月別アーカイブ / 2008年11月

 ここのところ、たばこに関する報道やら記事やらがたくさんあって、どうもなあと思う。私自身は、二度目の禁煙に成功して三年目に到達したわけだが、ヘビースモーカー時分は「たばこが吸えれば死んでもいい」ぐらいに思っていた。

たばこ税増税断固反対
http://www.tobacco-zei.com/
米喫煙率、2割切る
http://www.yomiuri.co.jp/stream/m_news/vn081114_10.htm
 でもまあ、たばこをやめてみて思うのだが、鼻くそは白くなるし息は軽くなるし、たばこをやめていいこと多いよ。誰かの健康とかそういう偽善チックな意味じゃなく、普通に禁煙して良かった、と思っている。

 たばこ業界からすれば、たばこ税増税なんてとんでもない、と思うかもしれないけれども、もはや増税も仕方ないだろ。「取りやすいところから取る、という公平性を欠く」というけれど、お前ら専売じゃないか。

 いま思えば、喫煙が習慣になってしまったのは高校時代に友達とバンド始めたとき、たまたまテレビのCMで「若いたばこ」とかって角松敏生の"Lady Ocean"が流れてるマイルドセブンFKというクソまずいたばこを吸い始めたのがきっかけだしなあ。

 人生悔いも少ないしやり直したいと思うこともまあないけど、たばこを吸う習慣を身に着けてしまったことだけは後悔してる。誰に何と言われようと、異論は認めない。しかも、いまだにたばこ吸ってる夢見て、罪悪感で目が醒めちゃうことがあるんだよね。

 そう考えると、喫煙者も踏んだり蹴ったりだろうけど、やっぱり酒場やゲーセン、駅のホームなんかでタバコの煙が流れてきて服や髪に匂いがつくのは辛い。取引先とか企画会議とかで打ち合わせてたばこ吸われるのは仕方がないけれども。

 もし、たばこ税の増税で、たばこを吸う人が減るということであれば、私はどちらかと言えば増税に賛成する。うん。

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 この場合、「たばこ税」はひらがながいいんだろうか。「タバコ税」でも「煙草税」でもいいんだろうけどさ。

 告知が遅れちゃったけど、いま売ってる月刊『Voice』に中国経済ネタを寄稿致しましたのでみんな買え。

http://www.php.co.jp/magazine/voice/
 特集で対になってるのは清華大の胡鞍鋼教授。大本営の人で、中国独特の国情研究では第一人者ですし、ひとつのシナリオという意味では非常に分かりやすく記述しておられます。特集では、私が「懐疑派」という立ち位置になっていますけれども、別に日中工作員合戦というわけではなく、中国にもいずれ来るリセッションを中国が乗り越えられるか、乗り越えられなかったとすると何が原因で、どういう結果になりそうか、というコインの表裏を論じ合ってるだけなので、ゆるゆるお読みいただければ。

 もっとも、経済という点では中国の国内事情や都市部内陸部対立のところだけ切り出して論ずるのも非常に難しく、海外依存度の上がったアジア経済全体の問題として捉えるならば韓国経済の危機的状況や日本経済の不良債権がどこまで増えるかといった予測あたりも盛り込みながら、広く問題意識を掲げなければなかなか茫洋としてしまうかな、という気はいたします。

 本誌全体で言うと、竹中せんせが冒頭で政策批判をやってて面白かったり、斎藤精一郎氏が何か書いてて面白かったり、山形さんがそれと書かずに池田せんせをいじってて面白かったり、海外進出したくても金がなかったり有望な投資先が見当たらなくて困ってるのに「海外に出ろ」とか松本大氏が言ってて「まずお前が出ろ」と言いたくなって面白かったり、本誌全体的に経済や社会情勢が危機を挟んで過渡期なので非常に面白かったです。

 先日、奥さんと『紅き野良犬』の観劇に足を向けたのである。公演は終わってしまったのでネタバレもヘチマもないかもしれないが、一応。

http://www.jacrow.com/

脚本・演出=中村暢明

出演=三浦知之(InnocentSphere) ・祥野獣一(獣劇隊)・岩☆ロック(岩☆ロック座)・平山寛人・前田彩子・ヤナカケイスケ(オッセルズ)・湯田昌次・椎谷陽一・爺隠才蔵(箱庭円舞曲)・長岡初奈(チャリT企画)・小安光海・菊地未来・成川知也・蒻崎今日子(JACROW)
 「いや、面白かったよ」と軽々しく言えない感じだったこの作品。時代劇風で、奥川幕府に弾圧されて逃亡の末、パルチザン化するモリシタン(モリスト教徒)たちの物語、と書くと何かのパロディではないかと思われるかもしれない。

 なんちゃってキリスト教徒の私としては、最初は「なんぞwww」と思った。幕府に迫害されて逃げてきているわけだから、先々で逢う人々や事件がことごとく「幕府の仕業」に見えるのは致し方ないし、疑心暗鬼になっているなか誰が幕府の手先か進展がないのだから集団が疑いで凝り固まって自壊していくさまを閲覧するのは当然と言えよう。

 私のような観劇素人でも分かりやすい、かっこいいヒーローの素浪人がやってきて、これがまた何と言うか主人公が着物着て刀持ってる状況なのであった。イメージ的にはジャック・バウアーさんin時代劇という感じ。集団ヒステリーに毒されたモリシタン村であーでもないこーでもないと七転八倒。面白い。

 あからさまに怪しい井戸があり、あからさまに怪しいめくらの薬売りがファイザーの手先としてバイアグラを売りに来て、あからさまに怪しい農民たちが愛情と相互疑心を育んでいる。冒頭の殺人事件から一向に進展せず真犯人が中盤まで分からんまま、次々と村人が死んでいくという人狼情勢というのは興味深い。

 あまり感情移入するような感じじゃなく、というか政府に迫害される国民が蜂起しようとしている情勢ってなかなか想像つかないのもあって、村人Aが殺され、その妻を寝取ろうとする村人Bというのはモリスト教徒的にどうよ。そも、彼らは家族単位以外ではそれほど信頼関係はなかったのではないだろうか。

 結局、井戸の中に埋蔵金があって、それを知った村人が抜け駆けするの武器買うので身内同士の争いの果てに散り、落ち武者風味の岩☆ロック氏が来ては捕まり、逃げては殴られて捕まり、そんでファイザーの手先に下手袖で始末されるという情けなさゲージMAXの屠られぶりに感涙が尽きない。

 劇中の村人たちの情愛というよりはパニックスリラーな感じで、誰が秀でているというより劇全体の熱演が心地よい雰囲気だった。ただ、隣の人も言ってたんだけど「この手の劇は二度観ないと良さは分からない」と。それは本当かも知れん、というのは村人それぞれが個性や立ち位置があって、夫婦だったり兄弟だったりするんだけど、最初の殺人でいきなり全員一同に介してて、誰が誰だか。

 その後、話が進んで「おお、あれがあれの嫁で」とか「あの弟があの妹を好きで」などと見分けがついたところで死んでたり嘆いてたりするので凄く残念。ジャックバウアーさんが目立ちすぎてるからかもしれないが。ほんと、犯人があからさまに伏線剥き出しにするまでは、素浪人とその他って感じで。まあ、それはどうしようもないんだろうけどさあ。

 観劇してから一週間以上経つが、いまだに最初から最後まで覚えてる。単純な「面白い」と「つまんない」のベクトルじゃなくて、何か全然違う深い印象を観る者に与えるような、そんな作品でござんした。何と言っても「で、この劇終わってからどうなるんだろう?」というような、後日談に対する興味がまったく湧かない。生き残った農民ズは必ず野垂れ死んでいるだろうに千点。信仰を捨てないが教義から学んでない群衆に幸あれ。

 むしろ、大半が死んでいくその一日の一部始終という、人生の最後だけ、奴らは鬼のように燃えてたんだなあ、と。その分、役者の人々の熱演が心地よかったのであります。


 敵味方完全に分かれているならともかく、全体的に何となくパイが小さくなって、取り分が減りそうなのでどうにかやりくりしましょう、という状況って結構多いと思うんだ。

 与謝野さんも不況入りをあっさり認めてしまったけれども、当然のようにこれから不況が酷くなって、対策を打とうにも限りがある情勢なら、早めにあれこれ対応するのと同じくらい、「ここは守る」「ここは諦める」という優先順位が必要なんじゃないか。
 そりゃあ、優先順位下げられそうな部局や事業や部門の人たちは抵抗すると思うよ。でも、民間で言うならば、あまり有望でない、採算もよろしくない事業は当然切るわけだし、仮に有望でも「いま金がない」とかって状況なら少し安くても手放すことも考えるわけだな。

 薄い手元戦力で、広がった戦線全部を頑張って維持するというのは、理想としては分からなくはないけど現実的には無理なんだ。だから、「ここは守る」「ここは諦める」という判断をするのが上に立つ人間として最低限やるべきことだと私は思う。結局、全部守ろうとしてどれも守りきれず守らなければならないものも失う羽目になることは多すぎる。

 ”政治”という観点で言うならば、柵(しがらみ)のあるなしで随分改革という名の撤退戦の可不可が決まってくるのかもしれない。切られる側というのは、あらゆる手段を使って抵抗してくるから。調整などできないし、少なくなるパイを分け合うことは不合理であるから。

 その設立時点での使命を達成したり状況が変わったりして目的を失った部局や事業や部門といった組織が、その存続のためだけに非効率な仕事を頑張って確保しようとするのは、本人たちの気持ちは別として非常に困惑すべき事態だ。うっかり有能な人でもそこにいたりしたら、大変なことになる。

 いやはや。

 本来であれば、前回見事に踏み倒しやがった韓国からの「金貸してくれ」話を、IMF経由にすると突っ撥ねるだけで大変よろしいお話であるはずなのだが。

IMFへの出資額倍増…金融サミットで首相提案へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081114-OYT1T00068.htm
 いまアホほど抱えているドルを円に換えることなどできないし、逆日銀砲も見越して返済確実で金利も良く、この情勢下では最良の資金の貸し先であるIMFへの10兆円拠出をNOという理屈が分からない。

 馬鹿が割り算で国民負担10万円でそんなことに使うぐらいなら云々と煽られて踊っている連中は、所詮その程度の奴ということで。このあと変な報道があったり、妙な知識人風テレビ芸人がIMF拠出批判とかやったら、もろにその組織や人物の属性が分かるんだろうな。

 定点ウォッチしておきたいネタが増えたわ。

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