これ、精神論ですよね。国民が結束して竹槍を打てばB29を堕とせるという類の。

西村担当相「現在の自粛続けば終息できる」NHK討論番組 https://www.sankei.com/politics/news/200405/plt2004050004-n1.html

 ちと親族が緊急入院してしまって、付き添いをしていたこともあってリアルタイムで番組を観られていないので細かなニュアンスは違うかもしれませんが、産経新聞の記事中では西村康稔さんは「躊躇(ちゅうちょ)して出していないのではなく、オーバーシュート(爆発的な患者急増)の兆しを見れば躊躇なくやる」と発言したとのこと。

 誰に配慮しているのか分かりませんが、たぶん日本会議でJR東海の葛西敬之さんへの配慮だろうとは思いますが、すでに医療現場は私も見てきた通り現在とんでもないことになっております。要するにアウトブレイクしていなくても救急外来に患者は殺到していて、コロナ感染疑いの患者だけでなく、持病や基礎疾患を持つ私の親族のように「発作を起こしてかかりつけ先に行っても、コロナ感染者が院内に出たり、コロナ対策そのもので救急の受け入れを止めている状態」です。

親族の持病で救急に行ってきましたが、大変な状態でした……。病院はてんてこ舞いです。 https://youtu.be/y3ftM-K9L9M
東京都 新たに130人以上感染確認 1日で最多 都内1000人超に | NHKニュース  
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200405/k10012369381000.html

 確かに、緊急事態宣言をしたから直ちに何かが救済されるわけではないし、強制的に何かをする手段が乏しいのは事実です。NHKも特設サイト作ってますが、しかし、とりわけ感染症法に関しては別に特定の問題に限ると条文に書いてあるものではなく、法律の解釈変更でできることは増えます。だからこそ、感染症法の対象に新型コロナウイルスを増やしたわけですよ。

特設サイト 新型コロナウイルス「緊急事態宣言」が出た場合 東京都の対応|NHK  https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/tokyo/correspondence.html

 つまりは、官房長官の菅義偉さんといい、コロナウイルス担当相の西村康稔さんといい、何に配慮してるんだよという話です。何か表に言えないことで、2日で1.5倍の感染者を出している東京都の緊急事態宣言を躊躇しているのであろうということでしょう。

 ちきりんさんが書いてますが、要するに、緊急事態宣言を行うには飛行機も新幹線も幹線道路も止めない限り、パニックになった東京都民が沖縄や山陰などに「避難」してしまい、その中に無症状感染者が混ざっていたら日本全国に感染が広がってしまう、という怖れがあるからですね。

ちきりん
https://twitter.com/InsideCHIKIRIN/status/1246644805456654337

 しかしながら、4月1日をめどに緊急事態宣言を行うので準備を進めて欲しいと言っていた日本医師会の要望は結果として無視され、これらの「医学的に見た必要最低限の対処」であるはずの緊急事態宣言と一部交通機関の封鎖によるロックダウンは、実施されない運びになりました。早々にロックダウンさせてしまっていれば、感染の疑いがもたれる人数そのものが少ない時期ゆえに地方に疎開をしてしまったとしてもクラスター対策で頑張っていけば追い切れたかもしれません。しかし、いま緊急事態宣言をやると、すでに1,000人の感染例がある以上、やはり疎開した人が全国にウイルスをばら撒いてしまうリスクが大きくなります。

 つまり、先に交通機関を止めなければならないという話をもって、壊滅的な乗車率・搭乗率になっている新幹線や飛行機をどうするのかという問題があります。JR東海の葛西敬之さんら日本会議メンバーと目される面々が非常事態宣言などとんでもないという話を官邸に持ち込み、実質的に長寿安倍政権の後ろ盾になっているこれらの財界人が強く緊急事態宣言早期発布に反対した、と見るのが妥当でしょう。言いかたは悪いですが「新幹線を止めないために日本人の人命を軽視した」ようにも見える政権の判断は、確かに緊急事態宣言なしに、日本人のなんとなくの自粛によって新型コロナウイルスのアウトブレイク(オーバーシュート)が防げればそれに越したことはないという話なのでしょう。

 個人的には、安倍政権の過信ゆえに、太平洋戦争同じく緒戦の勝利でどうにか戦局は保たれているだろうという思い込みもあって、政治の都合で緊急事態宣言を見送ったのであろうと思います。

 私はてっきり日本医師会や東京都庁が言う通り3月31日から4月1日にかけて、東京のアウトブレイクを防ぐために緊急事態宣言を政府が行うであろうと思っていました。実際、都知事の小池百合子さんも28日に西村康稔さんらと内閣府で会い、緊急事態宣言を行うべきと伝えたところ、なぜか深夜の街で感染が広がっているという話を吹き込まれて30日の記者会見が完全に腰砕けになったのを見て私も唖然としました。

 これはもう、このまま感染者数が(少なくとも東京都下では)激増することが待ったなしとなりまして、事後的に完全に福島第一原発事故事故調査委員会状態の戦犯探しとなり、菅義偉さんはともかく西村康稔さんは政治生命を絶たれてしまいかねません。今井尚哉さんや和泉洋人さんも同様です。下手をすると、本当に日本人が直接20万人、30万人と犠牲になり、その裏には、私の親族のように本来なら問題なくICUに入って処置されたであろうがん患者や慢性疾患の人たちが場合によっては治療の機会を奪われて死んでしまうことになります。

 先の三連休で「コロナ自粛疲れ」したという日本人が、この週末に次々と感染者として分かった結果、東京で130人以上の感染確認となりました。この状態で、先に緊急事態宣言を行っても、交通遮断をしない限り日本全国に感染者は移動してしまいイタリアのようになりかねません。3月終わりに緊急事態宣言をしていれば、多少の移動があっても感染者数そのものが少なかったので影響も限定的だったかもしれないことを考えると、もはや最終バスを逃した状態と言えるでしょう。

 長期政権、お友達内閣の気の緩みが大変な災厄を日本に引き起こしたと批判するのは簡単ですが、いま私たちができることは、なるだけ外出をせずに自粛し、自分や家族の身を可能な限り守り、精神も肉体もなるだけ健康な状態を維持して幸せに暮らすことしか対処策はないのだろうと思います。

 最後に、今日救急外来にたくさん来ていたコロナ感染疑いの人たちが、ご親族など付き添いの方々と一緒に待合にたくさんおられました。中には、非常にご体調が悪そうな方も待合のソファにおられ、本来なら私も看護師さんたちも「大丈夫ですか」の声のひとつもかけようとするところ、感染者だったら自分が危ないということで放置せざるを得ませんでした。現場がすでにこのような状況であるのに、西村さんの言う「緊張感を持って見ている」内容があくまで地下鉄の乗降者の数であったとするならば、観るべきもの、知るべき現場そのものが間違っているのではないかと感じます。

 移動を8割減らせば感染拡大を防げるという西浦博先生の発言は間違いなく事実です。しかしながら、すでに医療機関の救急では感染の疑い例が具体的な数字として上がっています。PCR検査は重症例に限り、日本に数多く普及しているCTスキャンで取りこぼしなく感染者は把握できるのは事実としても、その先行指数となるのは間違いなく感染疑い例として救急にやってきたり医療相談をしている人の数です。重症化した後の感染者数がPCR検査で分かったり、具体的な死者数がアウトブレイクの根拠だとしても、そこで兆候が出るころには医療機関がパンクしている状況に現実としてすでになっている、ということを、なぜ政府が分からないのでしょう。

 東京大空襲で焼け野原になるころに敗戦を自覚するようではさすがに遅いのではないかと思うのですが、如何でしょうか。




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