面白ウォッチャー的には、山本太郎さんの「れいわ新選組」が2議席に届くのかどうか(あるいは0議席で終わるのか)と並んで興味の対象になっているのが福島瑞穂さんが副党首を務める「社会民主党」の行方であります。

 人によっては「泡沫政党なんてどうでもいいじゃん」と言いたいかもしれませんが、戦後政治における社会党の意味について理解のある人でしたらこんにちの社民党の凋落は感慨深かったり、哀愁を感じたりするんじゃないかと思います。ああ、あの社会党がこんなことになるなんてねえ。

 しかも、おそらく今回の参院選で社民党は比例で有効得票総数の2%を獲得するか、公認候補2人以上が当選しないと政党要件を満たさなくなってしまい、政党ではなく政治団体に転落することになります。そして、社民党支持者の中でもコリコリの左派と見られる人たちは、今回社民党にあまり投票せず、れいわ新選組に票が流れてしまっているように見受けられます。と言っても、そもそも「社民党支持者」と出口で回答する人は総有権者の1%を切ることがあり(出口なので支持政党を「社民党」と答える人は割合的にはもう少しいる)、その社民党支持者が各年齢・年代にわたって「れいわ新選組」を比例で選んだり、選挙区でれいわ新選組候補に入れたりしているという状況であります。ただ、あまりにもミクロな世界なので、社民支持がこれだけれいわに流れました、とはっきりしないのが困るところではあるんですよね。

 東京を見ていると、社民党的にはそこそこ頑張れる候補として朝倉れい子さんを立てていて、総評系では頑張ってた御仁なので、ここで健闘できなければどこで踏ん張るんだっていう状況になっていたんですよね。で、下手すると、れいわ新選組野原善正さんにすら得票数で負けかねないという。しかも、浮動票に強いけど共産組織票に弱い吉良よし子さんが共産党から立って、何と今回2位目もある流れになっていて、山本太郎選挙区出なかったよ効果はむしろこっちに受益がありました。なので、社民党が本来取るべき票がどこにも見当たらないという悲しい現実があるわけです。

 そして、社民党にとっては本当に運の悪いことに又市征治党首ががん治療のため参院選出馬見送りでそのまま引退されそうな勢いです。人として、どうかご養生をと思うんですけど、ご本人からしても忸怩たるところはあるでしょう。私だったら悔しくて憤死するぐらいの状況じゃないかと思います。 がん

治療から復帰の社民・又市党首、参院選不出馬を表明:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASM6L3T3LM6LUTFK00C.html

 野党共闘の観点では、左派票・政権批判票の受け皿を一本化することで一人区で有利に、と思っていたら、逆に立憲民主党の党勢低迷が顕著になってしまい、選挙協力をどうやっても浮上の目がまったく見当たらなくなってしまいました。マスコミも悪いんですが、改憲勢力に届くか届かないかという議論は国民からすればどうでも良くて、実際には年金問題などの社会保障と、景気・雇用がワンツーで、次いで出産子育て教育、外交問題などがきて、その次に憲法問題が問われているという感じで、正直言って選挙の争点設定ミスが序盤から投開票日まで響いているんじゃないかと感じます。ただ低迷しているというよりは、年金問題での議論が上手く喚起できないまま、改憲があると立憲主義の危機だとかいう国民から見ればどうでもいい話を前に出すので支持が集まらないのです。

 もちろん、改憲は大事なイシューだと思います。メディアや政治に関心のある人にとっては。私も無闇に雑な改憲論議が湧き起こるのだとすれば、改憲に反対です。ただ、改憲するという中身の吟味は賛否あるとしても、調査してみると前々回も前回も国政選挙においては「改憲については反対・やや反対」だが自民党に投票する人が実はマジョリティなわけです。つまり、改憲に反対しましょうとキャンペーンを張っても、いま現在まあまあ飯が喰えている国民にとってはそれはそれとして自民党に入れてしまうわけですよ。野党はそこが分かっていない。

 結果として、野党は何とか与党の政策に難癖をつけて失点をあげつらうことで与党の政策との差を際立たせるという方法以外取りようがないのでしょう。最低賃金の引き上げやブラック企業撲滅と言った、国民目線で近しい政策を実現するためにどうするべきなのかという争点を設定することすら途中で放棄してしまったんじゃないかと思うんですよね。

 山本太郎さんの凄かったのは、そういうトピックスはごっそり持っていったし、全部つなぎ合わせると絶対実現しないことなんだけど、本来それは社民党が口を酸っぱくして主張するべき政策課題だったと思います。そう考えると、社民党が党消滅の危機だと騒ぐ理由も彼ら自身の中にあるだけじゃなく、トピックスをかっさらったれいわ新選組は、敵の票を奪ったというより左翼・左派の現状批判票を取っていると言えましょう。

 さすがに展望が拓けない状態で社民党が歴史的使命を終えようとしている、というのは悲しいことだし、いまや何でも反対は共産党やれいわ新選組の役割となりました。支持母体がなくなった政治組織は、その政党としてのテイも維持できなくなるということでありまして、改めて政治というのは自己規定としてまず「誰の大便をする組織なのか」という本質をしっかり見据えることが大事だと思う次第です。


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