共産チェコスロヴァキアでも作ってみたが、ズデーデンラントが割譲されなかったためか、ポーランド戦も始まらず、1940年代に入ってもドイツがどこにも侵攻しない。何て平和な欧州なんだ。良かった良かった。私が歴史に平和をもたらしたのだ。と勝手に脳内変換してリセット。

○ ブルガリア

 さらに南下してブルガリア。頑張って中立度を下げてギリシャを喰ったりルーマニアに攻め込んだりハンガリー併合したりして東欧の一大大国となる。なったのはいいけど、パルチザン祭りが発生し、どう考えても民兵&憲兵の生産が追いつかない。苦行過ぎる。

 ユーゴスラヴィアが枢軸入りしてしまったのでイタリア領になったアルバニアともども放置してトルコに攻め込もうとするも、背後にパルチザンが連続蜂起してインフラが壊滅して戦争を断念。ああ面倒くさい。面倒くさいよ。

○ 序盤のお奨め

 1.0だからというのもあるけど、民兵強いです。

 アップデートまでは、とにかく序盤は自国で働くスパイ10人&他国の諜報優先度ゼロにして、自国にスパイ活動されなければまあ良し、という方法で脇を固め。で、農業を頑張って開発、マンパワーの壊滅を防ぎつつ充実したスパイ10人で中立度を下げ、喰える隣国へ早々に民兵が雪崩れ込んで併合して指導力確保で下克上を頑張っていきます、という感じでしょうか。開発に余裕はなくとも、とにかくドクトリンと火砲優先で。塹壕さえ掘れれば民兵でドイツ機甲師団ですらそこそこ防げます。

 ソ連とのフラグさえこなせれば、ルーマニアですら東欧の覇者になれそうな感じですけれど、やはり問題はユーゴスラヴィアがあっという間に枢軸入りしてしまうこと。ユーゴスラヴィアを併合できずに東欧の覇者は気取れないし、そのころにはたいていティアラを含むアルバニアがイタリア領になっているので、枢軸とは仲良くできません。

 日本とか海軍国はまだ手が回らないのでやってませんが、はやくアップデートして欲しいところですね。来年には、またLAN対戦大会でもやりたいところです。

 日経BPのインタビューを受け、ついでにこのブログでもエントリーを書いたのですが、遠回しに書いたり冗長にしたりしてぼやかしてたら、まだ趣旨に誤解があるようなので。

新聞のネット進出が苦戦続きなのはなぜか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091222/202408/
日経BPで、グループ会社の悲哀を代弁するコメントを寄せました
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/12/bp-d3a5.html
○ もちろんポジショントークです

 記事もそうですし、メディアから通常の取引の範囲内でお金を貰って書いています。メディア企業から戦略のすべてを開示されているとか、全部が本音を言われているとは当然思っていないけれど、打った手の狙いや背後関係や組織人事といったところはある程度は知っています。

 通常の取引以外でも、個別に記者や社員は各社さんお話を賜ることは勿論あります。八年以上の付き合いですし、私を含め、皆それぞれまともに仕事に向き合い、立ち位置が高くなることだってあるわけですから、それなりの力学というものが働いていたとしても、それは仕方のないことだと思います。

○ 趣旨は、縮小均衡(リストラ)とコア化&セグメント化です

 マスコミ擁護だ新聞贔屓だというお話を頂戴しましたが、不振業界のリストラ話と商品の少量多品目化というメーカーの経営再建と同じ土俵の話をしております。収益が下がった、赤字に転落した、といろいろ騒いでますけど、それはフローの話です。

 毎日新聞を例にとれば、売上はいまなお1,300億円、赤字は中間で12億、残資本は750億円で、キャッシュがないから大変だというだけで、年間約30億円のコストを使ってリストラをすると黒字に回帰してしまうという難易度の比較的低い再建案件です。前回エントリーではJALと比べたけれど、単体業績で見る限り、適正な経営努力を払えば経営課題の解決は容易です。

毎日新聞、中間決算が2年連続の赤字
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091224-OYT1T00986.htm

 そういう合理化努力を払わずに、詳しく知らないデジタル分野に多大な投資をし、毎回損ばかりしている会社は、グループ企業の収益化やリストラ努力などに資金を投じたほうが、はるかに経営効率は高まると論じているのです。

○ 報道は社会的公器ですよ

 いわゆる「マスゴミ批判」の話ですが、この手の話は三橋貴明氏の著作に詳しいです。

マスゴミ崩壊~さらばレガシーメディア~

 彼の著作の視点は長期的ですが、基本的には業界再編についていうといくつか大手は潰れるけど市場がある程度残ればそこで喰える会社数にまで減ることで均衡します。オーバーストアと書いたのはそういう意味です。だから、紙メディアが衰退産業であったとしても、需要が残れば何社か潰れて何社か生き残ります。

 ビジネスって、成長だけが重要なのではなく、いわゆる残存者利益というものがあります。また、既存メディアから脱藩した人が、受けたジャーナリスト教育を活かして各種ウェブメディアで活躍しているという点も忘れてはなりません。ヤフーニュースであれJBpressであれITmediaであれ、優秀な元マスコミスタッフが記事の質を担保し保証しているサイトは、やはりPVを伸ばし支持される傾向にあります。それが利益に結びついているかは別問題ですが。これら、包括的な仕組み全体を持って「公器」"a public organ"と理解すべきです。

○ ネット「だけ」での意見は、依然少数派です

 いわゆる「ネットがあれば、新聞は要らない」という生活を送っている人は増えており、マジョリティの域に達しつつあるのは事実です。長期的には、紙メディアからネットへのシフトをしていくのは間違いないです。

 では、それが「いま」そうであるかというと、新聞が出した情報をウェブでタダで読んでいるだけであって、ウェブの報道機関がウェブで出した情報のシェアは微々たるもので、それが広告シェアで何%あるのかというと、まあクソみたいなものです。

 マスゴミ批判に共通しているものは、上記三橋氏の明らかな釣り書籍とは別にして考えれば、マスコミが見せている分かりやすい側面だけを部分的に切り取って批判しているか、稀に出る極端に低い品質の記事や報道を過大に解釈して、まるでマスコミが全部誤報を流す機関であるかのような批判をしてしまう傾向にあります。実際の問題は、新聞やテレビといった報道機関が持っている装置産業的側面が即時性の高い情報を提供するシステムを構築し切れておらず、無料のウェブに情報を流してしまっているので客を逃しているという戦術的ミスにあるのです。これに関しては後で書きます。

○ メディアが読者と一緒に歳を取るのは一般現象です

 公器の部分でも話をしましたが、新聞業界が参入障壁を擁し既得利権の類になったのは、ある意味で「報道税」に近いものがあります。

 朝から晩まで携帯を手放さない若者が、成長してこれかどんどん社会に出てくる中で、新聞が情報シェアを維持できるはずがないじゃないですか。だから、紙メディアだけではなくデジタルメディアにも手を伸ばしたいという気持ちは分かります。

 ただし、紙に印刷するために最適化された仕組みや組織を、そのままデジタルに持っていって、記事を一本仕上げるのに4時間も5時間もかかっていたのでは、勝てるはずがないのもまた事実です。

 じゃあ論説をやればいいじゃないか、という話もあるわけですけれども、新聞記者のようなオールラウンドだが専門ではない人達が書いた記事を高い金出して読みたいですか。コストとして年間2,500万近くかかる編集委員や論説委員の記事を一本500円(雑誌以上)で読むとして月200万の固定費を埋めるのに4,000人の有償読者が必要になります。そういう人が各社100人単位でいるんですから、デジタルに出てきて採算に合うわけないでしょ。もちろん、優れた記者さんも多くいらっしゃいますが、そういう稼ぎ方ができるのであれば、それこそ新聞社に籍を置く必要がなくなりますよね。

○ 自分一人喰えればいい作戦と、一万人単位の企業をどうにかする作戦は違います

 メディア産業で大きいところは高い給料で多くの人が働いています。総需要が減って利益率が下がっているのだから、これではやっていけないというのは誰でも分かるとして、業界として閉塞感が漂っている、だからこうすべきだ、の処方箋は結構考えるのが困難です。

 記事の質を高めて魅力のあるコンテンツ作りを、というのは自由ですが、新聞記事の質が高くなってどれだけの売上が伸びるんでしょう。記事の質を高めるのに、どれだけのコストがかかるのでしょう。質が良ければ売上が上がる、というのは、品質がすぐに名声や売上に跳ね返る個人か小企業でのメディアが考えていることに過ぎません。もちろん、品質を犠牲にしていいのか、という議論はありますが、じゃあ新聞の文化欄や科学欄、株式欄というのは品質が高かったのでしょうか。

 問題は、業界を成り立たせるシステムのところにあります。そのシステムが構成している要素とは、平たく言えば政治力であり参入障壁です。それは利権だ、許されない、と批判するのは結構なものの、明日あさって自由参入の業界になったところでいまどき新聞業に参入するアホはどれだけいますか。

 だから、産業としての利益を考えるのであれば、遅滞戦術をしながら局地戦を戦える組織を少しずつ作り上げ、兵站が維持できる期間内に戦線を押し返す努力をすること以外方法はないよという話です。

○ とはいえ、一般の人に読ませるには生々しすぎました

 前に出した書籍の反省でもあるのですが、ちと業界ネタが強すぎたかもしれません。

 ただ、メディア産業は構造や仕組みに対する理解は非常に高く、現場で問題意識を感じている人たちは、状況が悪化し続けていることやその理由について、かなり明確に、体系的に知っています。ただ、自分の立場や役割では、そのような経営批判に直接繋がるようなことは社内でもウェブでも話しづらいのはまた事実だろうと思います。

 告知が遅れて恐縮ではありますが、ええ、ポジショントークですとも。

新聞のネット進出が苦戦続きなのはなぜか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091222/202408/

 とてもインタビュー記事とは思えない長編になっているのが困惑のネタですが、それ以上に、日経自体が随分でかい投資をして自力でデジタルシフトしようとしており、また、各社さん赤字なのに頑張って資金を捻出して、いろんな投資を繰り広げようとしておられます。まことに嘆かわしいことです。本業に集中しろ。そんなもんに多額の銭を投じるのならもう少しグループ企業の再編や自社のレガシーコストの削減にキャッシュフロー使えよ、といういろんな会社の現場の声を代弁するような内容になっております。
 本文で指摘してなくてそれなりに重要なことは二つ残ってて、アメリカで新聞広告盛り返しができた新聞社とそうでない新聞社が出始めていて理由もはっきりしていること、もうひとつがウェブでの情報は「業界向け」と「消費者向け」、「通常のライティングで許されるサイト」と「短文コミュニケーションと発作的なニュースのサイト」の2軸できてきたよね、ということ。

 いわゆる「フリー」戦略は、スモールオフィスから発進して一人から数人まず喰えれば均衡、大きくなっても百億円程度の規模で止める成長戦略のところに合理的なドクトリンで、新聞社のように千人二千人喰わせる会社では自ずから作戦の根本が変わってくるのが問題です。「フリー」戦略に先駆けて産経新聞が突撃していってその後のことはどうなったかとか、いわゆる規模と収益性のパラメータによってドクトリンは違うし、例えばITメディアとかCNETとか見て「これがウェブ時代」とか言ってるのは「残念」な人の本を読んで感動しているレベルの話だろうと思います。

 具体的な話は触れませんが、というかそれこそ無料のサイトで詳細に語るほど私は善人ではありませんが、各所は遅滞戦術で売上の減少を食い止めつつ、ウェブという環境の問題を外側と捉えず、いかに内側の処理に援用し、高いコストを維持するのかという点に重要なポイントがあります。それこそ、共同通信や一部全国紙が取り組んでいる内容であって、営業的にはある程度「底打ち」をしてからが本当の勝負だろうと思っています。

 新聞業界が危機だ、と言ってもですね、財務諸表が読める人なら分かるとおり、官報に出ている数字が正しいなら、レガシーコストを削減できればあっという間に収益均衡するんですよ。問題は、彼らがサンクチュアリと思い、大事に守ってきた労働組合やそれに類するイデオロギーが、合理的な経営による企業存続の足枷になったということに尽きるんですけどね。

 人を切れば解決じゃん、でも人を切ることはできない、ではどうすれば売上を維持できるのか、というのは、JALもどこも相似形の問題なんですよ。パイが限られているのだから、オーバーストアが解消されない限り底打ちはしても浮上することはあまり考えられないし、消え去る業者になるか生き残る業者になるかは、業界最適の問題ではなくて、経営の合理化の問題です。デジタルとかウェブとか全然関係ない。環境の問題ではなくて、内部の企業統治と固定費の問題であります。



 一応、CGM関連も触れておくか… というか、お客様からの声に基づく情報を集約してうんたら、というのは製品レベルの話で、経営レベルの話をCGMに聴くのは間違っています。だって財務諸表公開してないし、上場会社ですら決算書読んで投資している人間自体が少ないだろ。

 新聞に限らず、お前の出す製品やサービスはこうだ、という話は聞く価値あるけど、お前の会社はこうであるべきだ、ここに投資しろ、というのは、相手の経営感覚や実務能力に依拠した品質次第で聞くこと自体が有害である可能性はあります。経済ニュースを専門でやっていて、そこに価値がある会社が、経営について必ずしも理解していない社内の有力者の発案で電子媒体への進出を考え、関西のメーカーだけ乗せて多額の投資に踏み込んじゃう、というのはあり得ないと思うわけです。というか、お前らのコアコンピタンスは経済ニュースであり、それを土台にしたブランド力であって、電子メディアそのものを市場として立ち上げるだけの構想力やハンドリングではないだろうという話です。

 …と、そういう話をしたらとても怒るので、遠くから頑張ってくださいと声援を送るのみの状況ではないかと。

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