産業廃棄物業界の悪しき伝統とも言える部分はあるんですが、「モノタロウ(MonotaRO)」社の尼崎本社にまで家宅捜索が入るようです。事故を起こしたのは高槻市の産業廃棄物運搬会社「今村産業」だそうなので、この辺は「あっ(察し」という感じの出来事になってきました。

モノタロウを家宅捜索 高槻の倉庫火災、業過致死容疑で:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47119900Z00C19A7AC1000/

 そのモノタロウの前社長はLIXILに返り咲いた瀬戸欣哉さんで、現経営者の鈴木雅哉さんの手腕もあって合理的な経営を行い急成長をした会社さんなのは事実です。

創業者が去った「工具のアマゾン」 41歳社長の克服法 : NIKKEI STYLE https://style.nikkei.com/article/DGXMZO10681160V11C16A2000000/
MonotaRO(モノタロウ)の瀬戸会長は、なぜLIXILグループの社長に指名されたのか https://limo.media/articles/-/1055

 ただまあ、あるある話とはいえ自動車会社だろうが物流卸だろうがコンビニ業界だろうが、合理的な経営を貫徹して本部・本社は儲かるとしても、現場は大変なことになるわけでして、おそらくどこかが記事にするとは思いますがモノタロウ社は結構産業廃棄物やリサイクル周りでは下請けになかなか厳しいことを仰る会社さんではあります。

 もちろん、モノタロウ社よりも厳しいことを仰る家電量販店さんや物流卸さんはいらっしゃるので、必ずしもモノタロウ社だけが何かアカンという話ではないし、また、今回はスプレー缶で、大爆発して不幸にして死者が出てしまったので騒ぎになりましたが、絶対にその辺に埋めてはいけないものを埋めろと指示を出してヒヤリハット事例を起こすケースは他社にもいっぱいあります。今回スプレー缶と訊いて「あっ(察し」と思ったのはこれらの物品はそのまま埋められないからなんですよねえ。

 産業廃棄物業界も、私が父親から事業を引き継いだころよりもはるかに健全になって、きちんとマニュフェストを出して追跡できるようになり、不足がある場合は産業廃棄物の処理責任がある企業も名指しで罰せられるようになりました。その点では、とても良かったと思います。しかしながら、今回のスプレー缶も含めて大変いけない物質を出してしまう物品はトレーサブルではない状態に置かれている、どころか、冷蔵庫のようなドンガラのところは追跡可能なのでくず鉄で出しておいて、そうでないものは費用の高い中間処理もかけずにホロ掛けの不振トラックが兵庫や鳥取の山中に… みたいな話がないとは言えません。

 本来ならば、価格競争の激しい通販業界や家電量販店において、安売りしてたいした利幅も出ていないはずの企業が、なぜか高収益であるというケースはやはりあります。たいていにおいては、経営陣が優れていて合理的な経営を貫徹しているから本部が頑張っていて利益が出ているわけですが、回収された廃品や在庫処理において、明らかに企業規模と不釣り合いな規模の事業者が一手に引き受けている状況は散見されます。

 例えば、環境系の上場企業がポイズンピルを飲み損ねて、業界でもややこしいと知られる砂利屋にTOBをかけられそうになった事例もありましたが、大手企業なのに処理費を浮かせるために追跡される部分は環境系上場企業にまとめて流し、面倒な処理が必要でそのまま埋めたり焼いたりできないものは中小零細規模の面白業者に頼むということは横行していました。ただ、日本の都道府県の環境事務所も馬鹿ではないのでそういう話を聞きつけるとあれこれ対応してくれるのですが、別に全量を一次請けしているわけではない環境系の上場企業がまともな仕事をしていて、それとは無関係に分離された代物は資源ごみとして買って貰ったということにしたり、中国に輸出したことにしたり、面白業者に回収処理してもらったりする形にして安く抑えようとします。もちろん、環境系の上場企業は普通に仕事をしているだけなので何も知らないんですよね。

 なので、アカン処理をしているところはアカン人たちがやるのでアカン事故を起こします。で、上から「どうにかせえ」と言われると、本部や倉庫物流部門や下請けから応援が出てきて、みんなよってたかって処理をするんですよ。なかなか修羅の世界ですし、人間不信になるほど妙なことが起きますが、残念ながら、世の中にはそういうことが平気でできてしまう人たちというのがいるのです。

 モノタロウ社の件も、おそらくは「どうにかせえ」と言われたんだと思いますが、モノタロウ社がただ悪いという話ではなく、そういうものを引き受けてしまう産廃業界の古く悪しき体質みたいなものがまた出たなあと思ったりもします。本来なら、これはこういう事故でした、業務上過失致死です、で済ませずに、舞台となった高槻市のこの零細”産業廃棄物運搬業者”の取り扱い物品の記録や、売上票、銀行口座などを見てみるといいんじゃないかと思います。モノタロウ社以外にも、意外な会社が「お世話」になっていたり、「お手伝い」してきた経緯があるかもしれません。

 そして何より、現場の爆発で亡くなられた「モノタロウの社員、山西潤さん(36)」と、現場で手伝っていたと見られる「山西さんの次男(13)」が重体であるという報道に、私は「あっ(察し」というものを感じます。

 なんかこういう報道を見ると、昔を思い出して何ともいたたまれない気持ちになるんですよねえ…。



 science_hakase_shippai.png