今月発売になった『消費者法ニュース Vol.122』で、ニセ科学を宣伝に使い消費者が信じ込んで効果がない製品を買ってしまう事案についての小論を寄せました。

『消費者法ニュース Vol.122』
http://www.clnn.net/

 そして、今回の消費者法ニュースの特集は、なんとネットで無料で読めます。太っ腹!

特集1 ニセ科学 科学を装った消費者被害
http://www.clnn.net/image/cln122-SE01.pdf

 当ブログやBLOGOSでも時折消費者関連の記事は書いているのですが、やはり「問題発生から、事態把握ののち解決に向かう」プロセスに少し時間がかかってしまうので、気がついたころには盛大に消費者が騙された後で収拾がつかなくなることもあり得ます。

 がんに効くと標榜する高額な免疫療法や若返り・疲労回復を目的とした血液クレンジングも問題になりましたが、今回の特集では識者がテーマごとに執筆する所見が構造から哲学、実務まで幅広くフォローしている点に価値があります。

 例えば、科学ライターの松浦晋也さんがご自身の介護の体験を枕に、一番効果のある標準医療よりも未認可で効果的な特別な治療があるとして、効き目の乏しい健康食品から効果のない自費診療までの構造をカバーしています。これに、各論者が構造問題から具体例、訴訟戦略まで順を追ってカバーしているという特集であって、いま目の前に起きているニセ科学関連の消費者問題を総覧できるような内容に仕上がっています。

 この手の話は「問題が起きてからでは遅い」という部分もあり、騙された後で速やかに問題を解決できるような仕組みと、被害を受けてしまった方への補償を行える体制まで踏み込んで進めていくべきです。しかしながら、個人的に『消費者法ニュース』を通しで読んでいて思うのは

(1) そもそも消費者被害を起こす事業者の数が多い。監視の目が行き届かない。
(2) 消費者被害は業界の仕組みに根差している場合がある。事業者だけの問題ではないので、仕組みや法律を変えるために時間もパワーもかかる。
(3) デジタル・プラットフォーム事業者がらみなど、ネット経由も含めた技術的に新しい分野の消費者被害が増えた。

というあたりが特徴なんだろうなあと思うわけです。おそらく、消費者問題に取り組む関係者が懸命にフォローアップしたとしても、なかなか解決にたどり着けないのだろう、と。

 某パイプテクターも、謎水問題を長年追いかけてきたウォッチャーと、科学的な知識のある有識者とが組み合わさり、役所に私も何度もヒヤリングにいって働きかけてようやく突破口ができたというのが実際で、ずいぶんながく時間がかかったなあと思うわけであります。

 美しき世界は与えられるものではなく、自らの手で作り出すものだ、という風にも感じます。

(※ 補遺)

 松浦さんの介護って? って質問がありましたが、この辺ぜひ読んでみてください。

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記 /日経BP/松浦晋也
https://product.rakuten.co.jp/product/-/8af562f3b84a5be52ab84ed889f6db4b/


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