月別アーカイブ / 2009年02月

 なんか急に検索エンジン経由で「岸博幸」ワードで当ブログに辿り着く人が増えまして、何だろうと思ったら、実に香ばしい文書を岸博幸氏がご開陳されていることに気づきまして。これまた面白いもん書くなあと思ったわけです。

「かんぽの宿」騒動で分かった!賛否両論なき日本のネットはゴミの山 ~今こそトーマス・ジェファーソンの名言に学べ~
http://diamond.jp/series/kishi/10027/
 いきなりジェファーソンの話から始まったので、うわ「釣りくせえww」とか思って読み進めるうち、どうも書き手がヒートアップしてきてあれもこれも言いたい衝動に駆られたような面白議論に仕上がっているので芸達者だなと思いました。

 議論自体はふたつの目線がありまして。第一に「かんぽ絡みは郵政民営化を小泉政権下で実施しており、岸氏も当事者なのだから、その迷惑を存分に蒙っている鳩山総務相や総務省の面々に国民に対してもう少し旨い釈明の仕方をしなよ」という部分と、第二に「本件に賛否両論でないネットがゴミカスだと言いたい気持ちは分かるけど、実際にかんぽの宿売却は不透明だったから叩かれているわけで、文句はマスコミに言え」という部分が絶妙なコントラストを描いて芸術の域にまで達していると思うのです。

 「賛否両論にならないネットは微妙マスコミの世論操作を喰らってて民主主義の担い手になりえないゴミの山に過ぎない」というのは、まあ実際そう言われてもしょうがないんですが、「そういうあんたも微妙マスコミのネット媒体で金貰って原稿書いてんだろ」とか突っ込みが入りそうです。確かに、一連の日本郵政や竹中さんへのバッシングというのはあんまり冷静ではないかなと思う部分もありますけどね。

 で、そういう賛否のうちの「賛」の意見が第三者から提示されるのであれば「それは一応、目を通しておこうか」となるわけですが、当時竹中さんの秘書官やって、いわばファミリーである岸氏自らが、郵政民営化の結実のひとつである不透明なオリックスへの売却に向けられた疑義はおかしいと書いちゃってるんです。ポジショントークというのはもう少し悟られないようにやるべきだと思うんですが、そこを敢えて真正面から受けてたって全弾命中して旗ごと斃れる乃木勝典中尉(@二〇三高地)にも似た岸氏の忠実さが光ります。

 まあ、上記の記事について言えば岸氏が怒ってる割には内容的には読むべきところもないんですが、まだ読むに足るのは一個前の記事であります。これなら岸氏の言わんとすることは分かる。でも誰も賛同しなかったからネットで騒ぎになっているわけだけどな。

「かんぽの宿」への政治対応はモラルハザードの塊
http://diamond.jp/series/kishi/10026/

 面白かったところを2箇所ピックアップ。

http://diamond.jp/series/kishi/10026/
「 第一の問題は、かんぽの宿の一括売却という日本郵政の経営判断を否定するのは、郵政民営化の流れを逆行させるのに他ならないということです。」

 鳩山総務相は見事に民営化を意識した運営をしていると思いますよ。民営化されたとはいえ、日本郵政は100%国が株主ですから。民間である以上、株主の了承なくして重要資産を処分できないのは当然ですね。

 その株主である国の意向を「売却する」と縛っているのは法律です。政治に巻き込まれるのが嫌だ、と言っても、「日本郵政株式会社法」附則第2条で2012年9月末までに売ることが定められた法律を変えないことには身動き取れないでしょう、ということで、そこに郵政民営化を進めた際の穴というか不始末は確認できるけど別に郵政民営化自体に逆行しているわけじゃないんじゃないでしょうか。

http://diamond.jp/series/kishi/10026/?page=3
「個人的には今回の騒ぎには本当に腹が立っています。建設コストが2400億円かかったのを108億円で落札は不当に安いと喧伝されていますが、市場の評価を否定して効率的な資源配分など望めません。」

 これについては岸氏が怒る気持ちは分かります。ただ結果的に、市場の評価を適正に価格へ反映させるための入札自体が不公正な代物であった可能性があることが後付けで分かったのだから、おそらく効率以前の問題でありましょう…。

 少なくとも、オリックスと他社では入札条件が違ったのは報道が正しいようです。この辺は、すでに日本郵政が反論をしているようですので、外野はその審査結果を見るほかないんですけどね。

cf) 日本郵政、かんぽの宿「入札不正なし」 初めて本格的に説明
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090216AT2C1601D16022009.html

 ただし、再入札になったとして同じような募集の仕方はできず、事業評価も今回の件でいわゆる「事故物件」になったことで当初見通しよりも資金は日本郵政に入らなくなる可能性が高いとは思います。赤字だし、こんな文字通りのいわくつき物件、まともな事業系で入るところなんてあるもんですか(笑)。

 一方、竹中さんは大変マシなことを書いています。まあ、正しいことは分かっているけど政治的にできない状況だから困っているんだ、と言われればそれまでですね。

竹中平蔵教授のオフィスアワー
http://netplus.nikkei.co.jp/forum/academy/t_70/e_1722.php


※ 補遺

 岸氏曰く、
『 皆さんもグーグルやヤフーで“かんぽの宿”を検索してみてください。検索結果の最初の数ページを開いてみると、驚くまでに同じような内容、具体的にはオリックス政商論、小泉?竹中?宮内陰謀論、日本郵政不正論のオンパレードです』

 googleで見たけど、「かんぽの宿」で検索しても驚くまでに同じようなかんぽの宿公式サイトと報道記事のURLばっかで、下のほうにようやくミラーマンのゴミ記事が引っかかってるだけですなあ。

 本当に調べて書いているんでしょうか、岸さん…。

http://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%BD%E3%81%AE%E5%AE%BF&lr=lang_ja&ie=utf-8&oe=utf-8&aq=t&rls=org.mozilla:ja:official&client=firefox-a

 もちろん「増資市場」なんてのはないけどさ(笑)。直面している外資系ファンドさんとかの話を除いて、あるある式に書くとこんな感じ。

 そういえば、久しぶりにmoneyzineに書いたよ。外資系あがりのコンサル会社さんとかも状況厳しいみたいですけどね。どうなってしまうのでありましょう。

【切込隊長column】 日本市場というボロ船はまだ沈んではいないが・・・
http://moneyzine.jp/article/detail/131141
・ 「すぐに新株出します!」と凄い勢いで承認のLOIを送ってきたので喜んでたら、新株引受ではなく単なる移動だった。
・ 「このご時勢だから外資が入るのは止むを得ない」と財務担当者が言っていたので、外資はうちだけかと思ったら他のスロットも全部外資だった。
・ 財閥系なので持ち株の売り先は優良なところを選びたいと半年前からずっと言っているが、資金繰りが苦しそうな割に株が動いた形跡がない。
・ 「しっかりとしたところが主幹事だから」というので安心してたら、トーマツから適正意見が貰えず5人ぐらいの会計士事務所に変更になってた。
・ エスクローで指定された先が韓国の銀行だった。
・ しかも決済はウォン建て。
・ 「もう時価で売れるものはない」と言われたけど、半年待っていたら時価より安い簿価で保有不動産が出てきた。
・ 増資相乗り先が現物出資の容認を求めてきた。
・ 合併してホールディングスになったので増資相談に逝ったらホールディングスの幹部社員は全員出向だった。
・ 大手不動産会社が増資相談をしたいと某銀行経由で聞いたので話を聞きに逝ったら、大手不動産の名刺を持った増資ブローカーが沢山出てきて、先方は担当執行役員だけで取締役ですらなかった。
・ 増資相談があり、この不景気でも増収基調だというので「検討します」と言って持ち帰った翌日に会社再生法。

 そういえば、倒産が増えましたねえ。今月はともかく、来月はどうなってしまうのでありましょう。どきどきします。

 いいなあ。

米景気対策法が成立、史上最大規模の7870億ドル
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090218-OYT1T00199.htm
 一方、我が国は酩酊大臣更迭の結果、選挙に弱くて積極的な政策があまり好きではない与謝野せんせが一人三役という驚くべき人事に。

与謝野氏、危機対応一手に 財務・経財・金融1人で3ポスト
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090218AT3S1702S17022009.html

 しかも、中川昭一さんを取り立てたとかで任命責任追及とか、新大臣だから所信表明からやり直せとか、これまた微妙な政局へと発展して我が国の予算案通過はまた遅れそうです。

中川財務相辞任:野党、首相の任命責任追及へ
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090218k0000m010144000c.html


 暫定でいいから適当に予算だけさっさと通して、危機対策関連の法案は取り急ぎ成立させてから、好きなだけ麻生さんが解散するまでの間与野党で攻防して欲しいと思います。経済危機だの派遣切りだの騒いでて政策が進まないというのはいくらなんでも困る話しだし、麻生首相の指導力不足とか能力がないとかどうでもいいから早くやってねと。

 もっとも、アメリカが言ってるグリーン・ニューディールとか概要さらっと見たけど「正気か?」と思ってしまいます。導入したけど長持ちしなくて採算が取れないという点では日本で批判された箱物行政や道路行政より始末が悪いような気もするんですけどねえ。ニューディール政策が終わったら、使えなくなった太陽光パネルの山みたいなのが出てきて社会問題になって、今度は産業廃棄物業界が盛り上がるとかっていう二段構えなんでしょうか。

 中川(酒)財務相が「予算通過後に辞任」という緊急ニュースが12時過ぎに入った。昼飯喰ってる間の話であるから、多少は冷静に見られるかもと期待しつつも、だ。後場に入って大幅安にでも転じたらどうしようかということを考えながらヲチしてたら、少し出来高増えて乱高下しつつも即座に平静を取り戻し、結果、辞任発表があろうがなかろうが日経平均は辞任発表前と10円も違わないという恐るるべき事態になった。

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=998407.O&ct=b
 いや、下がってくれとか、そういう話をしてるんじゃなくてさ。

 お昼休みとはいえ相場が開いてるときに財務相が辞任を発表するなんて心臓に悪いことをすんな、という市場に対する礼儀作法の話と、サブプライム問題以降下落率で世界からそれなりに評価されている経済国の閣僚、それも財務を担当する重要閣僚が辞任というニュースを受けても市場が「あー。まあなあ」と平静を装うどころか本当に平静であることに対する畏敬の念というかそういう感情の話と、ふたつが複雑に絡み合って何それ感を感じずにはおれない。

 正直、この国の政治と市場って何の信頼関係もないのかなと思う。特に、去年11月ぐらいからの補正予算での攻防とかが市場にあんまり影響しなさそうだなあと感じ始めてからは、なおさら顕著になった。

 気がついてみると、麻生政権誕生から続発する問題を経てなお、なんだかんだ言って8,000円前後に揉み合って、その間、一個も具体的な経済政策が採られないままこんにちに至る。他所の国が緊急経済対策で何十兆円、とか言ってて、中国でさえ即効性のある時価40兆円分(真水8兆円)の対策を採ってすでに政策が実施段階にあるのに、我が国では経済危機だとか100年に一度だとか言いつつ、まだ百円も新規予算が投じられてない。

 別に行政と立法と市場の三者でライアーズポーカーをせい、駆け引きを見せろ、と言いたいわけではない。でもさあ、問題経済国とデカップリングする前に、財務相人事と市場が切り離されちゃうというのはどうなんだろうね。ヒラリーさんが来たから平静、ってわけじゃあるまいに。

 話は変わるけど、今回の件で中川(酒)氏本人の政治家としての資質に問題が出て、仮に自民が復権したり民主と連立したりしてもしばらくは表舞台に出てくることはないだろう。ただ、結構大変な時期の財務相に就任して、政局になるような失言とかあからさまな失政とかがないにもかかわらず、単にG7蔵相会議後の酩酊会見が理由というのは戦後日本政治史で特筆すべきトピックスだろうと思う。脱力感、という意味では、個人的には田中真紀子女史が外務大臣を解任された話とタメ張るぐらい微妙な物件だ。

 後任人事でちょっと株が上がったりするんだろうか。しないんだろな。

 何というか…。

「中川財務相辞意」を速報=米WSJ紙
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021700392
財務相問責案、きょう提出=予算審議への影響不可避-民主
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021700306

 問責される前に辞任表明しちゃいました。今後の人事はどうするのでしょう。なり手がいるのかどうかというあたりが焦点になるというのは、何というか実に末期的な感じはしますが。
 で、本来どきどきしなければならなかったのはこちらのほうです。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021400138

 世界経済が「100年に一度」であり、日本経済もまあ落ち着き先は見えているとはいえ、大不況な感じでIMFに実効90兆円拠出というのはドル安対策とはいえ国民に理解を貰うには一苦労な話だったのに。その責任者がいったん辞任しちゃうんですよね… 民主党の小沢さんは居眠り会見が「醜態を晒し、国益を損ねた」と批判しましたが、まあ国民向けの話はそれでよいとして、実際にはマジIMFへの拠出はどうすんのという綱引きのほうが大事なんじゃないかと思うわけで。

 小泉さんの最後っ屁が暴発した直後に中川(酒)の居眠りで支持率一桁、だけど政権は居直りたいという不思議な展開ですけど、そろそろ選挙資金集めにゴーが出る時期でしょうか。負け戦と分かって死地に向かう皆様、ほんとにお悔やみ申し上げます、としか言えないですね。

 後任人事も含め、財務方面の空洞化、空白化は非常に「日本的」であるとはいえ、災害時のテレビ東京アニメ放映なみにやりすぎだろうと思うところです。いや、マジで久間さんとかリリーフで出てきかねない勢いだぞ。

(訂正 17:21)

 すみません、IMF拠出額のケタ一個間違いました。9兆です、9兆。なんで90兆… すいません。

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